魔法少女リリカルなのは~俺は転生者じゃねえ!~ 作:サッカー好き
サッカー好きです!
今回はタイトル通りの内容です。
1話だとかなりの文字数になりそうだったので前編後編で分けることにしました。
楽しんで頂ければ幸いです!
よろしくお願いします!
8月の初め。
初夏は過ぎて暑さもこれからって時に、とあるサッカー場では沢山の子供達が元気よく汗を流していた。
「回せ回せ!」
「こっちだ!パス!」
「フリーだ!シュート!」
「させるか!!」
俺、
枠内に入った相手のシュートを弾き出す。
「
「おう!」
俺は今、チームの合宿で海鳴市ではない県外でサッカーをしている。
沢山の少年団チームが集まって行う大会だ。
グループリーグ第2試合目の最中。
1日に3試合というハードスケジュールだが俺にとっては沢山試合が出来てとても嬉しくある。
「もう時間がないぞ!全員でゴールに押し込め!」
2試合目ももう終盤。
現在、1-0で俺のチームがなんとか勝っているが、相手のコーナーキックでまだどうなるかは分からない状況。
相手はGKも上がってまさに全員攻撃。
「みんな!ここは絶対に死守だ!」
「おう!」
「任せろ!」
俺の活に味方が鼓舞され気合が入る。
そして、コーナーキックが開始された。
ボールは高く上げられ、一番背の高い相手GKへと向かっていく。
「させるか!」
相手GKがジャンプすると同時に味方DF数人もジャンプして競り合う。
いくら背が高くても数人と競り合えば容易にシュートを打てないだろう。
それが相手の狙いでもあった。
「なっ!?スルー!?」
相手GKはジャンプしただけでそのボールには触れずにスルー。
ボールはそのまま軌道が落ちファーポスト付近へ。
そして、相手GKによって惹きつけられた事によってフリーになった背の低い相手FWがダイビングヘッドで飛びつく。
「まだだっ!」
俺も少し遅れてだがセービングで飛びつく。
皆と同じように相手GKに惹きつけられていたがいやな予感がして飛びつく事はしなかった。
もし飛びついても相手GKに邪魔されて触れなかったかもしれない。
相手FWの頭と俺の両手が同時にボールへ触れる。
「ぐっ!?」
「うわっ!?」
俺達はそのまま交錯し地面へと落ちた。
凄い衝撃だったけど、両手にはボールの感覚はある。
後はボールがゴールラインを越しているかどうかだ。
「大丈夫かい!?」
「ううっ・・・あっ、ボールは!?」
「ふうっ・・・GKは大丈夫か?」
「あ、はい。大丈夫です」
「良かった。申し訳ないがそのまま動かないでくれるかい?」
「分かりました」
主審がやってきて交錯した俺達の安否を確認する。
相手FWはすぐに起き上がりボールの行方を探している。
その様子に少し安心した主審は俺の安否とゴールかどうかを確認を行われる。
俺は閉じていた目を開ける。
目の前には感覚どおり両手でボールをがっちり掴んでいた。
少し視線を頭の上へ移動させるとすぐそこにゴールポストがあった。
頭は痛くないので当たってはいないようだが、かなり危なかった。
「ボールはライン上だ。ノーゴール!」
主審のジャッジに観客が沸き、同時に試合終了のホイッスルが鳴り響く。
勝利に喜ぶチームメイトが俺の元へと集まってくる。
俺も同じようにみんなと一緒に喜びを分かち合う。
グループリーグ第2試合は1-0で勝利する事が出来た。
「無茶し過ぎだよ!」
「はい・・・」
第2試合が終わりお昼休憩になったんだけど、俺は説教を受けている。
フェイトの姉であるアリシア・テスタロッサにだ。
俺が合宿で暫く遊べないと話しはしたけど、まさか応援に来るとは思わなかった。
現地で仁王立ちしながら「応援に来た!」と言ってきたのにも驚いたな。
ちなみにアリサ・すずか・なのはにも声をかけたらしいのだけど、予定が合わず来れないそうだ。
「聞いてるの?少しでも間違ってたらゴールポストにぶつかってたんだからね!」
「わ、分かってるって。でも身体がつい動いちゃうから・・・」
「ついじゃない!
「はい。すみません・・・」
背は低いけどアリシアには何故か逆らえないんだよな。
これが年上の貫禄ってやつか?背は低いけど。
「今、失礼な事考えたでしょ」
「いへへっ!?すふぃまふぇん!?」
考えが読まれたようで不機嫌顔のアリシアが俺の両頬を抓ってくる。
これがかなり痛い。
俺はすぐに謝った。
「ふふふ。怒るアリシアも可愛いわね」
「お母さんも写真撮ってないで何か言ってあげてよ!」
フェイトやアリシアの母プレシアさんも応援に来てくれたのは嬉しいが親バカを発揮してないで助けてもらいたい。
「そうね。
ずっとアリシアの事ばっかり見ていると思ってたけど、いつの間にそんな分析を行ったんだ?
俺がそう思っている間にも話は続いていた。
「その枠内シュートの8割が
「えへへ。そうでしょ?」
「
プレシアさんに褒められてにやけてしまう俺にアリシアが怒ってくる。
ちなみにもう頬は引っ張られておらず、胡坐で座る俺にアリシアが座っている状態で話を聞いている。
「でもGKはシュートを止める事が仕事でもあるけど本質は違うわ」
「本質?」
「なんだと思う?」
GKの本質か。なんだろう?
シュート止める以外で何かあるのか?
「それは味方を動かしてシュートを打たせないこと」
「シュートを打たせない・・・」
「打たれなければゴールは生まれない。
「それはそうですが・・・」
シュートを打たせないなんて不可能じゃないか?
「シュートを打たせないなんて不可能。でも減らす事は出来る。その為には的確なコーチングが必要になるわ。そこはこれから経験を積んで勉強していくしかない」
「はあ・・・?」
なんかどんどん難しい話になってきて俺の頭が追いつかないでいる。
経験して勉強か・・・。俺に出来るのかな?
「ふふっ。焦る必要は無いわ。
「・・・了解っす。ていうか本当に詳しいですね」
「娘達が好きなものだからかしらね。自然と調べて詳しくなってしまったのよ」
「家では家事以外は私達の写真や動画を撮るか、サッカーの本を読んでるもんね」
それは凄いな。前者はあれだけど・・・。
「後少しで最後の試合だよ!体力は回復した?」
「勿論さ!次の試合も勝って1位トーナメント進出だ!」
この大会は4グループで試合した後は順位ごとでトーナメントになるんだ。
今は2連勝で3位以上は確定してる。
最後に戦う相手も2連勝しているようで無敗同士が戦う事になった。
勝てば、文句なしの1位。
負ければ、他の試合結果で2位か3位。
引き分けだと、得失点差で1位か2位。
「そういえば最後の相手の戦績を知らないや」
「そうだと思って私が調べてきたよ!」
未だに俺の上から降りないアリシア。
暑いからそろそろ降りて欲しいんだけど、今は戦績を知りたいので黙っておこう。
「相手はガンツ大阪ジュニアユース。1試合目は10-2。2試合目は8-3。
「ま、マジ?」
ガンツ大阪といえばプロチームじゃん。
まさかそんなチームまでいるとは・・・。
「こんな時に限ってウチのエースがいないなんて・・・」
「エース?」
「和也だよ。神崎和也。夏休みに入る前に和也をチームに誘って入ったんだ」
でも和也は急に家庭の用事とかなんとかでこれなくなったらしい。
入って間もないし、自分勝手なプレイが多いけどそのポテンシャルの高さから一気にエースとなった和也が抜けた穴は大きい。
「和也がいれば少しは楽になったんだけど・・・」
「神崎君か・・・」
「ん?何か知ってるのか?和也の携帯に連絡しても返事が来ないから分からないんだよな」
和也は俺には偶にしか返事をしないけど、アリシアとかならすぐに返事するだろうし何か知っているかも
「えっと、確かね。夏休みが終わるまで、(薄暗くて)涼しい部屋で(道徳の)宿題を終わらせるって(リンディ提督が)笑顔で言ってたよ」
「へえ!避暑地にでも行ってるのか?」
「まあ、暑さとは無縁のところだとは思うよ」
避暑地に旅行か!
後でお土産期待してるぜ!ってメールしとこう!
「そんな事より!
「それもそうだ。でも、ウチに作戦なんてないし、全力でぶつかるのみさ」
「うーん・・・不安だな・・・」
俺は笑いながら次の試合へ挑んだ。
アリシアの不安が的中するとは知らずに。
こんにちは。アリシア・テスタロッサだよ。
合宿の目的は大会に参加する事みたいで、
と、まあ応援というのが建前で、本当は
今のところは問題なさそうだし、お母さんもいるから私は
「フレー!フレー!
「ハアハア・・・アリシアのチアガール姿・・・ハアハア・・・可愛すぎる!」
「仕事してよ!?」
カメラ片手に息を荒げるお母さん。
仕事しないならせめて
最近のお母さんの病気が悪化しすぎで怖い。
どこで道を外れてしまったんだろう。
とりあえず、着替えようかな?
「おおおおっ!!」
いきなり回りの観客が声を上げる。
私は急いで視線を向けると、ボールをしっかり掴む
どうやらまた相手のシュートを止めたのだろう。
「凄いけど・・・」
これで一体何本目だろう?
試合が開始されて前半15分。
この試合は20分ハーフなので残り5分で前半が終了する。
スコアは2-0と
相手のガンツ大阪ジュニアユースは全試合で失点してるから守備はそこまで上手くないんだなって思った。
でも、前半残り10分って所で相手の雰囲気が変わったの。
DFの当たりが強くなったり、寄せも速くなって
シュートもたった5分で10本以上は打たれている。
私はさっき近くにいた相手チームの応援客が気になることを喋っていたことを思い出した。
『クラブチームと少年団じゃあ実力差がありすぎるから最初は何点かゴールを決めさせてあげるらしいけど、エグイ話だよな』
『仕方ないんじゃない?最初から絶望するより、少しくらい良い夢見させてもらった方がマシだろ』
そんな会話にまさかとは思ったけど、確かに得点は全部先に決められているし、そこからは怒涛な攻撃で一気に逆転。守備も最初とは比べ物にならないほど強固になっていたらしい。
嫌な予感がする。
そんな事を思っていると笛の音が鳴り響いた。
「キーパーチャージ!」
「ちっ!」
「イテテ・・・」
見るとゴール前で倒れている
すぐに起き上がる所を見ると怪我はしていないようだけど、私は声をかけずにはいられなかった。
「
「はあはあ・・・おう!大丈夫!」
でもいつもより元気がないような気がする。
「流石の
「お母さん・・・。でも
「・・・・・・」
私の質問にお母さんは答えてくれなかった。
ただ心配そうに試合を観ている。
そこまで
「フレー!!フレー!!
私に出来る事は精一杯応援する事だけだった。
そして、前半残り1分過ぎた所だった。
味方のハンドによって与えてしまったPKによって失点。
2-1で前半が終了。
ベンチに戻る
そして、PKで失点するも前半を1点で抑えきった
私はすぐにゴール前へと視線を向ける。
そこにはゴールポストに背を預け、座り込み俯いている
「
私は急いで
如何でしたでしょうか?
どうもサッカーの話になると色々と文字数が増えてしまうのが少し悩みですね、、、
後編は土曜日に更新予定です!
お待ち頂けると嬉しいです!