スターウォーズ短編   作:トッキー

2 / 4
スターウォーズ短編~魔法少女の世界編~①

 その日、分離主義勢力の評議会は大きく割れていた。それはある惑星への―――厳密に言えば、その惑星を統司している組織にだが―――即時宣戦布告を声高らかに叫ぶタカ派と、交渉による解決――これまでの被害総額を全額弁償、及び行方不明になっている乗組員の即刻引渡し――を叫ぶハト派の二つに割れていたからである。

 タカ派の評議会メンバーの主張とは「共和国との最中に不穏分子を野放しに出来ない。即刻取り潰すべき」という内容だった。対するハト派のメンバーの一人は、「戦争状態だからこそ、余計な出資は抑えるべきである」という主張を断固として曲げる事はなかった。

 

 しかしこの会議も、半ば「開戦」という形で決定されているといっても良かった。

 それはヌート・ガンレイ総督以下、独立星系連合の経営首脳陣の大半が、宣戦布告に乗り切ろうとしていたからである。

 何故、普段ならば戒める立場にあるガンレイまでが、強硬に宣戦布告を叫んでいるのか。その背景には経営首脳陣だけでなく、独立星系連合全体にとって、戦争以上に頭を痛める出来事が多数存在していたからである。

 

 

 

 

 

 

 この会議の数ヶ月前、クローン戦争が勃発してしばらく立ったある日、一隻のミュニファスント級スター・フリゲートによって運ばれていた財宝が、突如謎の艦船に強奪されたのである。

 

 いくら待っても、荷物が一向に到着しない事に業を煮やした経営幹部の一人が独断で捜索を行った結果、銀行グループ・フリゲートが残骸として宇宙を漂っていたところを発見されたのである。

 

 

 当初はブラック・サン等の海賊や、共和国軍の攻撃で破壊されたのかと思いきや、そうではなかった。

 乗員のドロイドは全て破壊され、ニモイディアンの乗員は行方不明になっていた。また記録装置は軒並み破壊されており、通信も周波数が合わず、雑音しか聞こえて来なかったのである。

 そして、この謎の艦船が何処の所属のものなのか全く分からなかった為に、乗員が海賊達と結託して、財宝を強奪したのではという憶測もまことしやかに流れた。

 

 

 しかし、その後も相次いで強奪事件が発生し、同時に乗員も行方不明になっていたのである。

 だがその乗員の中には、果敢にも抵抗し、殺害された者も少なからずいた。その死体には、いずれも殺害された後に受けたと思われる暴行の跡が残っていたのである。

 その殺害された乗員の一人に、ガンレイ総督やワット・タンバー、サン・ヒル等の経営首脳陣が最も信頼する者―――ギャレッグ・ダーゴ将軍も含まれていた。これがそれまでの事件の流れを大きく変える転換点の一つになったのである。

 

 

 

 これがきっかけとなり、経営首脳陣は重い腰を上げ、そしてありとあらゆるコネを使い、犯人を見つけようと躍起になった。そうしてしばらくして、共和国の方でも、同様の事件が起きている事に辿り着いた。

 銀河元老院にいた選出議員からの報告では、占領地域への支援物資や、分離主義勢力の放棄された基地から接収した財宝が強奪されたというのである。

 

 またこの正体不明の組織は、共和国・独立星系連合関係なく、領海域を航行中に謎の艦船が突如現れて、『司法機関』のような名を掲げながら、全ての船舶の行動を一方的に制限し、従わなければ病院船だろうと、最悪攻撃・撃沈するという非常識な行動を取るようにもなっていたのである。

 

 これには両陣営互いに憤った。共和国は当初、分離主義勢力の何らかの作戦の一つかと考えられていた。しかしガンレイ総督自らが共和国へ赴き、直訴するという異例とも取れる抗議を行い、両陣営が度重なる調査を行った結果、独立星系連合が行ったものではないと分かったのである。

 そして皮肉な事に、この一連の海賊騒動によって、銀河系を巻き込んだ巨大な戦争は下火状態になっていた。

 

 

 だがそれにも関わらず、被害は右肩上がりであった。避難船も突如現れた艦船によって拿捕され、難民全員が行方不明になっていたのである。

 また共和国・独立星系連合のそれぞれの支配地域にも姿を現し、勝手に領有宣言を出し、そしてあまつさえ、惑星の維持に必要不可欠な装置等を強奪したのである。

 分離主義勢力の者でさえ手出ししなかった代物を、である。

 これ等の出来事によって、住む事が出来なくなった惑星も存在するようになってしまった。それによって難民の数も急増していった。

 

 

 

 これにはパルパティーンでさえ頭を抱えていた。市民からは、この組織に対する即時宣戦布告を叫ぶ声が、日に日に叫ばれていったからだ。そしてそれはジェダイの中からもあったのである。

 

 ある惑星へ調査の為に赴いていた、ジェダイ・マスターであるキ=アディ=ムンディが、突如一連の海賊騒動の元凶と思われる一団に遭遇したのである。

 そして彼等は突如、ライトセイバーとクローン部隊のブラスター等、全ての武器を引き渡すよう命令してきたのである。

 ムンディは嗜めるように説得したが、それを馬鹿にされたと感じたのか、突如この謎の部隊はムンディ率いる共和国軍に牙を向いたのである。

 

 結果としてムンディは仮我を負ったもののなんとか退却する事が出来たが、数に大きく劣った配下のクローン部隊は全滅。そして正体不明の勢力に占領された惑星では、独立星系連合の者でさえ眼を覆いたくなるような圧政に苦しむ結果となった。

 これまで全く問題とならなかった些細な事まで犯罪とされるようになり、逮捕者が続出。そしてそれに比例するように税率もみるみるうちに上昇していったのである。

 

 

 

 そのような中、ようやく記録装置の復元が完了した時、そこには生々しい侵略者の音声が記録されていた。映像は修復出来なかったが、残されていた音声から、艦橋の戦いが如何に壮絶なものだったか知る事が出来たのである。

 

 

 ダーゴ『定時報告。現段階に於いて、他の2隻の戦艦共に何も異常なし。予定時刻に到着可能。繰り返す。現段階に於いて…』

 バトル・ドロイド『艦長、十時の方向に12隻の正体不明の艦船を確認!!』

 ダーゴ『なんだと!?この辺りは我が軍の領海域内の筈だ!何故…』

 バトル・ドロイド『艦長、正体不明の艦が急速にこちらに向かってきます!!』

 ダーゴ『シールドを展開!全艦取り舵一杯、180度回頭させろ!!悔しいが、向こうが優勢だ!』

 バトル・ドロイド『艦長、敵が攻撃してきました!』

 ダーゴ『シールドを展開!全艦、直ちに応戦しろ!急げ!!』

 

 

 [砲撃らしき音を多数確認。しばらくした後に、複数の艦が破壊される音も確認]

 

 

 バトル・ドロイド『クルーザー全艦破壊されました!!』

 バトル・ドロイド『エンジン付近に被弾!全速が出ません!』

 バトル・ドロイド『艦長!今の攻撃でシールドが23%まで低下!』

 バトル・ドロイド『敵が複数、艦内に侵入!!』

 ダーゴ『早く緊急信号を送るんだ!』

 バトル・ドロイド『駄目です!強力な妨害電波で、送信出来ません!!』

 ダーゴ『くそっ、総員配置につけ!なんとしても貨物を守るんだ!!』

 

 

 [銃撃らしき音を多数確認。その直後の音声は照合され、声紋分析によって確認した結果、独立星系連合内のどの人物とも未整合であった]

 

 

 ???『いたぞ、こっちだ!』

 ダーゴ『この賊共が!食らえ!』

 ???『な、ぐぁっ!!』

 ???『くそっ!!やっちまえ!!』

 

 

 [銃声らしき発砲音の後、一瞬音声が途切れる。その直後、何か倒れる音]

 

 

 ???『ったく、手間取らせやがって』

 ???『俺達に歯向かうなんて、思い上がりもいい所だぜ…』

 ???『よ~し、次は例の貨物だ』

 ???『さっさと回収してゆっくり休みたいぜ』

 ???『全く同感だ』

 ???『くっちゃべってないで早く…ぐぁっ!!』

 

 

[再び銃声]

 

 

 ダーゴ『待…て!!』

 ???『な、こいつ!?』

 ???『確かに撃ち殺したはず!!』

 ダーゴ『総…督の、物に…手を、触れる、な…!この…賊共、が!!!』

 ???『このクソが!』

 ???『いい加減死ね、このエイリアンが!!』

 

 

[再び銃撃らしき音多数確認。再び何かが倒れる音]

 

 

 ???『はぁ、はぁ、はぁ…。は、ハハハッ!ど、どうだ!思い知ったかこのエイリアンが!!』

 ???『脅かしてんじゃねぇよ、こいつ!!』

 

 

[何かを殴打する音がしばらく続く]

 

 

 ???『はぁ、はぁ、はぁ…』

 ???『おい、もういいだろ。さっさと回収していくぞ』

 ???『チッ』

 

 ???『いたぞ!こっちだ!』

 

 ???『な、なんだこいつら!?』

 

 

[声紋分析の結果、仲間を呼び寄せていたのはダーゴの配下のOOMセキュリティ・バトル・ドロイドのOOM283だと判明]

 

 OOM283『し、司令官!よ、よくも!お前達動くな!!』

 ???『あぁ!?うるせぇんだよ』

 ???『それで、どうすんだ。これから―――』

 OOM283『動くなって言ってんだろ!構わない、撃て!撃ち殺せ!!』

 

 

[しばらく銃声と怒号らしきものが響き渡り、大きな爆発音の後に声が途切れた]

 

 

 

 

 この音声を聞いた、分離主義のガンレイ総督を筆頭とするリーダー達は怒り狂った。そしてこのような非常事態に於いて、もはや戦争等とは言っていられなかった。

そして度重なる会議の結跏結果、共和国・独立星系連合のそれぞれの評議会は停戦に同意した。

 そしてその停戦協定は、両軍の安全面を考えた結果、ジオノーシスにて締結された。皮肉にも、クローン戦争の幕開けとなった場所で、クローン戦争が終結したのである。

 

 

 こうして、両陣営における戦艦やそれに類する軍需物資の生産等が最高勢に達していた中、その有り余った戦力の全てをこの組織―――『時空管理局』へぶつける事が決定されたのであった。

 




なんか色々とフラストレーション溜まって、書いてしまっていました。

なんで本編進まないんだろう…。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。