緋弾のアリア 世界を誑かす理   作:犬神使い

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衝動的に書き始めてしまいました。これからよろしくお願いします。


嫌な、気分です

 武偵。

 正式名称武装探偵。それは近年増加する一方な凶悪犯罪に対抗するために作られた国家資格。この資格を持つものは武装を許可され逮捕権を持ち警察に準ずる活動が可能になる。

 だだ警察と違うのは探偵の名の通り金で動く事である。

 これはそんな武偵を育成する学校、レインボーブリッジの南に浮かぶ南北およそ2キロ・東西500メートルの長方形をした人工浮島(メガフロート)の上にある東京武偵校探偵学部(インケスタ)鑑識科(レピア)に所属している私、二年B組天草(あまくさ) 沙代(さよ)のお話しです。

 

 

 

 

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 今日は武偵校の新学期。私も今日から二年生になります。

 私がこの世界に生まれてから十七年。初めは気がついたら赤ん坊になっていて混乱したり女になっていたりして何故こんな事になったのかと神様を恨んだりしていましたが今ではあるがままを受け入れて毎日を暮らしています。

 というより私が悩んでいること等どうでもいいような事が起きてしまったからなのですが・・・・・・。まぁ今は関係無いのでその話は今は置いておきます。

 とにかく、新学期が始まるということは当然特殊な武偵校と言えども始業式はあります。まぁ武偵校なので普通どんな学校にもある面倒臭い話等は一切なく凄くアッサリと、十分程度で終わります。その後は教室に戻りHRが終わった後各自が履修している授業を受けます。武偵校は単位制なので各自が必要だと思うものを受けられます。私自身も所属している鑑識科(レピア)以外に探偵科(インケスタ)とたまに強襲科(アサルト)を受けています。

 

 私のクラスはB組のようです。教室に入り自分の席に座ると鞄から本を取り出し読み始めます。私は普段こうして静かに本を読んでいます。理由は思春期の女子の会話についていけないからです。

 そんな私にも話しかけてくる人はいるもので……。

 

「おはよう沙代ちゃん。同じクラスなんだね。今年もよろしくね」

 

白雪(しらゆき)さん、こちらこそよろしくお願いします」

 

 彼女は星伽(ほとぎ) 白雪(しらゆき)。平均偏差値45未満の武偵高において偏差値75オーバーであり、生徒会長・園芸部部長・手芸部長・女子バレー部長を兼任している優等生です。私とは去年のクラスメートであり何回か生徒会の仕事を手伝った時に話すようになりました。

 普段の彼女は絵に描いたような大和撫子であるのですが、ある人がかかわると性格が一変します。私も一度それで痛い目に遭いました。その件はキチンと話をして私が彼女の応援をするということで落ち着きました。

 それ以降私は彼女に勉強を教えてもらう代わりに彼女にアドバイスをしたりしています。私は一応かつて大学院を出ていましたが人間使わないものは忘れるもので偏差値も68と彼女よりも下なのです。武偵高(ここ)ではこれでも優等生と呼ばれますがそれはそれ。少なくとも生きている年数的に年下の彼女には負けたくありません。なので恥を忍んで勉強を教えてもらっています。

 まぁ負けたくない人はもう一人いるのですが……。

 おや、噂をすれば……。

 

「おっはよー! 沙代に白雪!」

 

「きゃあ! 蓮華ちゃん! いきなり抱きつかないで!」

 

 今白雪さんに飛びついて抱きついた彼女の名前は雑賀(さいか) 蓮華(れんげ)。かの鉄砲傭兵集団雑賀衆の頭領雑賀 孫一の子孫です。所属は強襲科、ランクはB、そして生徒会副会長であり偏差値70の優等生、私の友人でもあります。

 彼女は物静かな私や白雪さんとは正反対に明るく陽気でいつも元気です。髪型も肩のあたりで切りそろえたショートヘアーで活動的な彼女に似合っています。

 ただ彼女には少々迷惑な癖がありまして……。

 

「さーて、今日の白雪のおもちはどうかなぁ?」

 

「ひゃあ!? 蓮華ちゃん!? や、止めてよぉ……」

 

「良いではないか良いではないかー、んー、今日も白雪のおもちは揉み心地が良いなぁ」

 

 彼女は……その、俗に言うおっぱい魔なんです(本人はおもちマイスターを自称していますが)。こうして一日一回おっぱいを揉んでくるのです。おまけに彼女はかなりのテクニシャンで彼女に揉まれると何処がとは言いませんが濡れてしまいます。さらに彼女に胸を揉まれるとバストサイズが大きくなるという謎の効果まであります。彼女曰くおもちに対する愛が溢れているからとか。意味が分かりません。私自身この一年間揉まれ続けたせいでバストがAからBに上がってしまいました。

 彼女たちの方を見るとまだ胸を揉んでいました。いい加減に止めないと行くところまで行ってしまいそうなので止めることにします。

 

「蓮華さん、その辺にしておいた方がいいですよ。そろそろ先生が来る頃なので」

 

「そっかぁ、残念。じゃあ次は沙代の番だね!」

 

「いえ、遠慮しておきます」

 

 私は白雪さんからのなんでもっと早く助けてくれなかったの……という恨みがましい視線をスルーして両手をワキワキさせる蓮華さんの胸揉みを回避します。

 というかあなたには教室中の前かがみになった男子の視線が分からないのですか!? こんな状況で胸を揉まれるのは恥ずかしすぎます!

 私が迫ってくる蓮華さんの接近を読んでいた本を盾にして防いでいると、担任の(つづり) 梅子(うめこ)先生が入ってきました。

 

「SHR始めるから早く席に着けー」

 

 蓮華さんは本当に残念そうに自分の席に帰っていきました。何で私の胸が揉めないのがそんなに残念なんですか……?

 

 

 

 

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 昼休み。私はA組にきています。理由は今校内で広まっている噂の真偽を本人に確かめようと思うからです。

 その噂は『武偵殺し』の模倣犯が出て、かつ武偵校の生徒が襲われたというものです。その襲われた生徒は遠山 金次。元強襲科Sランクで現探偵科Eランクの女性が苦手な変わった男子です。

 私との関係は探偵科に転科してきた時に任務で一緒になった事があり、それから会えば一言二言話す程度の仲です。

 回りからはネクラとか女嫌いとか言われてますし本人も否定してませんがあれは彼の体質上(・・・・・)女性を避けているのです。

 その体質とはヒステリア・サヴァン・シンドロームといい、性的に興奮すると普段の30倍の能力が出せるというものです。

 何故私が彼の体質を知っているのかと言うと、任務で一緒になった時に簡単な浮気調査だったはずが何時の間にかヤクザの抗争に巻き込まれ、その際に知りました。

 まぁそれと同時に私の素と能力を知られてしまいましたのでお互いにこの事は黙っている事にしました。

 A組に来たのですが肝心の彼がいません。何処にいったのでしょうか? まぁ本人がいないのなら仕方がありません。代わりに他の人に聞く事にしましょう。

 とはいっても私の知り合いなんて数えるほどしかいないのですが。

 私が教室を見回していると一人知り合いを見つけました。ちょうどその人も此方を見たようで立ち上がって手をふっています。

 

「ヤッホー、さよちん! 元気?」

 

「はい、元気ですよ。理子さん」

 

 彼女は(みね) 理子(りこ)。探偵科所属でランクはA。緩い天然パーマの長い金髪をツーサイドアップに結い、制服をフリルだらけのゴスロリ風に改造しています。さらに身長は私のほうが10センチも大きいのに胸は倍以上に彼女が大きいという所謂ロリ巨乳というやつです。

 別に羨ましく何てありません。・・・・・・えぇ、ありませんとも。

 

「ところでさよちん何しに来たの?」

 

「あぁ、そうでした。噂の件ですが本当にキンジさんが襲われたんですか?」

 

「うん、そうだよ。キーくん始業式に遅刻してたからね。ってもしかしてそれを聞くために来たの?」

 

「はい、そうですよ」

 

 私がそう答えると理子さんは苦笑いをしました。

 

「なんというか……相変わらず真面目だよねぇさよちんは」

 

「噂は所詮噂でしかありませんから。本人に聞ければ一番だったのですが、理子さんなら信用できますし」

 

 彼女の情報収集能力はかなり高く、それに彼女は嘘をついていません(・・・・・・・・・)。なので私は彼女の言った事を信用しました。

 時計を見るとそろそろ昼食を食べないと午後の授業に間に合わなくなる可能性があります。私は理子さんにお礼を言って昼食を食べることにしました。

 

「理子さんありがとうございました。私はこれで」

 

「あ、うん。またね!」

 

 さて、白雪さんにメールを送っておきますか……。

 

 

 

 

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 今日の授業も終わり私は今寮に帰っています。手には今日の晩御飯の食材をぶら下げています。晩御飯は同室の方と交代制で今日は私の番です。今日は鶏肉が安かったので棒棒鶏(バンバンジー)です。私の得意料理は中華なのです。同室の方は和食が得意です。

 

「ただ今帰りました」

 

 ……? おかしいです。この時間ならすでに帰ってきているはずなのですが返事がありません。それにこの嫌な感じは……。いつまでも玄関で考えていても仕方がありません。私は荷物を玄関に置き太腿のホルダーからグロック17を引き抜き安全装置を外していつでも撃てるように構えて部屋の中に入ります。

 そして私がリビングに入ると待っていたかのように声がかけられます。

 

「おかえりなさいませ、沙代様。ご機嫌はいかがですか?」

 

「最悪だ、アヤカリ」

 

 部屋のソファーに我が物顔で座っていたのはアヤカリ。彼女は私の知り合いですが武偵高の生徒ではありません。まぁ彼女にかかればこんなところに侵入するのは容易なのでしょうが、問題は何をしに此処に来たのかです。別に彼女とは仲が良い訳ではありません。むしろ悪いといえるでしょう。なのにわざわざ足を運んできたのは一体……?

 と考えては見ましたが私に彼女の考えなど分かるはずもないし分かりたくもないので直接聞いてみることにしました。

 

「どうして此処にいる?」

 

「その質問にお答えする前に銃を下してくださいませんか?」

 

 怖くて漏らしてしまいそうですわ、と飄々と言ってのけるアヤカリ。

 アヤカリのその言葉に私は数瞬迷った後銃を下しました。ただし銃の引き金に指をかけたままでいつでも撃てるようにはしています。それにいつまでもアヤカリと一緒にいたくはないので早々に帰ってもらうためにおとなしく言うことを聞いておくことにします。

 私が銃を下したことを確認したアヤカリはやっと話し始めます。

 

「私が此処に来た理由は沙代様の二年生への進級祝いですわ。もちろん嘘はついておりませんわ」

 

 確かに彼女は嘘をついていません。それは分かります。じゃあ本当に進級祝いを言いに来ただけ……?

 

「そういう訳ですので私は帰りますわ。……あぁ、そうですわ。この部屋にいた子は部屋でぐっすり寝てますわ。安心してください」

 

 アヤカリはそう言うとソファーから立ち上がり部屋の暗がりに溶けるように消えていきました。

 私は彼女が完全に部屋から出て行ったのを確認するとグロックに安全装置をかけてホルダーにしまいました。そして玄関に置いてきた荷物を取りに行く途中で汗をかいていたことに気づきその嫌な感触に思わず顔をしかめます。仕方がないので荷物をリビングに置いた後シャワーを浴びることにします。同室の人を起こすのはその後でもいいでしょう。

 それにしても、なぜ今頃になって接触してきたのでしょう? 去年武偵高に入学した時はこんな風に直接会うことなど無かったのに。それどころか私があの家を出た時から一切会うことなど無かったのに。まぁ考えてもしょうがないことはいくら考えても無駄です。それにしても……。

 

「嫌な、気分です」


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