バカとテストと召喚獣 ~とある男の物語~   作:カンベエ

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第三問 英語
以下の英文を訳しなさい
「This is the bookshelf that my grandmother had used regularly」

姫路瑞希、秋山隼人の答え
「これは私の祖母が愛用していた本棚です」

教師のコメント
正解です、二人共ちゃんと勉強していますね。

土屋康太、三宮叶の答え
「これは」

教師のコメント
土屋君はともかく三宮さんまで意外でした。訳せたのはThisだけですか。

浦辺綾乃の答え
「これは私の祖母の愛用していた本棚です」

教師のコメント
浦辺さんは英語に関しては素晴らしいですね。

吉井明久の答え
「☆●◆Δ「♪✽×」

教師のコメント
その従兄は悲惨すぎますね、地球上の言語で書いて下さい。


第三話 バカと戦争と二人の実力

「吉井!寿々屋!木下たちが交戦状態に入ったわよ!」

「さて、私たちはどうするんですか!?」

 

ポニーテールを揺らしながら走ってくる島田と軽快に駆けてくる綾乃、二人を交互に見ながら首を傾げる明久と義行が同時にポン、と手を叩く。

 

『ああ、胸か』

 

一体何を考えていたんだろう。

 

「アンタらの指を小指から全部折るわ」

「丁寧に、関節一つ残らずへし折ってあげます」

 

物凄いオーラを出して明久と義行を睨む島田と綾乃。

 

「ほ、ほら!今は試召戦争に集中しないと!」

「そ、そうだぜ!?」

 

先鋒部隊を率いているのは秀吉と亮、中堅部隊を明久、義行、島田、綾乃が率い後詰の本隊を雄二、隼人、姫路、叶が率いる形を取っている。

取り敢えず心を落ち着けながら前線に耳を傾ける明久と義行。

 

『さぁ来い!この負け犬が!』

『鉄人!?嫌だ!補習室は嫌だ!』

『あれは補習じゃ無い!拷問だ!!』

『拷問?人聞きの悪い。あれは教育だ!趣味は勉強、尊敬する人は二宮金次郎という立派な人間に仕立ててやろう!』

『いやぁああああああ!!!』

 

阿鼻叫喚、の一言に尽きる。

 

「わかっているな明久」

「任せてよ、島田さん、綾乃。中堅部隊全員に通達」

「ん?何?作戦?」

「何て伝えればいいのです?」

『総員退避と』

 

その言葉と同時に二人の顔が殴られた、しかもチョキで。

 

『目がっ!?目がぁあああ!!!』

「眼を覚ましなさいこのバカ共!」

「そうですよ!貴方たちは部隊長でしょう!臆病風に吹かれてどうするんですか!」

 

覚ますべき目を潰された二人は相変わらず悶えている。

 

「私たちの役目は前線部隊が補給を受けれるように援護すること!坂本君も言ってたでしょう!」

「ウチらがしっかりしないと木下や須川までやられるんだからね!」

 

ハッ、とする二人。正直、亮はどうでも良いが秀吉は駄目だ。

 

「そうだったな」

「うん、補習を恐れずに戦わなきゃ」

「まぁそこまでする必要は無いわ」

「そうです、多対一で押せばいいんです」

 

そうこういっているうちに前線から一人が駆けて来る。

 

「前線部隊が後退を開始したぞ!!」

『総員退避よ』

 

おかしい、さっきといっている事が違う。

 

『良いわよね?』

「よし、逃げよう。僕らには荷が重すぎた」

「俺たちは精一杯やったさ」

 

そういって教室側へと振り返った時に、近藤君が走ってきた。

 

「参謀(隼人)より中堅部隊全員へと伝令だ」

 

メモを取り出しハキハキと伝える。

 

「『逃げたらコロス』」

「総員突撃だぁああああ!!」

「迷うな!進めぇええ!!」

 

戦死は怖い、だが隼人も怖いのだ。ちなみに同じ恐怖でも明久、義行、綾乃を含む師走寮メンツと他のメンツでは方向性が違う。

師走寮メンツにとっては財布の紐を握っており尚且つ飯を作ってくれる隼人を怒らせるという事は=餓死などに繋がる。

しかし他のメンツにとっては初日の粛清により島田と並ぶ「破壊神」な扱いを受けているのだ。

 

無事に秀吉を収容(亮は真っ先に戦死しました)した中堅部隊は善戦するも中々状況は好転しない。Dクラスの清水へ対する生贄にされた島田が乱心し明久とついでに義行を殺そうとしたため本部へと綾乃により連行、従って綾乃も離脱し今現在前線で指揮を取っているのは明久と義行なわけだが・・・・

 

「助けてくれ!布施先生側の部隊は点数がもう無いぞ!?」

「津村が危険だ!援護を!」

「五十嵐先生側の部隊が藤堂だけに!?」

 

次々と入る報告に対し矢継ぎ早に指示を出す二人。

 

「布施先生側の人は回復してきた人と直ぐに入れ替わって!上手くローテーションで戦うんだ!」

「津村と藤堂は見捨てろ!!この場で護りを固めて迎え討つ!!」

 

上手く配置を取り回す明久と見切りの速さで防衛線を維持する義行。

 

「明久!義行!」

 

そんな二人の背後、Fクラスの方から聞こえてくるのは隼人の声だ。

 

「今から本隊が介入する!それまで耐え切れ!!」

 

しかし既に明久と義行のみ。・・・・・・が、観察処分者の二人の真価はここから発揮される。

 

「うわー!!何をするんだ島田さん!!」

 

そう叫びながら明久が消化器を発射し一気に視界をホワイトアウトさせる。

 

「うわっ!?島田!お前なんて事を!!」

 

そして義行がその空になった消化器を受け取ってガラスを壊し、スプリンクラーを作動させる。

 

『くっ!!島田だとぉ!?何て奴だ!!』

『畜生!粉まみれにされた礼は返してやるぜ!』

『彼女にしたくない女子ランキング上位にランクインさせて在学中彼氏が出来ねーようにしてやる!!』

 

結果=物凄い誤解と負の連鎖が生まれました。

 

スプリンクラーから降り注ぐ水滴で視界が晴れたDクラスに、隼人と叶を先頭にFクラス本隊が襲いかかる。

 

試獣召喚(サモン)!!』

 

Fクラス:秋山隼人  三宮叶

化学   247点   236点

 

「行くぞ!!」

「がんばろー♪」

『うぉおおおおおおお!!!』

 

隼人の号令、というよりは叶の掛け声に奮起し一気にDクラスの部隊へと襲いかかる。

 

「くそぉっ!?Fクラスなんかに・・・・!」

「塚本だな?」

「!?」

「覚悟っ!!」

 

Dクラス:塚本

化学   0点

 

「Dクラス前線部隊長、塚本を殺ったぞぉおお!!!」

 

字が違う気がするがきっと合っているんだろう。

 

「くそっ!!こんなバカな事が・・・・」

 

狼狽するDクラス代表の平賀。

 

「あのー、平賀君」

「あれ?姫路さん?なんでこんなところに?」

 

に話しかけたのはどさくさにまぎれて接近していた姫路だ。

 

「えっと、Fクラス姫路瑞希。Dクラス代表平賀君に化学勝負を挑ませていただきますね、宜しくお願いします・・・試獣召喚」

「あ、はい・・・・こちらこそ。試獣召喚・・・・・・ってえ?」

 

Fクラス:姫路瑞希 VS Dクラス:平賀源二

化学   429点         135点

 

一閃。状況を掴みきれない平賀の召喚獣が、姫路の召喚獣に両断され新年度最初の試験召喚戦争は幕を下ろした。

 

「くっ・・・・秋山や三宮さんどころか姫路さんまでFクラスにいたとは・・・・」

 

どうやら隼人と叶の事までは掴んでいたようだが姫路の存在はつかみきれていなかったらしい。

 

「さて、戦後対談と行こうか・・・・俺は代表である坂本雄二から全権を委ねられた」

「分かっている、設備は明け渡・・・・」

「さんでも良い、ただこちらの出す条件を飲んでもらいたい」

「?」

「三ヶ月間の勝手な宣戦布告の禁止とFクラスとの同盟、それさえ飲んで貰えれば設備は要らん」

「それだけで良いのか?」

「ああ、あとはそちら次第だ」

「分かった、受諾させてもらおう」

 

グッ、と握手を交わす隼人と平賀。

 

「目標はAクラスだってな?お前らが勝てるように願ってるぜ」

「思ってもいないのだろう?」

「無いとは思ってない、自力で優っていたこちらが負けたのが証左だ」

 

苦笑する平賀。

 

「どうせならそのままAクラスに勝て、それなら俺らの負けも納得のいくものになる」

「無論だ、ご期待には答えるとしよう」

 

そう言って笑い合いながら、隼人と平賀はハイタッチをするのだ。


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