バカとテストと召喚獣 ~とある男の物語~   作:カンベエ

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第十五問 世界史
次の(  )にただしい単語を入れなさい。
ロシアの作家ドストエフスキーは著書『(①)の兄弟』や『(②)と罰』の中で、信仰心を失った近代人の虚無主義的な姿を描いた。

姫路瑞希、吉井明久、秋山隼人の答え
①カラマーゾフ
②罪

教師のコメント
正解です、吉井君は本当に最近急成長していますね。先生としても嬉しい限りで教えがいがあります。これからもこの調子で頑張って下さい。

浦辺綾乃の答え
①秋山家の兄妹(問題文の兄弟の部分が訂正)

教師のコメント
?不正解な上に意味が全く分かりません。

秋山隼人のコメント
綾乃ぉ!!貴様余計な事を言うなぁああああああ!!!


第十五話 バカとプールと程よい(以下略)

後世の文月学園に延々と語り継がれる事となる『王様ゲームDE告白事件(w』から一週間が経った。隼人は割とそうでも無かったのだが優子が何か吹っ切れたのだろうか隼人に対してかなりデレており何時もの女性陣からは羨望の眼差しで、また他男性陣からは嫉妬と殺意にまみれた視線に晒される事になる。

 

そして・・・・夏休みを控えたとある月曜日・・・・

 

「と、言うわけなんだ」

「お前らは・・・・どうりでいないと思えばそんな事をしていたのか」

 

明久、義行、雄二が休日に学園のプールを無断使用していた。

 

「ま、いいじゃねぇか。罰掃除は押し付けられたがその代わりプールの使用許可ももらったんだしよ・・・・と言う訳で隼人、ムッツリーニ、秀吉もどうだ?」

 

と、問いかけてきたのは雄二だ。

 

「ま、良いさ。ついでだし手伝ってやろう、寮長業務が無くなって暇なんだ」

「うむ、無論ワシも手伝うぞい」

「・・・・」

 

二つ返事で承諾する隼人と秀吉だが康太は躊躇している、この流れだと自分も掃除を手伝わなければならなくなり、炎天下での掃除など拷問に等しいからだ。だがそんな康太の背中を雄二が押す・・・・というより突き飛ばす。

 

「ちなみに姫路や島田、三宮に浦辺、翔子や工藤、木下も呼ぶつもりだ」

「・・・・ブラシと洗剤を用意しておけ」

 

即断。

 

「っつーわけだ、Aクラスの連中を誘ってくるからFクラスの女性陣は任せたぞ、雄二」

「おう」

 

一路Aクラスへと向かった隼人は、優子、霧島、工藤、高本を集めて事情説明をする。

 

「というわけだ、まぁ工藤あたりが来れば水泳部員という事でのちのちの面倒も無くなるんだが・・・・」

「そうだねー、分った。ボクも行くよ」

「俺も行くぜ、そんなパラダイスが日常にあるなんて・・・・happyだ!!」

 

時々、高本はFクラス寄りなんじゃないかと思う時がある。

 

「雄二も来るらしいが」

「・・・・行く」

 

霧島GETと。

 

「優子はどうする?」

「え?私?私・・・・は・・・・」

 

何やら迷っている様子、そこに高本が来て耳打ちした言葉を口に出す。

 

「俺は優子の水着姿、見てみたいな」

 

ボンッ、と顔を真っ赤にしてコクリ、と肯く優子。そしてあちらでは高本がガッツポーズをしている。

 

「・・・・?」

 

恋人が出来た、とはいうものの実感の無い隼人は、割と浮いた台詞も照れずに言えるのだ。

 

―週末

集合場所である校門前に、今いるのは隼人、明久、義行、亮、秀吉、優子、叶、綾乃の師走寮組と康太、高本、工藤、姫路、島田、島田妹だ。

何故島田妹がいるかと言えばどうやら家を出る時に見つかったらしく、自分も連れて行って欲しいと駄々をこねられたらしいのだ。多分、仲間はずれにされた気になったのだろうと考えバレなければOKという事で一緒に遊ぶ事にしたのだ。

 

「おう、揃ってるな」

 

雄二が霧島を伴って現れた。

 

「じゃあ男女分かれて着替えるぞ」

 

男子更衣室へと隼人、明久、雄二、義行、亮、康太、秀吉、高本、葉月ちゃんが向かう。

 

「こらこら、秀吉と葉月ちゃんは向こうだぞ?」

「えへへ、冗談です♪」

「ワシは冗談では無いのじゃが・・・・」

 

いたずらがバレちゃった、ぐらいの表情の葉月ちゃんに対し苦い顔をしている秀吉。

 

「ほら葉月、木下、行くわよ」

 

それに追い討ちをかける島田の言葉。

 

「島田!?オヌシまでワシをそんな目で見ておるのか!?嫌じゃ!ワシは男じゃ!皆と一緒に・・・・」

「あっ!?止せ秀吉!それ以上ゴネたら・・・・」

 

隼人が忠告するも時既に遅し、秀吉の背後におどろおどろしいオーラを放つ霧島の姿。

 

「キノシタ・・・・ユウジノマエデヌイダラ・・・・」

「何でそうなるのじゃ!!」

 

ふぅ、とため息をつく隼人。

 

「落ち着け霧島、そして大丈夫だ秀吉・・・・ほら」

 

指差す先には『秀吉更衣室』の文字が。

 

『秀吉って性別として認可されたんだ』

 

―プール

既に着替えを終えプールサイドに集合している男性陣。

 

「準備運動はしっかりしておけよ、要らんところで怪我をするからな」

 

と、隼人が注意を促す中、康太がカメラの準備をしている。

 

「ムッツリーニは大丈夫?」

「・・・・何がだ」

「鼻血出しすぎて写真が撮れねー、じゃもともこもないぞ」

「・・・・問題無い」

「ん?」

「・・・・既にイメージトレーニングは済ませてある」

『それで?』

「・・・・256パターンのイメージトレーニングを行い」

『ふむふむ』

「・・・・256パターンの出血を確認した」

『結局流血かい!!』

 

康太&明久、義行、高本が漫才みたいなやり取りをしていると・・・・

 

「義行おにーちゃーん!!」

 

パタパタと手を振りながら葉月ちゃんが駆けて来る、何だろう、胸に凶暴なものがついている。

 

「懲役は二年ぐらいで済みそうだね」

「・・・・実刑はやむを得ない」

「世の中には敢えて危険を承知で進まなけりゃならない時がある」

「男たるもの、例え罠だろうと突き破らねばならないのだ」

「お前らちょっと落ち着け」

「そうだ、小学生の水着姿で取り乱すな」

 

隼人と雄二の言葉にガバッ、と振り返る四人。

 

「隼人と雄二は正気なの!?小学生のスク水だよ!?」

「うちの学校の指定水着だってスク水だろうが」

「バカモン!!高校生のそれと小学生のそれを一緒にするな!!!」

「いや、一緒だろ」

「・・・・許されざる発言」

「そこまで言われんのかい」

「当たり前だ!!高校生のそれをレアとするならば小学生のそれはウルトラレアだ!!」

 

暫し四人の力説に引きながら聞き流す隼人と雄二。

 

「ちょっと葉月!それ返しなさい!!」

 

駆けて来る島田。

 

「あ、ずれちゃいました」

「ん?それってヌーブっ!?落ち着いてくれ島田!!俺の関節はそっちには・・・・って・・・・///」

 

痛みをこらえながら顔を真っ赤にする義行。

 

「?」

 

不思議そうにする島田。

 

「あ、当たってる・・・・」

「!!!!?」

 

一気に顔を真っ赤にして更衣室へと戻る島田。

 

「・・・・明久」

「わかってるよ、亮」

『異端審問会に売り渡してやる・・・・』

「落ち着け明久、亮。どうやってそんな結論になった」

「例え島田さんの無い胸だとしても女の子の胸に触れたんだよ!?」

「そうだぞ!!例え島田の無い胸だとしても女の胸に・・・・」

『アンタラを殺すわ!!!』

『っぎゃああああああああああ!!!』

 

遊泳開始前に二名、水面に浮かんでます。

 

『└(o゚∀゚o)┘ヮッショィ!!』

 

明久、義行、康太、高本が変な踊りを踊り始めたが・・・・理由は女性陣だろう。やけに気合が入った女性陣は学校指定の水着では無く私用の水着を持参してきたようだ。

姫路の胸元を見て優子と島田、叶ががっくりしている。

 

「ねぇ隼人、やっぱり胸は大きい方が良いのかしら?」

 

何て優子に聞かれたので。

 

「何の話かは知らないが・・・・俺は優子ならば何でも良いと思っている」

「/////」

『妬まし・・・・殺す』

「お前ら本当に本音が隠せないんだな」

 

ケラケラと笑う雄二だが霧島に目潰しをされた影響で目は閉じたままだ。

 

「・・・・!・・・・!」

「ムッツリィニィイイイイイイイ!!!」

 

康太は鼻血の出しすぎで倒れていた。

 

―30分後

水中バレーボールで対抗戦を行う女性陣。姫路、優子、霧島、工藤のチームと島田、綾乃、叶、何故か乱入してきた清水のチーム、ちなみに勝ったチームには隼人から映画のペアチケットが配給される。

 

「五分五分か?」

「そうでも無いみたいだな」

「・・・・吉井、俺たちは今パラダイスにいるんだな」

「うん、間違い無くボクたちのいる今ここがパラダイスだよ高本君」

「俺の事は晋也で良いぜ」

「じゃあボクも明久、で良いよ」

 

あまり宜しく無い方面で友情形成中、ちなみにこの後Fクラスメンバーの高本に対する呼称が晋也、もしくは『Aクラス男子の残念な奴』に。

 

「ちょっと美春!アンタ本気でやりなさいよ!!」

「そんな!お姉様!私は本気で(負けるために)やっています!」

「・・・・そう、しらばっくれるのね?」

「お姉様?私は・・・・」

「本気でやらなかったら・・・・美春の事今度から『清水さん』って呼ぶから」

 

清水、フリーズ。直後のサーブでビニールボールでは有り得ない変化を起こす清水。

 

「お姉様!私!」

「わかってるわ美春!これからも良い友達でいましょう!」

 

何だこの寸劇は。

 

「ちょっと腹ぁ減ってきたな」

「昼飯までは考えていなかったな、どうするべきか・・・・」

 

空腹感からそんな話題に発展する。

 

「そう言えば・・・・」

 

何かを思い出したような台詞、そうただそれだけなのに、男性陣の中に重く低く響き渡る。

 

「今朝作ってきたワッフルが五つ・・・・」

『!!?』

 

事情を知る隼人、明久、雄二、義行、康太、秀吉、亮の表情がこわばる。

 

「お?んじゃあ一個貰おうか・・・・美少女の手作りスイーツ・・・・( ・∀・) イイネ!」

 

ひょい、とワッフルを掴み挙げて躊躇無く口に放り込む晋也。

 

「ふむふむ、程よい焼け具合の生地とドロドロネットリでヤバイくらいに甘いクリームのコラボレーションが・・・・絶妙!!?」

 

明らかに顔を真っ青にして倒れたにも関わらず最後まで紳士的に姫路を気遣った感想を言い切った晋也。

 

「残るは四つか・・・・」

「ボクが行くよ」

「お前だけ行かせられるか、俺も行くぜ」

 

続けて明久、義行が思い切ってワッフルを口に放り込む。

 

『ふむふむ、程よい焼け具合の生地とドロドロネットリでヤバイくらいに甘いクリームのコラボレーションが・・・・絶妙!!?』

 

全く同じ台詞を言いながら倒れ伏す明久と義行。ゴクリ、と唾を呑む隼人、雄二、秀吉、康太、亮。

 

「分かってんなお前ら」

「ああ、やるっきゃねぇ」

「うむ、それしか無いのう」

「・・・・(コクリ)」

「その通りだな」

 

残る二つのワッフルを適当なサイズに千切り分け五人が手に持つ。

 

『お前らだけ死なせはしない!』

 

一斉に口に放り込む。

 

『ふむふむ、程よい焼け具合の生地とドロドロネットリでヤバイくらいに甘いクリームのコラボレーションが・・・・絶妙!!?』

 

損害率200%を叩き出した姫路料理NO2『激甘!?ドロドロネットリワッフル』はあえなく封印される事になった。


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