次話の投稿が完了しました
「私、小和田六矢は焼きそばとフランクフルトが好きです」
「ん〜、僕は茄子かな」
「いきなりどうしたのよ?」
「実はさ、今週の土曜日に、葛西の行船公園で盆踊りがるんだよ。ハタケヤマとカラトと愛華も誘って、皆で行かない?」
「ええ〜。暑いし、嫌よ」
「何言ってんだよ。…お前ら、最近引きこもりや過ぎないか?暑いだのなんだの言って、全然外に出ようとしないじゃないかよ」
「……本当にそう思っているのなら、友達に誘われたくらいでこんな炎天下の中、わざわざ屋上で購買のパンなんか食らわないわよ…」
「良いじゃん屋上。夢があって。今時、学校の屋上なんてなかなか開場してないぜ」
「だからどうしたのよ。……はぁーあ〜。汗だくよ。どうしてくれるのよこれ?」
リボンを解き、Yシャツを第二ボタンまであけて、中を手で扇ぐ彼女。
Cカップはあるのだろうか。シャツの間から、中学生にしては少々大きめの谷間が覗く。更に、にじんだ汗が彼女の白い肌に張り付き……目のやり場に困る。
「…姫島さん」
「どうしたの佐藤君?」
「……………………」
「………ちょっと…どうして目を背けるのよ?」
「……その……ブラジャー、透けてるよ……」
「………え……あ……!」
ヒメジマの顔がだるまのように赤くなる。ついでに佐藤も。
両手を交差して胸を隠し、何故か股も内側に閉じる。
これだけみると、ちょっとしたエロ画像だよな……。写メ取ったらオークションで売れないかな?その前に殺されるか。
「……ジャージ貸すからさ。もう下に降りようか…」
「………………ぅん」
やれやれ……。特に理由もないのに、なんか悪いことした感じだな…。
……さてと。二人は教室に帰る雰囲気だし、一人で寂しく飯を食うのも乙な物だが、さすがにそれは俺の人間性に関わってくるので……、
「ほんじゃまあ、教室に帰るか」
「そうだね。………災難だったね、姫島さん。……皆には言わないからさ。ね?ほら、元気出して」
「…………………はぃ」
「なんで敬語なんだよ…。人生、下着が透けることの一度や二度くらいあるだろ。そう落ち込むなよ」
「あんたの慰めはレベルが低いのよ!もう黙ってて!私を傷つけないで!佐藤君と私の前から消えて!!」
「嫌な本音出たな!!」
「……ははは。暑いのに二人共、元気が良いねー…」
☆
「盆踊りぃ〜?少し時期が早すぎないか?面倒くさいから俺パース」
「強制参加だ。貴様に断る権利はない」
「…ふざけんな。俺は暑いのが嫌なんだよ。少なくとも、夏休みが始まるまでは外には出ない」
「ただのニートじゃないかよ」
「構わん!」
「どういうカミングアウトなんだそれは……」
全く……どいつもこいつも暑いだの何だの抜かしやがって…。こんなんだから俺の周りには非リア充しかいないんだ…。
「お前らなぁ。そんなんだからモテないんだよ。モテたかったら土曜の盆踊りに参加しろよな!」
「……余計なお世話だ。俺は涼しい部屋にいられれば、それで良いんだ。後は知らん」
「なんでお前ってそう、意味の無い所で男前なんだ………。…全く……。どのみち決定時効だから、つべこべ言わずに来いよ!さぼったら許さないからな!」
即興劇タイム突入。
「なんでそんなものに執着する!?これでは身体が熱くなって、家に住めなくなる。冷房の冬が来るぞ!?」
「冷房の効いた部屋に住む者は、自分のことしか考えていない。だから、連れて行くと宣言した!」
「人が人に罰を与えようなどと!」
「私、小和田六矢が粛正しようと言うのだ、カラト!」
「エゴだよそれは!」
「ならば、今すぐ愚民共全てにクーラーを授けてみせろ!!」
「エゴだよそれは!」
「カラト、冷えた部屋に残った人類などは地上のノミだということが何故わからん!」
「エゴだよそれは!」
「台詞切れてんじゃねーよ!もっと乗れや!」
ハタケヤマにバトンタッチ。
「……世直しのことを知らないんだな……。夏祭りはいつも町内会のジジババが始めるんだ。今時やらない金魚すくいみたいな、やりもしない目標を持ってやるから、いつもロリを苦しめることしかやらない!」
「私は世直しなど考えていない!」
と言いながら、瞬時に仮想デスクトップのタブを開き、祭りのホームページを開く。
「フハハハハハ!」
「何を笑っているんだ!?」
「私の勝ちだな!今確認してみたが、金魚すくいは開催されるそうだ!貴様らの頑張りすぎだ!」
「ふざけるな!たかがロリっこ一人、俺が連れ帰ってみせる!!」
「正気か!?」
「……明らかに正気じゃないわね。ついでにあなたも」
「貴様程急ぎすぎもしなければ、ロリに絶望もしちゃいない!」
「お前の印象の落下は始まっているんだぞ!?」
「ロリータコンプレックスは伊達じゃない!!」
「馬鹿なことはやめろ!」
「……話がだいぶ脱線してるけど……。結局、皆行くの?僕は行きたいけど……」
「サトウは行くのか?」
「うん。僕は金魚すくいに目がないんだ」
サトウも、また妙な趣味をしてるよな……。
こいつが行くとなると………まあ、必然的にこいつも付いてくるよな。
「…私も行くわよ」
チャンス到来。
「あれぇ〜、ヒメジマは盆踊りに行かないんじゃなかったっけ?」
「べ、別に良いじゃない!気が変わったのよ。絶対に行くわよ!」
「良いって良いって。無理して空気読まなくても。お祭りは俺と、愛華と、……サトウと行くから。暑いのが嫌いなヒメジマは冷房の効いた家で、ゆ〜っくりくつろいでると良いさ」
「うぅ〜………!」
小和田六矢、真ゲス顔発動中。
いやぁ〜。いつも威張ってるヤツを虐め倒すのは、溜まらねぇ〜ぜ〜!
ギヒャヒャヒャヒャ!最高だな〜!
———いよいよ、ヒメジマは涙をぽろぽろと流し始めた。
「…………ぅっ……ぅっ………!………わ…たしっ………ぜっ、たい…いくもん…………っ!」
「…………………」(ジーーー…)
「…………………」(ジーーー…)
「…………………」(ジーーー…)
「…………………」(…………プイッ)
「目を反らすんじゃないわよッ!!」
「だってさぁ!普通、ガン泣きするか!?ちょっとからかっただけだぞ!?」
「あなたのゲス顔が気に食わなかっただけよ!!さっさと消えなさい!!」
「……まだまだ詰めが甘いな小和田。真のドS道を極める者ならば、反論される前にもっと畳み掛けねばな」
「あなたは黙ってなさい!」
「ンだとコルァ!もういっぺん言ってみろアマァ!!」
「黙りなさい!このロリコン野郎!!」
「何を!男が変態で何が悪いんだ!!」
なんか、いつの間にか除け者にされてるんだけど……。最近こんなのばっかだよなぁ…。
よくもまあ、キャラが濃いのがこんなに俺の周りに集まったもんだな。
「お前らなぁ…。少しは自重しろよな。ここは教室だぞ?クラスメートがドン引きしてるだろ」
「………何よ。中盤以降、話の輪に入れなかったヤツが」
「お前ら、注意されても全く反省しない所が凄いよな」
「…うるさい。静かに飯が食えんだろうが」
あっ…、そういえば俺も購買のサンドイッチ食い終わってなかったな。
………さてさて。食事に集中して、皆黙ってしまった訳だが………。暇だ。
「……………で、結局盆踊りには誰が行くんだ?」
「僕は行きまーす」(もぐもぐ)
「私もよ。…………絶対に」(もぐもぐ)
「俺も」(もぐもぐ)
「皆が行くなら」(もごもご)
「お前ら、喋るなら咀嚼を済ませてからにしろ。……結局、皆盆踊りにくるんだな?」
「仕方ないから行ってやるよ」
「はいはい。んじゃ土曜の夕方五時にサトウん家前ね。チャリで行くから動きやすい格好で来いよ」
空けた日数の割にはこれまた脚本みたいに台詞の多い小説が出来てしまいました。
誠に申し訳ありませんm(_ _)m
なんかいつも謝ってる気がします。
誠に勝手ながら、MSの応募は一旦、打ち切らせて頂きます。数々のご応募、ありがとうございました。
コメント、感想等がありましたらよろしく御願します。