魔法少女リリカルなのは~俺は転生者じゃねえ!~   作:サッカー好き

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なんだかんだで30話になりました!

ここまで長かったなぁ、、、

それなのに、いつもより短くなってしまいました。
すみません!

楽しんで読んで頂けたら幸いです!


第30話『衝撃的な水色』

「ここなら大丈夫よね!」

「うん!大丈夫だと思うよ!」

「・・・えっと何が?」

 

冬休み残りわずかで新学期もうすぐ始まるって日に、俺、騎士(ナイト)はアリサとすずかと共に何故か山奥にいた。

 

「何がって、特訓よ。特訓!」

「特訓?」

「魔法のだよ。騎士(ナイト)君のおかげで私とアリサちゃんは魔法が使えるようになったからもっと使いこなせるようになりたくて特訓しようって事になったんだよ」

 

なるほどね。

俺のおかげと言われても全く自覚が持てないから何ともいえないんだけどさ。

 

「まあ、アリサに魔法の特訓を付き合う約束をしてたから良いんだけど、なんで山奥なのさ?」

「人目に付かない為よ」

「でもさ、ユーノから聞いたけど、結界みたいなの張ればどこでも良いんじゃないのか?」

「そうなんだけど、今回はその結界を貼る練習も兼ねているの」

 

そういうことね。

結界が出来ないんじゃあ人目がある所で魔法は使えないもんな。

 

「そもそも、なのはとユーノは呼べば良かったんじゃ?」

「ダメよ!私達が華麗に魔法を操る姿を見せて驚かせてやるんだから!それじゃあ、すずか、結界お願いね!」

「うん!行くよ、スノーホワイト!」

【了解です】

 

すずかがポケットから取り出した紺色の宝石スノーホワイトから女性の声が聞こえる。

確か、インテルジェンデバイス?

 

なんか違うな・・・。

よく覚えてないけど、人工知能を搭載しているとかで挨拶や返事をしてくれるらしい。

 

「・・・うん!結界張り終わったよ!」

「え?特に何か変わったような気がしないんだけど・・・」

 

俺は辺りを見渡すが何かが変わったようには感じない。

そういうものなのか?

 

「それじゃあ、バリアジャケットを展開するわよ!フレイムアイズ!」

「スノーホワイト!」

『セットアップ!』

 

アリサとすずかが掛け声と同時に光りだす。

暫くして光が弾けると変身した2人の姿。

日曜朝にやっている変身とは少し違うな。

 

「ちゃんと出来たわね!」

「うん!クリスマス以来だったから少し緊張しちゃった!」

 

変身出来たのが嬉しいのか自分の姿を見渡しながらはしゃいでいる。

 

「それで?特訓ってなにすんだよ?」

「ちょっと騎士(ナイト)。あんた、私達の姿を見てなんも思わないわけ?」

「ナ、騎士(ナイト)君、どうかな?」

 

そう言いながらジト目で俺を睨んでくるアリサ。

すずかは恥ずかしそうにしながら俺に何かの感想を聞いてくる。

 

「んー、その格好、日曜朝にやってるのに似てるな!」

「そういう感想を聞いてんじゃないわよ!」

 

アリサの感情に連動しているのか、右手で握る剣から火が出始める。

やばい。

下手な感想を言えばあれで斬りかかってくるかもしれない。

 

 

「えっと、よく似合ってると思うぜ!可愛い!超可愛い!」

「な、何言ってんのよ!このバカ!」

「あの、その、あ、ありがとう騎士(ナイト)君・・・」

 

褒めても怒鳴ってくるアリサと恥ずかしそうにお礼を言ってくるすずか。

まあ、襲ってこないから間違いではないっぽい。

 

「で、だ。特訓って何をやるんだ?」

「そ、そうね!なのはが言うに初期登録されている魔法から練習していくべきだって言ってたわ。すずか、盾だして」

「うん!」

 

アリサに何かをお願いされたすずかは何もない方向に掌を向ける。

すると、少し離れた場所から氷が現れたと思うと、あっという間に俺がまるっと隠れてしまうくらいの大きな氷が現れた。

妙に薄いけど盾と言ってたし、かなり頑丈なんだろうな。

 

「あれが、すずかの初期登録されていた魔法。分類的には防御魔法で、すずかはそっちの適正が高いそうなの。それで、私のは、それっ!」

 

アリサが氷の盾の方を向いたと思ったらその場で剣を振り抜く。

すると剣から炎が飛び出して一直線に氷の盾へと向かっていく。

 

炎の斬撃が氷の盾にぶつかると凄い音が鳴り響いた。

氷の盾は粉砕されたようで跡形もなくなっている。

 

「私はこの攻撃魔法が初期魔法として登録されているわ」

「す、すげえ・・・。つか、今でも十分に使いこなしてるんじゃねえの?普通に魔法使ってたし」

「それがそうでもないのよ。フレイムアイズが言うにはこの魔法は一振りで複数の斬撃が飛ばせるらしいの。そうよね?」

『ああ。お嬢の練習次第でそうなるぞ。数だけじゃなく、威力やスピードも自由自在に出来れば一人前だ』

 

アリサの剣から男性っぽい声が聞こえる。

それがフレイムアイズの声らしい。

 

「という事は、すずかの場合は盾の数や大きさ、作る速度に強度が自由自在に出来れば良いって訳か」

『その通りでございます。旦那様』

 

俺が憶測を言うとスノーホワイトが肯定してくれる。

当たったのは嬉しいがその『旦那様』は止めてほしい。

フレイムアイズも何故か俺のことを『旦那』って呼ぶんだよな。

 

2人、いや2機か。

2機がそれを言うと片方が恥ずかしそうになったと思ったら片方が機嫌を悪くするんだ。

同時に言えば両方黙っちゃうけどそれはそれで面倒なんだよな・・・。

 

騎士(ナイト)!早く特訓を開始するわよ!」

「わ、分かったよ。というか俺は何を手伝えばいいんだ?」

「え?それは・・・」

「えっと・・・」

 

ん?

アリサとすずかが微妙な顔をしているぞ?

 

騎士(ナイト)君は私達の魔法が当たらない安全な場所で待機、かな?」

「それってなにもないって事だよね!?」

「しょ、しょうがないじゃない!騎士(ナイト)はその場にいるだけで役に立つってことで納得しなさい!」

 

確かに2人のデバイスは俺の溢れ出てる魔力で充電して使用可能になるのだから近くにいるだけで魔法は使いたい放題って訳だ。

だからって、このまま何もしないで2人の魔法を見ているだけは流石に辛いぞ?

 

「まあ、仕方ないか・・・。サッカーボールとか持って来れば良かったぜ」

「氷で作ったボールなら作れるよ」

「いや、それ絶対途中で割れたり融けたりしちゃうだろ!」

「それじゃあ炎の―――」

「蹴れるか!たくっ、俺は適当に辺りを探索してるよ」

 

せっかくの山奥だ。

なんか面白いものが落ちているかもしれない。

 

「うん。ごめんね、騎士(ナイト)君」

「拾い食いして腹壊すんじゃないわよー」

「しねえよ!!」

 

まったく。

アリサの奴は俺をなんだと思ってやがるんだ!

拾い食いなんて小学生に入る前に卒業してんだよ!

 

最後に拾い食いをした時はあまりの腹痛で救急車に搬送されてからはもうやってない。

というかあの腹痛はもう二度と体験したくないわ。

 

「さてと、そこそこ歩いたけど―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウウウウウウウウウウウッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、なんだ?この呻き声みたいなのは・・・」

 

不意に聞こえた音に俺は周辺を見渡すが誰も居ない。

なにが起こっているんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっちから聞こえる。行ってみるか」

 

耳を澄ましてどこから聞こえるのか分かった俺はその方向へと歩いていく。

どんどん音は大きくなっていく。

そして、少し歩いて俺の目の前にある茂みの先にその音の原因がある。

 

「よし・・・」

 

俺は意を決して茂みの先を確認した。

その先にあるものは―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うううううっ、お腹が、お腹が痛い~。ううううううううっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・」

 

なんかいた。

いや、人なんだけどさ。

 

顔は見えないけど水色の髪で背中にはマントを付けている俺と同じくらいの子供が蹲っていた。

お腹を抱くようにしているからお腹が痛いのだろう。

さっきの音はあの子供の呻き声だったようだ。

 

流石に放っとく訳にはいかないよな・・・。

 

「おい。大丈夫か?」

「うううっ、お腹が痛い~」

「なんでお腹が痛いんだ?」

「生えてたキノコを一口食べたら急に痛くなって・・・」

 

生えてたキノコ?

もしかしなくてもこの子供の側に転がっている食いかけがそうなんだろう。

 

「こんな水色なキノコを良く食べようと思ったな・・・」

「水色は・・・正義・・・だから・・・」

 

水色は俺も好きだけど、キノコだと状況が変わってくるぞ。

 

「原因はそのキノコで間違いない。食べたのはついさっきか?」

「うん・・・」

「それじゃあ、そのキノコを吐き出そう。出来るか?」

「出来、ない・・・」

「出来なくてもやらないと当分そのままだぞ。汚いやり方だけど教えるから頑張れ」

「わ、分かった・・・」

 

そうして、俺が吐き方を教えてなんとかキノコは出すことが出来た。

 

「お前のおかげでお腹が痛くなくなったぞ!ありがとー!」

「ああ・・・」

 

元気になって良かったのだが、俺はそれよりも気にかかることがある。

 

「お前ってフェイトとアリシアの知り合い?」

「ヘイト?アリシア?誰それ?」

 

お前と顔が瓜二つな人のことだよ。

ただの勘だけど、こいつ嘘は吐いていないと思うんだよな。

 

「まあいいや。俺は橘騎士(ナイト)って言うんだ。お前は?」

「僕?ふふふっ、聞いて驚け!僕の名は・・・・・・・・・なんだっけ?」

 

分からないんかい!?

意味深な笑みに仁王立ちまでしておきながら分からないってどういう事だよ!

緊張して聞いてた俺がバカみたいじゃないか!

 

「なんかここまで来てるんだけどどうも思い出せないなー。そうだ!また喉に指を突っ込めば出てくるかも!」

「止めろ!出てくるのは胃の中身ぐらいだ!」

 

教えた俺が言うのもなんだが、女の子がそういう事をする姿は見たくない。

 

「もしかして復活したばかりだから記憶がおかしいのかも」

「復活したばかり?」

「うん。・・・そろそろ行かないといけないや」

 

急に真剣な表情になって空を見る女の子。

俺も同じように見るが何もない。

ただ彼女のように水色の空が広がっているだけだ。

 

「どこに行くんだ?」

「分からないけど・・・僕の中にある何かが何かに引き寄せられてる。だから行く」

「そっか・・・気をつけてな」

 

俺はこいつを止める理由がない。

でも、フェイトやアリシアと瓜二つの顔だから気になってしまう。

 

「うん!君の名前は騎士(ナイト)、だったよね?僕を助けてくれたからお礼をしてあげよう!」

「お礼?いや、別に大した事じゃないから平気―――」

「ちゅっ」

 

・・・え?

この子は今、俺に何をした?

 

いつの間にか俺の横にいて無邪気な笑顔をしている女の子。

そして、俺の頬には柔らかい何かの感覚が未だに残っている。

 

「えへへっ、この僕のキスは凄く貴重だぞ!光栄に思うんだぞ!じゃあ、またね!」

「・・・・・・」

 

女の子はそういって空へと飛んでいった。

その姿は雷が落ちるかのようにあっという間に消えてしまった。

 

誰も居ない空を俺はアリサとすずかが心配してやってくるまで眺め続けていたのであった。




今回はアリサ・すずかの説明会と水色の初登場でした。

ちなみにBOAはこの話でしかやりませんのでよろしくです!

次はもっと早く更新出来るように頑張りたいです、、、

毎回感想や評価、誤字報告をしてくれる読者の皆様、本当にありがとうございます!
引き続き、作者の元気の源である感想と評価お待ちしてます!

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