Monster Hunter ―残影の竜騎士― 作:jonah
何!? 何が起きたの!!?
焦っていろいろ探すうちになんと!! 日間ランキング14位!! ぎゃあああああ(嬉しい悲鳴の筈)
…まあ、15時22分の更新で無残に消えましたけどね……(当たり前)
まさかランキング乗るなんて思いもしませんでした…。あんなの雲の上の方々のためにあるよねーとかずっと本気で思ってました……。自分の作品が載るとか夢のまた夢……だと思っていたのに!!
なんという幸運。なんという幸せ。
皆様無しには(当たり前ですけど)成し得ませんでした。ありがとうございました!! これからもよろしければお付き合い願います!!
さて、前書き長くなりましたが、「そうだこれの記念に2か月前くらいには書き上がっていた番外編載っけちゃろ」と思いまして更新した次第です。本編じゃなくてすみません。
暇つぶしにでも読んでいただければ幸いです。
※注意 ニャンニャンニャンニャンうるさいです
――――――――――
「君の瞳はなんて美しいんだろう」
とある子メラルーと、少年の出会い。
その日、渓流に住む全獣人族は警鐘の音でたたき起こされたニャ。
「た、大変ニャ! また飛竜がここにきたニャ! こんどはナルガクルガだニャ!!」
「「「「ニャ、ニャんだってー!?」」」」
「結構苛立ってる上に吊り橋の向こうの木の上を住処にするっぽいニャ!」
明け方。夜の狩りから帰って今日の戦利品を仲間たちと物色していたニャアは、慌てて風呂敷にお宝を包むと仲間に押し付けて、ボーンネコピックをひっつかんだのニャ。
ニャアはまだ1歳のメスの子メラルーだけど、立派な渓流の戦士ニャ。緊急事態にこそ
「お前は逃げろ!」
「いやニャのニャ! ニャアもみんニャを守るニャ!」
おとうが舌打ちしてこっちに来ようとしたけど、すぐに隊長が呼び止めたから舌打ちしニャがら戻っていったニャ。「いいか、絶対逃げるんだぞ」と言い残して。正直ばっちぐーニャタイミングでおとうを呼び止めてくれた隊長に感謝ニャ。あの頑固親父、
取るものもとりあえず、皆一目散に渓流の入口、ハンター達がベースキャンプとして使っている場所へ避難する。設計上4人のハンターが横にニャれる大きさのベッドで、一夜を明かすことにニャってるんだニャ。
一番危ない棲家の入口を隊長とベテランメラルー、そこから転々と女子供を護るようにして配置される成人メラルーたち。その中にニャアもさりげニャく混じっていたのニャ。どんぐりネコシリーズを着込んだニャアは、ちょっと背が大人より低いだけの小柄な戦士メラルーに大変身ニャ!
蟻の行列みたいにニャってメラルー達が無言で避難を続ける中、不意に棲家の方が騒がしくニャった。羽を休めていた木から、次々と飛び立つ鳥。
(来たニャ……!)
ニャアが配置されたここは危険度はそれニャりに低い、崖の中腹辺りニャ。小川がちろちろ流れて、来る者といったらケルビとかジャギィのみ。たまにドスジャギィが寝床として活用することもあるあそこニャ。メラルーたちがハンターを襲う恰好の狩場でもあるニャ。
今日もケルビが避難するメラルーをよそに平然と水を飲んでいるニャ。こいつらは隣りのエリアに来るまで竜が来たなんて知りもしニャいようニャ奴らだから、きっとニャんでニャア達が必死に疎開してるのかも分かってニャい。馬鹿ニャ。だから食われるニャ。
でも、だから、こんニャに一生懸命周りを警戒しなくてもケルビが慌てはじめるまで待っても問題はニャいのニャ。つまり、ここにこんニャに沢山の戦士はいらニャい。
ギエエエエエエ...!
そんなこと考えてると、ナルガクルガの咆哮がここまで聞こえてきたニャ。
思わずブルブルと毛先まで震えるけど、ニャアはぎゅっとボーンネコピックを握りしめて、仲間に気づかれニャいようにそーっと、そーっと持ち場を離れたニャ。
ギエエアアア...!
(ニャんだかこのナルガクルガ、苦しんでるように聞こえるニャ…)
声の雰囲気が、どうにも切羽つまってるように聞こえたのニャ。
竹の沢山生えた棲家のエリアは、隣りの岩屋のところより更に緊迫した雰囲気が漂っていたニャ。
吊り橋のところには隊長がひとり対岸を睨みつけていて、その向こうに闇色の大きなモノがうろうろしているのが見えたニャ。どうも、普段盗み見るナルガクルガよりも落ち着きがニャい。
よく見れば、ナルガクルガは住処にうってつけニャ木の上には乗ろうとせずに、ただ下の祠の前のあたりをうろうろしているだけだったのニャ。木が気に入らニャいのではニャいらしい。エリアを移動する雰囲気も見られニャいから、いったいニャんニャのかと頭をひねらせた、そのとき。
偶然、ニャアは見てしまったのニャ。
竜が来たことで落ち着かニャい電光虫が、ほんの一瞬ピカッと竜の足元を照らした。そこには、何やら人のような影が見えたのニャ。
(……何で人が竜の足元にいるのかニャ?)
既に死体を餌として持ってきたのかとも思ったけど、どうせ肉を食べるのニャら草食竜のように肉をたくさん持っているようニャ方を選ぶのが自然ってもんニャ。人間ニャんて、骨と皮ばっかりで、全然美味しくニャいに決まってるんだから。
気にニャっていてもたってもいられニャくなったニャアは、また抜き足差し足でエリアをもどると、そのまま一直線に滝の裏の洞窟へと向かったニャ。
洞窟にはまだニャア1匹じゃ相手にニャらないジャギィノスがいたけど、寝てたから安心して後ろをスルー。普段だったらついでに鱗の1枚でも盗んでやるところだけど、今ニャアはそれどころじゃニャいのニャ。この溢れる好奇心を収める方法はただ1つ!
「覗きに行くほか道はニャい!!」
小川を飛び越え天井を支える柱をくぐり抜け、反対側の洞窟の出口―――今ナルガクルガが居座るエリアの入口に、ニャアは立った。
「にゃふー……」
人影は本当に人だった。血は流れていニャいけど、ぴくりとも動かニャいからやっぱり死んでる?
もうちょっと近寄れば人間の顔も見れるんだけど、ここからだと黒髪ということしかわからニャくて、思わずニャアは1歩踏み出した。
パキッ
そしてこういう時に限って何故か落ちている、折れやすい乾いた小枝。
運命の女神サマは、ほんとうにメラルーには厳しいのニャ……。
足のサイズは4センチもニャいのに、ニャアの肉球はビシバシ小枝の感覚をこの脳ミソに伝えるニャ。ニャんでこういうときに仕組まれたような落ち方をしているのかニャ、この枝。今度木に文句いってやるニャ。決めたニャ。あ、でも木が相手だと文句いっても通じニャいニャ、困ったニャ~。
後に聞くことにはこういう状態を「現実逃避」っていうらしいニャ。
もちろん、目と耳が良いことで知られるナルガクルガもこっちを向いて、ニャア達両者がっぷり四つ! ……ではニャいけど、兎に角ニャアと竜の目が合ったニャ。
―――食われるニャッ
ビビビビッと尻尾の毛まで逆だって、四つん這いに戦闘態勢に入ったニャアは、それでも股の間に尻尾が入るのは抑えきれニャかったニャ。
仕方ニャい。だって、子メラルー風情が、天下の飛竜になんて勝てる訳ニャいんだから。
でも、どういうわけかナルガクルガがニャアを襲おうとはしニャかった。ただ、じっとこっちを見つめるだけ。
いや、そっちの方がむしろ怖いニャ。いつ来るんださっさと食べやがれコンチクショウッて叫びたくニャったけど、ニャにか言葉を発したらこの均衡が崩れそうだったし、そもそもナルガクルガが言葉を理解するハズがニャいんだから、やっても無駄ニャ。ニャア冷静だから分かってるんだニャ。ニャアかしこいニャ。えらいニャ。
―――でも。
「ニャにか……してほしいの、かニャ……?」
竜の赤い目が、そう言っているように感じたニャアは、思わず思ったことを口に出してしまったニャ。ああ、正直なニャアは哀れここで食われて短い生涯を終えるのニャ……なんて考えても後の祭り。せめて立派な戦士らしく、最後は華々しく散るべしとして、むんずと仁王立ちしたニャ。足がくがくだけど、そんニャことはいいのニャ。無視するニャ。
そこでようやくニャアとナルガクルガが向かい合ってるのを見つけた隊長が、焦った声でニャアの名前を呼んだニャ。
「ルイーズ!!?」
パッと隊長に目を向けたナルガクルガの隙を狙って、ニャアは全力疾走したニャ!
「にゃっふー!!」
バキッ
ニャアは全力を尽くしたニャ。一片の悔いもニャいのニャ。……ニャいったら、ニャいんだから!
真横から首に当たったボーンネコピック、ニャアの半年の相棒は、無残に真っ二つにニャった。もちろん、相手の首には傷ひとつニャい。
とうとう目の前でその巨体を見上げるしかニャくニャったニャアは、ぶるぶる震えて赤い目を見たニャ。目だけは絶対にそらすものか。ニャアは、渓流の戦士ニャんだニャ!!
ぱくっと口を開くと、中には鋭い牙がたくさん見えて思わず悲鳴をあげたくニャったけどグッと我慢。戦士は泣き言を言わニャいのニャ。……半分は恐怖でむしろ声すら出ニャかったんだけど、それは置いておく。ちょっと脚色入れるニャ。あ、ここオフレコにしてニャ!?
それで、ズラッと並んだ牙にも動じない勇者ニャニャアは、そのまま首根っこを銜えられてズシンズシンと何処かへ運ばれたニャ。
……にゃふ?
ちょっと想像してた展開と違ってテンパっちゃったんだけど、ぽいっと放り投げられたのはあの人間の前だったニャ。
“めんくい”ニャニャアから見ても中々のイケメンニャ。
黒い髪は自分で適当にハサミで切ったみたいにあちこちぶつ切りにニャってるけど、それもよくわかんニャいけど似合ってるのがまた不思議ニャ。
歳は多分15歳くらいかと思うニャ。仰向けに倒れていて、ハアハアと苦しそうに息をしてるニャ。別にイヤラシイ意味じゃニャいニャ。
「にゃにゃにゃふッッ!?」
不意に後ろから突き飛ばされ(というくらい強くニャアはおされたんだけど、多分本竜は軽く小突いた程度だと思うニャ)、思わずニャアは抗議の声を上げたニャ。今思い返しても、まさかメラルーが飛竜に食ってかかるニャんて、我ニャがら命知らずニャことしたニャあ。
「ニャんニャのニャ!? ニャアは繊細でデリケエトにできてるニャ! もっと優しく扱うニャ!」
ピィィ...
しかもそこで申し訳ニャさそうにナルガクルガが頭を下げるもんだから、ニャアは調子乗って「ふふん」とか腕を組んだのニャ。
「要するに、この死にそうニャ人間を助けろって言いたいのニャ? っていうか、ニャんでニャアの言葉が分かるニャ?」
ピイ?
こっちが首を傾げればあっちも同じ側に首をかたむけ、反対側に傾げれば鏡のように反対に首をひねる。
―――面白いニャ。
「……こいつ助けたら、ニャアのこと食べニャいでくれる?」
うんうんと頷く飛竜。
実はさっきからナルガクルガがアクション起こすたびにびびってたニャアはほっと一息ついて、人間の容態を診はじめたニャ。といっても、ニャアもそれほど詳しいわけじゃニャいけど、怪我はどこもしてニャいし、熱があるだけだから多分風邪、ということにしておいたニャ。よくわかんニャいときは薬草煎じて飲ませるのが一番手っ取り早くて確実って、おっかあが言ってたから間違いニャいニャ。
残念ニャがら、というか当然というか、その時ニャアが風邪薬を持っている筈もニャく、とりあえずいっぺんニャア達の棲家にある薬をとってくることにしたニャ。
ついでにいろんニャところにいる黒毛の同胞はニャアの仲間だから手を出さニャいで欲しいといったら、快くうニャうニャと頷いてくれたニャ。根は良い飛竜ニャ。ニャアはこいつが気に入ったニャ。“しゃてい”にしてやるニャ。
「じゃ、ちょっと待ってるニャー」
キエアア
多分「早く」と急かしているのだろう声を背に、ニャアは駆け出したニャ。もちろんショートカットの為に吊り橋を渡って。隊長は出会い頭にニャアに雷落っことしたのニャ。いつの間にか様子を伺ってたおとうも居るのを見て、ニャアは飛竜よりこっちのほうが寿命が縮まる思いだったニャ……。
「こんの…大馬鹿者が!!」
「お前、無事か!? 怪我は!?」
「ニャいニャ。それよりもおとう、風邪薬が欲しいニャ。人間の子供用ニャ。年は15くらいニャんだけど、あるかニャ?」
「何をのんきなことを! お前今自分がどこにいたかわかってたのか!? 飛竜に食われかけたんだぞ!?」
「食われてニャいニャ。甘噛みで子猫みたいに運ばれただけ。あの飛竜は、多分風邪ひいた人間を助けたいのニャ」
「人間を? 飛竜が?」
そこまで説明が終わった時に、後ろからちょっとイライラが入ったナルガクルガの声が聞こえて、ニャア達3人は思わずびびびびっと来たニャ。
「と、兎に角早く! 一刻も早く人間を助けるニャ! それがニャア達の命も助かる方法ニャ!!」
「わ、わかったちょっと待ってろ!」
持てる限りの薬筒を背負って、おとうは止せばいいのにボーンネコピックを持って尻尾が股に入りニャがらニャアの後をついてきたニャ。曰く、「俺の娘を守るためならっっ! こっ…怖い…ぶつぶつぶつ……」らしいニャ。怖いニャら来ニャくてもいいのにニャあ。
「お待たせしたニャ。今これ飲ませるから、ちょっと待つニャ!」
お腹がぺこぺこの時に薬を飲ませるのは良くないっておっかあが言ってたから、背負ってきた籠からライフルーツを出してぴぴっと皮を向くと、そのまま人間の口に放り込む。大きさはさくらんぼと同じくらいだから、人間の子供でも1口で食べられるサイズニャのニャ。
「噛めるか?」
おとうがじっと見つめてくるナルガクルガをガクガクブルブル睨みながら聞いた。うむ、確かに意識が無いのに果物を噛んで飲み込める訳がニャいニャ。これは困ったニャ…。
ニャアは人間の顎をしっかと掴むと、ガコンガコン言わせながら顎を動かし始めたニャ。これでそのうち飲み込めるはずニャ。ニャア頭いいニャ! えらいニャ!
そんなことしてると、うめき声を上げニャがら人間は自分でライフルーツを噛んだニャ。ほうら! ニャアの思ったとおり! 種も飛ばせるくらいだから、もしかして空腹で倒れてただけかもニャー。
人間が動いたことに歓喜したナルガクルガが、おとうを押しのけてニャアの上から人間を覗き込んだ。
ピィ! ピィ!
(竜って、小鳥みたいな声出せるのニャー)
もう1個ライフルーツの皮を向いて、今度は種もとってやって口に放り込む。そろそろいいかニャと薬と水を流し入れてやったニャ。
「山菜爺さんに作り方を教わって作った、ニャアの里の秘伝の薬ニャ! ありがたく飲むニャ」
「う…、…ん……」
「あとはあったかくして寝てるのがいいニャ、たぶん。そしてそんニャこともあろうかと、ニャアは毛布を持ってきてるのニャ! にゃふふ♪」
よりあったかくしようとして、ニャアは毛布で人間をぐるぐるまきにしたニャ。雑魚寝用の、メラルーが5匹は寝れる毛布だったけど、人間にとってはちょうどいいくらいだったニャ。まったく人間ってでっかい奴ニャ。
「また明日様子を見に来るニャ。雨が降りそうだけど……そこはどうにかしてニャ。濡らしちゃいけニャいニャ。地面にそのまま置いておくのも冷えるからあんまりよろしくニャいニャ、たぶん」
ピィエア!
「うニャうニャ、礼は要らんニャ。ニャアのこの冴えわたった“ずのう”のおかげで、この人間の命は救われた。それだけでニャアは十分ニャ。フッ…」
ピイピイ
「ニャ。一応人間が食べられるようニャ食べ物とか用意しておいた方がいいニャ。病み上がりは果物が一番ニャ」
キュウ...ピィキェアア......
「大丈夫ニャ。飛竜でも取れるようニャ美味しい実がこの渓流にはあるニャ! 背の高いココナツリーとかいう木の実のジュースは、甘くて病人にはやさしいニャ、たぶん」
キエ?
「うにゃ。その実は結構堅いから、飛竜の爪で掴んでも平気ニャ、たぶん。まあダメだったら諦めることニャ。人生あきらめは肝心ニャ」
ピ、ピィ!?
「あ、慌てることニャいニャ! 助かるにきまってるニャ! 秘伝の薬ニャんだから! ニャ!? ニャ!? だから落ち着くニャ!!」
キェ...ピィエア!
「いいのニャ。じゃ、また明日来るニャ! できるだけ人間のことあっためたほうがいいニャ。これはほんとニャ」
ピッ
軽くなった籠を背負って、意気揚々とニャアは歩き出す。うむ、人助けというのもニャかニャか良いものだとニャアは思ったニャ。お礼を言われると心がほっこりあったまるニャ。
「ルイーズ、おまえよく飛竜の言うことがわかったな……」
「なんとニャ~く、ニャ」
その後隊長にことの詳細を説明して、1時間も説経されてる間にいつのまにか土砂降りにニャっていたニャ。あの人間、雨に当たって冷えてニャいといいんだけど。
翌朝、約束通りまたあの飛竜のところへ行った。緊張疲れしたおとうは爆睡中だったから、今度はニャアは1人ニャ。
背中にライフルーツとココナの実を切るナイフをくくりつけていくと、人間はナルガクルガの刃翼の下に転がっていたニャ。というより、ナルガクルガがわざわざ腕がだるぅくなりそうニャポーズで一晩中雨から人間を守っていたニャ。
何かが近づく気配で目覚めたナルガクルガは、それがニャアと気づくと機嫌よさげに挨拶してくれたニャ。
「おはようニャ。様子はどうかニャ?」
額に肉球を置くと、どうやら熱はすっかり下がったようだったニャ。よかったよかった。あとは熱で無くした体力を寝て食って回復させるだけだニャ。
「ココナツリーは見つかったかニャ? おお! こんニャに持ってきたのかニャ! これはニャアもお駄賃として1個もらう権利は当然あるニャ? ……にゃふ~! ありがとうニャ~! 度量が広いニャ! じゃあ早速……ニャ? 人間が先? にゃふー、仕方ニャいニャ。器が“でかい”ニャアは病人相手には怒らニャいニャ。じゃあまずはこいつを叩き起すことから始めるかニャ」
メラルーにとって滅多にありつけないごちそうであるココナの実を1個予約したことで、ニャアの機嫌は急上昇。機関銃のように喋り倒して、ふんふん鼻歌を歌いニャがらぺたぺたと人間の顔を叩き顔を覗き込んだ。またニャアの上からナルガクルガが覗き込む。相当この竜はこいつにご執心だニャ。不思議ニャこともあったもんニャ。
「お~い、起きるニャ~! 朝ニャ~!」
「…ん、……あさ?」
「うニャ。あんたいつから寝てたか知らんけど、兎に角今は朝ニャ。起きるニャ。そしてココナの実をニャアに渡すニャ」
「ここな?」
ぼうっと目を開いた人間の瞳の色は、空よりも蒼い色。“深海”の毛色のメラルーよりもさらに蒼い目は、とても綺麗だったのニャ。マカライト鉱石のように輝いていて、でももっと深い色で……暫くニャアが見入ってしまうくらい。
(きれいな目ニャ~)
「きれいな目だね」
「………ニャ? 今ニャア口に出してしゃべってたのかニャ?」
「え? 君の目の色だよ。金色で、満月みたいにまんまるで。とても…きれいだ」
ぷしゅ~~……
……あの時ほど、この隠密の毛皮に感謝したことはニャかったニャ。
「…そんなこと俺言ったっけ?」
「言ったニャ!! 初対面でこんなキザなセリフが、しかも病み上がりに出るニャんて! まったく旦那は呆れたタラシっぷりニャあ!!」
「悪かった悪かった。多分ぼーっとしてて、思ったことそのまんま言っちゃったんだな。悪かったよ、ルイーズ」
「……全然、全ッッッ然、分かってニャい」
深く、ふかぁく、ため息を吐く。
また何を誤解したのか、笑いながらニャアの頭を大きな掌で撫でた。ニャアはこのあったかい手が嫌いじゃニャいのニャ。だから始末におえニャいんだけど……。嫌じゃないからニャんとも言えニャいけど、誰彼構わずその顔で笑顔を振りまくのはいかがニャものかと思うのニャ。だから弟子2人がぽっくり堕ちたのニャ。
「……この天然タラシ魔」
「はぁ? それは濡れ衣だろう。大体軽い対人恐怖症だったってのに、どうやって人を口説くのさ。……お前、今日何か変な夢でも見たのか?」
頭を撫でる手を止めてニャアを膝の上に乗っけると、今度は首を撫で始めた。にゃふ~、気持ちいいニャ~。思わず気持ち良さにゴロゴロ喉を鳴らす……ハッ!
「だ、ダメニャ!!」
「何が?」
「だからダメったらダメニャのニャ~~!!」
ぷしゅー!!
煙を上げて家を出ていく。
あとに残ったのは首をかしげるナギと、昼寝中鼻先を猛然ダッシュされてびっくりして飛び起きたデュラクの姿のみ。
(これだから旦那は!! ニャアの…ニャアの……)
目は、そんニャに綺麗だったの?
池を覗き込んで自分の顔を見る。見飽きた自分の顔。暗い毛色と、2つ光る金色の目と、空の青。
思い出す、ナギの海色。優しい微笑み。
(君の目の色、すごくきれいだ)
「………………にゃっっふ――――!!」
ぷしゅ~…ばたんきゅ~
その日、ルイーズが家に帰ってきたのは日が沈んでしばらく経ったあとだったとか。
オバハンにだって元・乙女なんだよ。こんな日もあるよ。
乙女になってるルイーズが書きたくなった。……需要はありますか?
読了ありがとうございました。
これで本当に今年度および来年4月ごろまでは更新停止となります。
感想ご指摘、評価はいつでも受付中ですので! というかいつも待ってますので!
よろしくお願いします!!