課金厨のソシャゲ廃人がリリカルなのは世界に神様転生してまた課金するようです   作:ルシエド

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課金してゲームをプレイする時間を買い、ランキングをひたすら走れ!
爆走戦隊! カーキンジャー!


ストーリーセットアップの章
主人公「人は食べるために生きるに非ず、課金するために生きるべし。ってソクラテスが」


 老兵は死なず、ただ消え去るのみ。

 今日もまた世界のどこかで、古参の重課金兵が無言でソシャゲを引退していく。

 だがその日、『彼』は惰性での引退や能動的なアプリ削除ではなく、"電車に轢かれる"という形でこの世界から強制BANされた。

 つまり、死んだのである。

 

「ここどこだよ」

 

 『彼』は気付けば"神聖な印象を受けるすたみな太郎"とでも言うべき場所に立っていて、そこのレジの前に居た。

 普段人で賑わっているすたみな太郎らしくもなく、この店内には『彼』と、レジの向こうに立っている二人以外に人影が見当たらない。

 神聖なすたみな太郎のレジの向こうでは、神々しいお爺さんがほっほっほと笑っていた。

 

「儂が神である。お主はこの度―――」

 

「あ、すみません、ちょっと待っててください。オレ今日の分のログボ取り忘れてたんで」

 

「お、おう」

 

 神を名乗った老人を前にして、男はポケットから取り出したスマホをいじり始めた。

 ログインボーナスだけ確保して後は放置されている幾多のソシャゲが、スマホの画面に姿を見せては消えていく。

 話の途中にスマホをいじり始める無礼な人間を許すだけの寛容さが、神にはあった。

 

「えーっと、んでなんでしたっけ。

 無課金単発でイベントピックアップを一発引きした神、でしたっけあなた」

 

「お前さん正気を母の腹の中に置いてきたんか?

 ま、まあいいとするかの。お主はワシのミスで死んでしまったのじゃ」

 

「……いやオレ、借金でにっちもさっちも行かなくなって山手線に身を投げたんだけど」

 

「本来ならばあの日、FXで有り金全部溶かした人間がお主より先に身投げする予定での。

 それで止まった電車を見て、お前さんは"バカバカしい"と思い留まる未来があったんじゃ。

 最近儂が世界の流れをちょくちょく調整していた結果、ということかのぅ……

 とにかくすまんな。お主はまだまだやり直せたんじゃが、儂のミスでちょっと逝ったようじゃ」

 

「えええ……神様ってそのレベルでも責任取らなくちゃあかんのですか?」

 

「誰かの上に居る者は、自分より下の者の責任を取るもんじゃよ。

 でなければ迷惑被った者が納得せんじゃろ。

 お前さんもラッキー程度に考えて第二の人生をエンジョイするがよい」

 

「そんじゃまーゴチになります」

 

 神とは世界の管理職。

 管理職の仕事は計画、調整、運用、管理、責任を取る。これが基本だ。

 ミスを隠そうと思えば隠せるが、システムの腐敗を避けたいのなら隠さず責任を取ったほうがいい。"ミスの責任を取る"という行為は、もう二度とそういうことを繰り返さないための自戒という側面もあるのだから。

 

「転生の際に渡す力や転生する先はランダムじゃからの、そこのところ……」

 

「ランダム?」

 

「そう、ランダムじゃ。悪いものは混ざっておらんから安心せえ。

 あそこに置いてあるスロット型ランダム方式設定機を回して……」

 

「その能力と転生先、リセマラしてオッケーっすか?」

 

「は?」

 

「リセマラ」

 

「ま、まあ、したいというなら構わんが……」

 

 神が許可を出したその瞬間、男の瞳の色が僅かに濁る。

 この時、男にリセマラの許可を出したことを、神はこの先何万年もの間ずっと後悔し続けることになった。

 

「おま……お前、いい加減にせえよ!」

 

「もうちょっと! もうちょっとだけ!」

 

「そう言ってもう100万回以上やったろうが!

 あのカウンター見ろい! 儂ゃめったにミスなんざせんというのに!

 お前さんがリセマラするせいで転生(DL)数があっという間に100万突破しおったぞ!」

 

 神が許可を出してから、もう主観時間で何時間経っただろうか。

 少なくとも、もう不眠不休で数日分の時間は経っている。

 死後の世界に『疲労』の概念も主観以外での『時間』の概念も無いことを利用し、男は既に100万回を超えるリセマラを繰り返していた。

 恐るべきは能力と世界の多様性と、男の執念である。いつまでやるのだろうか。

 

「もう少し! もう少しだけ厳選させてくだせえ! ぶっちゃけるとですね!

 592回目のリセマラ結果が良すぎたのにリセットしちゃったから、あれ以上のが欲しい!」

 

「勝手にせえ!」

 

 神でさえ付き合いきれなくてふて寝を始める始末である。

 男は尋常ならざる集中力とイカれた根気強さでリセマラを続け、500万と8466回のリセマラの果てに、貰える能力と転生先を厳選して次の生へと旅立つのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 500万回のリセマラでチャージされたエネルギーは原初の混沌を形成し、限りなく宇宙創世に近いプロセスを経て大爆発を起こした。

 そして何も悪いことをしていない神(ふて寝中)ごと神の居住世界を吹き飛ばし、ついでに転生中だった男の記憶も吹っ飛ばす。

 神にも人にも予想できなかったリセマラビッグバンのせいで、男は前世の記憶のほとんどを消滅させられた上で転生、面倒見の良いお爺ちゃん系だった神は男の魂の行き先を見失う。

 

 そうして、課金に狂う欲求だけが魂に刻まれた赤ん坊が、この世界に生を受けることとなった。

 

「オレの魂は、物心ついた時から課金色だった」

 

 そんなことを幼少期からほざくモンスターは、こうして誕生した。してしまった。

 彼の両親は一人息子にダダ甘であり、息子が自分の金でする分にはいくらでも課金を許す、という放任主義に近い育成環境を作り上げる。

 加え、彼の両親は高町士郎・桃子夫妻と親友という間柄であり、家が近いこともあって家族ぐるみの付き合いがあった。

 

 そういう巡り合わせがあって、生まれる前から課金の魔性に魂を汚染された少年は幼馴染・高町なのはをなっちゃんと呼び、なのはからかっちゃんと呼ばれる関係となった。

 

「かっちゃん、あそぼー」

 

「おはよう、リセマラ幼馴染?」

 

「りせま……なにそれ?」

 

「いやなんか、オレの魂がなっちゃんをそう呼べって……」

 

「ええぇ……」

 

 彼が喋れるようになった頃はまだ、周囲は彼を『変な子』程度に思っていた。

 彼が五歳を過ぎた頃には、周囲は彼を『なんかヤバくない?』程度に思い始めた。

 彼が九歳になった頃。彼のぼけぼけで子煩悩な両親を除いた周囲の大人全員が、『こいつシド・ヴィシャスの生まれ変わりか何か?』と彼を危険視する環境が出来上がっていた。

 そんな少年は、なのはと同い年の九歳でありながら、高町家が経営している喫茶翠屋でバイト――名目上はただのお手伝い+お小遣い――し、ちょびちょび金を稼ぐ毎日を送っていた。

 

「ねえ、かっちゃん」

 

「なんだなっちゃん」

 

 とある土曜日の、客もまばらになってきた時間帯。

 エプロンを付けた少年がかっちゃんと呼ばれ、エプロンを付けた少女がなっちゃんと呼ばれている。だが、愛称で呼び合う間柄であるにもかかわらず、二人の間にある空気は険悪だ。

 なのはは可愛らしく少年を睨みつけ、少年はそれを適当に受け流している。

 

「先週のお給料、どこに行ったの……?」

 

「いやあ、ランキング500位以内維持マラソンは強敵だったな」

 

「ねえ!? もう課金はしないって約束したよね!?」

 

「『努力はする』と言っただけだぞ、オレは」

 

「もー!」

 

 会話の途中に禁断症状に耐え切れずスマホを取り出し課金を始めようとする少年の手から、少女がスマホを取り上げる。

 課金するなと言われている最中に課金する。他人との会話の最中にスマホをいじる。翠屋で働いている最中だというのにゲームを始めようとする。三倍満だ。取り上げられるのも当然だろう。

 

「そのお金で普通のゲーム買った方が長く安く楽しめるでしょー!?」

 

「ああ、そう言う奴も多いよなぁ。

 でもそれが事実なら皆そうしてると思わないか? なっちゃん」

 

「それは、うーん、言われてみればそうかもしれないけど……」

 

「課金の果てに手に入るカタルシスは、普通のゲームでは絶対に得られないんだよ」

 

「かたる……? もー! また難しい言葉使ってごまかそうとする!」

 

 禁断症状を抑えんと、少年は少女の手の中のスマホに何度も手を伸ばすも、そのたび少女の手にペシペシ叩き落とされていく。

 そんな少年&なのはを見ながら、この二人の友人である月村すずかとアリサ・バニングスという二人の少女は、呆れた様子で飲み物に口をつけていた。

 

「なんかあれね、すずか」

 

「言いたいことは分かるよ、アリサちゃん」

 

「稼いだ金をパチンコに注ぎ込むクソ亭主と、別れられない妻みたいね」

 

「でも口に出したら終わりだよ、アリサちゃん……」

 

 二人が少年となのはを見る目は似通っていたが、アリサと呼ばれた少女は呆れ気味で、すずかと呼ばれた少女はどこか諦め気味だった。

 

「すずかちゃんも何か言ってやってよ!」

 

「何言っても無駄じゃないかなあ、なのはちゃん……

 かっくんは基本的に良い人だと、私も思うけどね。

 でもこの人はその全てを台無しにするくらい、価値観の中心が課金行為のサイコパスだもの」

 

「さい……?」

 

「変な人ってこと」

 

「あ、うん、そうだね」

 

 サイコパス、という単語の意味をなのはは理解していない。少年は理解しているが聞き流している。アリサは理解した上で、少年の変わらなさっぷりに溜め息を吐いた。

 

「あたしはなのはの手前こいつをあんま悪くは言いたかないけどさあ……

 いや、やっぱやめた。言うわ。このクズ! ちょっとは貯金しなさいよ!」

 

「イベント前は貯金してるぞ」

 

「『俺は競馬場に貯金してるだけだ』みたいなクズ理論やめなさい!」

 

 なのは、アリサ、すずか、少年、四人揃って小学3年生である。

 そんな面々がこんな会話をしてるのを見れば、赤の他人なら「日本終わったな」と呟くかもしれない。終わっているのはこの少年だけなのだが。

 そんな少年に気配なく忍び寄り、肩に手を乗せる男が居た。

 

「そうだな。この機会にそんなものやめてしまったらどうだ、かっちゃんくん」

 

「いいえ、やめませんよ士郎さん。

 だから普段みたいに名前で呼んで、そのにじり寄るのをやめてください、士郎さん」

 

「どうだ。自分で辞められないのなら、私がアプリを全部アンインストールしてあげよう」

 

「遠慮しておきます。

 オレが引退するのは飽きた時とサービス終了の時と度を越した壊れキャラが出た時だけです。

 だから普段みたいに名前で呼んで、そのにじり寄るのをやめてください、士郎さん」

 

「お金の使いすぎで苦しいんじゃないかな、かっちゃんくん?」

 

「使ってるのは親から渡されてる小遣いと自分で稼いだ金と食費だけですから……

 だから何も心配せず、普段通りの呼び方に戻って、離れてください士郎さん」

 

 なのはの父、高町士郎である。

 彼はこの少年の両親と親友であり、この少年の両親のことをよく知っていて、この少年の両親が息子の課金癖を強く咎めないことを知っていた。

 なればこそ、彼は"子供の課金癖"という悪癖を止めねばならないと決意していた。

 

 少年が肩の手を払い、下がる。士郎がにじり寄る。

 少年が下がる。士郎がにじり寄る。

 やがて少年の背が壁にぶつかり、少年は逃げ場を失った。

 

「お、オレ知ってるんですよ。

 士郎さん達も課金やってるって……道場で小太刀を打ち合わせてカキンカキンと」

 

「『かきん』という金属音がそう聞こえているという時点で、君は一度病院に行くべきだろう」

 

「士郎さんは恋の病を病院で治せると思いますか? つまりはそういうことですよ」

 

「恋と課金ガチャを同列に扱う君は正直もう手遅れかなと時々思うぞ、うん」

 

「世の中金が全て。時は金なり。ガチャは金を吸って回るもの。

 人がそう言い、時と世界が回ることを誰も止められないように……

 ガチャが回ることもまた、誰にも止めることはできないんですよ!」

 

「よし決めた。今すぐにでも君を一度頭の病院に叩き込むッ!」

 

 士郎が手を伸ばした、その次の瞬間。

 SSR確定演出現象が引き起こしたド派手な光が少年を包み、光が少年の姿を隠し、少年の服を掴もうとした士郎の手は虚空を切った。

 服を掴もうとした士郎の手には、少年が身代わりに使ったバインダーチケット一枚が残るのみ。

 その光景に、士郎とアリサが目を見開いた。

 

「あ、あれは変わり身の術!?」

 

「知ってるのすずか!?」

 

「いや、特に……」

 

「あ、そう」

 

 この土壇場でガチャにて最高レアを引き、その確定演出が放つ光を目眩ましにして逃げるとは、少年もとことん悪運が強いようだ。

 

「いつの間にかっちゃんくんはこんな技を……」

 

「道場でお父さん達が使ってる技見て何か思いついちゃったんじゃないかなあ」

 

「御神流に変わり身の術は無いんだが」

 

 士郎は店の外に新たなお客の気配を感じ、アリサとすずかの空になった皿を回収しつつ、接客に戻ろうとする。

 親子の会話を聞いている限りでは、かの少年への理解は父より娘の方が勝っているようだ。

 

「まったく、どこに行ったことやら」

 

「だいじょうぶだいじょうぶ!

 午後はわたしの買い物に付き合ってくれるって約束したもん。

 だから午後には帰って来るよ、きっと。かっちゃんの行動は分かりやすいから」

 

 彼女の言う通り、少年は昼過ぎに戻って来た。

 そして待ち伏せしていたなのはの父と兄の警戒網をくぐり抜け、なのはを連れて颯爽と買い物に出かけて行く。

 少年は他人と交わした約束は絶対に守る人間であった。だがそれと同時に、"課金はもうしない"という約束だけは絶対にしない、そういう類のクズであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日の夜のこと。

 地球からちょっと離れた所を進む船の中で、ユーノ・スクライアという少年が生真面目な様子で椅子に座ってドリンクを飲んでいた。

 彼は遺跡発掘を生業とするスクライア一族の一人として、発掘の際に出てきた危険物・ジュエルシードを運搬する船に同乗。ロストロギアと呼ばれるこの危険物を管理してくれる、時空管理局という組織へと向かっていた。

 世界から世界へと宇宙の海を渡る次元航行船は、よほど障害物が多い空間を通る時でもなければほとんど揺れず、船に乗っているユーノも乗り心地の良さに身を任せていた。

 船の乗組員も優しく、9歳の身で頑張っているユーノを気遣っている。

 性能だけでなく乗組員の質においても、いい船だった。

 

「どうだ坊主。船酔いや食い過ぎで気持ち悪くなったら、すぐに言えよ」

 

「大丈夫です、船長。僕は全然平気ですよ。お気遣いありがとうございます」

 

 気遣ってくれた船長に対し、ユーノは椅子を降りて丁寧に頭を下げる。

 

「うむ、その歳でしっかり働いてて礼儀もしっかりしてるたぁ大したもんだ。

 俺がお前さんくらいの年の頃はもっといい加減だったからな。ほれ、飴ちゃんやろう」

 

「あ、ありがとうございます」

 

 船長がくれた飴を口の中で転がしつつ、"何故肝油ドロップ"とちょっとした疑問を持ちつつ、ユーノは艦橋をゆったりと見渡していた。

 

「おーいどうした? 硬くてデカいクソが出たせいで肛門切れたか?

 イカンぞ痔は。陸と違って海は座りっぱなしが多いから、痔には特に気をつけないと……」

 

 すると元気そうな通信士が、俯いて動かない操舵手に声をかけていた。

 通信士の冗談交じりの言葉にも、操舵手は沈黙しか返さない。

 少しだけ、不穏な空気がその場に漂い始める。

 

「おいマジで大丈夫か? 体調悪いのか?」

 

「……だよ」

 

「あん?」

 

「囁くんだよ……俺の中のゴーストが……!

 『もっと割るのです……王子……』ってよォ! もう残高ねえよォ!」

 

「お、おい!?」

 

 そして彼は、弾けた。

 

「キエエエエエエエエッ!」

 

 操舵手は突如奇声を上げ、目の前の操縦桿や操作パネルを滅茶苦茶に操作しまくる。

 船が揺れ、開いてはいけない場所が開き、止まってはいけない場所が止まり、艦橋のモニター全ての画面が真っ赤に染まる。

 アラートが鳴り、船の搭乗員達が慌ただしく動き始めた。

 

「クソ! あいつ、ここ最近塩パスタとかもやししか食ってなかったから!」

「課金のし過ぎで正気を失ったか! 南無三!」

「誰か止めろ!」

 

 通信士をやっていた男は操舵手をコンソールと操縦桿から引き剥がし、羽交い締めにする。

 その際操舵手をやっていた男があまりにも痩せていたことに、通信士は歯噛みした。

 ソーシャルゲームとは、ここまで人を蝕むのかと。

 操舵手の男が返してくる抵抗があまりにも弱々しくて、通信士は泣きそうな顔になる。

 

「これは……格納庫のハッチが開いています!

 連動して事故防止機能が最悪のタイミングで働きました! このままだと落ちます! 船長!」

「正常に復旧させろ! 強制システムダウンからの再起動は待て!

 今それやれば船の空気が全部出ちまう! 通信士、管理局支部にSOS出せ!」

「無理です! 通信用のアンテナが物理的にパージされてます! もう無茶苦茶です!」

「燃料が排出されてます! 排出口閉じてください!」

「止められるか! メインシステムがフリーズしてるんだぞ!」

 

 そして操舵手の発狂をきっかけとしたトラブルに対応していく内に、艦橋の全員が"もうどうにもならない"という事実を理解していく。

 船長は先程までユーノに見せていた『気のいい男』の表情を捨て、『艦長』としての顔を出し、帽子をかぶり直す。

 そこに、ユーノが走って来た。

 

「何があったんですか!?」

 

「ユーノ君! 君は転送装置で逃げるんだ!」

 

「!? で、ですが、皆さんを置いて行けませんよ!」

 

「外に行って、トラブルが起きたことを知らせる誰かが必要だ!

 我々は君が呼んで来るであろう救援を待つ! だからこそ、急いでくれ!」

 

「……!」

 

 船長の言葉に背中を押され、"ここに留まり皆を助ける"というユーノが今さっき決めたはずの決意が揺らぐ。モニターを見れば、格納庫の中のジュエルシードは全て地球という星にバラ撒かれてしまっていた。

 魔法文化が根付いていない地球にあの危険物がバラ撒かれてしまえば、大災害は必至。

 そしてこの船の機能停止が避けられなくなった今、この船の外に助けを求めに行く人間は絶対に必要だ。

 

 だからこそ船長は、この船の中で最も優秀な魔導師であるユーノを逃がそうとしていた。

 そこには最善を尽くそうとする打算があり、この船で最も若い子供であるユーノを逃がそうとする人情があり、この船の乗組員ではない客人の生存を第一とする責任感があった。

 船長に背中を押されてもまだ行かないユーノを見て、暴れる操舵手を羽交い締めにしていた通信士も大きな声を上げる。

 

「大丈夫だ、こいつは俺が止める!

 数年前ミッドでソシャゲなんてものを知ってからおかしくなっちまったが……

 根はいいやつなんだ! ただ自制心がないだけなんだ! だから、俺が止めてみせる!」

 

「リイイイイイボオオオオオバアアアアアラアアアアアイイイイイイ!!」

 

「……分かりました。救援を呼んできます!」

 

 そうしてユーノ・スクライアは、崩壊していく船をなんとか繋ぎ留めようとする男達に背を向けて、船の転送装置で脱出を試みた。

 船の崩壊が転送装置の力場にまで干渉を起こし、ユーノを彼も想定していなかった方へと転送してしまう。ついでとばかりに、魔力の乱流がユーノの体に耐え難いダメージを叩き込んでいた。

 

「う、あっ―――!?」

 

 ジュエルシードを回収しないと。

 助けを呼ばないと。

 それだけを考えていたユーノの意識は、衝撃とダメージにて刈り取られてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 激痛と共に、ユーノの意識は覚醒する。

 

「……う……」

 

 体中が痛くて、目も開かない。声も出せない。指一本動かせない。

 呼吸すら困難な状況で苦しみに耐え、ユーノはなんとか息を整えていく。

 少しまともに呼吸できるようになってくると、ようやく瞼が上がってくれた。

 ユーノの目に映るのは、空一面に広がる星空だった。

 

「ぐっ……ここは?」

 

 激痛がユーノの意識を取り戻してから、たっぷり一時間は経っただろうか。

 やっと体を起こせる程度まで回復したユーノは、電柱に背を預け、コンクリートの冷たさを服越しに尻で感じながら、魔導師として探査魔法を行使し始める。

 少年の体は、全治何週間というレベルでボロボロだった。

 

(立つこともできない。とにかく、状況を確認しないと)

 

 ユーノは魔法を通じて、ここが地球の路地裏であること、今が地球時間で夜22時であること、自分が何時間も気絶していたということを把握する。

 怪我をした体で魔法を使ってしまったことで、気怠さと苦しさは更に増す。

 それでも、止まるわけには行かなかった。

 

「せめて……せめて、誰かに……!」

 

 地球には魔法文化がなく、魔法文化のある世界からの接触が法で制限されていること。そのためユーノと同じ魔法使いが居ないこと。助けてくれる人はこの星には居ないということ。それらをユーノ・スクライアはちゃんと理解している。

 それでも、傷ついた体で歯を食いしばり、立とうとする理由が彼にはあった。

 

 (ジュエルシードっていう危険物が地球に落ちたことを、誰かに伝えないと……!

  助けが必要な船の人達が居るんだって、誰かに伝えないと……!

  本当の本当に駄目なら、僕が頑張って、手遅れになる前に、どっちも……!)

 

 それは9歳という年齢と幼い容姿に不釣り合いなくらい、しっかりとした責任感。

 そして男が生まれながらにして持つ、勇気に似た痩せ我慢だった。

 だが、世界はそんな彼に優しくない。

 

「!?」

 

 いつの間にかユーノを囲むように、三体の怪物が佇んでいた。

 ユーノに気付かれたと察するやいなや、怪物達は唸り声を上げ始める。

 触手の塊としか言いようがない怪物。狼としか言いようがない怪物。真っ黒なシャボン玉が数千個集まったような形の怪物。

 最悪なのは、その三体の怪物が明確にユーノを狙っており、それぞれの怪物の中に一つずつ『ジュエルシードの魔力』が感じられることだった。

 

(ジュエルシードが思念や物質を取り込んだ暴走体!?

 マズい、僕を狙ってる……戦わなきゃ……だけど……!)

 

 ユーノは応戦するため魔法を使おうとするが、彼が組み立てた魔法陣は魔法を発動する前に、ぐずぐずと崩れ落ちてしまう。

 

「ぐっ……!」

 

 体の状態は最悪。魔力は枯渇。精神的にも追い詰められている。

 そんな状態で、まともに魔法が使えるわけがない。

 無理に無理を重ねたことで、ユーノはとうとう体を起こすこともできなくなった。

 コンクリートに倒れ伏すユーノに、それを見て飛びかかる三体の怪物。

 

(誰か)

 

 もはやユーノには、念話の魔法で助けを呼ぶ力も残っていない。

 心の中で祈るように、奇跡を待つ言葉を発する。助けを求める言葉を発する。

 

(誰か、僕の声を……聞いて……力を……貸し―――)

 

 そしてやがて来る痛みに耐えるため、目を瞑って歯を食いしばった。

 

 

 

「スタンザム! エナンザム! ツインドライブ、ドライブイグニッション!」

 

 

 

 かくして、誠実な少年の真摯な祈りにこれ以上なく不相応な、不健全を極めたヒーローがやって来る。

 

「えっ?」

 

 ユーノが突如耳に入って来た少年の声に驚き目を開けると、そこには目を疑う光景があった。

 吹き飛ばされる化物。

 巻き上げられる砂塵。

 そして、光を纏う少年。

 少年に重なるその光の中から、金の溶ける音が聞こえる。

 ユーノの耳にはその小気味のいい音が、とても危険なものであるように聞こえた。

 

(これは……なんか、ヤバい! この人なんか色々削ってる!)

 

 しかしながら、ユーノは理性的な人間だ。

 直感が叫ぶ言葉をそのまま口に出すことはせず、空を飛んでいる少年に当たり障りのない言葉を投げかける。

 

「……空戦魔導師の方ですか?」

 

「ん? 今のオレのこと騎空士って呼んだ?」

 

「いや呼んでませんけど」

 

 微妙に話が通じてない気もしたが、話している内に徐々に頭の中が落ち着いてきて、ユーノは今何を聞くべきなのかの判断を正確にしていく。

 

「あなたは、いったい……?」

 

「幼馴染からはかっちゃんって呼ばれてる」

 

「は、はあ……」

 

 あだ名じゃなくて本名名乗れ、と言えるような元気もファンキーさもユーノにはない。

 少し遅れて少年はユーノの問いかけの意味を察したようで、胸ポケットから空間映像投影機能のついた身分証明書を取り出した。

 

「あ、そういやこういうのがあったな。身分証明書」

 

「管理局の嘱託魔導師!?」

 

「いやあ良かった良かった、何年か前にミッド行った時ついでに嘱託資格取っといて」

 

 あれなんか数年前ってワード最近聞いたような、とユーノの思考が一瞬横に逸れかけるが、今この状況で余計なことを考え始めるほどユーノもバカではない。

 倒れたまま動けないユーノに狼のバケモノが跳びかかり、ユーノと狼の間に割り込んだ少年が魔法陣の盾でその攻撃を受け止めた。

 高レアに手を伸ばしても届かない無課金プレイヤーのごとく、狼の牙はユーノに届かない。

 

(ミッド式でベルカ式の術式をエミュレートしていた!

 ……ような、気がする。何か違う気もするけれど。

 つまり彼は最近流行してるらしい近代ベルカ式の使い手―――)

 

「これがオレの代金ベルカ式だ」

 

「違った! 近代ベルカ式じゃなかった!」

 

 ガシャン、と少年が右手に付けているメカメカしい篭手から機械音がする。

 すると少年の魔力が瞬間的に増大し、狼の化物が200mほど上方に殴り飛ばされた。

 化物が天に打ち上げられるのと対称的に、篭手から排出されたカードが地に落ちる。

 落ちたカードを見て、ユーノは更に困惑した。

 

「よく見たら……よく見たらなにこれ」

 

「カートリッジシステムを知らないのか?

 コンビニで買ったGoogle Playカードをセットし、使い捨てで使用。

 課金額に応じた短時間の魔力ブーストを得るっていうシステムなんだが……」

 

「僕の知ってるカートリッジシステムと違う」

 

 少年は引き続き魔法のバリアを両手から展開し、ユーノを守り続ける。

 そして少年が上空に打ち上げた狼の化物は、突如どこからか放たれたビームに飲み込まれた。

 

《 Divine Buster 》

 

 ジュッ、と音を立てて怪物が蒸発する。

 後には封印されたジュエルシードだけが残ったが、生物が線状の太陽に飲み込まれるかのような光景が、その一瞬で鮮烈にユーノの目に焼き付いていた。

 今ユーノを襲っている黒い触手と黒い泡はそれぞれ数百。

 それを緻密さとは程遠い大雑把で大きな少年のバリアが防いでおり、ユーノは現在進行系で命の危機に晒されているのだが、そんな彼が見惚れてしまうほどに、その魔砲(魔法)は派手だった。

 

「な……!?」

 

 狼の怪物を構成していたジュエルシードを空中でキャッチした『高町なのは』が、ユーノを守っている少年の隣に着地する。

 白い魔導師の防護服(バリアジャケット)に包まれた今の彼女を、詩的な人ならば天使のようだと形容するだろう。サブカル好きな人ならば、魔法少女そのものだと言うかもしれない。

 なのははユーノをちらりと見て、彼を守るのを幼馴染に任せ、自身は攻撃に回る。

 

「こういうトラブルがあるなら、行く前にひと声かけてよかっちゃん!」

 

「悪い悪い。一分一秒を争う事態な気がしたから……勘だけど」

 

「もー!」

 

 なのはが手にした魔法の杖から、放たれるは魔力の弾。総数は8。

 魔力の弾を回避するために怪物達は後退し、防戦一方だった戦況にもようやく余裕が出て来た。

 心の余裕は口に出るのか、かっちゃん&なっちゃんの幼馴染コンビは、日常の一幕のような会話を戦闘中に行い始める。

 

「なっちゃんは来るタイミングがいつも良いから、ヒーロー向きだよな!」

 

「なにそれー!?」

 

「あのー……お二人とも、戦ってるんですからもう少し緊張感というものを」

 

 気が抜けるなあ、とユーノは危なげなく戦う二人を交互に見る。そんなユーノの背後の路面が砕け、その下から触手が這い出ていることに、真っ先に気付いたのは課金少年だった。

 

(!)

 

 だが、少年は反応速度も魔法の発動速度も人並み程度であったため、先にその攻撃に反応したのはなのはの方だった。

 

「うわっ!?」

 

「かっちゃん!」「あいよ!」

 

 少女の魔法がユーノの体を軽く跳ね上げ、触手の攻撃はユーノに当たらず路面に突き刺さる。

 そして跳ね上げられたユーノを少年がキャッチし、抱えたまま魔法で加速し駆け出した。

 

「足止めたら防ぎ漏れが出るか……なっちゃん、移動!」

 

「うん!」

 

「金髪君、乱暴に扱うから先に謝っとく、ごめんな! あと名前は!?」

 

「へぶっ!? ゆ、ユーノ・スクライアです!」

 

「そうか! オレはかっちゃんと呼んでくれ!」

 

 少年は課金に課金を重ね、魔力をブーストして更に加速。

 平行して怪我人のユーノの抱え方を変え、体に負担をかけないようにする。

 こういうお姫様抱っこみたいなのは女の子がされるべきなのでは、と思考するユーノ。結構余裕が出て来たようだ。

 ユーノを狙っている触手の怪物と泡の怪物は三人の少年少女を追い、少年少女は敵の攻撃を回避しつつ怪物を誘導し、全員が公園に向かう。

 

 そしてその過程で、頭脳明晰なユーノは二人の魔法技能を正確に把握していた。

 

(この人、なんか色々ヘタクソだ! そしてあっちの子は上手すぎる!)

 

 迎撃に魔法を撃つ。防御に魔法を使う。移動に魔法を使う。その一つ一つをちゃんと見れば、魔法の完成度が透けて見える。ひいては、得意な魔法やその人間の強さも見えてくる。

 ユーノ視点、少年の方はとにかく魔法が粗かった。

 怪物に撃った牽制魔法は明後日の方向に飛んで行き、防御魔法は課金パワー任せで大雑把、移動魔法は下手糞な人間の運転する車のごとく、無駄加減速・無駄な揺れ・危なっかしいの三重苦。

 とにかくヘタクソで、経験の足りない初心者とはまた違う、センスの無さが垣間見える。

 それに比べて、高町なのはの方はケチを付ける場所が見当たらないくらい、各種魔法がバランスよく見事な技量に達していた。

 

「かっちゃん、公園見えたよ!」

 

「よし、仕掛けるぞ!」

 

(この二人、どういう……!?)

 

 一言で言うならば。

 高町なのはは魔法の天才で、その幼馴染は課金で下駄を履いているだけの魔法の凡人。

 言い換えるならば、課金せずとも最高レアを引ける『選ばれし者』と、課金しなければ絶対に選ばれし者と並べない『選ばれていない者』の差異であった。

 

「ゆっちー、変に動くなよ」

 

「え? ゆっちー? それもしかして僕のこと?」

 

 少年はユーノを地面に降ろし、なのはと背中を合わせて立つ。

 一切の隙間なく背中を合わせて死角をなくした二人に、怪物は一気に攻撃を仕掛ける。

 360°全てから、数千という数の触手と泡が襲いかかってきた。

 

「こ、の、数は……!?」

 

 信じられない規模と数で行われる包囲攻撃。

 船からジュエルシードがバラ撒かれた時、ジュエルシードが吸収した操舵手の課金思念が、通常のジュエルシード暴走体ではありえないほどの出力を可能とさせていた。

 視界の九割が怪物の触手と泡で埋まる中、二人は音もなく呼吸を合わせる。

 

「―――」

 

 背中がくっついているのなら、掛け声はいらない。背中が互いの呼吸を教えてくれる。

 少年のデバイス"アンチメンテ"から、なのはのデバイス"レイジングハート"に少年の視界データと課金魔力が送られる。

 自分の視界と幼馴染の視界、二つを合わせて全脅威の位置を認識したなのはが、静かに誘導魔力弾を放った。

 

《Connect.Lock on active》

 

「アクセル、シュート!」

 

 その数、128。

 魔力弾はそれぞれが軌道を制御され、戦車を粉砕するほどの威力を持って迎撃に動いた。

 なのはは古いコンピュータであれば処理落ちしてしまいそうなほどの並行処理を脳内で行い、いともたやすく数千の触手と泡を粉砕する。

 そして迎撃が終了したその瞬間、示し合わせたかのように少年はその場に伏せて、なのははくるりとその場で回った。

 

「ディバイン!」

 

《Divine Buster》

 

「バスターッ!」

 

 ダンス? とユーノが思ったのもほんの一瞬。回りながら砲撃魔法をぶっ放したなのはを目にして、ユーノは開いた口が塞がらなくなってしまう。

 円状に薙ぎ払う砲撃が直撃し、触手の怪物と泡の怪物は消滅、ジュエルシードは封印された。

 ここでようやく、ユーノは二つの事柄に気付く。

 既になのはが結界魔法を使い、周囲に被害が行かないようにしていたこと。

 そしてこの公園に誘い込んだのは、"こういう形"で決着を着けるためだったのだと。

 

 ユーノは少女の強さにも驚いたが、二人が戦闘中に見せた連携にも、作戦を口にする必要が無いほどに相互理解ができている二人にも、心底驚かされていた。

 

「……凄い……」

 

 なのはと少年は軽くハイタッチして、体を起こすのも辛そうなユーノに歩み寄る。

 少年がユーノの服に付いた土を丁寧に払い、回復魔法をなのはがかけ始め、徐々にユーノは回復していった。

 

「私、高町なのは。ユーノくん……で名前合ってるよね? 怪我は大丈夫?」

 

「あ、うん。大丈夫だよ。ありがとう」

 

「それは良かった。課金の果ての勝利や、それで守れた平和があるってのは最高だな……さて」

 

 そして、悪夢の時間が来る。

 少年は多機能ストレージデバイス"アンチメンテ"の一機能を起動し、口座残高を確認する。

 代金ベルカ式は課金で強くなる魔法体系。すなわち―――

 

「……ふぅ。この戦闘で預金残高の1/4も課金しちゃったなー、まいったなー」

 

「嬉しそうに言うことじゃないよぉ!」

 

(あ、この人ヤバい人だ)

 

 ―――この魔法を使う者には、文字通りの意味で"人助けのため命を削る覚悟"が必要となる。

 

 物語の始まりを告げる少年、ユーノ・スクライア。

 分かり合い繋がるため戦える不屈の少女、高町なのは。

 破滅するために生きているかのような課金少年。

 

 三人はこの日この夜この街で、運命のような出会いを果たした。

 

 

 

 




後書きは読まなくても特に問題ない程度の遊び場となります

課金騎兵(レッドショルダー)最低野郎(ボトムズ)

 赤字の肩書(レッドショルダー)の名を冠する、このお話の主人公の能力。
 ありとあらゆる場所で、いついかなる時にも、能力使用者が状況や所有物に左右されずに課金行為を行うことができるようになる能力。
 対象ゲームを指定せずこの能力を使い課金ガチャを行った場合、様々なものが出る。
 この世界にある物の全てが出るわけではないが、この世界に存在しない物も出る。この世界の根源から末端に至るまで、過去から未来に至るまで、至近平行世界から遠方平行世界までのものが排出対象となる。世界のどこかからの召喚という形での排出も、創造という形での排出も、既存の物の変化という形での排出もある。

 課金レートは1万円で石50個。
 石2個でどんなゲームのガチャでも一回引くことができ、十連でレア排出率が上がる。
 ガチャの中身はSSR、SR、R、N、Cの五段階。排出率内訳は『絶対に明記されない』。

 このお話の主人公は主に、スマホか脳内ガチャを媒介として能力を使用する。
 そのため周囲からは『暇さえあれば課金してゲームをしている』『そうでない時は虚空に向かって不気味に笑いながら幻覚のガチャを回している』『あいつ確実にクスリキメてますわ』と散々に評価されていたりする。良くも悪くも小学校では有名人だ。

 社会の歯車として金を稼げる社会性と、課金するために生きるという非社会的な価値観の両方がなければ、この能力は使いこなせない。
 そのためこのお話の主人公は課金が絡まなければ良心的な人物だが、課金が絡むと救いようがないクズとなり、高町なのは(外付け良心回路)の存在のおかげでなんとか主人公の体裁を保っている。

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