次の問いに答えなさい
硫酸銅五水和物を塩化バリウム水溶液に加えて加熱すると、何が生成されるのか答えなさい。ただし硫酸銅五水和物と塩化バリウム水溶液は全て反応したものとする。
秋山隼人、霧島翔子、寿々屋義行の答え
硫酸バリウム、塩化銅、水
教師のコメント
正解です。寿々屋君は化学に関しては中々優秀ですね、この調子で頑張りましょう。
吉井明久の答え
食塩
教師のコメント
なぜそんなものが生成されると思ったのでしょうか、先生はたまに吉井君の思考回路についていけなくなることがあります。
姫路瑞希の答え
デミグラスソース
教師のコメント
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?
秋山隼人のコメント
落ち着くんだ姫路、硫酸『銅』と塩化『バリウム』だぞ?決してハンバーグとかにかかってる美味しいソースは生成出来ないからな?
夏休みに入って二週間が経つ。師走寮の中には今は隼人しかいない、優子、叶の上位成績者は夏期講習に、明久、義行、亮、秀吉、綾乃らは補習に行っているためだ。隼人はと言えば期末で学年主席の座を獲得したが故に補習は免除、かと言って夏期講習も面倒だと言うわけで寮で一人悠々自適に過ごしていたのだ。
「んー、もうちょい塩かな」
取り敢えず昼飯にチャーハンを作っている隼人。
「んん?」
ふとケータイが鳴ったためにコンロの火をとめる。
「はいもしもし?」
『隼人か』
電話をよこしたのは雄二だ。
「どしたい?補習中じゃねぇのか?」
『実は少々面倒な事になってな、至急学校まで来て欲しいんだ』
事情を聞くと・・・・というかどんな流れでそうなったかがまるで理解出来なかったが二年と三年で召喚獣を使った肝試しを行う事になり、戦力的に必要な奴をこうやって電話で呼び出しているのだそうだ。
「分った、30分で行く」
電話を切れば、ふぅ、とため息を一つ。
「面倒事は御免被りたいが・・・・楽しそうだ」
最近Fクラスの空気に毒されてきたかな、とか考えながらチャーハンをほおばるのだ。
―30分後―文月学園体育館
この場に揃っているのは二年のAクラスほぼ全員、Fクラス全員、夏期講習に参加していたB、C、D、Eクラスの一部の生徒たちだ。
「聞けば聞くほど面倒な状況だな、で・・・・ルールはどうなった?」
「取り敢えず科目と大まかなルールを説明しておく」
①召喚獣を使うという事で当然召喚獣バトルがある。
②使用される教室は二年、三年のA、B、Cクラス。
③6クラスに各一箇所づつチェックポイントが設置されており、そこでの召喚獣バトルに勝利する事で次のクラスへと進める。
④チェックポイントの科目は現国、数学、保体、英語、物理、日本史の六教科。
⑤原則男女ペア、二人一組で挑む事。
⑥チェックポイントで敗退、或はペアのどちらかが一定量の悲鳴を上げた場合に失格とする。また声量の判定は各自に所持させるカメラに付属している小型マイクにより判定を行う。
「と、まぁこんなところだ」
「成程、てかちょっと待て・・・・もしかして数日前からやるのが決まってたのか?」
「ああ」
「何で教えない」
「忘れてた」
「良い度胸だ」
当人を前に堂々と忘れていたと宣言する度胸は認めよう、ちなみに決定したペアは以下の通りだ。
「・・・・勝手に組ませた俺らのミスには違ぇねーが・・・・」
「ああ、バランス・・・・結構悪いが・・・・ま、そこはお前が上手くやるだろ?雄二」
「まぁ、可能な限りやってやるさ」
「おう、期待しているぜ」
「よう、・・・・もしかして俺が登場するのは久し振りではないか?」
わけのわからない発言をする比良坂に気のせいだ、と言えば設置された大型スクリーンに眼をやる。
「そう言えば・・・・召喚獣で肝試しという話だが・・・・」
「そうか、まだ説明していなかったな」
雄二から召喚獣がオカルト仕様になったと説明を受ける、その者の本質によって姿も変わってくると。
明久、義行、亮がデュラハン、雄二、晋也が狼男、秀吉、優子、叶が猫又、姫路、霧島がサキュバス、島田、綾乃が塗り壁、康太がヴァンパイア、工藤がのっぺらぼう、久保が水虎、紫、清水、玉野が迷ひ神といった感じになっている。
「隼人のはどうなんだろう?」
「試してみるか・・・・西村教諭、召喚許可を」
「うむ、承認する!」
『試獣召喚!!』
現れた召喚獣は背に翼を生やし、錫杖と芭蕉扇を携えた山伏姿。
「天狗、だな」
「掴みどころが無い、といったところか?」
「俺、そんなにつかみどころ無い?」
「分かり易そうで分り難い性格だと思っている」
「始めて聞いたよ」
「ともかく、三年にただ負けっぱなしというのは嫌だからな。やるからには全力だ」
「で?状況は・・・・ふむ」
大型モニターへと視線を移すと、最初に突入していったDクラスペア二組とCクラスペア二組の姿が映っている。
「さて・・・・どうなる事やら」
波乱、そんな予感を感じつつ先ずは成り行きを見守る隼人だった。