バカと冬木市と召喚戦争   作:亜莉守

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閑話休題
第一問


 

その日、たまたま商店街の福引券があったので、引いてみたら……金色の球が出た。慌てて景品の表を確認して見たら。

 

「あ、特等」

「え?」

 

カランカランカランと受付の人が大きく手持ちの鐘を鳴らして周囲に聞こえるような声で言う。

 

「大当たりぃぃ、おめでとうございます。特等『温泉ペア宿泊券』です」

 

僕とアーチャーは互いの顔を見た。うん、正直二等の圧力鍋か三等の食材セットが欲しかったのに……なぁ。

 

「「なんでさ」」

 

同時に言った僕らは悪くないと思う。

 

                 ☆

 

それはいきなりのことだった。今は交換入学で他の学校に行っているため、あまり会えない友人たちから怒涛の電話による約束の取り付けが起こった。しかも全員同じ日なんだけど。

 

「え」

『だから、来週の土曜日 出かけるわよ』

 

その台詞は七回目くらいなんだけど……

 

「いや、俺 その『文句は聞かないからね!』

 

ブツッと電話が切られてしまった。受話器を持って呆然としつつ呟く。

 

「……なんでだよ」

 

もうどうしたらいいんだ……考えてもいいものが思い浮かばなかったのでちょっと出かけることにした。

 

                 ☆

 

ここはアーネンエルベ、そこで一人が頭を抱えて悩んでいた。

 

「一体どうしたら……」

 

彼は衛宮士郎、諸事情は特殊だが割愛、とりあえず衛宮士郎は悩んでいた。

そこへ猫耳の生えた謎の生物がやってきた。どうやらウェイターのようだ。

 

「お客様、相席よろしいですか」

「あ、はい」

 

目の前に誰かが座る。そして士郎の顔を見て呟いた。

 

「あ、エミヤシロウ」

「?!」

 

慌てて顔を上げる士郎、そこには茶髪にハニーブラウンの目をした学ラン姿の少年が居た。

 

                 ☆

 

えー、ここは冬木教会の懺悔室。本来ならカレン姉さんか親父かお爺さんが居るはずなんだけど今日はちょっとばかし事情がありぼくと相談者が居座っている。

 

「えー、つまり? とある男子の気を引きたくて、その人の弟をデートに誘ってみたけどその人からは何の音沙汰もなしと」

「うん」

 

しょんぼりしているところ悪いけれども、色々とツッコミ待ちですかそれ?!

 

「その前に気を引く方法をもうちょっと考えた方がよかったと思うんだけど」

「うう、だってしょうがないじゃない! 告白したところで完璧スルーなんて分かりきってるし!!」

 

問題はそこじゃないと思うんだけど。本気で呆れつつツッコミを入れる。

 

「いや、これスルー以前の問題でしょ。もうちょっと考えてみなよ、どう考えたって君が好いてるのは弟って勘違いされるフラグじゃないか」

「あ」

「先祖伝来のうっかりここに極まれり」

 

死に至るうっかりを持つ一族こと遠坂家の長女、遠坂凛 彼女は肝心要なところでうっかりをやらかしたようだ。それ完璧に勘違いされてるか、もしくは全然知らされてないかすると思うんだけど。

 

                ☆

 

衛宮邸にて

 

「え、温泉旅行?」

 

商店街での買い物を終えて帰ってきた僕はじーさんに温泉のチケットを渡してそう言った。じーさんは目を丸くする。

 

「うん、じーさんとアイリさんの二人で行ってきたら」

「でもいいの? 貴方が当てたんでしょう?」

「普通に学校あるし、それにたまには親孝行させてよ」

「「………」」

 

いつも色々とお世話になっているのに、こんなことでしか親孝行できないしと言うと二人が顔を見合わせた。

 

「え、うわっ」

 

急に二人が抱き着いてきた?! 抱きしめたまま二人が言う。

 

「うん、うん、行ってくるよ。お土産いっぱい買ってくるから」

「ええ、私こんなにいい息子が持てて幸せ者ね」

 

抱きしめてくれるのはすごくうれしいんだけど………

 

「(首が締まりそう)」

 

                ☆

 

アーネンエルベにて、衛宮士郎と偶然相席になった俺、日向海人は初対面(俺は一方的に知ってた。事情は割愛)にもかかわらず話が弾んで、何で衛宮士郎が悩んでいるのかという話になった。

 

「えっと、つまり……デートが重なったと」

「うん、そういうことなんだ」

「そっか、俺も何故か出かける用事が重複してて……せっかくのデートが……」

 

せっかく彼女の好きそうなオペラのチケットを取ったのに……

 

「もうどうしたらいいんだろう」

「腹をくくるしかないのかな」

 

色々怖いけど、トオサカとかエリザとかメルトとかリップとか……あれ? 死亡フラグしか見えないんだけど?! 何故か自分の惨殺死体を幻視した気がした。

 

「くくるしかないのか」

 

衛宮士郎も似たような表情をしている。うわぁ………

 

「下手に断って酷い目に遭うのも勘弁……」

 

いや、日付さえ変えてもらえればそれでいいんだよな。うん、そうなんだけどそれが一番大変なんだよな。

 

「じゃあ一体どうすればいいんだよ」

「こうなったら」

 

 

1.全員とデート

 

2.メインヒロインとデート

 

3.誠心誠意をこめてお断りする ←





アンケートありがとうございました。
うん、まさかマジでこうなるとは思わなかったんだよ。普通に1か2が来ると思ってた。

ちなみになのですが、まだカップリングは(海人を除き)色々と決まってません。恋愛要素入れるにしても緩くなること請け合いですが希望のカップリングとかあればどうぞ。

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