バカがスケベで召喚獣 作:葬炎
第三問
問 以下の英文を訳しなさい
『You said he was a gentleman, and so he was』
姫路瑞希の答え
『あなたは彼が紳士だと言ったが、まったくそのとおりだった』
教師のコメント
正解です。よく勉強してますね。
土屋康太の答え
『あなたは紳士』
教師のコメント
それだと『You are gentleman』になってしまいますね。違います。
吉井明久の答え
『I am gentleman』
教師のコメント
でしたら女子更衣室を覗くのをやめてください。あと訳してません。
ーーーーーーーー
FクラスがAクラスへの宣戦布告。
それは最弱が最強に挑むということだ。
『そんなの、勝てるはずがない!』
『これ以上設備落とされたら、もはや勉強とか以前の設備になっちまうよな....?』
『姫路さん、ああ姫路さん姫路さん。字余り......あ、季語入ってないから俳句にならねえ』
そのような諦観の声がクラス中から聞こえる。一部の男子に至っては現実逃避して意味不明なことをつぶやいてる。こりゃぁ酷いな......
Fクラスでも、戦略と戦術を駆使すれば勝てるだろうに。
まぁ、反則すれすれというよりも、限りなく反則に近い反則を使わな危ないんだけど。でも、それは普通のFクラスだったら、の話しや。
幸いなことに、今年の文月学園第二学年Fクラスには、とてもではないが普通とは思えない人材が揃っている。これならなんとできるレベルの人材が。
『そんなことはない。必ず勝てる。いや、勝たせてみせる』
クラスメイトの絶望と諦めしかない声に、雄二ははっきりとそう告げた。
『なに言ってるんだあのゴリラは』
『違う、それじゃゴリラに失礼だろ』
『じゃああのブタゴリラはなにを言ってるんだ?』
クラスメイトの、明らかに罵倒しか含まれてない批判の声。
これはさすがの雄二もキレかけのようで、拳がプルプルと震えている。でも、今飛びかかったりしないのは暴力を振るっても士気が下がるだけなのがわかっているからだろう。なので、今は言ったやつを見て顔を覚えたようだから後で精神的に追い詰めーーと、そんなのはどうでもいいんだ。俺に被害はこないんやから。
『(後で覚えてやがれ)......なにも、理由なく勝てると言ったわけではない。このクラスには勝てる要素がある』
雄二が続けて言ったこの言葉。
それに反応して、クラス全体がざわつき始める。
それもそうだろう、最弱である自分たちに最強に勝てる可能性があると迷いなくはっきり言われたのだから。
『その要素を今から説明してやろう。康太、こっちにーーなに倒れてんだお前は?』
雄二が呼んだのは康太、土屋康太。通称ムッツリーニ。そのムッツリーニは今、姫路ちゃんの後方で鼻血を垂らしながら仰向けに倒れていた。
「いや、姫路ちゃんのスカートの中を覗こうとした不届きものやったから俺が正義の鉄槌をくだしてやったわ」
『......毎日のごとく女子更衣室を覗きに行ってるお前が言えるセリフではない気がするが、まぁいい。康太を起こしてやってくれ』
「了解」
雄二に言われて仕方なくムッツリーニを起こしてやった。
え? ただ蹴って起こしただけだぜ?
「..........酷い目にあった」
「自業自得だ! 見たければわいを倒してからにするんやな! それより雄二が呼んでるぜ」
「..........わかった」
そう言って壇上に上がるムッツリーニ。
『紹介しよう、こいつは土屋康太。かの有名な
『..........!(ブンブン)』
雄二の言葉にクラス全体がざわめく。
今雄二が言ったが、土屋康太。通称ムッツリーニ。
土屋康太という名前はあまり有名ではないが、ムッツリーニという名はこの学校内ではあまりにも有名だ。ちなみにわいもけっこうお世話になってる。ぐふふ......
『ば、馬鹿な......やつがムッツリーニだと....?』
『いや待て、決めつけるのはまだ早い。じっくり見極め、そしてできればお宝映像の詰まってるフィルムの奪還をーー』
『隊長! ムッツリーニ(仮)のポケットにちょうどフィルムぐらいの大きさの膨らみが!』
『よくやった小林隊員。よし、それをバレないようにそっと奪うための作戦をーー』
碌でもない会話をしてるクラスメイトたち。
あの声高々に話している馬鹿どもは女子からの冷たい視線とムッツリーニの奪われないという自信満々の顔は見えてないのだろうか......それに、それをやるなら俺を越える隠密精度と身体能力がない限り無理だ。
そう、当然ながらムッツリーニは今まで何回もフィルムを奪いにきた連中を撃退してるんや。わいも、まさか盗りに行ったらあんな罠が待ち構えてるとは思わなかったんや......次こそは....!
『姫路の実力に関しては言うまでもないだろう』
「えっ? わっ私ですかっ?」
『ああ、うちの主戦力だ。期待してるぞ』
少し驚いた顔をして小首をかしげる姫路ちゃん。
当然だろう、なんたって彼女はこの学校でトップ3に入る頭のよさなのだから......
『我らがアイドルキターーーーーー!』
『そうだ! 俺らには姫路さんがいるっ!』
『彼女の応援だけで飯が三杯はいける!』
どうしてこうもうちのクラスは変態ばかりなのか。
え? わいもやて? 失礼だなー、わいをあんな連中といっしょにせんといてやー。わいはあくまでも知的好奇心・探究心を満たすための行為であり、決して下心なんてーー
『それに木下秀吉だっている』
っと、そんなこと考えてる間にどんどん自己紹介は進んでいく。
『俺の嫁キターーーーーー!』
『木下ーー! 俺だーー! 結婚してくれーー!』
「うぅむ、喜んでいいのやらわからんのう。とりあえず、わしは男じゃから男とは結婚はできんぞ」
ーー予想以上に馬鹿ばっかだった。
秀吉、そこは素直にウザがればいいんだと思う。あいつらはそれすら喜びそうだけど。
『そして、当然俺もクラスの勝利のため全力を尽くす』
当たり前だろう。こんな提案をしたやつがさぼってたら勝てる戦も勝てなくなる。
『おぉ、確かになんかやってくれそうな髪型だ』
『ああ、あの髪型はただもんじゃねえな』
『うむ、こう、なんかやってくれそうな髪型だよな』
『『それはない』』
『なぬぅ!?』
なんか三人ほどよくわからない漫才をしていた気がするんだが、無視しよう。あれくらいで笑いを取ろうなんて三日早いわ。
さて、そんなやつらは置いといて、クラス全体が『これいけるんじゃね?』『まさか、システムデスクが俺たちのものに....!』なんて盛り上っていく。
しかし、ここらへんで落ちをつけるのがーー
『そして、吉井明久だっている』
_____シィン...._____
ーー雄二だ。
って、わいの名前を落ちに使うな! あとで覚えてるんやな....!
『吉井明久、この名前に聞き覚えのあるやつはなかなかいないだろう。なにせそこらへんにいるただの変態なのだから』
「意義あり! わいは変態やあらへん!」
『そういう言葉は覗きとかをしなくなってから言うんだな』
くっ、それを言われると反論できないっ....!
『ふむ、やっぱ誰もわからないか。なら教えてやろう。こいつはGSだ』
ーーGS。
それは、国からオカルトを理解、扱う者と認められたただ一人の男のことを指す。
それがーー
『ま、マジかよ....!』
『あいつが、なのか....』
『ばっか、あいつじゃなくてあの方だ。あの方がーー』
『『『変人の伝道師....!』』』
ーー吉井明久、元横島忠夫である。
しかし、その所業のせいでオカルトというよりも変態として有名だ。
曰く、どこかの国の姫をお願いされたという理由だけで連れ去った。
曰く、最初はGSを嫌っていた女性が何時の間にか堕とされていた。
曰く、やっていたことは変態行為だけだったはずなのに国が救われていた。
曰く、どこかの国王とマブダチだ。
曰くーー曰くーー
事実かどうかは置いといて、このような噂がGSにあるのだ。
そして、その噂の全てが真実であることを明久以外は知らないーー
変人の伝道師と言われているのは、明久と交流を持った人物がなにかしら変になるという理由から。
『そう、そのGSだ。世界中を駆け回ってることもあり、頭はかなりいいぞ』
まぁ、わいは前世で色々あって、アノ事件以降は本気で勉強してたんや。結果、ほとんどの国の言葉が日常会話程度にしゃべれるようになり、100点満点のテストでは98点なんかがザラに出るようになった。
......一時期、マジメにやり始めたときの先生たちの感動っぷりはすごかったわぁ......『お前はやればできるやつだと思ってた!』とか、『ありがとう....! ありがとう....! これで私の髪の平和が守られる!』とか周りがかなり騒いでたんだ。そんな俺なにもしてなかったっけな......
『おぉ......! 代表も頭よさそうだし、実質Aクラスレベルが3人いるってことか!』
『こ、これなら勝てるかも......!!』
『そうだ! かも、じゃない。俺たちが、最弱の俺たちが最強のAクラスに勝つんだ! みんな、今の環境はおおいに不満だろう?』
『『『当然だ!』』』
『ならば全員筆を執れ! さぁ、戦争の始まりだ!!!!』
『『『『『YaーーーーーーHaーーーーーー!!!!』』』』』
「ひぅっ」
クラスの異常なテンションに、姫路ちゃんが軽く涙目になりながら悲鳴をあげる。
そんな姫路ちゃんが可愛いと思ったのは俺だけなんやろか? いや、すぐ近くにいたムッツリーニとその他大勢の男子が鼻血をあげて倒れたから決して俺だけじゃないだろう。あと、そこで『むちゃくちゃにしたい....』ってつぶやいたヤツは後で校舎裏な?
『よしっ、ではまず明久! Dクラスへ宣戦布告してこい』
「いややっ!」
きっぱりと断る。
雄二がその場の勢いで俺をDクラスへの生贄にしようとしたんだけど、わいがそんな罠に引っかかるはずがーー
『なんだ、ここにムッツリーニから買い取った姫路のあられもない姿の写真がーー』
「ちょい行ってくるわ! 絶対その写真を誰にも渡しちゃダメだぞ! てか渡してたらなにがなんでも社会的に殺す!」
俺はDクラスに向けて疾走するーー
くっそ、たぶん罠やろうが、もし本当に姫路ちゃんのあられもない姿で、それが誰かの手に渡ったら、あの親バカなおやじさんによってわいの首がぶっ飛んでまうーー!
え? わいは見ぃへんよ。妹みたいな姫路ちゃんで興奮するはずが.............................するはずが、ない!
ーーーーーーーーーー
ガラッ
「うーっし」
「お、明久。......ちっ、無傷か」
「当たり前だっ!」
俺は宣戦布告して相手の返事を聞いたらダッシュで帰ってきただけやからな。あっちはポカーンとしたままでなにもしてこなかったわ。
あの程度の反応速度じゃ、美神さんによって鍛え上げられた瞬発力を持ってる俺を捕らえることはできないっ。
「それより写真を渡せや。....さもないと」
「わかってるよ。ほら」
「よしーーーーはぁ....」
俺は雄二に渡された写真を見る。
すると、そこには姫路ちゃんがーー
「なんで、姫路ちゃんが変顔してんねん!」
「あられもない姿だろ?」
「いや、確かにそうだけど....」
俺は渡された写真に写っていた姫路ちゃんを見て雄二に突っ込みをいれる。
そう、写真に写ってたのはせいいっぱいな感じがする、自分の顔を横から押しつぶしてる姫路ちゃんだった。いったいどんな状況でこんな写真を......
「まぁそんなことはどうでもいい。HRはもう終わってあとは帰るだけだ。一旦作戦の説明とかしに屋上に行くぞ」
「了解。誰か呼んだほうがいいかな?」
「そうだな、うちの主力になる姫路はもちろん、情報収集のムッツリーニ、あと成績があの中で比較的まともで指揮ができそうな......木下と島田も呼ぶか」
「OK。呼んでくる」
「頼んだ」
幸いなことに全員知り合いだったので俺が呼びに行くことにした。
はてさて、秀吉はいいけど島田さんはどうなるかなーっと。
「まぁ、なんとかなるやろ」
続きを書いてほしいと感想がきて小躍りするほど嬉しかった葬炎です。
というわけで次話で終わる予定でしたが続きを書くことにしました。と言っても他二つ書くだけでも手一杯なのでこれは亀更新となります。お許しください。
感想をくださると嬉しいです。あとできれば横島なキャラを出すためのアドバイスも求めてます。今のままでいいかとても不安ですので。
これからもよろしくお願いしますっ!