居酒屋で愚痴を聞くだけの簡単なお仕事です   作:黒ウサギ

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第3話

 

 

 

 

 

「Live対決?なんじゃそりゃ?」

 

 Pが突然訳のわからんことを言い始めた。いやまぁなんとなくはわかるんだけどさ・・・・・・

 

「ほら、卯月に未央に凛の三人で『NG』として売り出すっていったろ?」

 

「あぁ本当に『NG』採用されちゃうんだ・・・・・・」

 

「いい名前じゃないですか『ニュージェネレーション』私は好きですよ?」

 

 ニュージェネレーション。直訳すれば新世代。俺としてはモバマスから取ってきてしまった名前なので少し後ろめたい部分があるのだが・・・・・・

 

「新世代・・・・・・。いいですよね、とても神楽から出てきた発想だとは思えないほどに!」

 

「そうですね、あの神楽さんからこんな言葉が出てくるなんて・・・・・・、私感激です!」

 

「お前ら今日の料金倍額な。」

 

「「鬼!悪魔!」」

 

 この台詞の最後に『ちひろ!』が入るようになるのはいつになるのだろうか・・・・・・

 

「まぁ話は戻すけど・・・・・・Live対決させるのに不安でもあんのか?」

 

「いやいや、不安なんてあるわけないじゃん。俺はあの子達を信じてる。それにあの子達は期待に答えてくれる。」

 

「Pさん臭いです」

 

「鬼!悪魔!ちひろ!」

 

「鬼と悪魔と同列にされる私に謝ってください!」

 

 むしろお前と同列にされる鬼と悪魔に謝ってください。エナドリ・スタドリ売ってんのかなこいつ・・・・・・

 

「まぁ落ち着けお前ら。不安がないならP、何で話題に出してきた?」

 

「えっとですね・・・・・・、こちらにLiveのチケットがありまして・・・・・・」

 

「つまり買えと?捌けと?」

 

「そこまで俺はちひろになったつもりはねーよ」

 

 鬼=ちひろに違和感がなくなってきてるな・・・・・・

 

「んじゃ何か?くれんのか?」

 

「そそ、お前にも俺がプロデュースしたアイドル達の晴れ舞台を見に来てほしくてな!」

 

「つまり自慢したいってことか・・・・・・。日程はいつよ?」

 

「来てくれんのか!ありがとう!日程はチケットの裏面に書いてあるからよろしくな!それじゃ俺今日はここら辺で帰るよ!」

 

「おー、頑張れよー」

 

 元気よく走り出したPを見送り千川に目を向けると一人黙々と刺身を食べていた

 

「んで?お前は何で荒れてんだ?」

 

「聞かなくてもわかるでしょうに・・・・・・」

 

「そりゃまぁね・・・・・・。アイドル達のPに接する態度とかそんなとこだろ?」

 

 千川の片思いは学生時代から続いている。根気強いなとは思うがいかんせん相手がPだ。やつは何故かモテる、物凄くモテる。どのくらいモテるかと言えば無愛想でツンツンしてる女性がPにだけはデレッデレになる、もちろん俺には養豚所の加工される前の豚を見るような目で見て接してくる。思わず違う何かが目覚めそうだったあの頃・・・・・・。前世で例えるなら『橘 ありす』がいい例だろう。多分この世界でありすちゃんと出会わせたら二日くらいで『名前で呼んでください』となるに違いない。モテ期ってレベルじゃねーぞ!

 

「お前も苦労してんのなー」

 

「苦労しないわけないじゃないですか・・・・・・。なんとかエナドリ・スタドリで気を引いてるっていうのに・・・・・・」

 

「え、まじで売ってんの?」

 

「?そりゃぁ売らなきゃ私の生活も苦しくなりますし。というかエナ・スタドリご存知だったんですね。」

 

「あー前Pに聞いたんだよ。」

 

 前世で大変お世話になりましたとか言えるわけがない

 

「でも千川・・・・・・」

 

「何ですかそんな思いつめたような顔をして・・・・・・。」

 

「それって千川にとってPは金づるってことにならね・・・・・・?」

 

「告白なら受つけ・・・・・・今なんと仰いました?」

 

「おっと、そろそろ閉店の時間だな。店閉めるからお開きな!」

 

「おい待て!私の何だって!?Pさんがなんだって!?」

 

 夜はまだ長いようです・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時間が経つというものは大人になればなる程早く感じるもので、つまり何が言いたいのかというと

 

「Live当日である」

 

 いやードキドキしてきた。生でLive見れるとかまじPに感謝しなければならん。Pからチケットもらった後にネットでちょっと調べてみたらなんと売り切れときたもんだ。初Liveでチケット完売は滅多にないらしくPが張り切ってた理由も頷ける。

 さてここでLiveバトルについておさらいしておこう。まずは誰と対決するのか?それはライバルプロダクションのアイドル達と。どこのプロダクションにも三つの属性がある『パッション』『キュート』『クール』の三種類。NG組に当て嵌めるならパッション=ちゃんみお。キュート=島村さん。クール=渋凛。と、いった感じで相手プロダクションの同じ属性のアイドル達と歌と踊りで競い合うのだ。Live終了後に会場入りする前のお客さんにスイッチが渡されるのでどちらのプロダクションがよかったのか選んでもらうことになっている。金かかってるよなーほんと・・・・・・。

 

『これから入場になりまーす!押さないでくださいね!走らないでくださいね!絶対ですからね!』

 

 つまりやれということだろうか・・・・・・

 

 

 

 

 会場入りする前にPに出会った。向こうも此方に気づいたらしく駆け寄ってくる

 

「ちゃんと来てくれたんだな、ありがとう!」

 

「もちろんよー。Live終わったらうち貸してやるよー。今日お店閉めてきたからなー」

 

「当然やるのは」

 

「「祝勝会!」」

 

 二人してクスクス笑っているとスタッフがPを呼びに来た。そろそろ時間のようだ

 

「それじゃあP、頑張れよ」

 

「神楽も楽しんでいってくれよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ――アイドルLive中

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 会場の熱気は凄まじい物だった。アイドルが踊りにあわせる様に観客も動き、アイドルの歌に合わせるように観客も歌う。お前らいつの間に練習してきたんだよと突っ込みを入れたくなるほどに統率の取れた動き。正直感服した

 

 

 Liveも終わり結果待ち。集計している間に各アイドルが近況など些細な事を話したりする時間。相手プロダクションの話が終わり今度はPのプロダクションの番なのだが・・・・・・。ちゃんみおと島村さんが渋凛を前に前にと押し出して、渋凛が渋っているご様子。渋凛だけに・・・・・・

 

『えっと・・・・・・。皆さん本日はご来場いただき真にありがとうございます』

 

 踏ん切りがついたのかあまり大きくない声で、それでいてしっかりと響く声で語り始める渋凛。

 

『行き成りマイクを渡されて話をしろと言われましたが何を話せばいいかよくわかってません。ですので私が話したいことを話させてもらいます。私がアイドルになった理由』

 

『私、いえ、私達がアイドルになった切欠をくれたのはプロデューサーでした。学校帰りに暇を潰すために適当に歩いているところに声を掛けられ『君、アイドルに興味ない?』といきなり名刺を渡されました。未央も卯月も同じ感じだったらしいです。そのときは行き成りだった事もあり不審者ではないかと少し怖かったりもしました』

 

『興味が湧いたら連絡をくれと渡された名刺。私はお母さんに聞いてみました『もしもあたしがアイドルになりたいって言ったら反対する?』お母さん『凛が自分からやりたいって言うなら私は反対なんかしないわ』そう笑いながら応援してくれました。正直今でもアイドルの仕事をあんまり理解していません。でも興味が湧きました』

 

『名刺に書かれてある番号に連絡するとすぐにプロデューサーは時間を空けて私と話をしてくれました。『君はきっと輝ける』『俺が君をトップアイドルにしてみせる!』今思い出してもよくこんな恥ずかしい言葉を言えるなと笑いが込み上げてきます』

 

『凛ちゃんも言われたんだ・・・・・・』『私達も同じ事言われたよねー』

 

 Pまさかの三股発覚?

 

『・・・・・・プロデューサーの馬鹿。ゴホン!それでも私はその言葉を信じて、彼が私達をトップアイドルにしてくれると信じて付いていきたいと思います』

 

『プロデューサー、これからもよろしくお願いします!』

 

『ファンの皆さん、これからも応援よろしくおねがいします!』

 

『ニュージェネレーション、渋谷凛でした』

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 「「「「「かんぱーい!!」」」」」

 

ガチャンとグラスのぶつかる音が響く

 

「やー初Liveで初勝利おめでとさん」

 

「バニラさんも来てくれたんだね。ステージから見えてたよ」

 

「渋凛お前目良いのな・・・・・・」

 

 というかバニラさんってなんだよ・・・・・・

 

「でも凛ちゃん最後のお話告白みたいだったねー」

 

 島村さんが笑いながら話しかける。千川やめろグラスが割れる

 羞恥で顔を赤く染めながら、誤魔化すためにグラスを傾けお茶を飲む渋凛。

 

「それもすごかったけどプロデューサーに物申す!」

 

「ん?俺なんかしたか?」

 

 一人会話からはずれ山盛りサラダを貪っていたPが顔を上げる

 

「三人同時に口説くとか男として恥ずかしくないんですか!」

 

 ぶーっ!とPが口に含んでいたサラダが千川の顔に降り注ぐ!

 

「く、口説くっておま!年頃の女の子がそんなこと言うんじゃありません!」

 

「でも私達三人に同じことを言ったのは事実ですよね?」

 

「ぐ・・・・・・まぁそうだけどさ、あの時は俺も精一杯だったと言いますか」

 

「いい機会ですからはっきりさせましょう!プロデューサーさんは誰が一番輝けると思ってるんですか?」

 

 島村さんの質問で静寂が場を支配する。Pがアイコンタクトで救助を求めてくるが馬に蹴られる程どMではないので華麗に無視する

 

「ほら千川、さっさと顔拭け。いつまで見せられない顔でいるつもりだ」

 

「み、見せられない顔とはなんですか!?年頃の乙女に向かって何たる言い草!」

 

「え、乙女?どこに?」

 

「くぅ~~!皆して私をいじめて!」

 

「プロデューサー答えてください!」

 

「私もPさんの一番が誰なのか気になるな・・・・・・」

 

「私か未央ちゃんか凛ちゃん・・・・・・誰が一番なんですか?」

 

 頑張れP、お前の事は忘れない。しかし女三人寄れば姦しいとはよく言ったもんだ。一人既に脱落しそうなほど飲んでるやついるけど・・・・・・、おい千川ぁ!サーバーから直接飲むなや!

 

 ふぅ、これ以上放っておくと店の備品壊されかねんな・・・・・・

 

「ところでP、聞いてなかったけどお前んとこのプロダクションなんつー名前なの?」

 

 壊される前に助け舟を出す事に

 

「助かった神楽!プロダクション名お前調べてないのにLive参加したのか・・・・・・」

 

 いやほら、本人の口から聞いてみたいなって・・・・・・

 

「プロダクション名は・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『シンデレラガールズだ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




オチとかほんと適当でごめんなさい。シリアスとかも苦手なんですごめんなさい。感動させる文とかも苦手なんですごめんなさい。


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