居酒屋で愚痴を聞くだけの簡単なお仕事です   作:黒ウサギ

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第17話

ヒロインとは何か

この質問の答えは多種多様である。

良妻であることと言ったアイドルがいた。僕のように可愛いことですね!と言った輿水がいた。ヒロインはひろいん(酷いん)ことされるんですよ…ンフ。と言った25歳がいた。もうやだこの事務所…

 

話を戻そう。女の子はアイドルに憧れるし、物語のヒロインにも憧れる。346プロにもそんな憧れを持った女性陣が多く存在する。五十嵐響子…あ、違うわ。あの子の憧れは奥さんだもん。佐久間まゆ…あ、はい。ごめんなさい。あれ、該当者…いなくね?

この話題やめとこうか!

 

 

 

 

 

 

 

「最近周子ちゃんの様子がおかしい」

 

いつも通りボーっとしていたと思いきや、物凄く真剣な表情で何かを考えていたり。お風呂上がりに食べるアイスを食べなかったり。たまに絡めてくるレベルが高いセクハラ的な冗談が無くなったことで俺のテンションも下降する。ハグハグしてくれてた時には心がぴょんぴょんしたのに…

 

「早苗さんこの人です。この人、店長の立場できっと如何わしいことしてます」

 

「よーし、しょっぴこう。」

 

解せぬ。あったとしても干してある下着を見たり、トイレでばったりとかそれぐらいである。尚トイレに入っていたのは俺である。目線をしたにずらされ笑われた気がするが気のせいだと信じたい。

 

「いやーでも周子ちゃん可愛いわねー。肌白いしすべすべしてるし」

 

早苗さんはもうカサカサしてますね!と言ったPはさすがだと思う。早苗さんの顔が般若になった、助けて飛び火する。

 

「お褒めいただきありがとねー。でも私早苗さん見たくおっぱい大きく無いから、魅力が無いかなーって」

 

「そんなこと「そんなことない!」……ないよ」

 

キリッと言いたかったのにPが被ってきた、泣きたい。

早苗さん慰めて、その谷間で慰めてごめんなさい手錠はやめて!

 

「あははーどーもどーも。まぁ私もまだ育つと信じてるしー、夢を見ることにするよー」

 

周子ちゃんそこまで小さいとは思わないんだけど、口に出したら御用になりそうなのでやめとこう。

 

「いやでも塩見さんは可愛いと思う。色んなアイドル見てきたけど負けてる気配がないね」

 

「うん、贔屓目に見ても周子ちゃん可愛い。まじエンジェル。」

 

笑顔に癒されるとです。

最高に可愛いとです。ふみふみ結婚しよ。

 

「アイドルねー、私にはあんまり関係ない話かなー。」

 

「勿体無いなぁ、塩見さんさえよければ今度ウチの事務所、見学でもしてみるかい?」

 

周子ちゃんデビューするん?

Pお前周子ちゃんデビューさせるんだったらまず俺を倒してからにしろ。気分は娘を嫁に出す父親だぞゴルァ

 

「へーPさんがいる事務所かー。早苗さんも美人だし、レベル高いんだろうねー」

 

のらりくらりと躱す周子ちゃんだけど、その表情は少し興味を持っているかのように、好奇心で染まっている。

うーん、実際周子ちゃん可愛いし。アイドルになりたいんだったら応援するし、送り出すけど。そうするとまたバイトを探さないといけないわけで。やだ面倒

 

「早苗さん早苗さん、実際Pの話本気だと思います?」

 

「顔が本気ね、私もあの顔でスカウトされたわけだし…。意外とデビューするの早いんじゃない?」

 

確かにPの顔がマジだ。もう逃がしませんよと手も握っているし、羨ましい。俺も握りたい!冗談です。

うーむ、まぁ本人が乗り気ならそれでいいんだけども、また一人暮らしに戻るのか。それはそれで

 

「さみしくなるねぇ…」

 

笑顔で会話を続ける二人を見て、何とも言えない気持ちになった。早苗さん面白そうに笑うの辞めて。

 

 

 

 

 

 

 

 

一ヶ月が経った。周子ちゃんが来てから一ヶ月!

特に何かが有るわけでもないけど、敷いてあげるなら給料日である。周子ちゃんは大学に通っているわけではないのでランチタイムにも入ってくれる。夜も出てくれる。神様やん。

時給が1000円ジャストで一日の勤務時間がだいたい八時間くらい。日給8000円。光熱費や食費を月一万円もらうことになっているので、今月22日働いた周子ちゃんの初給料は16万6000円。素敵!

 

「ということで給料です」

 

「ははー」

 

向かい合い正座して給料を渡す。特に意味はない。

しかし16万かー、頑張ったもんなー。

 

「周子ちゃん、給料何に使うの?」

 

ちょ、ちょっとした好奇心なんだからね!と言ったらゴミを見るような目で見られた。ゾクゾクする!

 

「少しは貯金に回すとしてー、あとはなんだろねー。特に考えてないかも」

 

周子ちゃんらしいといえばらしい。まぁまだまだ若いし色々遊びなどで消えて行くのだろう。

さてと、立ち上がりながら今日の予定を考える。本日は珍しくランチは無しになっている。偶には周子ちゃんを休ませようと考えていたのだ!まじホワイト店主。

 

「神楽さん確か今日は夜まで暇なんだよねー」

 

「暇暇ー仕込みも終わらせたし、あとは作るだけスタイルよ」

 

「おー、じゃあ観光案内お願いしまーす」

 

what?


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