森の修練場の近く…そこには、大きな湖がありました。
時折たつのこナイト達が浮上してくる以外は、とても静かな場所です。
そこに、今日もエイシスの姿がありました。
エイ「さて……今日はメラ系統の練習かな…」
湖に来た理由は、どうやらメラ系統を放つ為の様です。
エイ「メラミ!!」
三つの小さな炎が、湖に吸い込まれた。
そして水柱が立つ。
大量の水にぬれたが、エイシスは気にせずに考え込んでいる。
エイ「ん~……もうちょっとで何かが掴めるんだけどなぁ…。」
グルグルと手に持っている杖を回している。
??「そんなんじゃ危ないよ~」
足元から声がした。
エイ「ん?…ああ、君か;」
そこにいたのは、あの不思議なメタル系魔物だった。
??「そ~。お久~。」
エイ「うん。…何か用?」
??「杖は振り廻しちゃダメだって言いに。」
エイ「そっか…御免ね;」
??「ううん。」
エイシスは振り廻すのをやめ、再び構えた。
エイ「魔力を多くしたらどうかな……メラ……」
エイシスは魔力を込めた。
先程よりもはるかに多い魔力だった。
エイ「……メラ、ゾーマ!」
エイシスが放った魔法は、巨大な火球となり、先程よりも大きい水柱が立った。
??「うわぁ!?……凄い魔法だね~……メラゾーマって名前?」
魔物が首(無いけど)をかしげて聞いた。
エイ「ん?あぁ~……父さんが考えた魔法を…ちょっと強化したんだ。」
エイシスは何でも無い事の様に答えた。
その直後に大量の水が降ってきた。
??「うわ……びしょびしょだね;」
エイ「…ここまでの威力なんだね;」
魔物とエイシスはびしょぬれになっていた。
エイ「…取りあえず風邪ひいたら危ないから帰らなきゃ;」
??「僕も帰るよ;」
エイ「それじゃあ;」
??「バイバイ!」
二人はびしょぬれになった体をさすりながら、別れて走って帰った。
エイ「ただいま~…」
母「お帰り…あらら、こんなに濡れちゃって…水泳でもしてたの?」
母親がすっとんきょうな問いかけをした。
エイ「あ…まぁ、そんな所?」
エイシスもすっとんきょうな答えを返した。
母「取りあえず、タオルで拭きなさいな。」
母親がタオルを手渡した。
エイシスは素直に受け取ると、ごしごしと拭き始めた。
そこへ…
マスター「ただいま。」
父親のマスターが帰って来た。
エイ「お帰り~」
母「お帰りなさい。」
温かく迎えた二人とは打って変わって、マスターの表情は少し暗い。
エイ「?どうしたの?」
マスター「ああ、実はな…」
エイシスが問いかけ、マスターはやっと口を開いた。
マスター「昔の仲間から連絡があってな、暫く村を離れなきゃならん。」
母「あらあら……気を付けて下さいね?」
母親は心配そうに言った。
エイ「…早く帰ってきてね?」
エイシスは心配しているのかどうか良く分からない表情で言った。
マスター「ああ、分かってるよ。」
マスターは笑って言うと、家を後にした。
母「さ、今日はローストチキンよ。」
母親に促されて、エイシスも家へと入って行った。
―――数日後から、扱いが変わるなんて、ちっとも知らなかった。
村が存在していた期間……恐らくDQⅢよりも前。
なので魔法はまだ分かりませんでした。