課金厨のソシャゲ廃人がリリカルなのは世界に神様転生してまた課金するようです   作:ルシエド

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 ここからは各戦場を場面が移り変わるたびに時系列の流れが前後します

 やっとここまで来れました。この話からようやくこの章でやりたかったことが読者さんに伝わると思います


未来のフレンド

 

 

 

 

 

 

 

 

―――いつかの未来で、また会おう。たとえその想い出が、どこにもなかったとしても

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ベルカが中層攻略に連れて行った五人の内、エレミアより明確に強い人間は二人。クラウスとオリヴィエだけだ。

 残る三人はシュトゥラ王近衛の一人である黒髪の騎士、ケルトイの姫、そして……

 

「なんでこいつがここにいるんだか」

 

「ベルカに誘われたからだが」

 

 ベルカが時々話題に出していた、闘技場の女剣士であった。

 

「民間の戦闘者の中でなら、彼女は頭一つ抜けた強さがある。

 姫だって知ってるだろう? 蛇腹剣の戦いはオレと一緒に見てたじゃないか」

 

「そりゃあたしも分かってるけどさ」

 

 黒髪の騎士が参戦したシュトゥラ軍の中で一番強い人間、ケルトイの姫が決戦に志願してきた騎士や王族の中で一番強い人間なら、女剣士は民間からの志願兵の中で一番強い人間だった。

 女剣士はよく喋る人間ではなかったが、お姫様の言葉に応じて口を開く。

 

「信用はおいおい得ていくさ」

 

「つかあんたは、こういう面倒事は軍や国に任せようとか思わなかったのか?

 あたしが言うのも何だが、戦う義理なんてないんだから丸投げしたってよかったろうに」

 

「何、世界の危機となれば私も心穏やかでは居られない。

 かの聖王と肩を並べて戦うということは、騎士にとってこの上ない誉れでもある。

 それに、だ。

 いつも最前列で応援してくれている者の頼みだ。一度くらいは聞いてやってもいいだろう」

 

 黒髪の騎士もケルトイの姫も闘技場の女剣士も、ベルカが最終決戦に来てくれるよう頼み、それに応えてくれた者達だ。

 闘技場の住人というだけあって女剣士は戦うことを厭わぬ人間であり、闘技場の最前列でしょっちゅう応援してくれていたファンの顔も覚えていたようで、ベルカの頼みを聞いてくれたのだ。

 彼女は騎士としての自覚もあったため、聖王の名が効いたというのもあるだろう。

 

 人生、何がどこでどう繋がるか分からないものである。

 

「オレとしてはできれば仲良くして欲しいんだが」

 

「へっ」

 

「おい姫この野郎」

 

 鼻で笑う姫のおさげを姫の耳に中にねじ込みながら、騒ぐ姫の声を無視して、ベルカは先へ先へと進む。

 やがて彼らは、第一のセクターに到着した。

 透明な、けれど不可視ではない結界に包まれた空間の中心に、男が立っている。

 

「叔父様」

 

「来たか、愚姪」

 

 カリギュラ・キングマクベスが、彼らを待ち受けていた。

 

「しょっぱなからカリギュラか……!」

 

 戦慄するベルカ達をよそに、カリギュラは悠然と立っている。

 ただそこに立っているだけで、大きな山がそこにあるかのような、大きく強大で揺らがない存在感が発せられていた。

 凡人ならば、その存在感だけで気圧され、(こうべ)を垂れてしまうだろう。

 だがその存在感に一歩も引かないオリヴィエが、仲間の動きを手で制し、一歩前に出る。

 

「ここは私に任せて下さい。皆は先に」

 

「オリヴィエ様……」

 

「また後で会いましょう。これが最後のお別れなんて、私は嫌ですよ」

 

「……ご武運を」

 

 ベルカとオリヴィエが言葉を交わし、その後にクラウスとオリヴィエが視線を交わす。

 王子と聖王女は目だけで意志を伝え合い、一度頷き、会話することもなく背中を向け合った。

 

「ベルカ、次のセクターに急ごう!」

 

「ああ!」

 

 ベルカとオリヴィエの間には言葉が必要だったが、クラウスとオリヴィエの間には言葉すら必要ではないようだ。

 ケルトイの姫はベルカ達と共に走りながら、カリギュラの居るセクターに飛び込んで行ったオリヴィエの方に顔を向け、心配そうな声を漏らす。

 

「おい、大丈夫なのか? あいつ、話に聞く"堕ちた聖王"じゃ……」

 

 カリギュラは最終決戦において、もっとも個人戦闘力が高い人間であると想定されていた。

 当然、その戦闘力は皆に周知されている。

 ケルトイの姫が友人であるオリヴィエを心配するのも、当然と言えよう。

 

「元より、一つや二つの奇跡でどうにかなる戦力差じゃないんだ。

 オレ達全員が奇跡の勝利を収めても勝てるかどうかは分からない」

 

「それは……」

 

「信じよう、オリヴィエ様を。あの人も考えなしに挑む人じゃないはずだ」

 

 "信じようと"ベルカは言ったものの、今回の戦いが複数人での戦いを許されるものであったならば、間違いなく全員でカリギュラに戦いを挑んでいただろう。

 一対一を強要され、セクター攻略に挑んだ人間が戻って来れないこの仕様、どうやら彼らが想像していた以上に厄介なもののようだ。

 仲間との信頼関係や連携などのアドバンテージが、完全に潰されてしまっている。

 

 そのため仲間と連携できない敵が、相対的にアドバンテージを得られるようになっていた。

 

(残りセクター四。投入可能人数は残り四)

 

 第一セクターから第二セクターへ、ベルカ達は歩を進める。

 今度はどんな敵が待ち受けているのか想像し、警戒しながら、彼らは第二セクター前に到着したのだが、何故か第二セクターには誰も居なかった。

 代わりに、セクター中央に光の玉が一つぷかぷかと浮かんでいる。

 

「? セクターの番人が居ない?」

 

「なんだあの光の玉……」

 

 あの光の玉が番人だとでもいうのだろうか。

 だとしたら、これはかなり判断に困る状況である。

 一度も負けられない、かつ一度投入した人間をもう一度使えないこの状況において、考えなしに戦力を投入することなど許されないからだ。

 

「僕が行こう」

 

「クラウス」

 

「『あれ』が強かったとしても弱かったとしても、僕が行くべきだ」

 

 それゆえにか、クラウスが立候補した。

 

「僕に求められているのは一刻も早い勝利。

 そしてできれば消耗のない勝利。

 かつ、結界の破壊による中層戦力の再集結だろう?」

 

「……ああ。頼む」

 

 クラウスはこの中で最も強い。

 このセクターの敵が強ければ、当然それはクラウスが倒すべきだろう。

 このセクターの敵が弱ければ、クラウスはセクターを囲む結界の破壊に早く専念できる。

 何にせよ、後々ジェイルとの戦いがあることを考えれば、セクターの壁は遅かれ早かれ突破しなければならない。

 

「さて、鬼が出るか蛇が出るか」

 

 セクター内部に飛び込んだクラウスを仲間達が見守っていると、やがてセクター内部に浮かんでいた光の玉が色を反転させ、闇色の玉へと姿を変える。

 そして止まらず姿を変え続け、いつしか闇色の玉は"闇色のクラウス"へと姿を変えていた。

 

「! クラウスの姿になった?」

 

「あの術式……見覚えがある。

 術式を複写し、人を真似る系統の魔道書が持つ術式……断章(マテリアル)だ」

 

 "クラウスのマテリアル"。博識な黒髪の騎士にそう呼ばれた黒い影は、クラウスと全く同じ構えをとって、クラウスと同等の強者の風格を滲ませる。

 王の風格も滲ませているため、さしづめ王のマテリアルといったところか。

 

(! このマテリアルとやら、強い……おそらくは、僕と同等くらいには)

 

 クラウスは試しに右拳を突き出してみる。

 モーションはジャブのそれだが、ビルの壁をカステラのように粉砕する威力がある拳だ。

 だがクラウスの右拳に対し、マテリアルは鏡合わせのように左拳を突き出してくる。

 衝突。

 打音。

 拳と拳に挟まれた空気が弾け、拳と拳の衝突は衝撃波を生む。

 

 一撃、二撃とクラウスは連続して拳を振るうが、そのたびにクラウスのマテリアルは鏡合わせの攻撃を返して来た。

 互いの体に拳は届かず、拳と拳だけがぶつかり、派手に衝撃波を撒き散らしていく。

 クラウスとマテリアルの拳闘はどちらも譲らず、互角の様相を呈していた。

 

(強い? いや、逆なのか?

 僕が挑んだから、僕と同等の強さを見せているのだろうか? 鏡のように……)

 

 一秒間に十数回の打撃音が響く中、クラウスのこめかみに汗が垂れる。

 

「……まさか、他のセクターにも、このマテリアルの素が配置されてるのか?」

 

「ふむ、ジェイルとやらは我々に『自分自身との戦い』をぶつけてきたか。面白い」

 

「面白くねーよ! 楽しみたいなら闘技場に帰れバトルマニア!」

 

 ベルカがジェイルの企みを見抜き、闘技場の女剣士が面白そうにニヤリと笑い、そんな女剣士の足をキレたお姫様が蹴る。

 喧嘩ばかりの女性二人をよそに、クラウスは背を向けたまま友を呼ぶ。

 

「ベルカ」

 

「ああ、分かってる。死ぬなよ」

 

「君もな」

 

 "早く先に行け"という意志を伝えるだけなら、言葉は要らない。

 ベルカとクラウスもまた、クラウスとオリヴィエのように、言葉無くとも分かり合える者達だった。ベルカはクラウスに背中を押され、仲間を連れて第三セクターへ。

 

「案ずるな、ベルカ。クラウス殿下ならば、おそらくこれ以上なくマテリアルと相性が良い」

 

「……だと、いいんですがね」

 

 黒髪の騎士がベルカの肩を軽く叩き、ベルカを安心させようと言葉をかける。

 残り三人、残りセクター三。

 第三セクターに辿り着くなり、黒髪の騎士は先んじて飛び込む。

 セクター内部で光るマテリアルは、やがて黒髪の姿も真似始めた。

 

「ここは私が戦おう」

 

 マテリアルというものについての知識を持っている騎士は、敵が起動した術式を見て、敵の属性にあたりをつける。

 

「その魔術式の洗練度合い……成程、貴様は『理』のマテリアルか」

 

 そして言葉で、外のベルカの背中を押した。

 

「行け、ベルカ。ここは私が請け負った」

 

「ご武運を!」

 

 師の頼りがいのある背中を見て、ベルカはどこか安心した心持ちで駆け出す。

 これで過半数のセクターに人を割き終えたことになる。

 四つ目のセクターに辿り着いたベルカは足を止め、セクター内部に見える三つ目のマテリアルを睨み、女剣士とお姫様のどちらを投入するか考え始める。

 

(……ウーンズもナハトも居ないな。

 どちらか片方は五つ目のセクターに居る可能性が高い。なら、ここは……)

 

 ベルカの視線から彼の意図を察したのか、うっすらと微笑んだ女剣士が前に出る。

 

「次は私だ。いいだろう? そのためにここに来たのだから」

 

「好きにしろ、このバカ剣士!」

 

 ケルトイの姫は悪態つきつつ、セクターに飛び込んで行った女剣士の背中を心配そうに見つめていた。

 そんな視線を知ってか知らずか、女剣士はするりと剣を抜く。

 女剣士の姿を真似たマテリアルも剣を抜く。

 だが女騎士の剣は炎を纏い、マテリアルの剣は雷を纏っていた。

 

「あの『雷刃』……ふむ。

 行け、ベルカ。こういう面倒事を片付けさせるために私を連れて来たのだろう?」

 

「お願いします」

 

「ああ、任せておけ。雑魚は私が片付ける。お前は世界を救ってこい」

 

 女剣士が剣を豪快に振り下ろし、マテリアルが剣を素早く振り上げる。

 二つの剣は衝突し、両者の間で鍔迫り合いが始まった。

 重力下で振り下ろす剣と振り上げる剣が拮抗したということは、それすなわち、マテリアルの方の力が僅かに強いということだ。

 

「私よりも少々大きなこの力……『力』のマテリアルといったところか」

 

 女剣士は黒髪の騎士が"理のマテリアル"と言っていたのを思い出しつつ、目の前のマテリアルに仮称を付けて、ベルカ達が去って行く足音を耳にしていた。

 

「あとひとつ、次が最後のセクター……!」

 

 走る。

 ただ走る。

 下層で起こっている大規模戦闘の知らせは、既にベルカの下に届いている。

 ただの移動に費やしていい時間など、一秒たりともなかった。

 

「!」

 

 そして、ベルカと姫が辿り着いたその場所で。

 

「あいつは……ウーンズ・エーベルヴァイン……!」

 

 第五セクターの番人が、一つの魔導書を手に、一人佇んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 スルトの内部に発生している空間効果で不具合を起こしているのか、ガジェットは魔法阻害領域……AMFの一切を使ってこなかった。

 ただそれだけが、救いだった。

 ガジェットの総数は戦闘開始数分で万の単位を超え、億の単位に至っていた。

 ただそれだけで、地獄だった。

 

「退避ィー!」

 

「うわあああああああっ!!」

 

 倒したガジェットは自然と積み上がり、山になる。

 戦闘の振動で山は自然と揺れて傾き、いつかは倒れる。

 そして今、倒れた山に一人の兵士が巻き込まれていた。

 

 巻き込まれた騎士が間抜けだった、の一言では片付けられないだろう。

 倒れたガジェットの山が巻き込んだ範囲は中学校のグラウンドよりなお広いくらいで、戦闘に疲弊した一般兵が避けられるようなものではなかったのだ。

 

(……う、嘘だろ?)

 

 名も無き兵士は、崩れたガジェットの山に呑まれて埋もれてしまう。

 魔力甲冑があったため即死こそしなかったが、金属製のガジェットで出来た山は途轍もない重量があり、名も無き兵士の力ではもがいても微動だにしない。

 それどころか魔力甲冑が軋みを上げて、ガジェットのオイルが残骸の間に流れて空気の流入を止め、兵士から酸素を奪い取っていた。このままでは、この兵士は程なく窒息死する。

 

(こんなことで……戦いの余波の余波のおまけみたいなもんで……)

 

 もがいてももがいても、山は揺らがず。

 兵士がガジェットの山に呑まれたことに周囲は気付いているのかいないのか、誰も呑み込まれた兵士を助けようとしていない。

 助けは来ない。

 自力で出て行くこともできない。

 兵士はゆっくりと、死に向かっていた。

 

(俺は、死ぬのか!?)

 

 息が苦しい。

 酸素が足りない。

 戦って死ぬならいい。この兵士にもその覚悟は出来ている。

 けれどこんな死に方をするだなんて、あまりにも規模が大きくなってしまった戦いの陰で人知れず死んでいくだなんて、認められるわけもなかった。

 

「い、嫌だ! 嫌だ! 死にたくないッ! こ……こんな……死に方で……!」

 

 みじめで無価値な死を迎えるという恐怖を抱きながら、兵士の意識が途切れていく。

 

「死に……たく……で……も……頑張……聖王さ……エレミ……勝っ……ぜったい……」

 

 彼は意識が無くなるその直前に、恐怖に心折られながらも、仲間達の勝利を祈った。

 

 

 

 

 

 そして、いい女から救いの手が伸ばされる。

 兵士の位置を探査魔法で把握したエレミアが、兵士の上に乗っていたガジェットの残骸だけを魔力砲撃にて吹き飛ばし、出て来た兵士の体を掴んで投げる。

 投げた先には、シュトゥラ医療騎士団長の金髪の騎士が居た。

 

「回復を!」

 

「はい!」

 

 金髪の騎士は受け取った兵士を結界の中に放り込み、結界の中で治療にあたる。

 中層とは違い、下層にはかき集めた兵力・戦力の全てが集結していた。

 つまり、下層では集団戦が行えているのだ。

 彼らは中央の転送ポートを守るために陣形を組み、負傷者が出たならば即座に後方に送り、医療騎士団の手厚い治療によって短時間で戦線に復帰、何とか戦線を維持していた。

 転送ポートをギリギリ守れている、程度の"戦線の維持"でしかなかったが。

 

(戦っている兵士の数より、後方で治療されている兵士の数の方が多くなってきた)

 

 エレミアは戦況の悪化を認識しながら、押されてきた戦線を押し戻すために殲撃(ガイスト)を放つ。

 千のガジェットがたった一撃で粉砕され、けれどそれを盾に万のガジェットが殲撃(ガイスト)を回避し、十万のガジェットが同時にレーザーを発射した。

 

「くうっ!」

 

 エレミアは堅固な魔力盾を構築し、盾の表面に速い魔力の流れを作った上で盾を傾け、十万のレーザーを受け流した。

 受け止めようとすれば確実に死ぬ。回避すれば彼女の背後の兵士達が死ぬ。

 懸命な判断から受け流された十万のレーザーは遥か上方のガジェット達に着弾し、数千のガジェット達を破壊していった。

 それでも浮かぶガジェットの総数は億を下回ることはなく、まだまだ増え続けている。

 

(数が……多い!)

 

 エレミアは懸命に戦っていた。

 後方から魔法を放つ雷帝の攻撃は、重傷患者のものとは思えないくらいに強かった。

 古代ベルカの戦乱を生き抜いていた騎士や兵士の強さは、並のものではなかった。

 されど、足りない。

 数と質が圧倒的に足りていない。

 

(天井がガジェットで見えない……

 床もガジェットで見えない……

 一緒に戦ってるはずなのに、仲間の姿さえガジェットで見えない……!)

 

 飛んで戦っている仲間も居るはずなのに、見上げるエレミアの瞳には敵の姿しか映らない。

 エレミアの視界を他の何かに例えるならば、何万何億というハエが周囲を飛んでいるせいで、周りの何もかもが見えなくなってしまった人の視界が近いかもしれない。

 どこにどう撃とうが魔法は当たり、どこからでもガジェットの攻撃が飛んで来る。

 

 今床に転がっているガジェットの残骸と、今浮かんでいるガジェットの全てを地の上に並べたならば、おそらくは日本の国土面積の何割かを埋め尽くせるだろう。絶望的な数だった。

 

「諦めるな! この雷帝の前で無様な戦いをして許されると思うなよ!」

 

 それでも、誰も諦めてはいない。

 皆抗い続けていた。

 皆戦い続けていた。

 最前線で戦い続けるエレミアの姿は特に、皆の希望になってくれていた。

 

(ベルカ)

 

 たとえ、エレミアの心に勝利を信じる希望が無かったとしても。

 皆がその背中に希望を見ていた。

 

(なんだか今、無性に君に会いたいよ)

 

 そしてエレミアもまた、勝利を信じる希望は無くとも、心の中で『ある者』の背中を見て、億の敵と戦い続ける希望を貰っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ウーンズ・エーベルヴァインの様子は、最初からおかしかった。

 ベルカ達を前にしても、顔を上げるだけで何も言わない。

 茫然自失と言うよりは"スイッチが入っていない"感じで、今にも高笑いしそうな雰囲気がある。

 

(……なんだ?)

 

 その異様さを感じていたのは、ベルカだけではないようだ。

 ケルトイのお姫様も何故か足を止め、セクター内部に入ろうとしない。

 やがてウーンズは再起動した機械を思わせる気持ちの悪い動作で動き出し、手にしていた魔導書を放り投げる。

 

「……うん? 来たか。殺せ、ユーリ、ナハト」

 

 放り投げられた魔道書は、空中で一度ユーリの姿に変わり、次の瞬間にはナハトの姿に変わり、感情の見えない顔で佇むナハトの姿でその形を固定させた。

 

「は? ナハトにユーリ……え?」

 

 一瞬見えたものが何なのか、あまりにもわけが分からなくて、ベルカは素っ頓狂な声を上げてしまう。

 そんなベルカの声が聞こえているのか聞こえていないのか、ウーンズは自己満足だけが先行する独り言を呟き始めた。

 

「わたしはこの世の全ての魔法も手に入れるつもりだった。

 全ての悪しきものが排除されたわたしの世界。

 それを作るには、既に失われた太古の魔法の数々がどうしても必要だった」

 

 誰が聞いていようが、聞いていまいが、彼は呟くのを辞めはしない。

 

「幸い、過去に送るだけならさして難しいことでもない……

 この巨大ロボ、スルトさえあればな。だからわたしは、『夜天の書』を作り上げた」

 

「夜天の書?」

 

 彼が語るは、夜天の書の発祥。

 

「夜天の書を過去に送り、過去に送られた夜天の書は魔法を蒐集しながら時を流れ……

 わたしの求める魔法を回収し、わたしの下に戻って来る。

 用済みになった夜天の書は改造し、破壊だけを行う『闇の書』として完成を迎える……」

 

 つまり"彼が夜天の書を作った"という事実と、"彼が夜天の書を改悪した"という事実、一見して両立しないような事実が両立しているという暴露であった。

 

「……はずだった、のだがな」

 

 ウーンズはどうでもよさそうな感情を込めて、自嘲的な笑みを浮かべる。

 

「もういい。もういいのだ。お前を殺せれば今はそれで満足だ、課金王ベルカ!」

 

 そしてありったけの怨嗟を見せながら、ベルカに憎悪の言葉をぶつけた。

 

「わたしは……こんなにもお前が憎いのだから……!」

 

「!」

 

 どうすれば、この結果を回避できたのだろうか。

 いや、回避できなかっただろう。

 ベルカとユーリとナハトが何も悪いことをしていなかったのに、こうなってしまったのだから。

 

 だからこそ、余計に救いがなかった。

 

「ナハトをすり潰した肉片と、ユーリの命そのものを捧げ、ようやく書は完成を見た!」

 

「―――は、あ?」

「え?」

 

「わたしの計画性はやはり素晴らしい! 誰もがやらなかったことを行える先駆者なのだ!

 最高ランクの魔導師二人の命と死体を素材にしなければ完璧には完成させられないのなら!

 一人最高ランクの女魔導師を確保して、そいつにもう一人を生ませておけばいいのだよ!」

 

 ウーンズが何でもないことのように『妻と子の殺害』と、『それを用いた兵器開発』のことを口にして、笑う。

 そんな悪逆非道を何気なく言うものだから、ベルカと姫は揃って思考停止して、絶句した。

 

「お、お前、何を……?」

 

「片方は事前に殺しておいて、管制人格として固着させる。

 個体の連続性は保てないが、これで夜天の書としての機能は完成させられる。

 片方は生きたまま溶解させ、中枢部分の永遠結晶と融合。

 個体の連続性を保たせ、その絶望の感情を闇の書の基底に組み込む方式だ。

 これだけ分かりやすく言えば分かるか? 分からなければ、愚か者だろうがな」

 

「違う、そうじゃない」

 

「ふん、所詮は愚か者か。

 この傑作の良さが分からんとはな。

 最高ランクの素質を持つ魔導師二人を素材として使用。

 かつ、その素材としての良さを最大限に活かすなど、わたし以外の誰もできていないのだぞ?」

 

「オレがお前に言ってるのは、そういうことじゃない……!」

 

 ウーンズの言葉に自己肯定はあっても、喪失の痛みはない。

 達成感はあるが罪悪感がない。

 素晴らしいものを作り上げたという誇らしさは見えるが、大切なものを失ったという悲しみがどこにも見当たらない。

 絶句する二人の前で自分に酔い続けるウーンズは、どこまでもおぞましかった。

 

「わたしの人生は、素晴らしいものでなくてはならない」

 

 ウーンズが口を開くたび、"ジェイルが彼を選んだ理由"が明らかになっていく。

 

「神に愛されたわたしの人生に負けはない。

 だからここから、わたしは新たな人生を始めるのだ!」

 

 一見正しそうなことを言っているように聞こえても、そこには歪んだものしかなかった。

 

「わたしを縛る過去の一切合財に、わたしはもう囚われない! わたしは自由なのだ!」

 

 過去に縛られる人間というのは、確かに居るだろう。

 だがウーンズのように、過去をバッサリ捨てられる人間をそこに含めるのは何かが違う。

 過去を捨てるために家族を躊躇なく捨て、過去をすぐさま忘れられる男は、何かが違う。

 

「わたしは過去を振り返ることなく!

 迷いも躊躇いもなく、前を見て未来に進んで行こう!

 前の人生はここで終わり、新たなわたしの人生が、今ここから始まる!」

 

 文字だけ見れば、こんなにも輝かしい言葉なのに。

 何故こんなにも、この言葉は穢らわしく感じるのか。

 

「これでわたしの人生はまた、負けも汚辱もない、栄光だけが輝く神に愛された人生に戻る!」

 

 ウーンズの言葉は、『こうした人生のリセット』が初めてでないことを伺わせる。

 彼はもう何度もこうして"敗北があった人生"を捨てているのだろう。

 負けたという事実に耐えられない彼は、ずっとそう生きてきたのだ。

 これまでどれだけの人間が、過去と一緒に捨てられてきたのだろう。

 親は?

 家族は?

 仲間は?

 友人は?

 こうして"ウーンズの実験材料にされる"という形で精算された過去(ひとたち)は、いったいどれほどの数居るのだろう。

 想像するだけで、恐ろしかった。

 

「て、め、え……!」

 

 王族である家族の全てを殺され、それでも気丈に故国の復興に頑張っていたケルトイの姫だからこそ、それに燃え盛るような激怒を見せる。

 

「てめえ! 妻と子を……家族をなんだと思ってやがるッ!」

 

「役に立つと思って拾い上げてやった女。

 役に立つと思って作ってやった子。

 どちらも存外役に立たなかったな、期待ハズレだ」

 

「―――ッ!」

 

「死ぬ時にしか役に立たないだなどと、無能にもほどがある。

 わたしに反抗する子などもっての外だ。

 誰に作って貰ったおかげでこの世に生を受けたかを忘れるなど、鳥頭にもほどがあろうに」

 

 だがウーンズから返って来たのは、"道理が分かっていない愚か者"に呆れる言葉だった。

 彼は自分の正しさを疑っていない。

 他人の愚かさを疑っていない。

 "自分の敗北を認めない"ということは……"根本的に自分の間違いを認めない"ということでもあった。

 

「わたしは輝かしい未来に進む。

 貴様らはわたしが捨てた過去の象徴だ、ここで死ね。わたしの未来に汚点を残さないために」

 

「ざっけんな! 未来の価値を、家族を我欲で殺したことの免罪符にするんじゃねえっ!」

 

「愛する家族の未来のためなら、何だってするのが当然だろう?

 あの二人はわたしを愛していた。ならばこれは当然のことだ。気にするほどのことでもない」

 

「てめえ頭おかしいんじゃねえのか!?」

 

 姫とウーンズの会話はあまりにも噛み合わない。

 両者間にはあまりにも温度差がありすぎる。

 互いが互いの意図を受け止められていない、そんな形になってしまっていた。

 

「ウーンズっ……!」

 

 ベルカもまた、姫と同様に……いや姫以上に、激怒していた。

 彼とナハトに交流はなかったが、彼とユーリに交流はあったのだ。

 笑顔の記憶があった。笑い声の記憶があった。"ありがとう"と言われた記憶があった。

 沸き立つような怒りがあった。湧き上がる後悔があった。

 

(あの子のことを仲間の誰にも知らせなかった、オレの……

 本当に悪いのは、悪かったのは……! あの子をああしてしまったのは……!)

 

 湧いて来る想いを片っ端から噛み潰すも、それでも怒りは止みそうにない。

 ベルカは悪逆非道の敵に向かって踏み出―――そうとして、背後から姫に止められる。

 

「待て、ベルカ。こいつは半ば誘いだ」

 

「……何?」

 

「野郎、おそらくもののついでだろうが、お前を誘ってやがる。

 一人しかセクターに入れないって前提条件、忘れたわけじゃないよな?」

 

「……!」

 

 姫に止められ、ベルカはその時ようやく自分が冷静でないことに気がついた。

 見れば、ウーンズが悪辣に笑っている。

 ウーンズは自分の方が正しいと盲信しながらも、間違った人間は間違った人間の味方をすると認識していたがために、ここでベルカが激怒し突っ込んで来るよう誘いを組み立てていたのだ。

 ウーンズが語ったことは全て本音、心からの言葉。

 しかしそこには毒が仕込まれていた様子。

 

 姫はベルカと違い、怒りをちゃんと制御できていて、激怒しつつもどこか冷静だ。

 彼女が冷静でなかったならば、ベルカはここでウーンズに単身挑み、敗北し、仲間達の努力を全て無駄にしていたとしてもおかしくはなかっただろう。

 姫はベルカを手で制し、彼に四の五の言わせず一も二もなくセクターに入って行った。

 

「ここはあたしが行くべきだ。当初の予定通りな」

 

「だが……」

 

「任せろ。

 お前がムカついたもの、お前が許せないもの、全部あたしがぶっ壊してやる。

 あたしの勝利はお前の勝利だ。セクターの外で見守ってろよ、あたしらの大将だろ」

 

 セクターの内と外とを区切る障壁を隔てて、二人は言葉を交わしていく。

 

「笑えよベルカ」

 

「……」

 

「お前があたしの分まで笑ってくれるなら、あたしがお前の分まで怒ってやる」

 

「……ああ」

 

 姫は戦いで頑張ることを約束した。

 ベルカは頑張って笑うことを約束した。

 心からの笑顔でベルカは笑い、それを見たケルトイの姫が鈍色の魔法の杖を構える。

 

「茶番は終わったか?」

 

「ああ、終わらせてやるよ。てめえの人生をな」

 

 やれ、とウーンズが一言告げると、"もはや人でないためセクターに人と認識されていない"闇の書が姿を変えて、ユーリの姿に変わる。

 ウーンズを狙うケルトイの姫と、それを阻もうとするユーリの一騎打ちが始まった。

 

(ユーリ……)

 

 その光景が、笑おうとするベルカの胸を痛ませる。

 

「っ」

 

 胸の奥、魂の中で、彼の怒りを受け止めた何かが回転を始めようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オリヴィエはカリギュラと、クラウスは己のマテリアルと戦っていた。

 

「どうした? 何かあるなら出し惜しみせず使ったらどうだ、オリヴィエ」

 

「……」

 

「……ふん」

 

 オリヴィエはエレミアに再調整してもらった両の腕を振るい、恐ろしい威力と速度での連撃を繰り出していた。

 ミサイルの威力をマシンガンの連射力で放っている、と言っても過大な表現ではないだろう。

 されど、それでもカリギュラの聖王の鎧は貫けない。

 

(私とエレミアには切り札がある。

 けれどその切り札は、二人共リスクありきの付け焼き刃。

 叔父様に勝つためには、叔父様の手札をもう少し見てからでないと……)

 

 鉄壁の防御を前にして攻めあぐねるオリヴィエと同様に、自分と同等の技量のマテリアル相手にクラウスもまた攻めあぐねていた。

 

(マズいな、予想以上に手こずっている。僕は早くベルカと合流しないとマズいのに……)

 

 どちらにおいても、彼らの攻撃が通じていないという点だけは共通していた。

 どちらにおいても、勝利を全く諦めていない点だけは共通していた。

 

『諦めろ』

 

「諦めた方が楽じゃあないか?」

 

 マテリアルが、カリギュラが、二人の王族に"諦め"を投げかける。

 

「僕達は、負けない」

 

「私達は、負けません」

 

 二人の王族は、悩むことすらせずにその"諦め"を突っぱねた。

 

「その理由は」

「その理由は」

 

 だん、と床を踏む。

 届かぬ拳を、力強く構える。

 

「「 この戦場に立つ、皆の胸の中にある! 」」

 

 そこまで仲間達を信じられるその理由(わけ)を、マテリアルもカリギュラも、同様に理解することができなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 剣と剣がしのぎを削る。

 片や、雷光に比肩する速度の剣閃。

 片や、烈火のごとく激しい剣撃。

 女剣士の多彩な技の中から速さと技を抽出して振るうマテリアルの動きに対し、女剣士は力強さを技で組み立て対抗する。

 力と速度の勝負……かと思いきや、マテリアルは突如剣筋を変幻自在に曲げる柔剣を振るい始めて、女剣士は一も二もなく両断せんとする剛剣を振るい始めた。

 

 うねうねと曲がる剣筋を剛剣が豪快に切って散らして、変幻自在の剣が剛剣を巧みに受け流していく。両者は同じ人間の技を使い、同じ技を用いずとも拮抗し、互角に戦っていた。

 鏡写しのような戦いでこそないものの、マテリアルが女剣士の技量を完璧に模倣していることは間違いないようだ。

 

「自分との戦い、か。胸躍るシチュエーションではあるが…"それ"が不満といえば不満か」

 

 女剣士は敵の手の中の雷刃を睨む。彼女は一通りの魔法剣を収めており、その中でも特に炎の魔力変換を好んで使うタイプの剣士だった。

 だがマテリアルは、何が好きかではなく何が合理的かで魔法剣を選んでいるようだ。

 ゆえに女剣士の剣は燃え、マテリアルは雷刃をその手に携えている。

 

「はあっ!」

 

 打ち合うたびに雷刃が女剣士を痺れさせようと電気を流し、剣の炎がそれを焼く。

 直線・鋭角・鈍角をいくつも組み合わせた雷刃の軌跡と、曲線で構成される炎刃の軌跡が、空中にて幾度となくぶつかり合う。

 魔力変換と剣技の両方が優れた人間が二人居なければ見られない、非常に美しい光景だった。

 

(まさか私が、こんな舞台に立つ日が来ようとはな)

 

 この女剣士は、騎士の家の末っ子として生を受けた者だった。

 女だてらに日々剣を振り、両手で数えられない歳になった頃には、何人か居た兄達の誰もが勝てないほどの腕を手に入れていた。女剣士には、天賦の才があったのだ。

 いずれは高名な騎士になるだろう、と周囲は彼女の将来に期待していたが、彼女が20歳になった日に、思わぬ出来事が起こる。

 彼女の家が、両親の失態でお取り潰しの憂き目にあったのだ。

 

 彼女の兄達は既に自立し、結婚し、それぞれが別々の家を持っていたが、彼女にそういったものはない。

 ゆえにか彼女には、『剣を置き一般人になる』『どこぞの騎士の家に嫁ぎ、騎士の家系であり続ける』という二つの道が提示されていた。

 が。

 彼女はそのどちらも選ばず、命がけの闘技場に身を投じ、女剣士として戦い続ける道を選んだ。

 

(悪くない。悪くない人生だ)

 

 彼女は騎士の家に生まれ、戦うことも命をかけることも苦痛に感じず、天賦の才と努力の才の両方を持つ。

 平穏も安泰も求めず、ただ己を高めるために彼女は闘技場で戦い続け、その結果クラウスさえも認めるような強者に至っていた。

 戦いが当然のように生の一部になっている。彼女はまさしく、生来の戦闘者である。

 そんな彼女だが、戦いが全てだと叫ぶほど人間性を捨て去っているわけでもない。

 

(まさか柄にもなく、一時だけとはいえ、私が他人を守るために戦う日が来ようとは)

 

 思い返すは、ある日ある時の闘技場での戦いのこと。

 女剣士が一度だけ負けそうになったことがあった。

 金を貰って戦う出場者は、負けそうになった時には、勝敗に金をかけている観戦者から罵倒される義務がある。

 ゆえにその日、彼女の勝利に賭けていた観戦者は、負けそうになった彼女を口汚く罵っていた。

 

 彼女の窮地にも、彼女を応援し続けていた一人の青年を除いて。

 

 結果だけ言えば、彼女はその応援を受け、奇跡の逆転勝利を掴み取った。

 窮地に誰かに応援されたのも、こんなにも自分の勝利を信じてもらえたのも、誰かの応援が力になったのも、"応援されたから勝てた"のも、彼女にとっては初めての体験だった。

 

 だからだろうか。

 最前列で彼女を応援していたファンである彼の顔を、彼女が覚えていたのは。

 彼が決戦に来て欲しいと頼んで来た時、彼女が二つ返事で了承したのは。

 

(まさか私が騎士として大義のために戦う日が来ようとは)

 

 思い返すは、幼い頃に父に聞かされた英雄・聖王の戦いの物語。

 聖王と共に世界を救うために戦う。騎士としてこれ以上に誇らしい戦いなどあるまい。

 この戦場は女剣士にとって、どんな戦場よりも誇り高く戦える戦場だった。

 

 そして今、彼女は命をかけて剣を執る。

 

「感謝するぞ、少年」

 

 迷いはない。躊躇もない。

 

「今日命尽き倒れたとしても、後悔は無い!」

 

 戦いたいと思える理由も、戦わなければと思える理由もある。

 女剣士は、いつからか笑みを浮かべて剣を振るうようになっていた。

 

 

 

 

 

 黒髪の騎士は、差別される人種の生まれであった。

 彼は幼少期にシュトゥラ王に拾われ、以後ずっと王を守るために己を高め続けた。

 そのため、彼が得意とする魔法の系統は防御と捕縛。

 もうひとりの自分(マテリアル)との戦いとなれば、長引くのは必然だった。

 

「ちっ」

 

 捕縛の魔法、鋼の軛が両者の間でぶつかり合う。

 王を守るための魔法を選択して鍛えてきたことに後悔はないが、今だけは強力な攻撃の魔法が欲しかったと、黒髪の騎士は心中にて愚痴を吐き捨てた。

 

(負けられん)

 

 騎士とマテリアルは前に出る。

 両者共に熟達した魔法は捕縛魔法・防御魔法・身体強化魔法のみ。

 彼は『主を己が身で守る』ということにどこまでも特化した騎士だ。

 なればこそ、彼にとっての騎士の剣とは、鍛え上げた己の拳に他ならない。

 

(私は負けられんのだ)

 

 騎士が吠える。

 マテリアルが吠える。

 両者の力強い拳が、叫ぶたびにぶつけ合わされていた。

 

 黒髪の騎士は、ベルカに拳闘を教えた師匠である。

 そして、クラウスに最初に拳闘を教えた師匠でもある。

 その拳撃は豪快にして苛烈。拳の一発一発がまるで爆撃のようだ。

 高い身長、恵まれた体格、筋骨隆々とした肉体から放たれる攻撃は、凡百の騎士では真似できない剛の連撃である。

 

(王の期待を裏切らぬために。

 王子を無事に帰すために。

 まだまだ未熟な教え子を守るために。

 私の心が、騎士というもので在り続けるために!)

 

 いつしか黒髪の騎士の戦いは、身体強化魔法と格闘技以外の何も使われない、魔導の騎士の戦闘とは思えないほど泥臭いものになっていく。

 

「行くぞっ!」

 

 泥臭く、男臭く、血生臭い。そんな殴り合いが止まるどころか加速していく。

 

 

 

 

 

 金髪の騎士が、エレミアに回復魔法を飛ばす。

 怪我人を収容していた結界魔法が吹き飛ばされたのは、何分前だっただろうか。

 金髪の騎士を除いた医療騎士が全滅したのは、何分前だっただろうか。

 雷帝ダールグリュンが数十万のガジェットと相打ちになったのは、何分前だっただろうか。

 

 下層の戦況は加速度的に酷くなっていく。

 それでもまだ転送ポートが無事なのは、ガジェットに囲まれても信じられない無双っぷりを見せるエレミアと、それを支える金髪の騎士が居てくれていたからだろう。

 

「リッドちゃん、回復行きます!」

 

「ありがとう! 次は継続回復(リジェネレイト)で!」

 

「了解!」

 

 金髪の騎士が回復魔法をエレミアに飛ばせば、疲労と腹部の打撲で動きが鈍っていたエレミアが回復し、再度行動可能になる。

 

「試式殲撃(ガイスト)No.221ッ!」

 

 エレミアの大型魔力弾が天井に向かって飛び、頭上のガジェット達の中心に命中、大爆発。

 途方も無い数のガジェットが砕け散り、破片を自分達の頭上に落としたくなかったエレミアの意図に沿い、残骸は遠く彼方に吹っ飛んで行く。

 エレミアの一撃で破壊されたガジェットの残骸だけで、100m近い鉄クズの山が出来ていた。

 金髪の騎士はエレミアのダメージと疲労の量をコントロールしつつ、まだ死んでいない周囲の者達にエリア指定の範囲回復魔法をかけていく。

 

「皆さん、回復します!

 立ち上がれるようになった方から、近くの怪我人を助けてあげてください!

 一人で戦わないで、出来る限り合流してから戦って!」

 

 金髪の騎士は医師の家系の生まれである。

 魔力を使わない医療技術を探求する名門に生まれ、突然変異で高い魔力を生まれ持っていたために、金髪の騎士は自然と"自分にできることで人の命を救う"という夢を持つようになった。

 すなわち金髪の騎士は、誰かを助けたいと願った先祖の血を引いていて、先祖代々人の命を救ってきた家系に生まれ、命を救いたいという夢を持つ者だったのだ。

 この人物は、そういうお人好しだったのである。

 

(動乱の時代より、騒乱の時代より、戦乱の時代より……平和な時代がいいに決まってる!)

 

 金髪の騎士の戦う力は弱い。

 彼女は回復と補助を得意とするために、ガジェットの一機でさえ落とすのに苦労してしまう。

 それでも騎士は、"自分にできる戦い"を続ける。

 命を守る戦いこそが、この騎士の戦いだ。

 

(だって、リッドちゃんもベルカ君も、あの時が一番楽しそうだった)

 

 医務室の常連だったベルカ、そのベルカをしょっちゅう見舞っていた健気なエレミア、この戦場に立つ仲間達。金髪の騎士は、皆に生きて欲しいと願っている。

 

(戦いの時より、日常の中で一緒に居る時の方が楽しそうだった!)

 

 実はこの金髪の騎士、ベルカとエレミアの関係を陰ながら応援している者でもあった。

 俗な言い方をすればエレベル派だ。ベルエレ派ではない。

 ベルカが未来に帰ることなど露知らず……金髪の騎士は、ベルカとエレミアの生存と二人がいつか結ばれることを、心の底から願っていた。

 

(患者を病院から日常に生かして帰すことが医者の仕事なら……

 医の騎士である私の仕事は、皆を戦場から日常に生かして帰すこと!)

 

 例え、天と地の全てを敵が埋め尽くしている光景が目の前にあろうとも。

 

 それは、金髪の騎士が命を諦める理由にはならなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ベルカの仲間が現在一番追い詰められているのは、第五セクターだった。

 

「がっ……!」

 

「姫!」

 

「愚か者ほど諦めを知らんな。

 賢い者というのは、諦めを知る者だ。

 できないと判断した物事はさっさと見切りをつけ、次を始める。

 それが本当の賢さというものだ。わたしが実践しているようになあ」

 

「うっ、せ……ゲホッ、てめえみたいにだけはなりたく、ねえ、ってのっ……」

 

 セクター内部でナハトに姿を変えた闇の書が、ケルトイの姫をめった打ちにする。

 ベルカが助けに行こうと動くも、セクター内部と外部を区切る結界はあまりにも頑丈で、ベルカでは小動(こゆるぎ)させることもできない。

 されど姫はボロボロな身で立ち上がり、血を吐き捨て、ウーンズの表面だけが綺麗な言葉を蹴り飛ばした。

 ウーンズはそれに機嫌を悪くしたようで、闇の書に新たな機能の使用を促す。

 

「まあ、いい。貴様も吸収すればナハトやユーリ程ではないが、いい素材になるだろう」

 

「けほっ、けほっ……素材、だと?」

 

「闇の書は本質的には、"ページにコピーする魔道書"だ。そこは変わらない」

 

 闇の書はウーンズに促されるまま、闇の塊とそこから生える黒い触手という、見るもおぞましい姿へと変形した。

 

「セクターに、相対した敵の姿と技をコピーする断章(マテリアル)を配置できたように。

 蒐集した魔法をコピー・ストックできるように。

 ナハトとユーリを吸収・記録したように。

 わたしが作ったこの魔道書……夜天の書の本質とは、他の何かをコピーし保存することにある」

 

 夜天の書・闇の書には『他人を自分の内に取り込む』という機能が実装されている。

 それは、最悪な形で悪用出来る機能であった。

 

「書は生者死者問わず人の肉体を取り込み、データ化していく。

 取り込んだ肉体データは混合され、新しい個体として再構成される。

 貴様のその敵対心も、その過程で記憶と共に消失するだろう。

 吸収された者は過去の自分を喪失し、わたしと書に忠実に従う騎士となるのだ!」

 

「! てめえまさか、この戦いを利用して、手駒を集めようってのか!?」

 

「ああ」

 

「腐りすぎだ! ハイエナだってまだプライドがあるだろ!」

 

 ウーンズは、ベルカだけは何が何でも殺すと決めていた。

 力を笠に着て自分を侮辱したジェイルを殺そうと決めていた。

 そのために必要な力を得ようと決めていた。

 ゆえに、"世界を救うために集結した者達の死体を漁る"というハイエナ以下の手段を使う。

 死肉を喰らう虫と大差ない良心しか持ち合わせていないウーンズは、そうして得た力を笠に着てジェイルを、そしてベルカを最大限に貶めながら殺そうとしているのである。

 

「光栄に思え。その頭脳は劣等でも、その力は私の手で最大限に活用されるのだからな」

 

「はっ。光栄に思われてえなら、少しは尊敬される人間に死んで生まれ変わってこい」

 

 姫が挑発するたびに、姫が心からの言葉を発するたびに、ウーンズの心に怒りが蓄積していく。

 

「少なくとも、あたしが従っててお前が嫌ってるあいつらは、お前よりずっと尊敬できる」

 

「……貴様は書に取り込んだ後、可能な限り最低の扱いをしてやろう」

 

 ベルカとウーンズを比べる言葉に、ウーンズの理性がまた一つ引きちぎれた。

 ウーンズが指で指揮すれば、闇の書が姫を取り込むべく、姫を弱らせる魔力弾を放つ。

 姫は鈍色の杖を振るって魔力弾を叩き落としていくが、落としきれなかった一発が左肩に当たってしまい、地面を痛そうに転がっていった。

 

「姫!」

 

「ぐっ!」

 

「その鬱陶しい負けん気も、私の『雲の騎士団(ヴォルケンリッター)』の一人となれば消え去るのみ」

 

 いい余興を思いつき、ウーンズは笑う。

 この姫を闇の書の一部とし、書の騎士とし、ベルカを殺させるのだ。

 そうすれば最高の見世物ができるだろう、とウーンズはこらえきれずに高笑いを始める。

 

「夜空に星が輝こうとも、夜空に雲がかかったならば、それが闇となるように。

 夜天(よぞら)を闇に変えるなら、そこに雲をかければいい。

 雲は夜天(よぞら)の光を覆い隠して、夜天(よぞら)の全てを闇へと変える。

 なればこそ夜天の書、ひいては闇の書の守護騎士の名は、雲の騎士(ヴォルケンリッター)こそが相応しい!」

 

 夜天(よぞら)より、星の光を奪う雲。

 "雲の騎士"(ヴォルケンリッター)とは、彼が書にかけた呪いの名だった。

 夜天の書に「お前はいつかそうなる」と運命付け、闇の書になった後も「お前はそういうものなのだ」と突きつけ続ける、呪いの名前。

 

「お断りだ」

 

 だが、お前が望んだ存在になんてなってたまるかと、お姫様は叫ぶ。

 

「あたしが……あたし達が騎士としてどう生きるかは、この心が決める!

 お前が作った書の奴隷みたいな人生なんて、あたしは死んでもごめんだね!」

 

 その叫びを聞き、ウーンズは彼女の言葉をバカにしながら大笑いを始めた。

 

「ぷっ……ふはははは! 心が決める?

 国が滅ぶまで心のままに生きられなかった"異端の姫"がよく言うわ!」

 

「っ、てめえ、なんでそれを!」

 

「あの国の滅亡がわたしの月間ノルマだったからに決まっているだろう」

 

「! なん、だと!? てめえ……!」

 

 ケルトイの姫は亡国の姫、王族ただ一人の生き残り。

 だが、彼女をそんな状況に追い込んだのは、国家間の争いを煽っていた外道どもだ。

 ジェイルの部下の中で、ケルトイを滅ぼす役目を担当していたのは、ウーンズだった。

 

「異端の姫……?」

 

「始祖トールを王に持ちながら、数百年前にお家騒動で分かたれた二つの王家。

 片方はダールグリュンの名で知られる雷帝国。

 そしてもう一つが鉄槌の魔法で知られるケルトイの国。

 だが雷と鎚こそが肝要だったというのに、ケルトイは秘伝の継承を途絶えさせてしまった」

 

 "王家"というものは、長い年月で変わることも滅ぶこともある。

 ダールグリュンの兄弟国であるケルトイも、その例に漏れず数百年間先祖伝来の魔法を継承し続けることができず、魔法を失伝させてしまっていた国だった。

 

「そこに生まれた先祖帰りがその少女だ。

 ケルトイは数百年の内に、回復・補助・防御の魔法の大家となっていた。

 女で、王位継承権の低い末子で、国の主流の魔法を使えず、ただ一人始祖の魔法を使う……

 これで疎まれない方がおかしい。

 王族はその小娘の扱いに困り、民はその小娘に不信を抱き、自然と小娘は国外留学に送られた」

 

 そこに現れた、『古代ベルカの王の魔法』を誰にも教えられることなく使い、先祖帰りと呼ばれたお姫様が居た。

 破壊の魔法が主流でない国で、破壊の魔法を得意とするお姫様が居た。

 姫は家族からも民からも疎まれ、腫れ物扱いされてシュトゥラに留学生として送られる。

 

「だから、生き残った」

 

 そしてケルトイは滅び、ただ一人残された王族の、孤独で虚しい奮闘が始まった。

 ウーンズは彼女の事情を全て知っているからこそ、彼女を嘲笑っているのだ。

 

「貴様が口調を取り繕うのも、ダールグリュンの王女の口調を真似ているのだろう?

 なんと愚かしいことか! その愚、わたしの爪の垢でも煎じて飲ませてやりたい気分だ!」

 

「ぎゃーぎゃーやかましいぞ、クソ野郎……

 あたしはここに人を守りに来たんだ。お前のやかましい話を聞く気はねーんだよ」

 

「守る? 壊すことしかできない鉄槌の魔法でか?」

 

 見下せる誰かが目の前に居ることが、ウーンズにとってはたまらなく幸せなことだった。

 相手の揚げ足を取ることが、彼にとってはたまらない至福だった。

 

「ああ、そうだよ、てめえの言う通りだ。

 あたしは壊すことをよしとしない国で、壊すことしかできない魔法使いだった。

 だから周囲から疎まれて、生まれてからずっと友達の一人も居なかった。……けどな」

 

 だが、そんな小物の矮小な言葉では、『本物』の心を折ることなどできやしない。

 

「何度だって言ってやる!

 あたしはここに、人を守りに来たんだ!

 人生で初めて出来た友達の命を、守りに来たんだよ!」

 

 お姫様はセクターの外の友達(ベルカ)を見て、覚悟を爆発させる。声を爆発させる。

 

「壊すことしかできないなんて、あたしが一番良く分かってんだよ!

 だけどな!

 人を傷付けるクソ野郎をぶっ壊して、結果的に人を守るくらいならできる!」

 

 手にした杖が、彼女の咆哮に呼応して震えているかのようだった。

 

「そこを動くな。悪者(てめえ)はあたしが破壊する」

 

 流れが、変わる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 姫が鈍色の杖を構える。

 女剣士が愛剣を構える。

 黒髪の騎士が拳を構える。

 金髪の騎士が指輪を掲げる。

 

「『鉄槌』解放」

 

 姫の言葉に応じ、鈍色の杖の先端が変形、杖は鉄槌へと姿を変える。

 

「唸れ、飛竜!」

 

 剣士の声に応じ、剣士の愛剣が蛇腹剣へと姿を変える。

 

「偽装テクスチャ、解除」

 

 黒髪にかかっていた変身魔法の一種が解除され、黒髪の騎士が差別される種族であることを証明する最たるもの、獣のような耳があらわになる。

 

「風よ! 一時の完治をここに!」

 

 金髪の騎士の指輪から、風のような癒やしの魔法が放たれて、下層の戦場を走って行く。

 

 

 

 それは、ベルカが記憶を失っていたがために、今日の今日まで明らかになっていなかった真実。

 彼女らは叫ぶ。

 戦場に響き渡る声量で叫ぶ。

 

 

 

「湖の騎士シャマル、次の回復魔法飛ばしますよ!」

 

「盾の騎士ザフィーラ、参る!」

 

「烈火の剣士シグナム、参る!」

 

「あたしは鉄槌姫ヴィータ! 悪をぶっ潰す正義の鉄槌だ!」

 

 人の身で、生身の声で、四人は叫ぶ。

 

 時の輪が、人知れず繋がろうとしていた。

 

 

 




 本編内にちょこっと勘違い要素を入れて、『(読者にオリキャラだと)勘違い(させて実は原作キャラだった)系古代ベルカ課金編』というタグの正体をここまで隠すという作戦!

【ベルカのように、記憶がなくても何かを覚えている人達のおはなし】

●三人セットのシーンの場合
・6話のあれ
>「この男の術式、見覚えがある……なんだ、この頭蓋骨の裏をまさぐられる感覚は……」
>「代金ベルカ式……なんだ、この、何かを思い出しそうな、何かを忘れているような……」
>「……あたしは知らねえぞ。こんなの知らねえ。絶対に知らないんだ」

●ヴィータの場合
・一人称あたし、鉄槌使い、以下容姿設定
>ウサギを思わせる服装、年齢一桁でしっかりとした受け答え、ちょっと乱暴な素の話し方。
 17話
>荒々しい口調に赤い髪をなびかせて、援軍は魔法を放つ。
 19話
>鼻で笑う姫のおさげを姫の耳に中にねじ込みながら、騒ぐ姫の声を無視して、ベルカは先へ先へと進む。
 最新話
・19話の使用魔法が鉄球
>鈍色の何かが飛行中のウーンズとナハトの近くに飛び、足を止めた敵二人の周囲にて、派手に炸裂し濃い煙を散布した。
・6話のあれ
>「どうした、ヴィータ?」
>「……」
>「何を躊躇っている」
>躊躇いの理由を文字にするならば、"人の情"といったところか。
>彼女らに止まる気はない。けれど、躊躇いも気後れもある。
>胸の奥に湧き上がる苦々しいものを噛み潰しながら、ヴィータは拳を強く握った。
・10話のあれ
>「夜天の、書……そうだ……エーベルヴァイン……うっ、ぐっ、あ、頭がいてえ……」

●シグナムの場合
・設定
 女剣士、一人称私、炎剣使い
・各所での"闘技場の女剣士"描写
>「最近闘技場に凄い強い剣士が見られるようになったんだよ」
 17話
>「闘技場に観戦に行こうぜ!」
>「最近は炎の魔法でいい勝負が見られる感じでさ―――」
 18話
>「で、闘技場で凄い弓勝負となったわけです」
 21話
・10話での躊躇いの理由が「仲間だったから」
>ある意味ではこの口止め殺害も、仲間を殺すということなのだろう。
>まっとうな騎士の誇りを持つシグナムが、躊躇うのも当然のこと。
・最新話での敵対者が力のマテリアル≒レヴィ≒フェイト

●シャマルの場合
・設定
 金髪、一人称私、若くして医療騎士団長になった、回復魔法使い
・10話でシャマルがはやての腕に使っていた魔法
>一説には古代ベルカの聖王も使っていたという、義手や自分の体を懸糸傀儡のように操る、ゴーレム等を扱う創生魔導師が多用する魔法式だ。
>動かない腕を本人の意志で動かせるようにするもの、と言えば分かりやすいか。

●ザフィーラの場合
・設定(最新話)
 筋骨隆々、黒髪、獣耳、一人称私
・使用魔法が鋼の軛
 19話
・12話でのザフィーラの台詞
>「盾の守護獣ザフィーラ。お前を導きに来た」
>「構わん。こうして誰かを導いたことも、初めてではない」
・非差別種族なとある獣人
>黒髪の騎士は、この大陸において差別されている民族の生まれであり、そこをシュトゥラの王に拾い上げられ恩返しに騎士となった。

●余談
原作ヴォルケンズ→プログラムなので書が残っていればいくらでも再生可能
原作リイン→プログラム体だがヴォルケンズよりシステム中枢に近く、結果的に再生できなかった
原作ユーリ→"エグザミアがないと死ぬ"という、『死』を明言されている特殊な個

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