あと感想に書かれていたことに対しての返事と説明をあとがきに軽く書きました。できたら見てください。
ではどうぞ
「あむっ、んぐんぐ、んめぇーなこれ! はぷかぷ、がつがつがつ! おーい、おかわり頼む!」
目の前に気付かれていく山の音に負けないほど大きな声が聞こえてくる。が、その声の主は山に隠れて見えない。呆然と見上げる私達をよそに多くの従者達がせわしなく動き回るが、その間にも山は大きくなり続け止まる様子を見せない。
なんとこれが一人の子供によって築かれているのだから驚きだ。
「がぶっ、むぐむぐ、ずるずるずずー、んぐっんぐっ、ぷはぁ~~」
ラーメンの杯をドンと置き、彼は一息つく。
「ふぃ~、これで腹八分目ってとこか」
腹八分!?……これでッ!!!??
それはここにいる全員が思ったことだろう。
「はっはっは、すげぇなお前。いいぞもっと食え食え!」
いや、やはり一人だけ違うみたいだ。父上は面白そうに手を叩き、追加を作るよう従者に指示する。
どうしてこうなったのかは、私がしたあの宣言の後に戻る。
母が去ったあの後、我慢していた涙が溢れ出してしまう。止まらない涙を拭う私にどう声をかけたらいいのかわからない姉上や兄上に、珍しく父上も黙ったまま見守っていた。
“ぐるるるぅぅぅうう~~”
いつまでも続くかと思われたこの空気を壊すように、獣の唸り声に近い大きな音が部屋中に鳴り響いた。
「はは、わりぃ。腹ぁへっちまってつい……」
発声源は父上と同じように今まで静かだった悟空だった。思わず姉上や兄上はズッコケそうになり、涙目の私でさえもポカンとしてしまう。
「ぷっ、くくく……はっはははははぁ! そうかそうか腹減ったか」
今までの沈黙を破るように父上が笑い出す。もう爆笑だった。
「あっはっはっはっは……!」
悟空も笑い出す。
何故か悟空らしいと思い、私もつい笑ってしまう。
姉上も兄上も、クラウディオやヒュームでさえ苦笑や呆れを含めて笑っていた……気がする。
「まぁさっきの願いは家の問題だったからな。また礼として飯ぐらいは食ってけよ」
父上はそう言って近くにいたクラウディオに指示を出した。
と、そんなことがあり皆で食事をする今に至るのだが……。
ガチャ、カラン……。
「っぷはぁ~食った食った~」
ついに彼の手が止まった時には、数十を超える山が積み上がっていた。もう何人分というより結婚式とかの何式分とかで聞いたほうがあっている気がする。
「おう、いい食いっぷりだった。ところで悟空、これからお前はどうすんだ?」
父の問いにハッとする。そういえば悟空はこの世界では身元不明なのだ。まさかあんな不思議な体験を話すわけにもいかず、私からは何とも言えないので悟空に任せるしかない。一応あのことはあまり他人には言わないよう言っておいたが……。
「ん~オラ今旅してる最中だかんな。いろんなとこ回ってみてぇとは思ってんだ。けど……」
おぉ、上手いこと話を繋げた。しかしそう思いながらも悟空が離れてしまうと思うと何故か胸がしめつけられるような感覚があったが、悟空をここに留めてはいけないという思いがあった。
そう考えていると悟空が言葉を止めこちらを見てくる。そして二カッと笑い言葉を続けた。
「オラ、紋のこと気に入っちまったからな!」
……どこかでブフォッと咽る音が聞こえてくるが、今の私にはそれさえ耳に入らない。悟空の言葉が幾度も頭で鳴り響いているからだ。
「あっはっは、そうか気に入ったか! んじゃしかたねぇな。どうだ悟空、お前ウチに住まないか?」
「ち、父上!! 我は反対です!!……ゴホッ」
父上はどこか面白そうに悟空に提案する。とそこで我慢の限界だと兄上が立ち上がり反対を叫んだ――のどをさすりながら。
「んだよ、別にいいじゃんか。オレも悟空が気に入った!」
「そんな簡単に受け入れてはいけません!! こんなどこの馬の骨とも知れない者を紋白に近づけさせるなど……」
「そうか? 逆にオレはこういうやつと付き合ってくべきだと思うぜ?」
「つ、付き合うなど、父上が認めてもこの我が許しません!!」
「まぁ落ち着け英雄、我もそれはどうかと思うぞ?」
「姉上……」
姉上は落ち着き払って腕を組み目を伏せていた。やはり悟空を警戒しているのだろうか?
「そうだ、付き合うなら一生と決まっている!! ならば我も一生、悟空と付き合ってゆこうぞ!! 我も悟空を気に入ったからな、フハハハ!」
「姉上ぇーーーーーーッ!!!??」
どうやら父上に賛成していたようだ。兄上は叫び崩れた。そんな兄上に私は近付く。
「あ、兄上?」
「も、紋……」
「えっとその、悟空は私を助けてくれた。今度は私が悟空を助けたいのです。ダメ……ですか?」
「うっ、くぅう、ぬぅぉぉおおお……。~~紋がそう言うならばしかたがないッ」
「あ、ありがとうございます兄上!」
「ぬぅ、だが孫よ!! 我はまだ認めたわけではないからな!!」
「いいんか、帝?」
「おうおう、かまうもんか。何より――」
父上はちらっとこちらを見たが、頭が真っ白になっていた私は気付かなかった。
――こいつは紋白に必要なもんを持ってる。まぁそれは紋自身が気付かなけりゃな。なにより、
「面白そうだろ?」
「そっか!」
「そうだ。あぁもちろん条件がある。」
父上は人差し指を立てて悟空に言う。
「なーに、簡単なことだ。紋白の護衛だな。常に近くにいて紋白の身を守ってくれ。といっても勉強とかしてるときは自由にしてもらっていい。まぁ一緒に勉強してもいいがお前さん……」
苦手だろ?と父上が聞くとすぐに頷く悟空。そこですぐに頷くのは人としてダメじゃないだろうか?
「あとはこっちのお願いを時々聞いてくれたらいい。そんだけだ」
「OK! それくらいならオラできるぞ」
「父上!」
『まぁまぁ落ち着け英雄。紋にも同じ年頃の友達は必要だろうよ。悟空本人は武術に自信があるらしいからな。一緒に鍛えて将来九鬼のために働いてもらえば一石二鳥じゃねぇか』
『ぬぅう~~ッ。父上がそう決めたのなら従いましょう……』
父上と兄上はこちらを見ながらひそひそと話している。
「よかったな悟空!」
「あぁ、サンキューな紋」
「えへへ」
「うむ、仲良きことはいいことだ!!」
「ぬぅぅううう、我は、我は……」
「んじゃクラウディオ、悟空に部屋紹介してやってくれ」
「はい帝様。では悟空様、こちらへ」
「おう」
それを期に皆が解散する。そ悟空はこれから屋敷や部屋の説明などで忙しいだろう。それに私は母との約束を反故にしないためにもやり残した課題に取り掛かることにした。
「待て」
と、そこで悟空を呼び止める声がかかる。
いつの間にいたのだろう、ヒュームが悟空の後ろに立っていた。ヒュームの身体的スペックは人外を大きく超えているので自然と納得していた。しかしあの父上や認めた者以外を赤子以下と表しているヒュームが、一体悟空に何の用事だろうか?
「……」
「……」
自然と二人は見つめ合う。いや、悟空は口角を上げ面白そうに、ヒュームは探るような鋭い瞳で睨んでいた。ヒュームの瞳に見られていないのに私の背筋が冷たく感じた。今まで彼が賊を軽く撃退したことは何度か見たことあるが、ここまで警戒しているヒュームは今まで見たことがない。何故悟空にそこまでするのだろうか? 私にはわからなかったが、悟空が心配になり前に立とうと一歩踏み出す。
が、それをヒューム自身が手で制し、そのままその右手を悟空に伸ばす。
「ふっ、心配するな。ただの握手だ。九鬼家への歓迎と、これから紋様を頼むことがあるかもしれんからな。まぁ客人への礼というものだ」
「……そっか、おめぇが紋の“ぼでぃーがーど”っちゅうやつか。よろしくな!」
悟空も素直に右手をさし出す。
このヒュームの行動は私だけで無くこの全員が驚いた。あの誰彼構わず赤子扱いするヒュームが、だ。それに一時驚いていた私達。まぁ“客人にはもてなしを”という九鬼家の家訓があるし、父上が気に入った相手にはそれなりの態度で示すのだろうと己自信で納得していた。
故に気付かない。
パァンッ
――手を合わせた音が、妙に遅れて大きく聞こえたことに。
「……フン」
「……へへへ」
その握手もお互い数秒で終わりヒュームはそのまま部屋を出て行き、悟空はクラウディオに案内されて行った。
どうでしたか?
では感想に対しての軽い説明です。
・こないだ投稿したのは第4話に紋白が×点つけた話と母の形見についての話を付け足したということです。
・ドラゴンボールの知識は万端。ただマジ恋は今ゲーム進行中で、オリジナルが終わり原作に入る頃には全部(とは言わないけどほとんど)クリアできてたらいいなぁと。まぁオリジナル(子供時代編)はまだ長くなると思いますが……。
・悟空のスペックはGTのままです。まぁそれでも最強なのですがなのですが、神龍の力を使わない理由は映画の「神対神」で出てた己自身の力で強くなりたい、って理由で力をセーブしてる感じかな?
こんな感じです。またあとで感想の方一つずつ返して生きたいと思います。
次は黒バスかな?
ではまた( ̄▽ ̄)ノシ