題名……
前話の最後に出てきた流れで、分かりますね。
では、どうぞ!!
「お前、一体何ばしよっと!?」
学校に来るなり、職員室に呼び出されたアキ。何だろうと思いついていった。そこで、西村先生からアキに1枚の紙切れが渡された。その中身とは、
『以下のものを
と書かれてあった。観察処分者というのは、若葉学園においてよっぽどの成績不振者か、素行が悪い人間にしか使われないものだ。オレが見ている限りでは、コイツはそこまで悪くないはずなのだが……。思わず職員室でアキを怒ってしまった。
「ヒロ、方言が出てるよ」
「オレの方言とかどげんだっちゃよかったい! お前のことを聞いとるったい!」
「怒ると福岡の方言が出るんだね」
「そげんかとはオレだっちゃ知っとるばい! よかけん、何でこげんなこつなったか教えんの!」
オレは、小学校上がるまで、福岡県に住んでいたため、奥深くに福岡県の方言が染み付いている。普段は標準語で話している(つもり)だが、怒ると地が出てくる。
「七島、職員室でうるさい」
「すいません。でも、どうして? 若葉学園史上初の出来事なんじゃないのか?」
「どうもそうらしい」
若葉学園の黒歴史の1ページ目に吉井明久の名が刻まれた瞬間であった。過去に類を見ないくらい、成績が悪かったのか、素行が悪かったのか……。
「あれは、さかのぼればいつからの話だろう……」
アキによる回想が始まったが、要領を得ないのはいつものことだ。
今週頭に、抜き打ちの持ち物検査があったのだ。そこで、アキはゲーム類など合わせたら約3万円くらいになりそうなものを取られた。因みに雄二や康太、秀吉といった連中も取られていたようだ。オレは今日は弁当しか持ってきていないため難を逃れた。
その日の放課後、理由は分からなかったが、島田に追いかけられたらしい。それでどこまで逃げたかというと、商店街まで逃げ延びたらしい。そこで、姫路さん(中学が一緒)という優等生を見かけ、アキは話しかけようと後を追っていったところ、ファンシーショップの店に入ったらしい。それに気づいたのが店内でだったらしく、すぐに店から出て行こうとしたところに、1人の少女が店員と言い争っていたらしい。
『葉月、一生のお願いです!』
『そうは言ってもなあ』
『どうしたんですか?』
どうも、困っている子がいると見逃せない性分らしく、話しかけたらしい。すると、この子の家族はドイツから越してきたらしく、その少女のお姉ちゃんが日本に慣れなくて落ち込んでいたから、ぬいぐるみを買ってあげたいらしい。そこで、その話を聞いて感動したアキが、その少女がぬいぐるみを買えるように手伝ったらしい。
『それいくらですか?』
『¥24,800です』
『ふむ……半分くらいしか持ってない。じゃあ、そのぬいぐるみの半分をください』
この会話を聞いたときは、オレは親友として穴があったら入りたいという気分になった。恥ずかしすぎる……。どうも、少女にまで『バカなお兄ちゃん』と言われたらしい。そりゃそうだ。
店員もここまで熱心に買いたいといってるから少しの間は誰に売らないと約束してくれたらしい。その後、店を出てその少女と話をしているときに、アキは禁断の一手を思い浮かんだらしい。それは ー 。
『今朝没収された商品を取り返して、売りさばいたらぬいぐるみを買える!』
と。それ昨日の朝のHRに雄二たちと実行に移したらしい。確かに出席確認のときに、アキの携帯がなりだして没収したときに、雄二と不穏な会話をしていたのは雰囲気で分かった。雄二の策略を使い、その携帯を使って、没収品のありかを探し出し、秀吉の演技を以って先生を騙くらかし、康太の技術を以ってロッカーの鍵を開けと4人全員が役割を果たしての、没収品取り返し作戦だったらしい。
そのやる気を何かに回して欲しい……
「お前、言っておくが犯罪だぞ。窃盗なんだから」
「でも ー 」
「でもじゃない。いくらそれが正義のためだといっても、犯罪を無視することは出来ない。他に方法はあったはずだ」
せめてオレに話す位して欲しかった。話を通していたらその計画は没にするつもりだが。
「七島の言うとおりだ。吉井、観察処分者の仕事はたくさんんある。その1つが雑用だ」
「え~雑用!?」
「そうだ。力仕事などを任せることが多い。召喚獣を使えば、重いものでも軽々と持てるようになる」
召喚獣、見た目ちっこいのに、力は人間の数十倍あるらしい。
「先生、でも召喚獣って確か透けませんでしたっけ?」
幽霊みたいなものとイメージすればよかったはず。
「ああ、そうだ。だが、観察処分者になると、召喚獣で物理干渉が効くようになる」
へ~観察処分者になるって別にデメリットだけじゃないな。
「だがしかし、召喚獣がダメージを受けると、召喚者にもフィードバックするから気をつけておけ」
重たい足かせだな……本当に自分の分身と化すような感じか……
「先生! オレも召喚獣扱いたいです!」
「来年になったらどれだけでも出来る」
「今したいんです!」
「観察処分者というのは特別なことが無い限り認められない」
くそ……どうにかして、召喚獣を扱えないものか。
「軽音部、荷物が重いので運ぶのが大変なんです!」
「協力して抱えてくれ」
「アキと一緒に居ることが多いから、オレも同じことを出来れば時間短縮も出来て便利です」
「吉井だけで十分だ」
西村先生、手ごわいな……ちょびっとだけアキがうらやましいよ。人より早く召喚獣使えるなんて。
「七島、それよりも吉井の教育をお前にも頼むぞ」
「常識だけはつけさせたいと思っております!」
「よろしく頼む。俺が言うよりいいだろう」
「はい」
アキとオレは職員室を出た。
「ホント、勘弁してくれよ」
「そんな深いことまで考えてなかったからさ」
だからお前は『バカ』と呼ばれているんだろうが……一つのことに集中すると、周りのことが見えなくなる。か。
「今回のことをメリットとして捉える方法も出来なくは無いぞ」
「どういうこと?」
「来年から試召戦争が出来るだろうが。それまでに雑用をたくさんして操作技術を磨けばいい」
「そしたら?」
「点数が数倍相手のほうが上でもダメージを食らわないで置けば勝てるってことだ」
極端な話、4倍くらい点数上でも、事細かな操作をすれば、勝てるとも聞いたことがある。
「どのみち、お前は来年Fクラスだろうし」
「決め付けるんじゃない!!」
「そう自信を持って言えるなら、来年のクラス分け楽しみにしておこう」
「いいよ! そういうヒロはどうなのさ!? ヒロだってバカじゃないか!」
実を言うと、そこまでバカじゃない。アキとかとつるんでいるから、クラスでもバカというイメージが先行しているが、テストの結果はすこぶるいい。本当のことはアキですら知らない。
「ま、お互いAクラスに行けるよう努力しないとな」
「望むところだ!」
その後、数週間後に、2学期末試験があった。
「……お前の点数、それはなんだ?」
「い、いや~……新作のゲームが出ちゃって……」
「お前、Aクラスなめてるな?」
「そ、そういうヒロはどうなのさ」
教えたくねえな……今までバカというイメージが浸透しているんだから、この学年ではバカというキャラで通すか。来年、みんなの度肝をぬくためにな。
『お前、3点? 勝った。オレ4点』
『何言ってんだ、お前2点だろうが』
『俺10点すごいだろう』
あれ……?若葉学園って一応進学校じゃなかったっけ? クラスでこんな声上がってますが大丈夫なんでしょうかね。あいつら絶対来年Fクラスだぞ……低い点数で勝負するな。
「凄いよ憂~わたしなんか見てよ~」
「あ……うん。そうだね」
「梓はどうだったの」
「まあまあだったかな」
今のオレの席は、隣が梓ちゃんで、その前が純ちゃん、オレの前が憂ちゃんという場所だ。因みに、アキも隣に居る。何か凄い席だ。定期テストの度に席替えするから、今度は学年末までこの席だな。
どうも、憂ちゃんと梓ちゃんは点数高いが、純ちゃんは低いらしい。結構イメージどおり。
「今回、赤点だったものは、俺の特別補習がある」
『何ぃーっ!!』
クラスのあらゆるところから悲鳴が上がった。西村先生の特別補習はとても厳しいらしい。これは先輩方から伝え聞いた話だが、試召戦争において戦死してしまうと、強制特別補習になってしまうらしい。そのときに「尊敬する人物は二宮金次郎 ー 」とかいう人物に仕立て上げるのがモットーらしいから、戦死だけはしたくないとのこと。
「覚悟しておくんだな」
「危ねー!! ギリギリ赤点ライン」
「純…もうちょい勉強しようよ」
「そうしようと思った」
純ちゃんも西村先生についての噂は聞いてたらしい。
その後、久しぶりに部活に行ってみると……
「ギリギリセーフ!!」
「危なかったねりっちゃん」
「律も唯も危なっかしすぎるんだ!」
「もうちょっと余裕があったらね~」
どうやら、りっちゃんと唯先輩もギリギリで補講を免れたらしい。澪ちゃんとムギ先輩は、Aクラスだからそれはありえないだろうが。
「久しぶりの部活!」
「やろうやろう!」
「相当勉強が嫌だったんだな」
「そうみたいね」
「梓ちゃん、やろうか」
「そうだね!」
ブレザーがいる季節になってきて、部室も寒くなってきた。が、変わらず軽音部は活動していた。
一気に冬!
残念ながら、観察処分者は明久だけでしたね。
弘志は召喚獣扱えなくて、それが今後影響するのだろうか?
赤点の方は十分と罰を受けなければならないですね。
鉄人の特別補習なんてとてもじゃないけど、受けたくはありませんよね。
一応、作者福岡県出身なんで、方言に間違いは無いでしょうが……
ちょっとおかしいところがあるならば、県内でも地方の違いでしょうね。
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