バカと冬木市と召喚戦争   作:亜莉守

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第四問

 

実家の簡易研究室で僕はちょっと考え込んでいた。

 

「ふむ、どうしよう」

「マスター?」

 

紅茶を淹れてきてくれたアーチャーが僕の呟きに反応した。うん、正直聞いてほしかったんだよね。

 

「えっと、ここに試薬AとBがあります。どっち混ぜよう」

 

悩みどころはそこだった。Aを混ぜてもBを混ぜても(多分)何らかの効果は得られそうだけど、気まぐれで決めるわけにもいかないし………幸運Aならどうにかできるって思ったんだ。

 

「それは自分で決めるべきではないのかね?」

「………正論ありがとう」

 

そんな話をしていると襖を叩く音がした。

 

「?」

 

                  ☆

 

さて、相談を持ちかけてきた士郎にアーチャーがお茶を入れてくるとのことで離脱、基本的に相談なんてしてこない士郎が何の相談かなって思ったら。

 

「どうしろってんだよ」

「士郎、正直に言わせてもらうけど……自業自得だよね。あれほどNOと言える人間になれってあれほど言ったよね?!」

 

うん、男としては羨ましいけど、兄としてはちょっとへこみたくなる相談だった。いや、普段からちゃんと断るように教えてきたはずなのに僕の苦労はなんだったのか。

 

「いや、だって……」

「ウチに関わる女子って無駄に押しが強いことは認めるけどさー、少しぐらい断る努力しなよ。で? 誰と約束してるの?」

 

詳しいこと知らないと対処できないし、って何で僕は協力しようとしてるんだろう。

 

「あ、えっと桜とイリヤにそれから藤ねぇとセイバー、あと……遠坂はさっき断られて……っと」

「……ふーん そっか、とりあえず要件は?」

 

何か凛の名前が出てきたときにちょっとむかついたけどとりあえず置いておこう。と言うよりも多いな?! 普通に二人か三人だと思ったよ?!

 

「桜が映画見に行きたいでイリヤは買い物でセイバーは最近できたビュッフェ食べに行きたいって、藤ねぇは……爺さんに何か買いたいと」

 

大体の状況は把握……できているわけじゃないけどどうにかできそうなメンバーはわかった。

 

「じゃあ、とりあえずタイガーは後回し、父の日に何か買おうって話を付ければ大丈夫でしょ。イリア姉についてはこっちでどうにかするよ。ビュッフェは……ランスロットさんにでも回すか」

「いや、二人でいくから俺が見張り役」

 

何で円卓の騎士って腹ペコが多いんだろう。伝記とか見てるとかっこいいのになぁ。円卓の騎士

 

「……あちゃあ、じゃあ……気の毒っちゃ気の毒だけど雁夜さんに応援頼むか。てわけで後輩(さくら)ちゃんと出かけてくればいいんじゃ?」

「でも……」

 

士郎が渋る。他の人の約束を無下にするのに罪悪感があるらしい。

 

「でももしかしもあるか!! この女ったらしは!!」

「うぅ」

 

何でウチの弟は女の子に好かれるのでしょうか?

 

                   ☆

 

俺が兄さんに怒られていると兄さんのサーヴァント アーチャーが入ってきた。手には俺の湯飲みと兄さんの湯飲みを乗せた盆がある。

 

「マスター、もうそろそろいいんじゃないか?」

「うるさいな。最終進化形が 最近近所のお姉さん方から人気だそうじゃないか」

 

アーチャーが割って入ろうとすると兄さんは切れてたらしく、いい笑顔(こういう時は無駄に爺さんそっくりになる)でそう言った。兄さんの発言でアーチャーが慌てる。

 

「っ マスター、それをいったい何処で」

「いやぁ、ごみ出ししてたら色々と噂がねー フェミニストなのもいいけど少しは自重しろっての」

 

あ、違う。兄さん、普通にちょっと(色々と)嫉妬してるだけだ。怒ってすらないし……アーチャーはズルイな。兄さんが普通に感情向けてくるのって珍しいし。

 

「………」

「衛宮士郎、なぜ貴様まで私を睨む」

「いや、なんでもないけど」

 

そうやり取りしてると兄さんが俺とアーチャーにびしっと指を向ける。兄さん、

 

「とりあえず、彼女なしにとっちゃものすごく羨ましい環境だよね二人とも、リア充マジで爆散しろ」

「マスター?! なんでさ」

「兄さん?! なんでさ」

 

俺がこいつと声が重なってしまったのも無理はないだろう。

 

                   ☆

 

「ってわけなんだけど、悪い この通りだから日にちだけでもずらせないか」

 

サクラと別れてしばらくして、偶然にも最後の交渉相手と鉢合わせした。

自称『学園のアイドル』エリザ、学校内きっての二大ドSで有名……本人は知らないけど。

これはついてると思って事情を説明したわけだが、彼女の印象は悪かったようだ。

 

「何よそれ、結局アンタにとって幸せなだけじゃない」

「っ だけど!」

 

何時も右も左もわからない世界で一緒に居てくれた彼女、彼女と一緒に居ることが俺にできる一番のことだから……諦めたくないんだよ。そうエリザに伝えれば頬を少し赤くして彼女は言った。

 

「……ふんっ、いいわよ。でも」

「?」

 

俺の目を覗き込む。?

 

「日にちは今週の土曜にするわ」

「? それでいいなら」

「そう? なら交渉成立よ」

 

 





ザビ男、それをフラグって言うんだよ。うん、さて『彼女』と無事にデートできるのか

それから士郎が微妙にブラコン化した件、なんでさ
あとアーチャーの幸運が判明、Aです。EじゃなくてAです。たまには運のいいアーチャーが居てもいいと思うんだよね。

ランサー? 彼は悪運EXじゃないですか、マスターが麻婆じゃないだけましな気がするし

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