バカと冬木市と召喚戦争   作:亜莉守

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第六問

 

それから僕らは次々と襲ってくる召喚獣を撃破した。周囲に他の召喚獣がいないことを確認してから僕は姉さんに声をかける。

 

「よし、先に進もう」

「最初からこれってきついなぁ」

 

僕のイヤホンに通信が入る。南と秀吉かな?

 

『気を抜かんようにの』

『次のフィールドに入るからな』

 

二人の通信が切れたと同時に新手の召喚獣が現れた。今度はどこのフィールドだろう?

 

 

数学

Bクラス 深沢俊貴 368点 & Cクラス 長沢俊一 326点 & Cクラス 穂崎明日香 335点

 

 

「アキ、後衛よろしく」

「了解!」

 

姉さんが前衛で僕が後衛というお決まりのスタイルで僕らは戦い始めた。そんな僕らの耳にマイクを切り忘れていたらしい雑談が聞こえてきた。

 

『正直な話、あたしたち要るのかしら?』

『いや、必要だろ。ナビゲーター居なきゃこういうのって大変なんだぞ』

 

                   ☆

 

どうにかサーバー室の前まで進んだ。扉が少しだけ開いている。その隙間を抜けてサーバー室に忍び込めば外れている太いコードを発見した。

 

「あ、あれだね」

「結構、楽に進めたね」

 

姉さんのほうに通信が入る。

 

『油断するなよ。最後の最期で詰め誤るとか承知しないからな』

「わかってるって、他の召喚獣の反応は?」

『今のところは観測されてないわね』

 

三人がしゃべっている間に僕は召喚獣を進めてコードを繋げようとした。

 

「このコードをつなげ『アキヒサ、いったん下がって!!』

 

南の通信と同時に光が僕の足もとに現れる。僕は慌ててそこから離れた。

 

「っとと……新手か!」

「……うわ、ヤバい?」

 

新たな召喚円が現れた。その中から召喚獣が現れる。通常の召喚獣よりやや大きめ、教員の召喚獣かな。それにあのポニーテールってまさか……。

 

 

歴史

生活指導 西村宗香 896点

 

 

「さ、流石 西村先生だね」

「関心してる場合じゃないよ?!」

 

姉さんがボケるのに突っ込みを入れる。

 

『気を付けるのじゃ。明久』

『アキヒサ、来るぞ!』

「っ 風圧だけでもすごい」

 

攻撃自体はどうにかかわせたけど、風圧だけで点数を何点か持っていかれてしまった。うわぁ、西村先生が鉄人とか呼ばれる理由がよくわかったよ。

西村先生の召喚獣は姉さんの召喚獣のほうを向いた。あ

 

『明乃、今度はそっち行ったわ!』

 

悠里さんの声が鋭く飛ぶ。でも、それとほぼ同時に姉さんの召喚獣は殴り飛ばれされた。

 

「いつっ」

 

姉さんの召喚獣は受け身を取りながらゴロゴロと転がっていく。

 

『大丈夫か?』

「大丈夫、これくらいの威力なら親父の一撃の方が酷いから!」

『そこは自慢するところじゃないわよ/ぞ!?』

 

女性陣の鋭いツッコミが入った。その直後なんか向こう側でガタンと大きな音がした。そして、やめろ働きたくないとかそんな声がした。

 

「え?!」

「何かあったの?」

 

僕らが驚いてると無機質で淡々とした声が聞こえてきた。

 

『……オペレーター交代、比奈丘はちょっと連れて行かれた。油断禁止』

「あ、うん」

 

目の端に西村先生の召喚獣が襲い掛かってくるのが見えたので、それを二人してかわした。西村先生の召喚獣のこぶしが当たった先には浅いクレーターができていた。

 

「一体でこの破壊力って……」

「現実干渉可能の召喚獣にフィードバックが付いているのも納得だよね」

 

どうにかかわしていくけどそれにも限界が来る。

 

「っ!」

「姉さん!!」

 

姉さんの召喚獣が攻撃にさらされそうになったその時、

 

「燃えろ、そして凍りつけ!!」

 

炎と氷が西村先生の召喚獣を爆破した。

 

「?!」

「助っ人参上だ」

 

緑の黒髪、赤くてスカーフの黄色いセーラー服、比奈丘さんの召喚獣だ。

 

 

総合科目

Fクラス 比奈丘彩夏 5555点

 

 

何その点数、

 

「チートでもした?」

「いや、あたしの実力を甘く見すぎだろお前」

『そういう話じゃないわよ』

「普通の人間はそんな点数取れないからね?!」

 

二人は割と楽しそうに話してるけどこっちわりとピンチだからね?! 姉さんの召喚獣を狙うのを止めた西村先生の召喚獣が今度はこっちに狙いを定めてきたためかわすのに精一杯なんだけど。

 

「二人とも、漫才してないで助けてよ!!」

『アキヒサ、拳が来る!』

「了解」

 

もうたまらないので、アイアスを張って、ジャンプで逃げた。姉さんたちのそばに着地する。

 

「ひゅー、凄いな。衛宮」

「あ、ごめん アキ」

 

比奈丘さんが召喚獣をこっちに寄せてきた。それから僕の召喚獣を庇うように立つ。

 

「衛宮、日本刀出せるか? 出来ればとびっきりいい品がいい」

「それくらい余裕だけど? 良い品って……例えば?」

「絶刀泉美」

 

即答だった。ごめん、それ知らないから。

 

「銘からして知らんわっ!!」

「えーじゃあ、天乃尾羽張」

 

今度はメジャー過ぎない?!

 

「日本神話?! まあ、できるけど」

「できるの?!」

 

姉さんが驚く。まあ、そうなるよね。

 

「ええ、神話系の武器も『視』たらできるらしいね」

 

ウチのアーチャーは人類滅亡防止のためにどこで戦ってきたのさ。いや、生前だったとしてもどこで見たんだろう?

 

「とはいえ多分点数と時間かかるよ?」

「構わない。その間はあたしとこいつで守るから、な?」

「はいはい、言われなくても守るさ」

「頼んだよ。投影開始(トレース・オン)!」

 

僕は全神経を投影へと向けた。

 

                  ☆

 

先生の召喚獣の攻撃をかわしたり時々攻撃を仕掛けたりしながらぼくは思ったことを彩夏に言う。

 

「彩夏ってこういうの慣れてるんだね」

「は?」

 

彩夏が驚いたような声を出した。

 

「いや、結構余裕じゃないか」

 

ぼくはギリギリセーフでかわしてるのに彩夏は余裕でかわしてるよね。

 

「はぁ、それを言うならお前達もだと思うけど」

「ぼくはただのシスター見習いだよ」

 

それ以上でもそれ以下でもないよ。そう言ったら彩夏が呆れた。

 

「ここまで戦闘が出来てそれを言える方がおかしいぞ……あんたみたいなのが居たらもっと変わったかもな」

「? 何か言った」

「いや、なんでもない。楽させてくれ!」

 

彩夏の召喚獣がなんか黒い球を出してそれを爆発させる。

 

「おおっ」

 

驚いているとアキの声が響いた。

 

投影(トレース)完了、比奈丘さん!!」

 

その声に振り向けば金色の何かが彩夏に向かって飛んでいた。

 

                         ☆

 

パシリと小気味のいい音がして比奈丘さんの召喚獣の手の中に投影した刀が収まる。

 

「あいよ! ほぅ、中々の出来じゃないか」

「こっちは点数ぎりぎりだからもう動けないよ!」

 

まあ、たぶんだけど。フィードバックで体がだるい。もう召喚獣を動かすのも嫌になるし。そう叫んだら比奈丘さんと姉さんの召喚獣がこちらをちょっと向いた。表情が動くわけないけどそれでも二人の召喚獣がにっと笑ったように思えた。

 

「アキ、ぼくらに任せな! 彩夏、行くよ」

「ああ」

 

二人が飛び出した。姉さんの召喚獣が西村先生の召喚獣の攻撃をいなしてバランスを崩させた。地面に倒れた召喚獣に向けて、比奈丘さんの召喚獣が日本刀を構える。

 

「特別サービスだ」

 

召喚獣が動いた。かなり早い、こんなスピード召喚獣で出るの?

 

「せっ」

 

四方八方から西村先生の召喚獣を切り刻んでいく。

 

「お前はそこで突っ立っていろ!」

 

最後の一閃が終わる。

 

「はぁああ!」

 

比奈丘さんの召喚獣がムーンサルトに飛んだ。

 

「でゃああ!」

 

西村先生の召喚獣の首筋に刀が突き刺さる。

 

「楽な仕事で羨ましいよ……」

 

首元を貫かれて大ダメージを受けたであろう西村先生の召喚獣、それでもまだ動いていた。頭上にある点数はぎりぎり1残っている。比奈丘さんの声が焦ったような感じになる。

 

「うげ、仕留められなかった。明乃!」

「当然! 任された!!」

 

姉さんの召喚獣が一瞬だけ姿を変える。あれって……ランサーさん? 姉さんの召喚獣の得物が赤い槍へと変わった。

 

「……はぁっ!」

 

姉さんの召喚獣が投げた槍は西村先生の召喚獣を見事に貫いた。

 

「ふぃー」

『明乃! ヘタってないでコード繋いで!!』

「あ、りょうか……あ」

 

姉さんの召喚獣の視線の先には僕の召喚獣がコードを繋ぎ直してる姿が写っているだろう。

 

「やっておいたよ」

「おつかれさん」

「動けないんじゃ?」

「どうにかしたよ。主に気合と経験で」

 

点数の配分を切り替えて足だけは普通に動けるようにしたんだ。それから姉さんと比奈丘さんの召喚獣が西村先生の召喚獣と戦っている間に比較的安全そうなところを通ってコードのほうに行ったんだ。

 

「とりあえずお疲れ、アキ」

「姉さんもお疲れ」

 

召喚獣同士の拳を軽く打ち合わせていると今の今まで聞こえていなかった日向君と広夢の声がした。

 

『コードの接続を確認』

『明久、言峰、後途中で巻き込んだ比奈丘、お疲れ! 後はこっちで何とかするから召喚獣戻して休んでくれ』

 

その声を聴いて体からどっと力が抜けた。召喚獣を消してゴーグルを外して姉さんのほうを見たら姉さんも僕のほうを見た。思わず二人で笑いあう。

 

「イェイ!」

「とりあえずどうにかなったね!」

 

二人でハイタッチをした。後は広夢たちに任せるしかないよね。





だってせっかくタグに入れてるんだもの。有効活用しない手はないということで緊急参戦、彩夏さんでした。
使ってた技は最初の炎と氷がサイキックの技『フロストバーン』、止めに使った『乱れ散々桜』2020および2020-Ⅱの秘奥義です。アクションとか美麗なのでぜひ動画を見ることをお勧めします。『絶刀泉美』はゲームの終盤に手に入れる刀、『天之尾羽張』は裏ダンジョンで手に入る刀です。手に入ったら不味い気もしなくはないけど。あ、それは違う奴か

※アーチャーさんが本当に投影できるかなんて知りません。てか、アウト? その辺はご都合主義ということで



最後に閑話休題アンケート

※感想欄は集計しません。投票は活動報告にお願いします。

『ちょっとばかりお茶飲んで休憩といきたいと思います。
 じゃあ、何のお茶を飲みますか?

 ・魔法瓶使って、紅茶    ×2
 ・水入れ使って、水出し麦茶 ×1
 ・鍋を使って、煮出し麦茶  ×1
 ・急須を使って、緑茶    ×2

                           』


まさか並ぶとはさて、どうしたものか。あ、アンケートは十問更新までです。

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