居酒屋で愚痴を聞くだけの簡単なお仕事です   作:黒ウサギ

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ここから新しいストーリーになります。
簡単に言えばルート分岐前みたいな感じ

小悪魔文香ちゃんに見ちゃったらもう、どうにも止まらない。仕方が無い。


鷺沢文香:始

聞いて驚け、見て笑え。

家が全焼した、ワロス。

放火されたわけであり、犯人の動機はむしゃくしゃしてやった。ワロス。

当時買い物に出掛けて俺は、肉体的被害は皆無だが身体的被害はでかい。両親はベガスに既に移り住んでおり、二人の私物と言ったものは存在しなかったのだが、俺の物はびっしりだったので詰んだ。

貯蓄は有るし、保険にも入って居たので生活に苦はないが思い出が消えた。長年使い続けて居た包丁も、学生時代の思いでも何もかも。

 

 

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少しの間、友人のPの好意に甘え仮眠室で暮らすことになった。なんでも今の俺を一人にさせると何が有るかわからないとのこと。

確かにもうゴールしてもいいよね。って感じだったのでかなり危ない心境だったとは思う。

多くのアイドル達にも励ましてもらい、幾分か落ち着いたことで引っ越して仕事を探そうと思い立った所

 

「ティンときた。」

 

と社長に言われた。遂にアイドルデビューするのか俺は。

なんてことは無かった、事務所拡大につき食堂を設立するらしく、そこで働かないかと打診を受けた。渡りに船である。仕事を探したとしても料理しか取り柄がないので直ぐにOKした。

 

cafe『シンデレラ』のオープンである

居酒屋からカフェとか聞いてないよ……

 

 

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作る料理が洋食寄りになった以外は特に変わりはない。

焼け落ちた家の中から包丁の刃が見つかったので、それを使用した包丁を打ち直してもらったくらいだ。

 

「すいません……、オムライスお願いします」

 

「はいさーい。文香ちゃん本当にオムライス好きだね」

 

アイドル達が多く所属しているため、暇はない。

と言うのも仕事が終わる時間帯が不定期なので夜中以外は朝から営業している。それも従業員は俺だけ、もしかしなくてブラックかもしれない。たまに響子ちゃんや料理の得意なアイドルが手伝ってくれるので成り立っている。ただし橘お前は帰れ。

 

「子供っぽいかもしれないですけど……優しい味がして、昔から好きなんです」

 

小さな口でモキュモキュと食べる文香ちゃんに物凄く癒される。

彼女は本の虫である。初めて見る本屋を見かけると必ず立ち寄り、時間を忘れるほど本を物色する。

そんな彼女は今も本を読んでいる。食事中に行儀が悪いとも思うが人それぞれだ。中には「ロックですから!」なんていいながらヘッドバンキングしながら食べたやつもいた。取り敢えず折檻しておいた。

何の本を読んでいるのか気になったのでカウンター越しに覗き見ると、彼女にしては珍しくライトノベルを読んでいた。

 

「珍しいね、文香ちゃんもそう言うの読むんだ」

 

「あ、これはですね。奈緒ちゃんに勧められて読んでるんです。とても面白くて、今は読み返している所で……行儀が悪いですよね、すみません…」

 

「あぁ、別に行儀が悪いって指摘したいわけじゃ無くてさ、何を読んでるのかなーって疑問に思ってね」

 

先も言ったがその程度可愛い物である。「世界レベル!」とか言いながら踊りながら食べてたやつも居るし、まだまだ可愛いもんだ。取り敢えずそいつにも折檻しておいた。

 

「今読んでいるのは『ヒカルが地球にいたころ……』何ですけど……、登場する全てのヒロインの子が可愛くて、その中でも私は葵の上と呼ばれる左乙女葵と言う子がとても可愛くて可愛くてっ……すみません。本のことになると昔からこうで……」

 

「懐かしいなぁ、赤木の鈍感っぷりには俺もヤキモキしてたもんだよ」

 

「!読んだことあるんですかっ」

 

食い気味に反応した彼女に驚きながらも話を進める

 

「お、おう。個人的には葵の上も良いけど、夕顔の主役の奏井夕雨との恋模様が一番かなー」

 

「夕雨ちゃんいいですよねっ、そんな彼女に恋する頭条さんも素敵で……ふふ」

 

突然笑い出した彼女に、ドキッとしてしまう。

 

「奈緒ちゃんとは、最近仕事の都合上会って話をする機会が少なくて……なのでこうして話が出来て楽しいですっ」

 

「俺も奈緒ちゃんとは最近こんな話してないなぁ、荒木先生も忙しいのか最近見かけないし…」

 

「で、でしたらっ私じゃダメですか?」

 

「ダメって……話し相手として?」

 

「そうです……」

 

「こんなおじさんでよければ喜んで!と言っても俺文香ちゃんと会話出来そうなのってライトノベルぐらいだよ?」

 

なんか賞取った本は読むには読むけど、俺のオツム的には余り合わない気がするのだ。

 

「最近は私もこう言ったのしか読んで無いので……」

 

「そっか、じゃあよろしくね」

 

「はいっ、よろしくお願いします……」

 

 

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日曜日は三時まで。何故かは知らないがそう決まっていた。

やることも無く、事務所近くに引っ越した自室にてのんびりゲームでもやりながら過ごそうかなと思い、新作を求めて少し遠出しようと思ったのだが。

 

「あ、神楽さん……」

 

「ん?文香ちゃんか、仕事終わり?お疲れ様」

 

文香ちゃんがちょうど事務所に戻ってきた。基本的にお店の鍵は事務所に預けることになっているのでこうしてアイドルと鉢合わせしたりする。

 

「ありがとうございます……。神楽さんもお仕事お疲れ様です」

 

「あーありがと。なんか誰かにお疲れって言われたの久しぶりだから照れるなー」

 

「でしたら、こうして会うことがあるなら私は言いますね?」

 

少しだけ、その言葉で嬉しくなって顔が赤くなる。

そう言った彼女は笑顔だったのだ。仕事の都合なのか前髪を上げており、目がちゃんと出ている彼女を直で見るのは初めてだった。だから、こんなに嬉しいのか…?

 

「どうしました?」

 

彼女が視線を下げ、見上げるようにこちらを見つめてくる。今度は恥ずかしくなり慌てて顔を背けてしまう。

 

「なんか事務所暑いね!汗かいてきた!」

 

「そうでしょうか……、私は外が寒かったので丁度良いと思います……」

 

そう告げた彼女の服装だが、肩を大きくさらけ出したセーターを着ている。白いセーターを着ている彼女を初めて見て、何時もと違う感じに胸が高鳴る。

 

「そっか!じゃあ温まってから気を付けて帰ることを勧めよう!ではっ!」

 

早口で挨拶を終わらせ、事務所を飛び出す

 

「あっ、また明日……」

 

最後に彼女の声が聞こえたが、耳には届かなかった。




艦これ作品も挙げたのでそちらもよろしく。
クールが続いてしまった。
後悔しながら公開します、ふふ。

ヒカルが〜は全部読み終えてます?葵の上とくっついて欲しかったけど!けど!
朝ちゃんも可愛いしもうまじ聖典

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