バカとテストと召喚獣 ~とある男の物語~   作:カンベエ

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第十一問 学習合宿 藤堂カヲル
林間学校及び学習合宿とは何をしに行く場所だと思う?それぞれの主観で答えて欲しいさね。

姫路瑞希の答え
寝食を共にする事で友人や先生などの普段見れない一面を発見する場所です。

藤堂カヲルのコメント
うむ、宜しい。流石は優等生さね姫路は。

秋山隼人、坂本雄二の答え
寝食を共にする事で友人や先生の普段見れない一面を発見し、その中で弱みを掴んで今後の学園生活に活かしていく場所です。

藤堂カヲルのコメント
前半は真っ当だったのに後半が明らかにおかしいのはどういう事さね?

Fクラス男子一同(代表者:吉井明久、須川亮、寿々屋義行)の答え
女の子との触れ合いを楽しむ場所です!!

藤堂カヲルのコメント
断言!?


第十一話 バカと合宿と盗撮騒ぎ

「最悪だぁあああああああああああっ!!!」

 

その日の朝は、明久の叫び声から始まった。

 

「どうしたんだ、挙動不審で汗だくだくだぞ」

「えっいやっ!!」

 

こういう時の明久は何かを隠している。

 

「明久君、何を隠しているんですか?」

 

と、姫路が話に入ってくる。

 

「実はきょ・・・・・・」

 

脅迫状かな?と隼人はあたりをつけるが恐らく真っ向から言って姫路に心配をかけたくないとか考えているんだろう。

 

「きょ?」

「きょ・・・・競泳水着愛好会の勧誘状をもらったんだ!」

 

言い訳にしても酷すぎる。

 

「好きなんですか?競泳水着」

「うん、すっごく大す・・・・愛してる」

 

そして変なところで嘘をつけない。「私も競泳水着を着れば・・・・」なんて言っている姫路を放置しているうちに玲が教室へと現れた。

 

学力強化合宿―――二年生で二番目に訪れるイベントであり文字どおりの内容である。

 

「と言う訳で明日から学力強化合宿になります、Fクラスの皆さんは既に試験召喚戦争を経験しているから十分理解しているとは思いますけれども学力は大事です」

 

こうやって先生をやっている時の玲は非常に常識人に見える。

 

「三ヶ月後の試験召喚戦争解禁までに更に実力を付け、今度こそAクラスに勝利出来るよう邁進して行きましょう」

『おぉーーー!!!』

 

それから合宿における注意事項などが読み上げられていく、そして。

 

「それと、Fクラスは現地集合です♪」

 

その言葉に、僅かな静寂が訪れる・・・・・

 

『案内すらねぇのかよっ!?』

 

―合宿行きの電車の中

教員である玲が既に合宿所に向かったために、生徒だけの移動になるのだが・・・・

 

「で?何でお前らいるの?」

「・・・・」

「あー・・・・ははっ・・・・」

 

何故か霧島と優子が一緒です。

 

「・・・・バスに乗り遅れた」

「ほう・・・・俺の部屋の時計が15分もずれていたんだが・・・・昨日の夜まで正確だったのに、だ」

 

ついっ、と視線を反らした霧島。

 

「私もよ」

「何でだよ、時間通りに起こしただろうが」

「学校に行ったら秀吉がいたのよ」

「それで?」

「性懲りもなく女装していたからせっか・・・・説教をしていてね、それで遅くなったのよ」

 

今物騒な言葉が聞こえかけたのは気のせいだろう。とまぁとにかくAクラス二人を加えて電車は合宿所へと向かう。席は四人席だったので姫路、霧島、明久、雄二。俺、義行、優子、島田。秀吉、綾乃、叶。康太と亮の組み合わせになった。亮が「なんでだぁあああああ」とか叫んでいたが無視した。

現地へと到着するまでの過ごし方はそれぞれである、隼人と優子は二人で勉強をしている、康太と亮は爆睡中、他のメンツは心理テストみたいなものをしている。

 

「優子、そこ計算式が違うぞ」

「え?そうなの?」

「ああ、パッと見それで良いかも知れないがな・・・・」

 

いつの間にか、その場の全員が二人に視線を集中させている。

 

「なんか仲良いよねあの二人」

「割と自然な感じだな」

「うむ、違和感は無いの」

「茶化したいがやったら殺されるな」

『羨ましい・・・・』

「・・・・仲良し♪」

「良いなー、ああいうの」

 

二人は勉強に集中していてそんな周囲の会話には気づかない。

 

「隼人、その英文のスペル間違ってるわよ」

「マジでか」

 

―合宿所

そんなこんなで合宿所、途中姫路料理を食して倒れた明久を亮に「力持ちの男子ってモテるんじゃね?」と言って担がせていた。

 

「・・・・何故吉井は気絶しているんだ」

 

今回の合宿の総責任者である鉄人が聞いてきたので。

 

「はしゃぎすぎてすっ転びました」

 

と、それらしい言い訳をしておく。

 

「そうか、これが今回の部屋割だ。お前が他の連中に伝えてやれ」

「うっす」

 

受け取った部屋割りを確認する。雄二、明久、秀吉、康太の部屋と俺、義行、亮の部屋だ。

 

「雄二、取り敢えず部屋に行くぞ。康太と秀吉はAEDの準備を」

『了解』

 

最早人一人の蘇生活動などお手の物である。

 

―数分後―明久たちの部屋

ゆっくりと眼を開く明久。

 

「ふぅ、助かったか」

「あれ・・・・僕は一体・・・・」

 

どうやら死線をさまよったせいか記憶が混濁しているようだ。

 

「良かったのじゃ明久!もうダメかと思ったのじゃ!」

「まぁ確かに、うわごとで部屋のエロ本の処理を頼んで来た時は焦ったな」

「僕そんなにやばかったの!?」

 

と、騒いでいると突然、扉が乱暴に開け放たれる音と共に二十人ほどの女子たちが部屋へと乱入してきた。

 

「全員手を挙げなさい!!無駄な抵抗はしないように!特にそこの五人!!!」

 

え?と声を上げながら窓の方を見ると明久、雄二、康太、亮、義行の五人が窓から脱出する寸前だった。どうしてコイツラはとっさの判断で窓から逃げるなんて選択肢を取れるんだろう。

 

「・・・・大勢でぞろぞろと、何の用だ?CクラスとEクラスの代表さんが」

 

女子の筆頭はCクラス代表の小山優香とEクラス代表の中林宏美だ。

 

「アンタたちしかこういうのを仕掛ける人物が思いつかないのよ」

 

そう言って取り出した機械を見て、康太が「小型マイクとCCDカメラ」と呟いていた、つまりは・・・・

 

「俺らが盗撮犯だ・・・・と?」

「そうよ!」

「濡れ衣も良いところだな」

 

目で他の五人(秀吉は何故かあちら側に保護されたため)に自分に任せろ、と合図を出す。

 

「何ですって?」

「そもそも俺たちは此処に到着してから気絶していた明久の介抱をしていたのだ、そんなモノを仕掛けている暇など無い」

「吉井が気絶してたって証拠はあるの?」

「西村教諭に確認を取ってくれ、あの人が明久が気絶していた事を確認している」

 

鉄人が確認した、という言葉に相手側が詰まる。

 

「それにだ、旅館に到着したばかりで中の状態も把握していない俺らが何故そんなものを仕掛けられる?それに事前の話だと女子風呂には鍵がかけられており通風孔も溶接されているとの事じゃないか。短時間でそれらの障害を取り除いて設置するのは不可能だ」

「ぐっ・・・・」

「と言う訳で証拠不十分だ、顔を洗って出直せ」

「でもやってない証拠も無いでしょ!?こんな真似をする奴がFクラス以外にいるわけ無いんだから!!!」

 

どうやら既に小山の中では俺らが犯人という事で確定しているらしい、ここで押し問答をしていても始まらない・・・・。

 

「貴女たちこんなところで何をしているの?」

 

聞こえてきた声は優子のものだ、女子たちの肩ごしに覗けば姫路、島田、綾乃、叶もいる。

 

「コイツらをつるし上げているところよ」

 

そう言いながら事情説明をしている、無論あちらに都合の良い様に脚色されているが。

 

「それでそう言う言い分をされたものだから」

「そう、でも隼人の言う通り証拠不十分よね」

「そ、それは・・・・」

「なら引き下がった方が良いんじゃない?確たる証拠も無しに詰問してそれが冤罪だった場合・・・・学園側から眼を付けられるのは貴女たちになるのよ」

 

その言葉で引き下がっていく小山たち。

 

「で?本当にやってないんでしょうね?」

「んな暇があるわけ無いだろうが、明久の蘇生で必至だったぞ」

「姫路、お前今度は料理に何をいれた?」

「え?えっと・・・・ハバネロにデスチリ、鷹の爪に・・・・」

 

最近の姫路は化学薬品を料理に入れる事は無くなり、ただの致命的な料理ベタにランクアップした・・・・それでも・・・・

 

「OK、分かった。今度正しくて美味しい『チキンライス』のつくり方を教えてやる」

 

その名残か、見た目の色などから判断して適当な材料を放り込む事が多い。

 

「・・・・それで?何があったの秋山」

「ああー、そうだった」

 

事情説明中・・・・・・

 

「成程ね、で?どうするわけ?確実に小山さんたちは貴方たちを犯人と決め付けているみたいだけど」

「そうだなぁ・・・・どうする?雄二」

「・・・・・・・・ねぇか」

「え?」

「やってやろうじゃねぇか!!」

「あ、やっべ・・・・スイッチ入ってる」

 

雄二には時々こういう時がある。

 

「行くぞ!明久、義行、秀吉、ムッツリーニ、須川!!」

 

あっという間に部屋からいなくなった六人。

 

「何をしにいったのかしら」

「覗き・・・・かな?ただ覗き犯扱いされるのが癪だから本当にやっちまえーみたいな。まぁアイツの事だ、他にも目的はあるんだろうが」

「・・・・大丈夫なの?」

「大丈夫だ、どうせ・・・・」

『戦死者は補習ー!!』

『ぎゃああああああああああっ!!!』

 

階下から響いてくる叫び声。

 

「女子風呂前には西村教諭が張っているからな、まぁ折角来たんだ。茶でも飲んでいけ」

 

こんな感じで一日目が過ぎていく。


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