ラ・ヴァリエール公爵家
翌朝
あれから夜があけてスズメやらたくさんの鳥が鳴き、朝を知らせる音が鳴り響く中、ヴァリエールの食卓ではすでにフォークやナイフの音が鳴り響いている。朝だというのにステーキやチキンやらが並び、胸焼けしそうな料理ばかりである。マダラさんはその風景を見るわけでもなく、静かに食事が終わるのを待っている。
そして食事が終ったのか食卓に言葉がとびはじめる。
「さて、約束の時間だ。カトレアの病気を治してもらう。もし失敗でもすればわかるな?」
ヴァリエール公爵はマダラさんに確認する。だがこの後皆が神の本当の力を知ることになる。
「わかっている。では早速始める!・・・・・外道輪廻転身の術」
マダラさんが目前で印を組むと閻魔の魔像が現れた。その出現にカトレア以外の全員が警戒する。特にヴァリエール公爵とカリーヌは治すと言ったマダラさんの言葉が嘘なのかと思い始めた。
「おぃ、貴様!なんだこれは!?」
マダラさんは杖を構えているヴァリエール公爵に説明する。
「最初から言ってるだろう。カトレアを殺したところで俺になんのメリットもない。この術は魔像の中に治したいやつを入れて大量のチャクラ、まぁエネルギーを食わせることで完治するというものだ。」
マダラさんは表情ひとつ変えずに説明していく。ヴァリエール公爵はそれが信じられずマダラさんに抗議しまくる。カリーヌはそれを止めずにただ聞いていた。エレオノールやルイズはそれを見ることしかできなかった。するとカトレアが
「お父様・・・私は大丈夫です。マダラさんの治療を受けます。嘘をついている様には見えませんから少し落ち着いてください。」
カトレアのその言葉を聞いても公爵はしかし、と反論しようとするが、流石にカリーヌも空気を読んだのか公爵を黙らせる。その時のカリーヌの顔は怒った怖い顔ではなく、すぐにでも泣きそうな弱々しい顔だった。だが、そこは烈風のカリンと言われたことのある人からか泣くことはなかった。そしてカリーヌは
「私はマダラ殿を信じます。どうかカトレアをお願いします。」
カリーヌのその言葉を聞いてルイズは
「マダラ!ちゃんと治しなさいよね!」
強気ないつも通りのセリフを言った。そしてついに治療の時間がやってきた。
「さて、カトレア・・・この中に入れ。」
カトレアのすぐ先には口を大きくあけた閻魔の魔像が待ち構えていた。魔像の中は何が見えるとかはなく、少し不気味である。カトレアはゆっくりと近づいていき、口の中に入っていった。カトレアが口の中に入った瞬間に閻魔の魔像は口を閉じた。そして外のメンツ(マダラさん以外)は時間がかかると思っているのか少し気が緩む。
実は治療自体はすぐに終わるのだ。現実世界で10秒もかからない。ただカトレアにしてみれば10分くらいと長い時間を過ごすことになる。何故ならば現実世界と魔像の中の時間の流れが違うためにそうなるのだ。一言加えれば魔像自体はこの世のものではなく、この世とあの世のゲートみたいなものである。この世とあの世では時間の流れが違い、魔像の中の時間はこの世とあの世の時間差がこの世でいう1秒になっているのだ。それが時間の流れが違う理由である。
魔像内
sideカトレア
私がこの中に入ってどれほどのエネルギーを食べたのかわかりません。この中(魔像)には何もないと思っていたんですが美味しそうなケーキがたくさんあってそれがマダラさんの言うチャクラとはわかったんですがついついたくさん食べてしまいました。でも凄いのがケーキを食べれば食べるほど私の体から痛みが消えていくのです。それどころかチャクラが私の中にあるので私の中から大量の力を感じます。そして、体から違和感が完全に消えたところで魔像さんの口が開きました。
side終了
実はこの魔像の中は幻術により景色が作られていて家のなかのテーブルの上に皿にのったケーキがたくさんあったのだ。もちろんケーキも幻術であるのだがマダラさんが食べやすい用にとカトレアのために少し手を加えたのであった。
「終ったか。」
現実世界では10秒もたってはいないがカトレアが魔像の中から出てきた。それを見た公爵とカリーヌはカトレアのそばにいき
「カトレア!体は大丈夫なのか?なんともないか?」
ヴァリエール公爵は心配な顔でカトレアに聞く。カリーヌもカトレアの返事を待つ。
「大丈夫ですお父様!お母様!もう体に違和感はありませんわ。」
その言葉を聞いて公爵とカリーヌは安堵して水メイジを呼ぶ。そしてカトレアの体を調べさせる。
「し・・・・信じられません!治ってます。治らないと思っていた病気が治ってます!」
公爵とカリーヌは水メイジの言葉を聞いて涙を流し、喜びに浸かっていた。エレオノールとルイズもカトレアのそばにいき、喜びを分かち合っていた。その最中に空気が読めなかったマダラさんは
「忘れてないだろうな!約束は約束だ。土地をひとつもらうぞ。」
表情ひとつ変えずにマダラさんはその空気をぶち壊す。だがカトレアはあらあらと笑い、公爵も機嫌がいいのか、マダラさんに土地だけではなく、カトレアと婚約しないかとか何か欲しいものがあったら好きなだけ言えとか私をお父さんと呼びなさいとかいろいろとおかしな方に進んでいった。マダラさんはその不思議な空気に味わったことのない暖かさを感じて表情が少しやわらぎ、まぁ悪くはないと思いはじめていた。
その夜はカトレアの病気が治った祝いと未来のカトレアの夫(公爵が勝手に決めた)との親睦会も兼ねてヴァリエール内での盛大なパーティーが開かれた。カトレアとマダラさんは隣同士の席に座り、ワインを公爵やカリーヌ、エレオノール、カトレアと飲み賑やかになっていた。ルイズはまだ飲めないのでひとりジュースで参加していた。こうしてその日は終わっていったのである。
今回はここまでです。もう少しだけカトレア編は続きます。では、次回をお楽しみに!