バカと冬木市と召喚戦争   作:亜莉守

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後511時間


第四幕

 

放課後、姉さんと一緒に実家へ向かう前に携帯電話でアーチャーに連絡を入れる。マスターとサーヴァントなら念話って言うのもできるらしいけど妨害されたり察知されたら敵わないから僕のお古の携帯電話で手を打ってもらった。

 

「あ、シロウちょっといい?」

 

誰かに聞かれてたらまずいので一応弟に電話を掛けるふりをしてみた。

 

『その名前で呼ぶなと……どうかしたかね。マスター』

「あー、今日野暮用で帰れないんだよ。家のことよろしく、それから実家の方来たら明日の夕飯麻婆豆腐にするから」

『………了解した。実家にはいかないことにしよう』

 

言葉の裏にあった単語を全部読み取ってくれたらしくすんなりと交渉は終了した。

 

                   ☆

 

姉さんと合流してから実家へと向かった。そこにはあかいあくまや後輩などの弟目当ての女の子がいっぱいいた。まあ、いつも通りの光景って言えばそうだけど。

 

「え、またなの?」

 

あかいあくまこと遠坂凛が姉さんの愚痴を聞いて一番にそう言った。ま、これもいつもの光景だし。

 

「うん、最近だとさー。君のお父さんまで丸投げしてくるんだけど、現代日本に貴族なんてものは無いんだけどなー」

「本当にごめんなさい」

 

姉さんが口を尖らせていえば、凛はすぐに謝った。さて、凛のお父さん今回はどんな目に遭うのやら。その光景を見ていたじーさんが姉さんに笑いかける。

 

「明乃ちゃんしばらくウチに泊まるかい?」

「本当ですか衛宮さん! ありがとうございます!!」

 

じーさんに姉さんが抱き着く、こっちも見てて心温まる光景だけどここに口をはさむのが一人、

 

「ちょっと、アキノ 何キリツグに抱き着いてるのよ」

「まあ、いいじゃない」

 

義理の姉であるイリヤスフィール・フォン・アインツベルンと義理の母であるアイリスフィール・フォン・アインツベルンだ。イリア姉は現在ちょっと複雑な時期……まあ、俗に言う思春期ってやつ? そんなわけでじーさんに関してだけはツンデレなんだよねー。いろんな意味で

そんな居間の光景をちらちら見ながら今まで切っていた野菜が切り終った。

 

「士郎、こっちの準備終ったよ」

「おー、兄さんありがと」

「先輩、こっちも準備終りました」

 

通い妻の如くウチにやってくる後輩、間桐桜ちゃんも今まで用意していた具材を準備し終わったらしくこちらに声をかけてきた。

そんな横からくいくいと士郎の袖を引っ張る腹ペコが一人、

 

「シロウ、ごはんはまだですか」

 

じーさんのサーヴァント セイバー、真名はアルトリア・ペンドラゴン 伝説のアーサー王と呼ばれたその人だ。我が家ではもうただの腹ペコな女の子にしか見えないけど。

 

「セイバー、これ机に運んで」

「あ、はい わかりました。アキヒサ」

 

働かざる者食うべからず、これが我が家の家訓です。例外はじーさん、下手やると体壊すから

 

                   ☆

 

マスターから今日は不在になると連絡を受けてからしばらく経った。マスターが大体帰宅する時間になっても戻ってこないことで改めて実感した。

 

「マスターが居ないだけでここまで静かなのだな。この家は」

 

自分だけしかいない状態で改めてこの部屋を見やる。すると一つ気になる写真立を見つけた。なぜこれだけは倒されているのだろうか?

 

「ん? これは………」

 

マスターとマスターによく似た長い髪の少女が仲良く腕を組んでいる写真だ。それ自体は特におかしくもないのだが、その周囲がおかしい。

 

「……………なんでさ」

 

その背後では和服姿のわが養父衛宮切嗣と誰かは知らないマスターによく似た女性がどこぞの麻婆神父を吹っ飛ばしていた。

 

                   ☆

 

鍋が凄い勢いでなくなってその後、

 

「「「「ごちそうさまでした」」」」

「「「お粗末さまでした」」」

 

いつもの通り、食事の挨拶はちゃんとしないとね。

 

「鍋は久々だったけどおいしかったなぁ」

 

一人だとあんまり食べる機会ないし。そうだ、アーチャーと二人で今度なんか作ろう。

 

「アキヒサ、今日は泊まっていくのかしら?」

 

アイリさんがこちらに聞いてきた。でも………

 

「あ、今日はもう帰るよ。明日も学校だし」

「そうですか、ではまた休日に」

 

セイバーの言葉を聞いて休日と言えばと思い出した。

 

「そういえば蔵の屋根直った?」

「大丈夫だったよ。危うく落ちかけたけど」

 

そこ! それを心配してたんだけど?!

 

「じーさん、体弱いんだし気を付けなよ?」

「心配してくれてありがとう明久」

 

ぐしゃぐしゃと頭を撫でられた。

今いるメンバーにあいさつを済ませ玄関先へ向かう。玄関まで見送りに来てくれた士郎へ最後に挨拶をした。

 

「じゃあ、『いってきます』」

「行ってらっしゃい、兄さん」

「うん」

 

さて、帰って明日の支度しないとね。

 





連載が変わっても奴の気配は消すことができませんでした。orz

ここでの彼女は別にマスターでもなければ聖杯戦争参加者でもありません。四次聖杯戦争の停戦はちょっとした違いによるものでした。まあ、結果として『停戦出来た』ということは事実です。

それから、第四次聖杯戦争での死者は0です。まあ、唯一の犠牲者というのであれば間桐の老害だけでしょうかね。

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