え~……そろそろストックがなくなってきました。
毎日更新が厳しくなると思います。
合宿編、どうぞ!!
「去年より、大きい別荘だな!」
「ここが去年言ってた、借りられなかった別荘なんだね!」
「いえ、ここは違うの。その別荘も借りられなかったの」
『これ以上があるの!?』
ムギ先輩の別荘で合宿をすることになった、我らが若葉学園の軽音部。
去年もムギ先輩の別荘でやったらしいのだが……ムギ先輩のお嬢様っぷりがすごい。
「海だ~!!」
「遊ぶぞ~!!」
着いて早々、いつの間にか水着に着替えていた唯先輩やりっちゃん。
海水浴の準備をして浜辺へ駆けて行く。
「こら~!! 遊ぶのは練習してから!」
「別に良いじゃん」
「遊びたい!」
合宿って言葉、オレ間違って覚えているかな……?
澪ちゃんがストッパーとして、暴走を食い止める。
「それじゃあ、多数決にしよう、練習が先」
『遊び!』
「わたしも練習が先が良いです」
澪ちゃんと梓ちゃんが練習先、りっちゃんと唯先輩が遊び先。
全員が、ムギ先輩へ視線を注ぐ。
「遊びたいで~す」
『まさかの裏切り!?』
ムギ先輩は予想に反して、遊び先という結論を出したのであった。
2人は、助けをオレに求めるが、そのような権限は無い。
「もう遊ぶ気満々の方々を止めることは出来ないよ。必ず練習を後からするって約束を取り付ければいいんじゃないの?」
「そうだな……律、唯、ムギ、いいか?」
『ほーい』
「分かりました」
「仕方ないですね」
ということで、合宿初日の昼は海で遊ぶことになった。
全員水着に着替え、浜辺へと行く。りっちゃんと唯先輩はまるで小さい子どものように走り回って遊んでいる。ムギ先輩は、突然電話を取り出し、「いらないって言っておいたでしょう! 浜辺にあるもの全て片付けて! お船も要らないから!」とか言っていた。庶民の遊びを楽しみたいということなのだろうか。多分そうだろう。オレの近くにもこういったヤツが居たが、そいつは全くぼっちゃまらしくなく、庶民との関係を重視していたなあ。
しばらく、りっちゃんと唯先輩が遊んでいるのをビーチパラソルの中で他の3人と見ていた。
そんな時に、メールが来た。アキからだった。
『遊ぼ~。雄二や康太もいるから~』
と。オレはすぐに返信した。
『すまん。今、軽音の合宿で海に来ているから無理』
アキたちと遊びたいのも山々なんだが、部活を優先させるべきであろう。携帯をかばんになおそうとしたら、電話がかかってきた。
『合宿? 海!?』
何だ、第一声がそれかアキ……
「そうだが?」
『うらやましすぎる! 女の子と一緒に海だなんて!』
「おいおい…部活に来ているんだぞ」
『でも、後ろから遊んでいるような声が聞こえるよ』
………確かに。今は遊びの時間だから…
『………ころ ー ねたましい』
「おい今殺したいって言おうとしたよな、康太」
『ったく、海とかうらやましいもんだぜ』
「雄二、お前らも軽音に入りゃいいじゃん」
『じゃあ迷惑になるだろうからそろそろ切るね』
プープープー
電話が切れた。
あいつらは自分が言いたいことを言って電話を切っただけだった。全くこちらの問いかけに答えてもらえなかった気がしたのはオレだけだったのだろうか。
そんな折、りっちゃんと唯先輩がやってきた。
「あ~ずにゃん、一緒に遊ぼ!」
「結構です」
「ふ~ん……さては、スポーツが出来ないんだなあ」
「そ、そんなことありません! やってやるです」
あ、挑発に簡単に乗った……りっちゃん乗せるの上手いもんな~
「ヒロも来いよ」
「澪ちゃんやムギ先輩は?」
「わたしは良いから、ヒロ行って来い」
「わたしもここで見ておくわ」
「そう、じゃ行くか!!」
オレも遊ぶのに参戦した。その後、スイカ割りしたり唯先輩を砂浜に埋めたり、海で遊ぶ定番のものは一通り遊びつくした。
途中、こんな出来事があった。澪ちゃんと梓ちゃんとオレの3人がたまたま近くに居たときだ。
「先輩」
梓ちゃんが澪ちゃんに話しかけた。
「フジツボの話って知ってますか? それで足を切った少年が ー 」
「キャーっ!!」
「え、先輩?」
澪ちゃんは悲鳴を上げながら走り出した。
その様子を遠くから見ていたりっちゃんはグーサインを出した。あーそうか……
「梓ちゃん」
「何?」
「澪ちゃんは相当怖がりだからさ……」
「あ~そうだったのか……ちょっと悪いことしたな~」
澪ちゃんは、一時悲鳴を上げながら走り回っていたのであった。
何よりも面白かったのは、唯先輩とりっちゃんの『無人島ごっこ』。勝手に設定を造り上げ、簡易劇をするのだ。
ここはどこ?とか、新大陸だ~とか……見ている分にはバカらしくもあり面白くもあった。
梓ちゃんは、誰か分からなくなるくらい日焼けで真っ黒になっていた。結構楽しんでるじゃん。オレは日焼けしてもすぐに白くなるからいいけど、あんまり日焼けしたくないんだよね~痛いし。
その後、疲れた~練習したくない~とか言っているりっちゃんや唯先輩を無理やりスタジオに連れ込んだ。この別荘にはスタジオがあるのだ。すごい……ドラム・アンプ(スピーカーみたいなの)備え付けって。
みんな練習の準備をし始めた。それぞれの楽器を取り出し、準備をする。オレは見学。
「あずにゃん、それ何?」
梓ちゃんがチューニング(音を合わせる)しているときに、唯先輩が尋ねた。
「それってチューナーですか?」
「チューナーって言うの?」
えっ? 唯先輩? 本当に音楽用語知らないんだな……今までチューナーなしでどうやって……
「先輩チューニングどうやってしてるんですか?」
「こうやって」
唯先輩はある意味天才のようだ。耳でチューニングをしていた。絶対音感・相対音感の持ち主か。梓ちゃんも驚いていた。
その後、全員の準備が出来、演奏を始めた。以前聞いてたのよりか格段にレベルが上がっていると思う。個々の家での練習が実を結んでいるに違いない。こりゃあ、梓ちゃんもビックリしているぞ。オレもまだまだ腕を磨いていかないと、足を引っ張るだけだ。
一時練習すると、りっちゃんが「お腹空いて力でない」と某ヒーローのようなセリフをはいたので、夕食にすることになった。買い物をしてきていなかったので、買い物に行く。
メンバーは、唯先輩にムギ先輩、梓ちゃんにオレが行くことになった。本当はオレが買ってきていたほうがよかったのだろうけど、料理できないからどんな食材買えばいいか分からなくて……
近くのスーパーに買いに行き、今日の夕食の分と、明日の朝・昼食を買ってきた。6人分ということで結構量が多い。
全員で、バーベキューの準備をして美味しく食べた。初めてBBQとかしたけど楽しい!
その後は、花火をしたり、肝試しをしたりなど、夏の風物詩ともいうべきものを思う存分楽しんだ。何故かしら、いつの間にかさわちゃん先生が現れていたことに関してはびっくりした。来ないとか聞いていたけど。
「みんなを驚かせようと思ったんだけど、道に迷って ー 」
人ん家の別荘がよく分かったよ……普通迷うよ先生。
「澪先輩、しっかりしてください」
澪ちゃんが、突然現れた先生に驚いて気絶をしていた。(肝試し中に出てきたからなおさら怖い)
「お風呂、入りましょうか」
「やった~お風呂♪」
「ヒロも入るか?」
「な、何てことを言ってるんだ律!!」
「あ、後で入る!!」
冗談だと分かっていても、そういうのを言われると恥ずかしくなる。
女子 ー というか、オレ以外が全員お風呂に入って、暇になったのでスタジオに入ることにした。そこで、せっかく合宿だというのにまだ1回も楽器を触っていないと思い、今部員のみんなには密かに練習しているキーボードを触ることにした。浴場まで聞こえないように音量を下げて弾く。
「お~い、ヒロ~!! お風呂上がったぞ~」
と、遠くからりっちゃんの声が聞こえてきた。時計を見てみると既に40分が経過していた。練習していると時間が早いなあ……みんなに気づかれないように、スタジオを元の状態にして部屋を出て行った。
「あ、ヒロ、みんな上がったから入って良いぞ」
「どーも」
ささっと風呂に入る。……風呂というサイズではなく、一温泉くらいの大きさであった。その中でポツーンと1人で入る……よし、上がろう。こんな機会めったに無いから満喫したいけど、あまりにも孤独感が。
風呂から上がると、みんな既に布団を敷き始めていた。
「もう上がってきたのかヒロは」
澪ちゃんが布団を敷きながら、こっちに話しかけてきた。
「うん。あの広さを1人でってのはちょっと……」
よくよく部屋を見てみると、7枚の布団が敷いてあった。
「オレもココで寝るの!?」
「そうだぜ! ヒロ~いたずらするなよ!」
「おいおい……オレはどっか別の部屋で寝るよ」
「寂しくなったらいつでもおいで」
来るか。女子6人と一緒に寝るとか想像もつかねえよ。しかもりっちゃんだけしか盛り上がってないし。
「もう寝るの?」
「眠たいから寝る!」
「あ、おやすみ」
りっちゃんが最初に布団に入ってすぐに寝た。みんなも徐々に寝始めたので、オレは急いで自分の分の布団を持って部屋を出た。
さて……どこに布団を持っていくか。こんな広い別荘なんだからどこでも良いか。ということで、とある部屋で寝ることにした。
★
「ふわあ~……」
夜、なかなか寝付けなくてトイレに行こうとしたわたし、梓は途中の部屋の電気がついていることに気がついた。
「あれ?ここってスタジオじゃ……」
わたしは気になって窓から覗いてみた。するとそこには、唯先輩が居たので入ってみることにした。
「あれ、あずにゃん?」
「何してるんですか?」
「あはは~ちょっとね……ところであずにゃん」
「はい?」
「練習付き合ってくれない?」
唯先輩が自分からこうまともに言ったのは初めてかもしれない。こうやってみんなの目が見えないところでしっかりと努力しているから、あんなに上手い演奏が出来るのだろう。
「いいですよ。わたしも唯先輩と一緒にもっと一緒に練習したいと思っていたんです」
「ありがとう」
わたしたちはギターをアンプに繋がないで練習を始めた。
★
何か隣の部屋で物音がするなあと思っていたら、スタジオで唯先輩と梓ちゃんがギターの練習をしていた。2人仲睦まじそうにしていたので、窓からずっと覗くことにした。
「出来た~」
「すごいです」
短時間で見る見るうちに上達する唯先輩。本当にすごいなあ……
「あずにゃんに出会えてよかったよ!」
「え?」
「ありがとう!」
といって、唯先輩は梓ちゃんに抱きついた。その様子を見てオレはさらに自分の腕を磨かなければならないなあと思うと同時に、この2人の関係が本当にうらやましいとも思った。オレは2人に見つかる前に部屋へと戻ることにした。
こんな感じで、あっという間に合宿が終わったのであった。
だいたい、けいおん!(1期10話)を踏襲しています。
合宿とか行ってみたかったですね……
もうすぐ、部活引退なのに行ってないです。
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