バカと冬木市と召喚戦争   作:亜莉守

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第二問

 

さて、大慌てで実家にアーチャーを預けてそのまま学校に来た。とりあえず元に戻れる薬を作るためにノートに材料纏めてるんだけど、このままだと材料的に四万越える気がしてきた。

 

「はぁ、うーん」

 

これは大散財の予感がするよ。でもまあ、アーチャーのこともあるし急がないとなぁ。

 

「明久、何をやっておるのじゃ?」

「え、うわっ」

 

秀吉に声をかけられて慌ててノートを隠す。すると秀吉はジト目で僕を見る。何もやましいことは無いんだけど………

 

「本当にお主何をしておるのじゃ?」

「アハハ……ちょっとね」

 

ちょっと心配そうな顔をして、秀吉は去っていった。

さて、もう一回やろう。それからちょっとして、計算が終わったわけだけど。

 

「なんでさ」

 

最終的に総計六万……もう一回最初からやり直そう。うん、そうしよう。

色んな意味で頭が痛いよ。

 

                   ☆

 

珍しく静か(普段は大方の男子が煩い)な休み時間、ふとアキの方を見てみたら凄く真剣な顔でノートに書き込んでいた。

 

「あれ? なんか珍しい」

「そうか? いつも通りだろ?」

 

偶然隣に居た日暮君がぼくの呟きに反応した。別にノートを書き込んでいるところが珍しいんじゃないんだよ。

 

「いや、アキがあんな難しい顔して学校に居るのが珍しいんだよ」

 

てか、あそこまで真面目な顔する方が珍しいし。あれって魔術系のこと考えてる時か、あとは……

 

「それだと普段は緊張感無く学校に居ることにならないか?」

「違うよ。ああいう難しい顔してる時は切羽詰まってる時なんだよね」

 

そう、なんかしらの要因で精神的に追い詰められているときなんだよね。

 

「切羽詰まってる?」

「うん、自分を責めてる時って言った方がいいかな。ああいうときって大体無茶するから」

 

昔、切嗣さんに引き取られた直後ずっとあんな表情だった頃があった。ぼくはちょこちょこ切嗣さんの家にお邪魔させてもらったけど、なんて言ったらいいのかな。目の光が薄かった。うん、あのまま目の光消えちゃうかなって気がして怖かった。

 

「そうなのか」

「うん、日暮君でよければ気にしてあげてよ」

「おう」

 

これが好プレイを呼ぶわけだけど、そんなことはぼくは知らなかった。

 

                   ☆

 

一旦家に戻ったわけだけど、家には誰も居ない。それが少し寂しかった。はぁ、何であんなことやらかしたんだろうなぁ。

 

「今日は夕飯、適当でいっか」

 

食べてくれる人も無いからなんか張り合いないしなぁ。たまには手抜きでもいいや。そう思った僕は炊飯器のスイッチを入れて、どこかにあったであろう煮干しのパックを探し始めた。

今日の夕飯はご飯とみそ汁と何故か冷蔵庫にあった納豆という質素なものになった。

 

                   ☆

 

部活も終わって、学校から帰宅する。もちろん夕食の買い出しも忘れていない。家の扉を開けたとき、そこには見慣れないものが居た。

 

「ただいまー……ってあれ、猫?」

 

白い猫だ。ウチにこんなの居たっけ?

そこへセイバーが来てくれた。

 

「おかえりなさい、シロウ。アキヒサがしばらく預かるそうなので昼間だけこちらで預かることになりました」

「へぇ、そうなのか……って、あ 爺さん?!」

 

セイバーの説明を聞きながら居間に行って少し廊下に出てみたら爺さんがブランケットをかけられてはいるけど縁側で寝ていた。もう夕方じゃないか。慌てて爺さんを揺らせば。

 

「ん、んぅ?」

 

とりあえず起きた。はぁ

 

「何でこんなとこで寝てるんだよ」

「あー、あれ? 士郎、おかえり」

 

なんでこんなところで寝てたんだろうねぇ。と言いながら爺さんは居間に行った。ブランケットを片付ける。本当に何でそんなところで寝てたんだよ。

 

「たく、セイバー ブランケットかけてくれてありがとうな」

「いえ、それはあの猫が」

「え?」

 

自分の話題が出たからなのか白い猫はこちらへと来た。こいつ、結構人の言ってること理解してるんだな。

 

「この猫、かなり賢いんですよ」

「はぁ、兄さん 何、作ったんだよ」

 

兄さんは礼装系も得意だしその気になればこういう感じの使い魔もいけるか。そう思ったけどセイバーは違うという。

 

「いえ、アキヒサが言うには知り合いから預かったそうです」

「本当に?」

 

思わず眉をひそめてしまった。兄さんの場合、普通に見えても絶対に裏があることが多いんだけど。

 

「ええ、この猫は確かに普通の猫です」

 

セイバーが言うならそうなんだろうけど、何かなぁ。

 

「そっか……それにしても」

 

しゃがんで猫の頭を撫でる。猫が一瞬不機嫌そうな顔をしたけど、それも俺が考えていることを助長させる。

 

「なーんかあいつに似てるよなぁ」

 

兄さんのサーヴァントで無駄に俺には辛口な赤い外套のアーチャー、猫はあいつによく似た雰囲気を持っていた。

 





不穏かつ微妙に歪みだした明久と普通に猫生活謳歌しているアーチャーの日常話です。

明乃の最大の理解者は明久だと思う、だけど明久の最大の理解者は明乃じゃないと思う。何故だかそんなことを考える今日この頃なのだった。
二人の立ち位置が逆だったら多分明乃は普通の子に明久は歪んだ子になったと思う。よく二次創作で見る『言峰士郎』みたいな感じで


……コホン、無駄に変なこと書きましたが一応この小説はシリアルがメインです!

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