バカとテストと召喚獣 ~とある男の物語~   作:カンベエ

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第十二問 世界史
以下の空欄に当て嵌る語句を答えなさい。
ミケランジェロはダビデ像を制作した彫刻家や、システィーナ礼拝堂の天井画を描いた画家としても有名だが他にも(  )という顔も持つ、多彩な人物であった。

吉井明久の答え
建築家

教師のコメント
一瞬、吉井君の名前を見ただけで×を付けそうになりました、すみません。最近の吉井君は日本史、世界史に関して成績が伸びてきているのでこの調子で頑張って下さい。

三宮叶の答え
建築家

教師のコメント
正解です。ミケランジェロの代表的な建築物としてはサンピエトロ大聖堂やサンロレンツォ教会図書館などが挙げられます。合わせて覚えておくと良いでしょう。

寿々屋義行の答え
一子相伝の武術家

教師のコメント
違います。どこからそんな答えを導き出したのでしょうか?文武両道と言えば聞こえはいいのでしょうが・・・・

土屋康太の答え
家では家庭的なお父さん

教師のコメント
子供たちにお菓子やおもちゃを作ってあげていた、という事でしょうか。彫刻家や画家として有名でありながら子供に優しいお父さん。何とも素晴らしい人物ですね。

比良坂喬介の答え
ジョン・F・ケネディの暗殺犯

教師のコメント
家庭的なお父さんを返して下さい。


第十二話 バカと覗きと制裁

「おかえり、おはよう。飯の時間だから食堂行くぞ」

 

鉄人の補習から解放され戻ってきた連中を寝かせる事も無く、真っ直ぐに食堂へと向かう隼人。

 

「で?備えはどうだったよ?」

「女子の要請を受けて布施先と長谷川がいた、あと鉄人」

「難儀なこったな、真っ向勝負しかけてどうすんだい」

「そうは言うがな、それ以外に策は無い」

「それでもしっかり『後のこと』ぐらいは考えてんだろ?」

「分かってんじゃねぇか」

 

黙々と朝飯を食べながら会話をする隼人と雄二。

 

「そうだ、お前ら補習に行ってて聞いてねーだろうが・・・・」

『?』

「基本日中はAクラスと一緒に自習だそうだ」

「何でAクラスとなのさ」

「要するにAクラスは俺らを見て『ああなりたくはない』、逆に俺らはAクラスを見て『ああなりたい』と意欲を出させる狙いだろうよ」

「成程なぁ、まぁ・・・・その目論見は半分失敗だろうな」

 

そう、ああなりたいと思うぐらいならばFクラスはもっとマシな集団になっていたはずだ。少なくとも異端審問会なんて存在は生まれていない。

 

―自習時間―AF合同教室

まぁ当然のことながら勉強に精を出すのはAクラスと一部Fクラス生徒ぐらいなものだ。明久や雄二、康太、義行、亮らは何やらこそこそと抜け出していった。

 

「さて・・・・勉強するか、島田」

「なによ」

「叶に日本語及び古典を重点的に教われ」

「なっ、なんでよ」

 

ふぅ、と息を一つついてから。

 

「日本語が読めなくて何時までも成績が低いんじゃ洒落にならん、そもそもお前は勉強が出来ないわけじゃ無いんだからしっかり日本語覚えてクラスの戦力として頑張れ」

「うー・・・・」

「で、その合間に叶は綾乃から英語を教われ」

「・・・・・・!(いやいや)」

「いやいや、じゃねーよ。お前は英語が低すぎてA~Bの中間にいるんだから英語もきっちり点とってA確定ぐらいにしとけ」

「(しょぼーん)」

「で綾乃は島田に数学、叶に現国、古典、世界史、日本史、姫路に化学、物理、生物、で工藤に頭下げて保体を教われ」

「英語以外全科目!?」

「ったりめーだ、しっかりやれ」

「うー」

 

不満な顔をする島田、叶、綾乃。

 

「そ、そーいう隼人はどーなのよ!」

「ホレ、俺の補給テストの結果」

 

総合4471点 現国387点 古典399点 数学726点 化学463点 物理472点 生物375点 日本史456点 世界史419点 英語388点 保体386点

 

「えっ!?」

「何これ、本気で学年主席レベルじゃないの!?」

「・・・・すご、い」

「だから俺の心配は無用だ、お前らの点数を何とかしなさい」

『はーい』

「秋山君に追い抜かれてしまいました」

「姫路だって努力次第で追いつけるだろ?差額100点以内なんだし」

「・・・・・・私も頑張る」

 

振り返れば霧島に優子、工藤、久保がそこにいる。

 

「おう、霧島」

「アンタまた点数上がってるじゃないの」

「すごいねー」

「僕も負けてられないな」

 

学年のTOP5が此処に揃う。

 

「っていうか点数的に秋山君が学年主席じゃないの?暫定的に」

「暫定でな、霧島と姫路が相手ならすぐに抜かれる。真下に久保と優子も迫ってるしな」

「・・・・・・」

 

首をかしげつつニヤニヤとこちらを見る工藤。

 

「どうした?」

「秋山君ってさー何時から『優子』って呼んでるの?」

「ん?」

「っ///!!!ほ、ほら!同じ寮で暮らしてるから他人行儀なのはどうなのかなーって、ね!?」

「いや、それは・・・・」

「ね?」

「はい、その通りです」

 

おかしい、理性を本能が組み伏せてそんな返事が口をついて出た。というか優子が笑っているのに怖い。しかし最近、色々と違和感を感じる。優子が寮に来て二週間が経つがどこか表情に無理がある時があるように感じる。まぁ卒業までは一緒なのだから何れわかる時が来るだろう。

 

―夕方―明久たちの部屋

今夜も真っ向から正々堂々覗くための会議が開かれていた。

 

「今日はD、E、Fクラスの連中も引きずり出す」

「出来んのか?」

 

そう、隼人が問いかけた途端、トントン、とノックする音が聞こえた。

 

「おう、入れ」

 

扉を開けて現れたのは横溝、平賀、比良坂の各クラスの男子代表格だ。

 

「昼に話は聞いた、加勢しよう」

「下位クラスとは言え三クラス分の男子が集まれば戦力は十分だ」

「うむ、男子たるもの時にはやらねばならぬ時がある。それが今だ」

 

三人とも言っている事はそれなりにカッコイイ、が・・・・

 

「お前ら何をするか理解してるか?」

『覗き』

 

OK、どうやらFクラスの(性質)は侵食するタイプらしい。

 

「行くぞ!目指すは理想郷(アガルタ)だぁあああ!!!」

『うぉおおおおおおおおお!』

 

全速力で緊急発進(スクランブル)していくと、部屋に残ったのは隼人だけとなった。

 

「アイツら元気だよなぁ・・・・」

 

そうつぶやきながら隣室である自室へと戻ろうとすると廊下の向こうから久保と優子が歩いてくる。

 

「ああ、丁度いいところにいたよ秋山君」

「どうした?こんな時間に」

「ええ、昼間の数学の設問についてなんだけど・・・・」

 

昼の自習時間で隼人はAクラスの人々に頼まれて数学の問題五つを設問、翌日までの課題としたのだ。

 

「そう言えばここら辺の部屋、大分静かね」

「と言うか人の気配が無いような・・・・」

「ああ、俺以外全員が・・・・」

 

『うわぁあああ!!!何で高橋女史がいるんだ!?』

『霧島に姫路、三宮だと!?かなうわけがない!!』

 

「・・・・というわけだ」

「いつの間に三宮さんはあっちに加勢してるわけ?」

「何か・・・・『エッチなの、めっ』って」

 

『ちょっ!まっ!?俺の関節はそっちに曲がんない!!曲がんないかギャァアアアアアアアアアア!!!』

『待って姫路さん!!それは何!?その危険なぐらい真っ赤なモノは何!?え!いやっ、ちょっ!ァアアアアアアアアアアア!!!』

『待て翔子!これにはワケが、深いわけギャアアアアアアア!!!』

 

阿鼻叫喚、の四字熟語を反射的に思い浮かべたくなるような声ばかりが聞こえてくる。

 

『ま、待つのじゃ浦辺!!ワシの関節はそちらには曲がらん!!そういうのは姉上だけで十分―――』

『待ってくれ叶ちゃん!その、その手に持った剣山を手放してくれ!!お願い!そんなので刺されたら死ねるから!!死ねるかァアアアアアアアアアアア!!!』

『――――――っ!!!!!(ブッシャアアアアアアアアア)』

 

「・・・・凄まじいね、聞いているだけでも」

「ああ・・・・」

「そう、ね・・・・」

「んー、久保、優子。スマンが話がある」

『?』

 

明久、雄二、秀吉、康太、義行、亮らが死線を彷徨い始めた頃に、一室で話し合う三人。明日、合宿三日目。最後の夜に・・・・何かが起こる。


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