まぁもう一つにシリアス続きって言うのがきつかったので……弱くて自分ですいません。
というわけで、どうぞ
さて、一人の少女に初めての友達が出来て数日後。その友達は今窮地に陥っていた。
「なぁ……」
「……」
「なぁって……」
「……プイっ」
「いいかげん許してくれよ~、紋~」
「……フン!!」
現在九鬼邸の食の間ではこんなことがことが行われていた。悟空が必死に紋白に許しを請い、紋白が怒って知らんぷりといったところだ。このような状態になったのは悟空が小雪と友達になったあの時に遡る。
「~♪」
赤い空でカラスが馬鹿にするような鳴き声を上げる夕方。悟空は小雪と別れ帰宅の途に着いていた。その足取りは軽く嬉しそうだ。それもそうだろう。相手の小雪に友達ができた=悟空に友達ができた、ということでもあるのだ。嬉しくないわけがない。
故に忘れていた。自分が何故ここまで来たのか、家で誰が待っているのか。
「へへ、明日もまた小雪と一緒に修行すっかな~」
九鬼邸までの道のりを半ばまで来ると、悟空はふと不思議な気を感じ取る。知っている人物の、しかし別人のような気だ。だが自分はこの気を以前……それも
疑問を抱くが同時に身体はぎこちなくなり、何故か寒気を感じる。しかし家に帰らないわけにもいかないので嫌な予感をしながら歩いていく。
そして九鬼邸の門前まで来るとその気配はなお強く感じた。いつもいるはずの門番もいない。思わずそろりそろりと抜き足差し足で入る。
が、
「ん?……あ゛っ!!?」
悟空はそれと出会った、と同時に思い出した。そう、あれは――
「フ・ハ・ハ☆ よくぞ……よぉ~くぅ~ぞぉ~戻って来た。
なぁ、ゴ・ク・ウ?」
(ひッ、ひぃぇぇえぇぇえぇえええーーーーーーッッ!!? も、紋が!! ちちちチちっ、
――もんのすご~~~~く怒っている元の世界の妻のように修羅と化した紋白が仁王立ちしていた。それはもうニコニコと満面の笑顔で。まぁその目に宿る冷たい炎と額の青筋、ヒクついている口元が気になるが……。
白夜叉の存在はその身に纏う
その後はもう想像できるだろう。
あえて言うならば、そう、どこかのナメック星人の言葉を借りるのなら、
『サイヤ人にも弱点はあったか……』
で、現在までも続いていると……。といってもここ九鬼邸ではいつものことらしく、従者達は我関せずといった具合だ。まぁ主に対して気安く話しかけないのが普通だ。唯一進言できる世話役のクラウディオだけが微笑ましそうに笑っていた。
「なぁ~頼むって~」
ポンっ
「フン今さら何を言っても遅い!」
ナデナデ
「これまで何度言った、ことか」
ナデナデナデナデ
「今度と言う、こんどは……ゆるさん、から、な……」
ナデナデナデナデナデナデ
「きい、てる……の、…………ふにゃ~~」
「おーよしよし。な? 許してくれよー」
「あぅ、まったく~……ふみゅ、しょうがないな~」
そしてこうなるのもいつものこと。最後は悟空の超必殺技『ナデポ』に紋白はやられて許してしまう。
これも悟空の白い友達から言葉を借りるなら、『マシュマロや雲みたいにフワフワやさしく撫でてくれて、太陽みたいにポカポカしてあったかいの……』らしい。
今度はクラウディオだけでなく従者達も、まさに孫を見るような目で微笑ましく見ていた。
「フハハハ! おはよう紋……し、ろ……ぬぅぁあああぁあああああッッ!!? なっ、何をしておるか貴様ぁッ!!」
「フハハハ! おはようだ紋白……ふむ、いつも通り仲が良くてよろしいな! ハッハッハ!」
と、そこに九鬼家長女と長男のが起床してきた。が、最近妹の紋白と悟空のホロ甘なやりとりに兄としてムカムカしている英雄は割って入り、揚羽はお得意の超マイペースで嬉しそうに笑っていた。
これも悟空が来てからここ最近の日常としているので割愛する。カオスすぎるので……。
「いいか、悟空。紋と仲良くやるのは構わない。だがしかし節度というものをだな―― 」
「フハハ、まぁいい加減落ち着け英雄よ。そのセリフはもう四回目だ。今は朝餉の時間であるからおとなしく食せ。というか悟空聞いてないぞ……」
「んむぁ? ぶぉ! ぶぅいてるびぃてぶ……ずるずずーーーーッがつがつんぐんぐ……」
「あぅあぅあぅ……」
あれからまた時は過ぎ、やっと朝食の席に着いた四人は未だにカオスってた。一応食事をつつあるので“先程よりは”落ち着いたようだ。“先程”のことはまた今度見られると思うので置いておくとする。唯一話し声以外は食器のカチャカチャ……失礼、一人のガチャガチャとした音だけが響いてた。これもまた従者達には慣れたものでバケツ作業のように回収されていた。
ちなみに全くの余談だが、九鬼邸に大型の冷蔵庫並びに冷凍庫が複数増えたことをここに記す。
「おぉ、そういえば言い忘れる所だった。お前達、近くに我らが九鬼と懇意にする家の主催する大きなパーティーがある。それにお前達も全員参加するので準備をして置けよ」
「ハッ、わかりました姉上」
「了解しました。というわけだ悟空。貴様はその間家でおとなしく――」
「ん? 何を言っている英雄よ。悟空も行くに決まっているではないか」
ピシっと固まる英雄と紋白。言われた当の本人は未だにラーメンにむしゃぶりついていた。てか朝からラーメンって……(汗。
「ほ、本当ですか姉上!? よかったな悟空よ!」
「なッ、ならん!! ならんならんならんなりませんよあねうえぇえッ!!!? こやつは我ら九鬼とは全く関係ない赤の他人。そのような者をパーティーになど、恥をさらすだけです!!!!」
「……英雄よ、それ以上語るな。これは我が九鬼代表として出るために父上から出された条件、言わば父上の言葉よ。それに一応悟空は紋の護衛ということになっている。まぁそれも我がいるから心配いらぬことだがな。フハハハハ!」
「なッ、父上が!?」
その言葉は自分が次代の九鬼を担う者として周りに示すため揚羽がそのパーティーに出ることを父親の帝に進言し、それを許可した帝が最後に条件として付け足したものだった。
「くッ、父上のお言葉では仕方が……ない……」
がっくりと膝を突く英雄。その横では紋白が嬉しそうに悟空に語っていた。紋白にとってはこれほど大きなパーティーに参加するのは初めてのことだった。しかも悟空が一緒にとなると、紋白に恐いものはなかった。聞いている悟空本人は食事に気が向いていて生返事しか返していないが……。
「ふむ、決まったな。ではそれまで自分を励んでおけ三人共! フハハハハ!!」
こうして悟空のあずかり知らぬ所で(というか本人がちゃんと聞いてないので自業自得というべきか)大きな出来事に遭遇しようとしていた。
しかしこの時揚羽は、英雄は、紋白は知らなかった。このパーティーによって運命に大いなるうねりが生じることに。誰も気付かなかった。
だが“孫悟空”がいる。それだけで、安心できるのではないでしょうか?
「パクパクもぐもぐガジガジちゅーちゅーはぐんぐゴっっっクン……おーい、おかわり!」
「しかし相変わらずよく食べるな悟空は……私もお腹いっぱいになってきた」
「……あれでも連れて行くのですか?」
「……うむ、勉学の方にマナーも追加しておこう。パーティーに間に合うよう念入りに……な」
また一つ聞きたいのですが、サブタイって何か言葉付けたほうがいいですか?
自分も他の人の作品で時々気に入った話が何話かわからなくなる時あるんで……。