真剣でオラに恋すんの?GT   作:縦横夢人

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またまた、またッ遅れてすいませんorz
今回ぐだぐだな気がしますが、次の話でちゃんとまとめたいと思います。てか話し進んでねぇなぁ


第7話

 

 

 

「ま、マシュマロたべる?」

 

 悟空の前にいる少女は、そう言って笑顔で右手に置いた白くて柔らかく甘いお菓子――マシュマロを差し出した。普通の人なら知らない少女がマシュマロを差し出してきたことに理解が及ばず呆然とするだろう。

 

「おぉっ! マジでくれんのか? サンキューな!」

 

 駄菓子菓子(マシュマロ故に)、ここにいるのは宇宙一の食いしん坊にして能天気なサイヤ人。そんな不可解なことを露程も考えずにもらっていた。というかすでにおいしくいただいていた。

 

「おぉ!! やっっわらかくてもちもちしてうんめぇえなこれ! もっともらっていいか?」

 

「ッ……うん!」

 

 悟空の催促に少女はビックリしながらも嬉しそうにブンブンと頷いた。袋から二つほど出すと一つを悟空に、そしてもう一つを自分の口に入れた。

 

「んぅん~、やっぱりうんめぇな~これ」

 

「うん、おいしいね~」

 

 そしてまたお互い一緒に食べておいしさに和む。

 しばらくの間これが続いていた。

 

 

 

 しかしおいしそうに食べるその顔を、悟空が一瞬神妙そうに見ていたことに少女は気付いていなかった。

 

 

 

 

「いや~今日は朝メシ食わずに逃げ……オホン、出ちまったから困ってたんだ。サンキュな!」

 

 さて、あれから少し経って二人はマシュマロを食い尽くしていた。さすがに一個ずつ味わっていても二人で食べていたので一袋などあっという間で無くなってしまった。

 

「ありゃ? そういやおめぇ名前何てんだ?」

 

 そこまでやってようやく気付いた悟空は今さらだが名前を尋ねた。彼女はどこかためらいがちに小さい声でポツリと呟いた。

 

「あ、えっ……と……。ボク、榊原……小雪……」

 

「ん? んーと……あかいばら、こゆき? んー……うん! ユキってんだな!」

 

「あっ……うん! ボクはユキ! ユキ……か、えへへ!」

 

 悟空は名前を間違えていたが少女は気にした様子もなく、あだ名のように呼ばれて嬉しそうにしていた。

 

「キ、キミの名前は?」

 

「オラ孫悟空ってんだ、よろしくな!」

 

「ご、悟空……君? よ、よろしく」

 

「はは、悟空でいいって。なんかそう言われっと背中がムズムズすんだよなぁ」

 

「じゃ、じゃあ悟空……でいいかな?」

 

「あぁ!」

 

 お互い自己紹介が終わったところで、少女“榊原小雪”はもじもじしながら尋ねようとする。

 

「あ、あのね悟空? えっと、その――」

 

「うっし、腹もちっとは膨れたし体でも動かすか。修行だ修行!」

 

「え、シュギョー? あの――」

 

「ユキも一緒にやんねぇか?」

 

「ふぇ? あっ、う、うん」

 

「んじゃいこうぜユキ!」

 

 悟空が自然と差し出した手に、小雪はビクッと怯んでしまう。それをじっと見つめ彼女はおずおずと伸ばすが、戸惑いがちに出したり引いたりする。しかし次に出した手を悟空は強引に掴み、駆け出す。 

 

「あ……」

 

 子供ながらにがっちりとした手。しかし痛くないよう優しく包んだ手は、太陽のように暖かかった。

 

「まずは走っぞ、かけっこだ!」

 

「……うんッ!」

 

 前を見て駆ける悟空は気づかない。引っ張られるように後を追う彼女の伏せられた顔がほんのり赤く、濡れていたことに。

 

 

 

 黒い影が差し高らかに鳴く赤い空。やがて闇に染まる手前の時間に二人は川辺の草原に大の字で倒れていた。

 

「ふぃ~やっぱ体動かすのは気持ちいいな~!」

 

「はぁ……はぁ……」

 

 悟空は幾分か余裕を持って寝転んでいたようだが、小雪はきつそうに深呼吸しながら倒れていた。悟空に返すことも難しいほどだ。

 

「やっぱ一人ん時より二人ん時の方がおもしれぇしはかどるな。ユキは楽しかったか?」

 

 悟空が尋ねると、彼女は咳き込みながらも矢継ぎ早に答えた。

 

「ケホっ……うん、うん! かけっこって久しぶりにやったけど……ハァ、楽しかった。これが……ハァ、シュギョーってやつなんだ。ケホッ、何か苦しいけど……楽しかった!」

 

 そこには初めて会った時に見た陰のある作った笑顔とは違う、晴れやかな笑顔が咲いていた。

 

「うん、いい顔だ。何か会った時暗ぇ顔してっからさ、ちっと心配だったんだ」

 

「あ……」

 

 悟空が零した言葉に、少女は顔に手を当て自分が笑っていたことに気付いた。が、その途端思い出したようにまた暗い顔をしてしまう。そして空を見て、別れが近いことを悟った。

 

「……もう、帰らないと」

 

 怒られちゃう。その言葉を寸前で吞み込み、小雪は笑顔で悟空に顔を向けた。――日の光とは違う、暗い笑顔で。

 

「あのね、悟空。ボク達って、もう……“    ”に――」

 

「いっけね、もう帰んねぇと!? ……アイツ怒ってっかも」

 

「――え?」

 

 ブルブルと震えていた悟空はガバっと立ち上がり急いで帰ろうとしだし、思わず固まってしまう。頭は真っ白になり、ついで胸に絶望がおしよせた。

 

 ――あぁ、行っちゃう。また離れていく。

 

 悟空は足や尻についた草を払う。

 

 ――声が、出ない。身体が、動かない。

 

 空を見上げ、やがて大きなビルの方角を向く。

 

 ――たった一言だけでいい。言いたい。聞きたい。

 

 悟空はその道に一歩踏み出し。

 

 ――“    ”に……なって、ってッッ

 

 願いを叶えてくれるだろう“流れ星”に、手を伸ばすこともできず、

 小雪の顔に、一筋流れた。

 

 

 

「“また”な、ユキ!」

 

 

 

 別れ(・・)の言葉が、紡がれた。

 

「……え?」

 

「ん? どうしたんだ?」

 

 思わず放心して丸くなった口から、素直に心が零れた。

 

「……“また”……会ってくれるの?」

 

「んん? なーに言ってんだよ。当たり前だろ?」

 

 

 

 ――オラたち、もう“    ”だろ?

 

 

 

 溜まりに溜まった雫が、溢れ出した。

 たくさんの雨と、うるさいくらい雷が降り注いだ。

 我慢しようとしても溢れ、聞こえてくる。

 赤い空の中で、雷雨が降り注いでいた。

 

 

 

 やがてそれが止むと、お互いに言った。

 

 

 

「じゃあ“また”な、ユキ!」

 

「うん、“また”ね……悟空ッッッ」

 

 

 

 名前を呼び合い、別れ(・・)再会(・・)の約束をする

 

 

 

 それは“ともだち”同士のあいさつだった

 

 

 




はい、てことでフラグ乱立でした。
次回は小雪サイドの想いを描きたいと思ってます。
まぁ次は7話のあまりで構成された……てか本命で書いてたやつですね。
なので速めに更新できると思います。……いやホントですって。
え? 黒バス?……黄ぃーちゃーん、まってろよー!!主人公すぐそっち行くから!!

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