バリケードから少し離れたところに僕と姉さん、悠里さん、それに南や秀吉などなどいつものメンバーが集まる。ちょっと離れたところで比奈丘さんが読書、広夢と日向君が忙しそうにパソコンを弄っていた。なにやってんだろ。そう考えていると、姉さんと悠里さんの話し声が聞こえてくる。
「うわぁ、学校崩壊とかまずいよね。どうする?」
「とはいえ、こんな状況を打開する策とかあたしにはないわよ」
多分そうだと思っていたよ。流石の悠里さんでもできることとできないことはあるよね。僕がそんなことを考えていると、姉さんが薄く笑って悠里さんに同意した。
「だよねー。物理面なら色々と仕事できるけどシステム面とか無理、そういったのは基本、アキの仕事だし」
え、いやちょっと待って?! 無理無理無理無理、絶対に無理だからね?!
「姉さん、その苦手な部類を僕にぶん投げる癖だけはどうにかしてよ。料理とかさー」
僕がそう言ったら姉さんはぷーと頬を膨らませた。あ、ちょっと機嫌悪い? 姉さんは少し不機嫌そうに言った。
「はいはい、ごめんなさいねーだ。それ言ったら基本的に喧嘩とかぼくがやってるじゃないか」
あー、そういうこと? こっちにだって言い分はあるんだからね。
「インドア系人間舐めるなよ。趣味以外は基本不得手だからね。システム系とか結構苦手なんだけど」
僕は基本的にアナログ人間だよ? じーさんの影響で重火器とかカメラには詳しいけど。え? 普通のアナログ人間はそういうことに詳しくない? そこはツッコミを入れないでほしい。前に致命的なアナログ人間である凛に怒られたし。
「え、そうなの?」
「ハッキングとかは専門外だから」
うん、本当に専門外だからね。専門なのは
「そうなんだー。アキは何でもできると思ってたよ」
「姉さん?!」
人間を万能扱いにしないでよ。万能って言ったらアーチャーみたいな人間を指す気がするんだけど。家事炊事、ガラクタ修理、戦闘から爆弾解体まで何でもござれ。あれ? ガチで万能?
つらつらとそんなことを考えていたらパソコンから顔を上げた広夢がこっちを向いて言ってきた。
「ハッキングなら俺達ができるけど……」
「でも……」
二人がちょっと渋ったような声で言ってきた。
「え、二人ともできるのか?」
「何か渋る理由があるかの?」
南と秀吉が驚いた顔をした。そうなるよね。ハッキングできる人間って普通隣にいるなんて思えないし。僕も普通は居ないだろとか勝手に考えていたよ。
「あー、ここのシステムってザルとして有名なんだけど」
「なんか嫌な方向に有名だね?!」
初耳だよ?! それにハッキングされたなんて話ないし。あ、でもあのアーチャーの外見した召喚獣を呼び出した彼とかハッキングしてたとか?
「ただ、最後の防壁だけがあり得ないくらいに固いんだよ。一回ハックしたけど試損ねたし」
「してたの?!」
この前日向君に釘刺したばっかりなのに?! 僕がツッコミを入れたら広夢がパンと両手を合わせて苦笑いした。
「まあその辺の報告を学校側に入れるの勘弁な。頼む!」
「まあ、いいけど。それで?」
緊急事態だし、友達売る気は無いし。僕は広夢に続きを聞いた。すると広夢は真面目な顔に戻った。
「多分だけど今回のこれも誰かが防壁側にちょっかいをかけたせいだと思われるんだ」
「つまり防衛システムの一環ってこと?」
「まあそういうこと」
僕と広夢、それから相槌だけ打っている日向君が色々と話してると姉さんの声が聞こえた。
「わかりづらいなぁ」
「明乃、少しはちゃんと考えなさい」
「同感だ。明乃少し考えれば理解できる内容だぞ」
悠里さんと比奈丘さんにツッコミを入れられていた。ところでこの状況どうにかできないのって言ってみると二人の顔がまた渋くなった。あれ?
「あー、ちょっと言いにくいんだが一応策はあるにはある」
「え、広夢 本当に?」
広夢に聞き返せば日向君が言った。
「まあ、だけどちょっと問題があって……」
「どういった?」
すると広夢は僕と姉さんに視線を向けた。どうかしたのかな?
「主に明久と言峰に迷惑かかるんだが」
「へ? 僕は別にかまわないよ。慣れてるし」
いつもの事じゃないか。別に迷惑とか思わないし。そう言ったら広夢が呆れた顔をした。あれ?
「作戦聞く前から同意するな。無茶やって怪我でもされたら俺がへこむから!」
「そこは日暮ちゃんなんだ」
姉さんが会話に混ざってきた。姉さんのツッコミに広夢が真剣な顔になる。
「ああ、当然だろ」
「あー、あんたの気持ちわかるわ。日暮」
「うわぁ、わからんでもないな」
悠里さんと比奈丘さんも会話に混ざってきた。二人も僕を見ながらちょっと呆れている。え? なんで??
「代表はともかく比奈丘がわかってくれるとはな。そういうわけだ一応説明するから」
「そんなに気にしなくていいよ?」
「するから!」
たく、作戦聞く前に了承するなよなーとか言いながら広夢がノートパソコンを弄る。それからプロジェクターの画面を僕らに見せてきた。それから広夢が僕に視線を向けて言う。
「明久が持ってるタブがあるだろ。学園長特製のやつ」
「あ、うん。あるよ」
鞄の中から取り出せば広夢がそれを受け取ってタブを指さす。
「これに登録されている召喚獣は召喚獣の指定サーバーから外されて特別サーバーに移されているんだ」
広夢がノーパソのエンターキーを押すとサーバーと書かれた後ろが青い四角に僕や姉さんの召喚獣のようなデフォルメキャラが現れた。凄い、これどうやって作ったんだろう。ノーパソの画面では、それからさらに特別サーバーと書かれた別の四角が現れて、そこに僕や姉さんの召喚獣だけが移動する。なるほど、わかりやすい。
一通りの流れを見てから姉さんが聞いた。
「え、それ初めて聞いたけど」
「まあな、ただ単にサーバーが違うってだけ。普通なら」
広夢が意味深に言葉を区切れば、姉さんは首を傾げて。
「普通なら?」
おうむ返しをした。あ、なるほど。
「そう、普通なら サーバーが違う、ただそれだけなんだけどな」
「今回は違う、そのおかげで特別サーバーに入ってる召喚獣は無事なんだ」
別の作業をしてたらしい日向君も説明に加わった。とりあえず此処までの内容を頭で整理してから広夢に聞いてみる。
「つまり僕らの召喚獣は呼び出しても暴走しないってこと?」
「そういうこと」
まあ、とりあえず事情は分かった。だけど何で僕らの召喚獣が無事なことが条件なんだ?
「でも、それが何か意味あるの?」
「これ見てくれるか?」
広夢がノーパソの画面を別の物に切り替えた。ちょっと画像は荒いけど多分召喚獣のサーバー室だ。よく見てみると違和感が一つあった。
「えっと?」
「コードが外れてる?」
一本だけだけど太いコードが外れていた。広夢に視線を向ければ広夢は頷いた。
「そう、実際問題あそこのコード外れてるせいでこっちから介入できないし、学園長のほうも無理みたいだ」
「え、なんでわかるの?」
学園長の様子がここからわかるわけないのに。疑問を口にしたら広夢はちょっと得意そうに。
「いやぁ、ちょっとばかし学園の防犯カメラをハッキ……なんでもないぜ?」
言いかけて止めた。ハッキングって………えぇ?! 公共物ってハッキング禁止じゃ? 驚いてるとポンと肩に手を置かれた。日向君だ。
「衛宮、こんな言葉を知ってるか? 『ばれなきゃ犯罪じゃない』」
「そりゃまあ知ってるしよくわかってるけどいいの?」
これ、一応バレたら犯罪だよね? 広夢に視線を投げかけたら広夢はにやっと笑った。
「大丈夫、下手に足がつくようなことやってないから」
「まあ、それならいいかな?」
「だろ?」
足付いたらヤバいけど、まあどうにかなるか……多分。姉さんがどうにか頭で情報を咀嚼できたらしくてようやく口を開いた。
「つまりフィードバックシステムで現実世界に干渉できるぼくとアキの召喚獣でコードをつなぎ直すってこと?」
「そういうこと」
広夢は頷いた。簡単に言うけどいろいろと問題があるような。
「ちょっと待って、それだとこっちの方が分が悪いよ。フィールドとか、僕らオールラウンダーじゃないし」
特に僕、得意科目以外は悲惨だよ? 広夢はうんうんと頷いた。
「だよな。そこの対策は考え済みだ。代表、お前の腕輪ちょっと貸してくれ」
「これ? まあいいけど」
召喚フィールド用の腕輪? どうするんだろう。そう思っていると広夢が腕輪のカバーを外す。すると中からUSB用の接続プラグが出てきた。ええ?! 驚いている間にそこに自分のノーパソをつなげた広夢が何か操作をして満足が笑った。
「うん、やっぱりそうか。ウミ、リンに連絡、後はラニとサクラ、緊急事態だし助けてくれるはず。あとこれ系が得意なのはレオか」
「分かった。一応ユリウスにも伝える」
驚いている間に二人は色々と終わらせていった。なんだろう、こう水を得た魚ってこういうことをいうんだろうね。それくらい二人は生き生きしていた。
色々捏造設定ごめんなさい。だってアニメ版で「観察処分者の召喚獣は別ルートで走らせてるから暴走の影響を受けない」とか言ってたからだったら別のサーバーがあってもいいじゃないかとか、すみません黙ります。
今回の騒動はウィザードメンバーが水を得た魚になりました。勝手に動く動く
それから昨日は一日ネットが繋がらなかったよ。どちくしょー(ダンッ
そんなわけで当分ネット環境が不安定になるかもです。とはいえ最近は連日投稿できてませんけどねー。
最期に閑話休題アンケート、感想欄は集計しません。投票は活動報告にお願いします。
『ちょっとばかりお茶飲んで休憩といきたいと思います。
じゃあ、何のお茶を飲みますか?
・魔法瓶使って、紅茶 ×2
・水入れ使って、水出し麦茶 ×1
・鍋を使って、煮出し麦茶
・急須を使って、緑茶 ×1
』
紅茶独走中。