バカとテストと召喚獣 ~とある男の物語~   作:カンベエ

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第六問 清涼祭アンケート
学園祭の出し物を決めるアンケートにご協力下さい。
『あなたが今欲しいものはなんですか?』

姫路瑞希、三宮叶の答え
『クラスメイトとの思い出』

教師のコメント
成程、お客さんの思い出になるような、そう言った出し物もイイかもしれませんね。

秋山隼人の答え
『まともなクラスメイト』

教師のコメント
秋山君の苦労が脳裏に浮かぶようです。心労で倒れないように自愛して下さい。

木下優子の答え
『秋山隼人』

霧島翔子の答え
『坂本雄二』

教師のコメント
・・・・・・・・・・え?


第六話 バカと女装と清涼祭

「さて、そろそろ清涼祭の出し物を決めねばならんのだが・・・・議事進行及び実行委員は俺が務める、異議があれば手を上げろ。男子及び師走寮生は殴ってから聞こう」

『イエス、マム!問題ありません!!』

 

雄二がやる気を出さない学園祭という行事において隼人の影響力は凄まじい。

 

「スマンが誰か、板書を頼めるか?」

「じゃあ私がやるよ」

 

綾乃が前にあゆみ出てチョークを片手に持つ。

 

「よし、意見があれば手を挙げて述べろ」

 

数名が手をあげたので・・・・

 

「康太」

「・・・・(スクッ)」

 

康太が立ち上がる。

 

「・・・・写真館」

「・・・・康太がその単語を発すると怪しいのだがな・・・・まぁ良い、意見の一つだから書いておいてくれ」

「りょーかい」

 

候補一、写真館『秘密ののぞき部屋』

 

「次、亮」

「俺は中華喫茶を提案する」

 

中華料理に拘りのある亮の提案、かなり期待できそうだ。

 

候補二、中華喫茶『ヨーロピアン』

 

「義行」

「軽食喫茶とかどうだ?ただの軽食喫茶じゃあないぞ」

「ふむ、何が違うんだ?」

「我がクラスには確かに姫路、島田、秀吉、三宮、浦辺と見目麗しい女生徒が揃っている」

「ワシは男じゃ」

「だが飲食店をやるにあたって彼女らだけに接客を任せるというのは凄まじい負担をかけると思うんだ」

「最もな意見だな」

 

五人だけに負担をかけるのは確かに宜しく無い、何より姫路、島田はイベントである試験召喚大会への参加が決まっているから実質三人の負担だ。

 

「そこでだ!」

 

バッ、と明久、康太を指差す。

 

「女装させれば見た目がよくなるこの二人にも接客をさせる!無論女装させて!」

 

その言葉に、女子四名が目を輝かせ、男子連中も騒ぎ出す。

 

「確かに吉井は女装すると可愛くなるらしいぞ」

「やってみる価値はあるだろう」

「アキちゃんの女装・・・・・(ハァハァ)」

 

今他クラスの生徒がいたのはきっと気のせいだろう。

 

候補三、女装喫茶『師走』

 

「出し物は決まったのか?」

 

ガラガラと扉を開ける音と共に、過日のAクラスとの戦い後担任へとなった西村教諭が入ってくる。黒板を見てから、ため息を一つついて。

 

「・・・・補習の時間を倍にした方が良いか」

「せ、先生!それは違うんです!」

「実はそれ全部吉井が勝手に書いたんです!」

 

哀れ生贄にされた明久。

 

「馬鹿者!!みっともない言い訳をするな!!」

 

流石は西村教諭、クラスメイトを差し出して自分たちだけ逃げようとする連中を見逃すわけが・・・・

 

「そのバカな吉井に書かせた事自体が頭の悪い行動だと言っているんだ!!」

 

訂正、流石はFクラスを担当するだけはある。

 

「仕方無い、ある程度混ぜるか」

 

もめにもめるクラス内を見かねた隼人がぼやく。

 

「我がFクラスの出し物は明久と義行が女装する中華喫茶『ヨーロピアン』に決定だ!」

『俺(僕)が女装するのは決まりなの!?』

 

明久と義行の叫びも虚しく、話は進行していく。

 

「というわけで振り分けをする、女性陣五名と明久、義行はホールで厨房は俺と康太、亮が担当する」

 

その後、それぞれに分かれて準備に入るのだが・・・・

 

「むぅ・・・・」

「どうしたの隼人」

「なぁ明久、雄二を引きずりだせないか?」

「なんで?」

「俺は恐怖統制だからな、こういう時は本来雄二が良いんだが・・・・」

「あ、それウチからもお願い出来ないかな」

「いくらなんでも無理だよ」

「だってアキと坂本って愛し合ってるんでしょ?」

「お嫁に行けない」

 

さめざめと泣く明久。

 

「どうやったらそんな噂が流れるのさ!?」

「まぁそんな根も葉もある噂は置いといて・・・・島田はなんで雄二を?」

「・・・・実はね」

 

島田の話によると、姫路の転校話が出ているらしい。理由は三つ、恐らくは教室の環境、設備、そしてクラスメイトだ。クラスメイトに関しては試験召喚大会で優勝者をFクラスから出せば問題は無いからあとは環境と設備だ、やはり雄二の参加が不可欠だ。

 

「方法は任せる、雄二を頼むぞ」

「分かったよ!」

 

その後、血まみれの明久を引きずって雄二が現れた。

 

「話は聞いた」

「そうか」

 

何の話を?と聞こうとも思ったが言ったら殴られる気がした。

 

「となると喫茶の方を成功させなけりゃならないが・・・・二、三手欲しいな」

「例えば?」

「ゲストとかどうだ?」

「・・・・成程、分かった。こちらで手配しよう」

 

―数分後―Bクラス

 

「というわけでだ、Bクラスではテーブルが余っていると聞く。貸して貰えれば幸いなのだが」

 

先ずはテーブルの調達のためにBクラスを訪れた。Bクラスの机ならばまずまずの品質だしクロスをかければ見た目も良くなる。床は色々と手段があるから先ずはテーブル確保だ。

 

「まぁ構わないが・・・・」

 

代表根本は意外にも快く貸出してくれた。ただ「壊さないでくれよ」とだけ付け加えて、だが。

 

―Aクラス

カラカラと、Fクラスでは決して聞けない静かな音を立てながら扉を開ける。

 

「すまないが誰かいるか?」

「あら、秋山じゃない」

 

こちらの声に反応してくれたのは木下だ。

 

「ああ、木下か。丁度良い」

 

取り敢えずラウンジに案内されると霧島、工藤、久保もこの場に集まってきた。

 

「と言う訳でだ、一人か二人。女子を貸して欲しいんだ・・・・こちらは代わりに男子10名を雑用に貸しだそう」

「・・・・私が行く」

「いやいや、霧島はダメだろう。クラス代表だし」

「じゃあ私が行くわ」

「木下・・・・良いのか?」

「いいわよ、私一人で男子五人ならばお釣りが来るわ・・・・でも大丈夫なの?」

「ああ、『殴ってでも』言う事聞かせておくから」

 

何が大丈夫なのかと聞かないでそう言えるあたりある意味凄い。

 

―Fクラス

 

「と言う訳で木下優子を借り出す代わりに五人、こちらから労働力を提供する事になった」

「んー、木下優子のチャイナ服も捨てがたいしなぁ・・・・」

「木下姉妹が揃ったところも見てみたい・・・・」

「・・・・ちなみにAクラスの出し物だが・・・・」

 

煮え切らないクラスメイトたちを奮起させる一言。

 

「メイド喫茶だそうだ」

『俺が行きます!!!』

 

実に男子のほとんどが手を挙げた。のだがその中で五人を何とか選び出す。当然、拳を握り締めながら

 

「バカな真似をしたら・・・・一週間西村教諭の個人授業を・・・・」

『イエス、マム!!参謀閣下の名に泥を塗らぬよう尽力します!!!』

「宜しい、では工藤。任せたぞ」

 

Aクラスから来ていた工藤に五人を連れて行かせると。

 

「康太、衣装の手配は?」

「・・・・問題無い、全て済ませた」

「額面はどうだ?」

「・・・・自作、布代だけもらう」

「分かった、完成し次第木下姉弟、姫路、島田、叶、綾乃、明久、義行は一度試着しろ」

「・・・・ねぇ秋山」

「何だ」

「なんで吉井と寿々屋まで着るの?」

「売り子だからだ、あの二人は頭の中身はともかく見てくれは悪く無い。それに『そっちの趣味の客(Dクラスの玉野美紀)』も釣れるだろうしな」

 

ルビがおかしいのはきっと気のせいだろう。

 

「さて、出来る限りの準備は済ませた。後はやるだけだ!」

 

この後、突然の試験召喚大会への出場が決まった明久と雄二。「人手減らしてどうするんだ!?ああん!?」と半ばキレ気味な隼人に説教されたのは言うまでも無い。


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