居酒屋で愚痴を聞くだけの簡単なお仕事です   作:黒ウサギ

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明日からイベントが始まりますね(デレステ)
因みに、お恥ずかしお話ですが私は今までデレマスアニメ見た事ありませんでした。東北地方に何の恨みがあるんだ
で、昨日22話を見る機会があったんですけど終始ニヤニヤが止まりませんでしたね。文香さん喋りましたし。感無量
島村さんが頑張れませんロボになったのが不安ですが、円盤購入したいですね。


鷺沢文香:if 9

千川さんに声をかけられ、人目が付かない所でお話しませんかとお誘い頂き、文香さんと共に敷地内である俺達しかいない部室に行くことになった。余談であるが、文香さんと付き合うことになって直ぐに文学部に入部した。文香さんに少しでも一緒にいたいと言われて断れるわけが無い。寧ろ喜んで聞き入れた。

 

それはさておき、何故他学部である千川さんが話をしに来たのか疑問であったが、美嘉ちゃんの名前が出ていたことから彼女が何かを話していたのだろうと納得する。

 

「それで千川さん。お話というのは?」

 

千川さんと向かい合うようにして座り、文香さんがお茶を出し、俺の隣に座ったのを確認して話を切り出す。

 

「美嘉ちゃんからお話を伺いました。何でも同居している事を知られてしまい迷惑しているとか」

 

「迷惑…」

 

迷惑だとは告げた記憶は無いが、愚痴をこぼしたのだ。そう捉えられるのも妥当である。

迷惑とまで行かないが、少しは自重して欲しい。

その考えを千川さんに告げると、向こうが急に立ち上がり謝罪してきた。

 

「この度は私達の事情でお2人にご迷惑をおかけして申し訳ありません。」

 

急な謝罪にこちらも慌てて立ち上がる。

 

「せ、千川さんが謝る必要はありません!美嘉ちゃん莉嘉ちゃんがアイドルになった時に、こういった事になる可能性を考えていなかった自分の責任ですから」

 

「それでも、ご迷惑をおかけした事には変わりません。何処からかそう言った情報が漏れたかは分かりませんが、こちら側としては最大限貴方達に礼を尽くすつもりです」

 

こちら側…?礼を尽くすつもり…?

一体どういう事なのかと尋ねると、何でも無関係の一般人に迷惑をかける事を良しとしない上層部が、同じ学校にいる千川さんに話をして来いと言ってきたらしい。それを聞いて何処まで話が大きくなっているんだと少しだけ恐れてしまう。どこぞの雑誌に取り上げられるような話になっていない事を祈りつつ、千川さんの話を聞き続ける。

 

「美嘉さんからお聞きしたと思いますが、こちら側が出来る事は大したことではありません。精精、新しい住居を紹介する程度でしょうか」

 

その言葉を聞き、持ちかけていたコップを落としそうになる

住居を紹介する事にも驚きだけど、美嘉ちゃんからそんな話は一切聞いていない。それを告げると千川さんは何とも言えない顔をして、苦笑した。

 

「私はてっきり美嘉ちゃんが全部お話をしてるものだと…。住居の紹介も美嘉ちゃんが出したお話何ですよ?」

 

更に驚かされる。美嘉ちゃんは何を考えているのかと…。もしかしなくて、一緒に過ごすことに苦痛でも有るのだろうか。そんな考えが浮かび、少しだけ凹んでしまう。まぁ振られた相手と1つ屋根の下、と言うのは堪える物なのかも知れない。それなら納得なのだが、何でも引越し資金+新しい住居の敷金礼金を346プロダクションで出してくれるらしい。唖然呆然である。流石にそこまでする理由も無いはずなのだが、何故なのか

 

「こちら側としても、2人のアイドルと同居している男性がいる。と言うのは余り良しとする事は出来ません。」

 

私は家族何だし気にする必要は無いと思うんですけどね、彼女さんもいらっしゃるようですし。と笑いながら千川さんは文香さんを見る。

そんな文香さんは、先程からこの話をそこまで重要視していないようで、我関せずと言わんばかりに読書に集中している。以前同居している事に不安は無いのかと聞いてみた事があったのだが、彼女は微笑みながら「信じてますから」と言ってくれた。思わず抱きしめた俺は悪くないと思う。強いていえば可愛すぎる文香さんが悪い。でも、抱きしめて「早すぎます」と直ぐに離れられたのはショックだったが。

 

閑話休題(それはさておき)

 

話を戻そう。

そこまでしてくれるのであれば、こちらとしては願ったり叶ったりなのだが。城ヶ崎さんの許可無く話をしてもいいものなのかと考えてしまう。

そんな自分の考えなんてお見通しです。と言わんばかりに

 

「既に美嘉さんのご両親から、許可は貰っています。後は神楽さんが如何するか、それだけです」

 

当事者のいない内に話が進んでいることに何とも言えない気持ちになるが、城ヶ崎さんの事である大人として自分で考えろと言いたいのかも知れない。飽くまで自分の予想であるが

 

「それに、新しい住居でお2人が同棲なさるのも良いと、私は思いますよ」

 

ポン、と手を叩き彼女はとんでもない事を言い出した。

それと同時に、隣の文香さんが本を落とす音が聞こえた。

恐る恐る横目で文香さんを見れば、やはりと言うか顔を真っ赤にして口をぱくぱくとさせて落ち着かない様子。

ですよね、と少しだけ落ち込んでしまう。彼女は奥手である。恥ずかしがり屋である。イキナリそんな事を言われてしまえばこうなってしまうのも分かっていた事だ。

 

「まぁそれはそちら側のお話ですので、私が深く関わる必要もありません。で今回はこのお話をしたかっただけです。色々と考える時間が必要だとは思いますので、纏まりましたら美嘉ちゃん経由で私にご連絡ください」

 

立ち上がり、失礼します。と告げて彼女は帰っていった。取り残されたのは未だ顔を真っ赤にしている文香さんと、俺だけ。

 

「文香さん?」

 

呼びかけると、びくりと体を震わせてゆっくりとこちらを見てきた。

可愛いなぁ…。たまに文香さんが本当に自分の彼女なのかと疑問に思う時がある。自身は不釣り合いなのでは?何て

 

「文香さんがさ、良かったら何だけど、一緒に暮らす事とか、無理かな…」

 

その言葉で、先程よりも顔を赤らめてこちらを見てくる彼女。まぁ無理な話か。と自分で言っておきながら考える。そもそも、彼女は今は叔父の家にお世話になっている身だ。いきなりこんな事を言われても困惑してしまうし、彼女のご両親にも話をしないといけないだろう。

そう結論して、一言謝り立ち上がろうとして

 

「文香…さん?」

 

袖を掴まれた。

立ち上がりかけた腰を下ろして、彼女が話すのを待つ。少しだけ無言の時間が過ぎて、文香さんが口を開いた

 

「い、いきなりで…少しだけ驚きました…。でも、何時までも…このままではいられない。私は、そう思うんです…」

 

うん、と頷き続きを促す。

 

「だ、だから…。悠人さんが、良いのであれば…。一緒に暮らしたいです…」

 

うん…うん…!?

 

「え、その、いいの?」

 

コクリと、頷く文香さん。まさか彼女が良いと言うとは思ってはいなかったので物凄く驚いた。

 

「でも…叔父さんがダメって言う可能性も…」

 

「大丈夫です、説得します」

 

そう告げた彼女は、今まで見た事無いほど、決意を秘めた目をしていた。

 

「私だって、悠人さんと一緒に居たいです。好きな人と、少しでも長く同じ時間を過ごしたいんです。だから、これだけは引けません」

 

その言葉に、思わず涙ぐむ。そこまで想われていた事に嬉しくて、そこまで考えていた事に嬉しくて。

だから文香さんを抱きしめる。また早すぎますとか言われるかも知れないけど抱きしめる。

でも今回は、彼女は1度だけ、宙に浮いた手を震わせて、ゆっくりだけど抱きしめ返してくれた。

 

「悠人さん、私今、すっごいドキドキしてます。聞こえてますか、心臓の音。勇気が沢山いる事したので、こんなにドキドキするの、初めてです。」

 

「うん、聞こえる」

 

「私、もっと勇気出します。お父さんもお母さんも、叔父さんも叔母さんも説得します。だから」

 

--私と、暮らしませんか?

 

その言葉を聞き、涙が溢れ出した。そんな俺を文香さんは慰めるように抱きしめて来て、涙は一向に止まる気配を見せない

 

「ありがとう…ありがとう文香さん…」

 

「ありがとうなんて、言われる必要は無いですよ。好きな人と一緒に居たい。それはとても普通の事だと思います」

 

背中を撫でながら、彼女は続ける

 

「だから、勇気を出すんです。悠人さんの方は知らぬ間にですが、お話が纏まっているようなので、後は私が頑張る番です」

 

「それでも、ありがとう…文香さん。俺、凄い幸せだ…」

 

「私も、悠人さんと居れて、幸せですよ…」

 

--だから

 

軽く触れるだけの、それでもハッキリと解る口付け。文香さんから、彼女からしてきた口付け。

 

「私を、離さないで、これからもずっと一緒に居てくださいね、悠人さんっ!」

 

真っ赤な顔のままの笑顔を、俺はずっと忘れない。




さてと、真逆の文香if終了です。
本当は神楽と文香ダブルで業界デビューさせようかなと考えていましたが、風呂敷畳めねえなこれって事で、別の終わりにしました。個人的にはこの終わりで満足です。
読者の皆様からすれば余り受けがよろしく無いかもしれませんが、これにて文香if終幕です。書ききれて満足です。
次回からは、分岐点からの美嘉ルートに入ります。お楽しみに

皆様の感想お待ちしております。皆様の感想が黒ウサギのエネルギーになります。

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