次の英単語の和訳を答えてくれ。
(1)drift (2)load (3)dust
浦辺綾乃の答え
(1)漂流 (2)道 (3)ゴミ
秋山隼人のコメント
正解だ、綾乃は英語に関しては素晴らしい成績だな。この調子で他の教科に関しても伸ばしてくれると個人的にもクラス的にも助かるな。
吉井明久の答え
(1)ドラフト
秋山隼人のコメント
お前は結構野球好きだよな、カーブにシンカー、フォークにチェンジアップ、ナックルにサークルチェンジと実に六種類の変化球を投げれるからな・・・・・・だが不正解だ。
須川亮の答え
(2)十三章
秋山隼人のコメント
虎舞竜、俺も好きだぞ。あの曲は素晴らしい名曲だと思うよ・・・・だが不正解だ。
土屋康太の答え
(3)バスト
秋山隼人のコメント
良いか康太、バストだとスペルは「b」「u」「s」「t」、今回の問題は「d」「u」「s」「t」だ、似ているようでbとdの向きは違うからな?
病院で治療を受けて戻ってきた隼人を、明久、義行、雄二が教室で待っていた。
「大丈夫だった!?」
「まぁ大丈夫だ、支障は無い」
「で?何であの場で言わなかった、取り敢えずはお前の意見を尊重したが」
少し不満げに言う義行、無理も無い。それだけの怪我をしていたのに黙られているというのは気分がいいものでは無い。
「あの場で俺が刺された、何て言ったら姫路も島田姉妹もちょっとした心の傷になってたと思うんだ。自分を助けに来たせいで刺された・・・・ってな」
「お前らしい気の使い方だけどな、まぁ・・・・」
雄二が廊下の方へと視線を向ける。
「元凶に説明させるようにいったからそろそろ来るはずだ」
「元凶とは心外さね」
ガラッと扉を開けて現れた人物に視線を向ける隼人。
「藤堂のババアか」
「昔から変わらず生意気なクソガキだね」
藤堂カヲル、文月学園の学園長であり隼人とはちょっとした縁からの知り合いである。
「んな昔話はいい、全部話せ。大筋の予想は付いているが相手側の手が度を超えている」
「そうですよ!隼人なんか刺されたんですよ!?」
「だな、姫路に島田姉妹、木下も誘拐されたしな」
「そうかい、相手はそこまで手段を選ばないで来たかい」
ゆっくりと眼を閉じ、深々と頭を下げるババア。
「すまなかったね」
謝罪と共に始まる説明、要約するならば試験召喚大会の優勝賞品である白金、鉄の腕輪に欠陥があったこと、そのために低得点者の優勝可能性が高い明久と雄二が選ばれたという事、学園長の失脚を狙う教頭一派が妨害を画策しているという事など。
「成程な、おおっぴらに言えねーわけだ。技術者としての信用まで落ちるもんな」
「アンタも大概父親に似て口の減らない奴さね」
「褒め言葉と受け取ろう」
ちょっとアレな人ではあるが基本尊敬はしているのだ、『研究者としては』。
「ともかく、ここまで大胆な手を使って失敗したのだ。これ以上大まかな妨害も無いだろう」
「一応西村先生には事情を話して警戒してもらっているから何かあれば相談するといい」
「分かった」
「ああ、それと」
教室から出ようとしたババアが振り返る。
「師走寮の件なんだけどね」
「ああ」
「今度中途採用の教員が一人入るんだけどね、その先生に寮長も兼任してもらう事にしたさね」
「あ?なんでよ」
元々生成優秀、品行方正な隼人が寮長ならばと学生寮長なんてものが容認されたはずなんだが・・・・
「アンタがAないしBクラスに入っててくれれば問題無かったんだけどね、Fクラスの生徒が寮長というのは問題があるだろうという話が出たのさね」
「・・・・反論出来ねーな」
「そういう事さ、清涼祭終了後に赴任してくるからまぁ仲良くやるといいさ」
ヒラヒラと手を振りながら出て行くババア。
「さて、明久と雄二はどうすんだ?」
「ああ、その事なんだが・・・・今日は師走寮に泊めてくれないか?明久と明日の対策を練りたい」
「・・・・ふむ、分かった。最後の寮長権限で許可する」
「なんか手伝える事があったら言えよ?」
「お前化学以外ダメだからな」
「なっ!?そんな事はないぞぉ?」
「三角形の面積の求め方」
ダラダラと汗を滲ませる義行。
「もう隼人ったら、バカにしすぎじゃないか。義行がかわいそうだよ」
「じゃあ明久答えろ」
「底辺×高さでしょ」
「・・・・」
「え!?違うの!!?」
「明久、それを二で割ったら三角形の面積が出せるからな」
「・・・・・・」
静まり返る空気。
「ふっ、雄二は人の揚げ足を取る事に関しては天才的だね」
『スゲェ!?その切り返しは予想してなかったぞ!?』
―翌日
目の下にクマを作って登校してきた隼人、明久、雄二の三人。
「うーっす」
「おはよぉ」
「おいーっす」
「・・・・大丈夫(ちょこん)?」
小首を傾げながら問いかけてくるのは叶だ。
「問題無いがスマン、今日は俺と明久、雄二は非番で頼む。眠い」
「えー」
「構わん、ゆっくり休め」
どん、と仁王立ちするのはチャイナドレスを着てウィッグを付けた義行だ。
「・・・・台詞と格好がここまで噛み合わないのは始めてだ」
「うるせぇ、取り敢えずこっちは任せておけ」
「おぅ、任せたぜ」
―午後
「・・・・確かにさぁ、俺が回復したから皆で決勝見てこいって言ったけど」
Fクラス前には『本日の営業は終了いたしました』の張り紙、中には隼人と優子しかいない。
「何でホントに全員で行くかなぁ、接客一名、厨房一名じゃ営業なんざ出来ねーだろうが」
カリカリと書類にペンを走らせる音と、電卓を叩く音だけが教室内に響き渡る。
「というか隼人って計算早いわよね、電卓使っても追いつけないって・・・・」
「オフクロが数学者でな、物心ついた時には10桁の暗算が出来るようになってた」
「規格外ね」
まとめ上げた二日分の売上を見る。
「んー・・・・畳の交換と座布団の新調で限界だな」
「それだけ稼げた分すごいと思うけれどね」
「まぁ学祭の出し物としては成功だな」
トントン、と書類を纏めてバインダーにとじる。
「ともかく、二日間ご苦労さんだ。優子」
「いいわよ、楽しかったし」
「ならば何より」
ガラッ、と窓を開けて風を取り入れる。
「ありがとね」
「ん?」
「私さ、こうやって皆とワイワイ騒ぎながら何かをやるってあんまりやった事なくって・・・・でも今年隼人たちと一緒にやれて・・・・その、楽しかったから・・・・」
「そうか・・・・うむ、ならこれからも一緒に遊んだりしようや」
「え?」
「青春時代は大いにバカをやって騒ぐべきなんだ、そう言う意味ではアイツらといると暇をしない」
「そうね、むしろ忙しそうだわ」
「残り約二年だけどさ、俺らと一緒に青春時代ってのを謳歌しても良いと思うぜ?」
少しだけ、考える仕草をする優子。
「そうね、宜しく頼むわ」
「おう」
スっ、と隼人が握手を求めて手を差し出すと、少しだけ躊躇したあとに優子がその手をキュッと握る。
「そう言えば隼人、貴方って寮長なのよね?」
「今のところは」
「ならお願いがあるんだけれど・・・・」
―翌日・朝
清涼祭も無事(?)に終了した翌朝、振替休日ではあったのだが師走寮のメンツは食堂へと集められていた。
「昨日、一昨日は全員ご苦労。この休日中に業者が仕事をしてくれるので休日明けには新しくなった畳で授業が受けれる手筈だ」
「おおー、新しい畳の匂いって好きなんだよね」
「(こくこく)♪」
「ふふふ、座布団も新しくなるから脚が痛くなりにくくなりますね」
「そんな皆にお知らせが二つある」
『?』
揃って首を傾げる一同。
「先ず一つ目だが後日、文月学園に新任教師が一人。中途採用で赴任してくるらしい」
「?それが何と関係あるんだ」
ピッ、と手を挙げて亮が質問してくる。
「その新任教師が師走寮の寮長を兼任する事になった」
「何で!?」
「そういうのがめんどいから隼人がいるんだろうが!」
「その肝心の俺がFクラスになった事で先生方から異議が唱えられたそうだ」
『ぶーぶー』
文月学園公認学生寮の中で最も自由であったと師走寮、都合が良かったことは確かではあるのだ。
「まぁ決まった事だ、受け入れろ」
「もう一つってなによ」
「ああ、今日から新しい仲間がこの寮で暮らす事になった」
「今更増えるの?一年?」
「うんにゃ、二年だ。お前らも良く知ってる奴らだな、ご両親が突然の長期出張になったための決断だそうだ」
ゴホン。と咳払いをすると。
「入ってくれ」
その言葉と共に入ってきたのは学園でも有名な双子。
「卒業までの短い期間だけれど、宜しくね」
「宜しく頼むのじゃ、明久、義行、須川、三宮、浦辺」
木下優子と木下秀吉だった。
『いぃやっふぅううううううう!!!』
「やっ、た(ピョン)♪」
全力で喜ぶバカ四名と一緒になってはしゃぐマスコット一名。
「まぁ何はともあれ・・・・ようこそ、師走寮へ。見ての通り俺たちは歓迎するよ」
「ええ、宜しく」
「うむ」
師走寮、現在入居者八名。
優子、秀吉の姉弟が入寮しました。というか様々なイベントに優子が参加しますね。今回で学園祭編は終了、数回の小話を挟んで強化合宿編に突入。
次回は原作をすっ飛ばしてあの人が登場!