遊戯王GX―とあるデュエリストたちの日々―   作:masamune

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第十二話 犠牲になれと、世界は言った

 

 

 

 知ることとは、死ぬこと。

 だが知らなければ、選べない。

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 魔導都市エンディミオン。王たる神聖魔導王エンディミオンが治める魔法使いたちの大都市であり、魔法使いたちの都市としては精霊界でも最大級の都市である。

 そもそも『魔法使い族』と呼ばれる種族は多様な特徴を持つ者の多い種族であり、その特徴として他種族の者と共生する者が多いというのが挙げられる。かつての大戦においては『戦士族』と共に連合軍を組織したこともあるし、『ドラゴン族』とは彼らと心を通わせることのできる魔法使いたちが共に暮らしている。

 だがそんな彼らにとってもやはり総本山とも呼ぶべき都市の存在は重要であるようで、多くの魔法使いたちがエンディミオンを訪れる。

 その過程で都市が大きくなっていくにつれ、今まで通りエンディミオン一人での統治には無理が出てきてしまう。そのため、王たるエンディミオンを中心とした有力者による円卓会議が設立された。

 基本的にはエンディミオンに縁のある魔法使いたち、それも高位の者が基本だが、一部協力関係にある別種族からも代表が会議には加わっている。

 現在の円卓会議に名を連ねる者は十二柱。第一席であり議長こそこの都市の王たる神聖魔導王エンディミオンだが、基本的に全員は同列だ。会議における決定が多数決によるものとなった場合、一度下された決定は基本的に覆らない。

 とはいえ、全員が常に集まれるわけではない。よほどのことがなければ招集がかけられることもないし、前回全員が集められたのは別次元における精霊世界、通称『Terminal World』が崩壊の危機に晒されたという余程の事態の時だ。

 しかし今回。会議場には十二柱の精霊と、その護衛という形で同行する精霊たちが集まっている。

 

 

 第一席、神聖魔導王エンディミオン

 第二席、ブラック・マジシャン

 第三席、魔導法士ジュノン

 第四席、ロード・オブ・ドラゴン―ドラゴンの守護者―(ドラゴン族代表)

 第五席、サイレント・マジシャン

 第六席、ギルフォード・ザ・レジェンド(戦士族代表)

 第七席、アーカナイト・マジシャン

 第八席、紫炎の老中エニシ(天下人紫炎の全権代理)

 第九席、冥府の死者ゴーズ(冥王竜ヴァンダルギオンの全権代理)

 第十席、カオス・ソーサラー(カオス・ゴッデス―混沌の女神―の全権代理)

 第十一席、墓守の大神官(墓守代表)

 第十二席、精霊術師ドリアード

 

 

 ほぼ全員がそれぞれ背後に護衛を連れた状態で席に座っている。それを確認すると、エンディミオンは一度全員の顔を見回し、厳かに告げた。

 

「今日はよくぞ集まってくれた。すでに聞き及んでいると思うが、今日の議題は現在異空間にて一時的に封印している〝大怨霊〟の心臓についてだ」

 

 その言葉に対し、誰も驚いた様子は見せなかった。この件は極秘案件であり、知る者は都市内でも最上位の者たちぐらいだ。それでもここにいる者たちはそれぞれが何らかの手段でこの事実を知りえている。

 普段ならば時折鬱陶しくも思う情報収集能力だが、この局面ではありがたく思う。こんな厄介な状況、いちいち説明したくはない。

 

「現在、『魔導書の神判』の力によって別空間に封じ込めている。だがこれはあくまで一時凌ぎだ。そこで対策を考えたい。我が提案するのは、我らと神判の力を用いた完全封印だ」

「完全封印、か」

 

 頷くようにして呟いたのはロード・オブ・ドラゴンだ。その彼の言葉に頷きつつ、エンディミオンはサイレント・マジシャンへと視線を向ける。頷いたサイレント・マジシャン――最高レベルたるLV8の姿をしている――は歌うような声で説明を始めた。

 

「現在、神判の力を用いて精霊と人間、それぞれ〝大怨霊〟と深い繋がりを持つその二つを異空間に封印しています。完全封印とは、その空間を完全にこちらと切り離すことを示します。向こうには時の概念が存在しないため、こちらからもあちらからも干渉できない状態にできれば事実上の完全封印となります」

 

 ほう、と誰かが言葉を漏らした。この場に集まっている者はそのほぼ全員が〝大怨霊〟の脅威を知っている。完全封印――その魂と精神こそ健在だが、核たる心臓を〝大怨霊〟の手に渡らないようにできるならばそれ以上のことはない。

 

「その人間と精霊はどうなる」

 

 声をあげたのはまたしてもロード・オブ・ドラゴンだ。その言葉に迷いを見せるサイレント・マジシャンに代わり、エンディミオンが静かに告げる。

 

「犠牲となってもらう――これで満足か? 今更躊躇う理由などあるまい。人間の方はともかく、精霊の方はかつて我らの代わりに犠牲になろうとしてくれた気高き魂だ。その想いに報いることを、つまらぬ偽善で否定するか?」

「そう逸るな、エンディミオン。かつて我らのために犠牲になることを選んだ精霊はロード・オブ・ドラゴンの盟友だ」

 

 僅かに怒気を孕んだエンディミオンの言葉を窘めるのはアーカナイト・マジシャンだ。彼は本来王たるエンディミオンの部下とも呼べる立ち位置にいるが、遥か昔からの友人であるために砕けた言葉遣いをしている。

 エンディミオンはまだ何か言いたげだったが、口を噤んだ。その空気を変えるように、すみません、と精霊術師ドリアードが声を上げる。

 

「かつての戦いでは何故、完全封印ができなかったのですか?」

「できる状況ではなかったからだ」

 

 答えたのはギルフォード・ザ・レジェンドだ。それを引き継ぐように顎に手を当てて紫炎の老中エニシが言葉を紡ぐ。

 

「そうじゃのう。あの戦いで我ら六部の軍と連合軍は半壊し、多くの精霊が失われた。一度は人間界へと〝大怨霊〟が逃げ込んだが勇気ある人間たちが更なる痛手を負わせ、精霊界へと送り返し……どうにか、心臓を分離した。敗戦などとは決して言わぬが、勝利とは呼べぬ戦であったよ」

「当時はこの円卓のほとんどが負傷し、満足に状況の把握さえも覚束ない状況でした。しかし、時を置けば心臓を奪い返しに〝大怨霊〟は間違いなくやってくる。そうなる前にと苦肉の策で一柱の精霊がそれを受け入れ、己の存在を捨てる形の消滅を選んだのです」

 

 言葉を継いだのはブラック・マジシャンだ。当時のドリアードは独自の魔法を用いる、力の弱い魔法使い――主に『霊使い』と呼ばれる魔法使いを中心とした己の寄る辺を持たない者たちと小さな集落を築いており、〝大怨霊〟との戦いでも中心にいたわけではなかった。それ故に当時の経緯については詳しくなかったのだが、これでようやく理解できた。

 

「ありがとうございます。――その高潔な魂に、祈りと、感謝を」

 

 両手を合わせ、目を閉じ、ドリアードが祈りを捧げる。その姿を一瞥すると、エンディミオンが墓守の大神官へと視線を向けた。

 

「墓守の見解はどうだ。封印は可能か?」

「我らの見解では可能と出ています。かつて扉の向こう側――冥府へと〝名もなきファラオ〟が〝三幻神〟を封じたように」

「成程。そういうことならば信憑性はありそうですねぇ」

 

 頷いたのはカオス・ソーサラーだ。仮面から唯一伺える口元には笑みが張り付いており、考えが読めない。

 

「つまり、封印自体は可能な訳だ。根本的な解決にはならねぇが……心臓を封印することでどんなメリットがある?」

 

 問いかけるのは冥府の死者ゴーズ。その問いに答えるのはサイレント・マジシャンだ。

 

「かつての戦いで〝大怨霊〟を討ち滅ぼすに至らなかったのは、その人知を超えた精神と何より心臓という核の存在です。その精神が弱らぬ限り力を失わず、しかし、心臓という核が存在するが故に己を見失うこともない。心臓を封印すれば文字通り精神のみの存在となり、いずれその精神が摩耗し、滅びていくのが道理です」

「滅ぼせるわけじゃねぇのか」

「滅ぼすのであれば、いずれにせよ心臓と切り離した状態にしておくことが最優先事項です。肉体を失い、三千年という長きにわたって己を保ってきた自我。それを完全な状態とするのが心臓という核なのですから」

 

 最悪の事態は〝大怨霊〟が心臓を取り戻してしまうこと。サイレント・マジシャンは暗にそう告げていた。

 沈黙が下りる。それを打ち破るように、エンディミオンが言葉を紡いだ。

 

「それぞれの答えを聞きたい」

 

 封印するか、否か。

 その答えを決めるために、全員が思考を巡らせ――

 

 

「――夢神祇園。そして、ドラゴン・ウイッチ―ドラゴンの守護者―」

 

 

 ずっと黙っていた魔導法士ジュノンが、静かに告げた。全員がジュノンの方へと視線を向けるが、本人は気にした様子もない。

 

「さっきから聞いていれば、呆れたものね。誰一人、今から犠牲にしようとしている二人の名前を口にしないなんて」

 

 ため息と共に彼女は言う。エンディミオンが声を上げた。

 

「そのことに何の意味がある?」

「責任よ。私たちの選択で、二人の全てが失われる。私たちはそのことを自覚しなければならない。そして何より、彼らは自分から犠牲になろうとしたわけじゃないわ」

 

 その言葉に反応したのはロード・オブ・ドラゴンだった。だが彼が言葉を発する前に、エニシがふむ、と顎に手を当てて言葉を紡ぐ。

 

「しかし、ドラゴン・ウイッチ殿はかつて己の選択で犠牲になることを選んだのではなかったかのう?」

「かつてがそうであったからといって、今もそうであると決めつける理由は何?」

「――――」

 

 息を呑んだのは、果たして誰だったのか。

 ジュノンは、前任に響くように言う。

 

「全てを知り、理解し、その上で私たちは選択しなければならない。――さあ、選びましょう。世界のために」

 

 自嘲するように彼女は言い。

 そして、長い沈黙。

 

 

「……我は、封印に賛成する」

 

 

 最初に紡がれたのは、そんな言葉だった。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

暗闇の中、少年は手を伸ばす。

 その瞳から光を失おうとも。それでも、なお。

 這いつくばるようにして――手を伸ばす。

 

「何故、どうして」

 

 そんな少年を、今にも泣き出しそうな顔で見つめる女性。

 己の姿こそを答えとでもするかのように、少年は手を伸ばす。

 

「どうして、手を伸ばすのですか」

 

 その瞳から、涙が零れた。

 見ていられないとそう思いながら、しかし、目を逸らせない。

 ある意味ではあまりにも滑稽で、愚かな姿。

 ――しかし。

 いつだって彼女は見てきた。少年の歩んだ道を。生き様を。

 その折れぬ心が、彼を支えてきたのだから。

 

「――心なんて、とっくに折れてる」

 

 呟くように、少年は言った。

 そうだ、心などすでに折れている。

 絶望の始まった日。何もかもを失ったこと。

 そしてようやく手にしたモノさえ、光を失い、手から零れた。

 

 どうしてと、何度も叫んだ。

 涙を流さぬ日はなかった。

 ――けれど、それでも。

 皆は、自分を見捨てなかった。

 何より――

 

「ここで諦めたら、今までの全部が無駄になる」

 

 今更別の道など選べない。ここで立ち止まることは、何もかもを失うことと同じだ。

 

「だから、もう一度」

 

 一枚のカードに、指が触れる。

 そのカードを見ることはできない。だが、何のカードかはわかる。

 気付けなかったけれど。

 知らなかったけれど。

 彼女はずっと、僕を見守ってくれていたのだから。

 

「もう一度、一緒に戦って欲しい」

 

 闇の中で、嗚咽が響く。

 その声の主へ、少年は言葉を紡ぐ。

 

「――ドラゴン・ウイッチ」

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 封印に賛成する――最初にそう告げたのは神聖魔導王エンディミオンだった。全員の視線が彼に向けられ、王はゆっくりと言葉を紡ぐ。

 

「リスクとリターンがそもそも釣り合っていない。心臓を取り戻された時、またあの戦いを繰り返すことになることはわかりきっている。王としてそのようなことを認めるわけにはいかん」

「そのためならば、犠牲は仕方がないということですかねぇ?」

 

 煽るように忍び笑いをするのはカオス・ソーサラーだ。エンディミオンは表情一つ変えずにその言葉に応じる。

 

「大のために小を切り捨てるのが王たる我の義務だ。今更そのことについて議論の余地はない」

「懐かしいですねぇ、我らが女神と陛下の問答。あれで女神はあなたを評価したのですから」

「ふん……」

 

 どこか苦々しげに息を吐くエンディミオン。存在自体が少ない、光と闇を内包する一族――カオスの者たち。その女神でありリーダーでもあるカオス・ゴッデスとエンディミオンには浅からぬ因縁がある。

 

「今は関係のないことだ。……我は答えを出したぞ」

「――私も賛成だ」

「わ、私もです」

 

 エンディミオンの言葉が終ると同時にそう声を上げたのはブラック・マジシャンとサイレント・マジシャンだった。ある意味当然ともいえる二人である。

 

「神聖魔導王エンディミオンの言葉通り、リスクが大き過ぎるでしょう。その人間が〝巫女〟や〝王〟と呼ばれる存在であるならばまだしも、そうではないようですので」

「円卓の参加者として不適切な答えかもしれませんが、私は陛下の答えを支持します。かつての戦いでも陛下は犠牲を飲み込み、我々を守ってくださいました」

 

 それぞれの答えが紡がれる。その上、と腕を組んで言葉を紡いだのはブラック・マジシャンだ。

 

「犠牲がどうという議論をするのであれば、かつての戦いでそうするべきでしょう。我々は一度、犠牲を生むことを認めた。それを今更覆すというのも、筋が通らない。それこそかつての勇者たちに失礼です」

「……まあ、一理ある。俺も賛成だ」

 

 頷いたのはアーカナイト・マジシャンだ。普段の会議では旧友ということもあって大抵エンディミオンを引っ掻き回す回答をするのだが、この状況ではそれも憚られたのだろう。

 

「理由を説明するのは面倒だ。察してくれ」

 

 どこか投げやりに言うアーカナイト・マジシャン。ふん、とエンディミオンは鼻を鳴らした。

 

「いいだろう。……次の者は?」

「………………私も、賛成いたします」

 

 祈るように両手を合わせ、絞り出すように告げたのは精霊術師ドリアードだ。目を伏せ、彼女はゆっくりと言葉を紡ぐ。

 

「かつての戦いにおいて、私たちの集落にも大きな被害が出ました。もう二度と、あのようなことは繰り返したくありません」

 

 沈痛な面持ちをしているのは、かつてのことを思い出しているからだろう。それ以上のことをドリアードは話そうとせず、また、誰も追及はしなかった。

 これで賛成が5だ。会議の流れ自体は賛成に傾いているように思うが――

 

「――私は反対よ」

 

 その流れを断ち切るように、凛とした声が響く。

 魔導法士ジュノンが、睨み据えるように円卓の中心で鎖に縛られる魔導書の神判を見つめていた。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 光を失った瞳。その理由は、〝悲劇〟と呼ばれる大怨霊の心臓を受け入れた彼女と共にあったことが理由だった。

 

「かつての戦いにおいて、核たる心臓を滅する余力が私たちにはありませんでした。故に、守護者として竜たちを受け入れる器を持つ私が心臓を受け入れ、己自身に消滅の術式を刻んだのです」

 

 精霊は信仰がある限り消滅することはほとんどない。決闘によって消滅しても、どこかで新たな形に転生するだけだ。それでは心臓を消滅させることができないと考え、その術式を刻んだのだという。

 

「それが、誰にも認識されなくなるっていう……?」

「はい。絶えず自壊していく中で、誰からの信仰も受けなくなれば私はその存在ごと消滅します。打ち捨てられ、消滅するはずだったのですが……」

「……ウイッチを、僕が拾ってしまった」

 

 どうして祇園にドラゴン・ウイッチが認識できたのかはわからない。しかし彼は出会い、手にし、ずっと大切にし続けてきた。

 小さな少年の、僅かな想い。それが彼女への信仰となったのだ。

 それは奇跡であり、残酷な運命。

 

「僕のせいで、ウイッチは……」

「――それは違います、マスター」

 

 己から消えることを選び、自ら孤独へと堕ちたドラゴン・ウイッチ。

 気高くも美しきその決断は、しかし、決して彼女にとっての救いであったかといえば……そうではない。

 

「私にしかできない。私でなければならない。あの時、誰も口には出しませんでしたが、誰もが私にそれを望みました。それを否定することは私にはできず、私はこうなることを選んだのです。

 私は守護者でありながら、多くのドラゴンたちが、私の友たちが死んでいくのを見てきました。今更己の命を惜しむことなどできなくて、それが正しいと理解して、恐怖を飲み込んで……選択したのです」

 

 僅かに声が震えていた。恐怖だっただろう。すぐに消滅できるというのであればまだしも、その先に待っているのは底なしの闇だけなのだから。

 しかし、彼女に選択の余地はなかった。

 彼女を含む全てが、その選択を最善としてしまったが故に。

 

「世界が私に犠牲になれと言い、それを受け入れて。怖かったのです、私は。誰もが私を忘れてしまう。認識できなくなる。そんな中で消えていくのが怖くて怖くて仕方が無くて。

 ――けれど、あなたに出会えた。

 私は、あなたに出会えて……救われた」

 

 手を握られた。その手は思ったよりも小さく、温かい。

 

「マスター。あなたが見つけてくれたから、私は孤独の恐怖から解放されたのです。たとえ言葉を交わせずとも、姿を見ることさえ満足に出来ぬ身であっても。それでも私は、あなたに救われた。

 故に私は、あなたに問います。世界は我々に犠牲になれと、心臓を抱えたままに消えろと願うでしょう。あなたはそれを受け入れますか、マスター?」

 

 きっと、受け入れるのが最善で。それが、ドラゴン・ウイッチの選択した未来。

 そしてそれを、再び望まれている。

 

「最早マスターと心臓は切り離せない状態となっています。だからこそ私は〝破滅の光〟に抵抗し、そのせいでマスターの器が歪んでしまったのですから」

「……ねぇ、ウイッチ。聞かせて欲しいんだ」

 

 問いかける。変わらずこの目は見えないが、目の前に彼女がいるということだけはわかった。

 故に問う。ずっと己を見ていてくれた人に。

 答えを出すために、聞いておかなければならない。

 

「僕は生きても、いいのかな?」

 

 それは、彼が決して吐かなかった弱音。

 否定され続け、折られ続けた彼がずっと疑問に思っていたこと。

 

「生きていて欲しいと、私は願っています」

 

 生真面目な答え。けれど即答だった。

 嗚呼、と思う。

 僕は、ずっと。

 

「……前に、さ。言われたんだ。『過去だけしか見ていない』って。美咲との約束しか見ていない。今を見ようとしていないって」

 

 あの日、保健室のベッドの上で〝王〟と呼ばれる人は言ったのだ。

 ――私を見ろ、と。

 今ここにあるものを見ろ、と。

 その手にあるものをちゃんと見ろ、と。

 

「そんなことはない、と思ってたんだけど。病院で、することがなくて色々考えて。色んな人がお見舞いに来てくれた時、ようやく気付いたんだ」

 

 いつの間にか、こんなにも多くの人に出会って。

 そして、それを見てもいなかった自分に。

 

「〝ルーキーズ杯〟で美咲と戦った後から、どうしても調子が出なくて。ずっと理由がわからなかったけど、ようやくわかったんだ。僕には美咲との約束しかなくて、確かに澪さんの言う通り、それしか見てなかった」

 

 あの約束は夢神祇園にとっての救いであり道標。

 絶望しかない黄昏の日々の中で、彼女との約束だけが救いだったから。だから、それが全てであり絶対だった。

 

「昔と今とじゃ違う。十代くんたちみたいな友達も、新井さんや菅原さんみたいな先輩も、アヤメさんみたいに僕に期待してくれる人も。昔じゃ考えられないくらい、僕と会話をしてくれる人が増えて。

 だけど、さ。それでも僕の始まりは美咲との約束で。それが全てなんだ。だから」

 

 諦めない気持ちも。

 折れない誓いも。

 全て、あの〝約束〟があったから。

 

「――あの約束を果たさなければ、僕は未来へ進めない」

 

 それはゴールではなく、スタートライン。

 夢神祇園はまだ、始まってすらいない。

 愚かだと言われようとも。蔑まれようとも。それでも、最初に誓ったこの想いだけは。

 

「ええ、それでこそ――我が主」

 

 答えは得ました、と精霊は告げる。

 その声に、重き覚悟を纏わせて。

 

「我が主、最愛のマスター。あなたはこの戦いにおいて、一切の敗北が許されません。それでもよろしいですか?」

「敗北すれば?」

「文字通り、かつての戦いが繰り返されます。マスターの両親が失われたように、多くの血が流れることになるでしょう」

 

 重い選択だ。しかもこれは世界に対する反逆。世界は自分たちにそうならないために犠牲になれと言っているのだから。

 だが、それでいい。一人じゃない。ならば、きっと。

 

「うん、大丈夫。僕たちは一人じゃないよ。だから、きっと」

「はい、我が主。あなたに出会えて本当によかった」

 

 唇に、柔らかいものが触れる。

 驚き硬直する間に、吐息のかかるほどの距離で彼女は告げた。

 

 

「この世界が終わるまで。我が魂は、あなたと共に――……」

 

 

 それは、誓いの言葉。

 世界に見捨てられた者たちが、静かに復活の狼煙を上げた。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 反対と、そう告げた魔導法士ジュノンは理由は一つ、と淡々と告げた。

 

「今の私の主――防人妖花。夢神祇園は、彼女にとって大切な存在よ。理由はそれだけ」

「例の〝巫女〟ですか……。主の想いを叶えるのは我々にとっては最優先事項ですが、その〝巫女〟が巻き込まれる可能性もあるのですよ?」

「巻き込まれないとでも思ってるの? すでに妖花の周囲では無数の精霊が陰から護衛をしているわ。あの子は人が生み出した最高傑作。単体で〝悲劇〟に対抗し得る可能性よ。私は封印なんて以前失敗したモノを信用する気はない。防人妖花が私の希望なの」

 

 言葉を投げかけてくるブラック・マジシャンにそう告げる。そのまま、ジュノンはいい、と全員に向かって言葉を紡いだ。

 

「他人の価値は個人によって変わるのよ。あなたたちにとってはどうでもいいかもしれない二人も、私にとってはそうではないの。我が主にとって大切な存在と、私の友。世界とどちらを選ぶかなんて答えが出てるわ」

「魔導法士。あんたは世界と二人を天秤にかけるのか?」

「かけるまでもないわ。私にとって主と友は、世界よりも重要だもの」

 

 アーカナイト・マジシャンの言葉に即座に応じるジュノン。そのまま彼女は沈黙するロード・オブ・ドラゴンへと視線を向けた。

 

「あなたもそうでしょう? ウイッチは、私たちの大切な――」

「――そうだ。我が得難き盟友だ」

 

 遮るようにロード・オブ・ドラゴンが頷いた。エンディミオンが待て、と声を上げる。

 

「ドラゴン族の長たる主が情に流されるか?」

「長といっても、統治しているわけではない。だが、そうだ。

私は――賛成だ」

 

 その言葉に一瞬円卓が言葉を失った。次いで、どうして、と声を上げてジュノンが立ち上がる。

 

「友に――あの子に死ねというの!?」

「かつて我が友は己の役目を認識し、それを選んだ。それを汚したくはない」

「ッ、どうしてよ! あんなに後悔してたのに――」

「――もう遅いのだ!!」

 

 ジュノンの言葉を、ロード・オブ・ドラゴンが一括した。睨み据えるように彼はジュノンを見据え、言葉を紡ぐ。

 

「ブラック・マジシャンの言う通りだ。ジュノンよ。我がその言葉を紡ぐには、あまりも遅過ぎた。あの時、止めることも犠牲になれと言うこともせず、ただ友の自己犠牲に縋った我に、今更何を言えというのだ」

「……ッ、それは……」

「あの時、我らは己を守るために終ぞ誰一人として犠牲になれと友へ言わなかった。気高き魂、誇りある決断などと評し、全てを押し付けた。その一言できっと、友は救われたというのに。しかし、我らは己を守るためにそれをしなかったのだ。そんな我々が――我が、今更救いたいなどというのは偽善に過ぎん」

 

 言い切ると、ロード・オブ・ドラゴンは目を伏せた。ジュノンは何か言いたげに一度口を開くが、悔しげに口を噤む。

 そのまま椅子に座り直した彼女を見て、答えは出た、とエンディミオンは告げた。

 

「すでに賛成は六。反対は僅か一。議論の余地はあるまい」

「――ふむ、それはどうかのう」

 

 席を立とうとするエンディミオンを止めたのはそんな声だった。紫炎の老中エニシ――彼が、笑みを浮かべてエンディミオンを見ている。

 

「……まさかと思うが、六武衆は反対する気か?」

「そのまさかじゃ。のう、ギルフォード卿」

「我ら連合軍は、封印に反対する」

「同じく、六武衆もじゃ」

 

 円卓がざわめいた。合わせて数十万の軍勢を保有する円卓きっての武闘派が、まさか反対してくるとは。

 以前の戦いにおいて最も被害が大きかったのは最前線に立ち続けた彼らだ。その彼らの選択に、円卓が困惑する。

 

「ダイ・グレファー」

「はっ。すでに連合軍十万、準備は終えております。時間を置けば更なる数を集めることも可能です」

「どうじゃ、ニサシ?」

「はっ。六武軍及び機甲忍者衆、出陣可能です」

 

 しかしそんな困惑など気にもせず、それぞれの護衛としてついてきていたダイ・グレファーと六武衆―ニサシが応じる。どういうことだ、と声を上げるエンディミオンに二人は静かに言葉を紡いだ。

 

「かつての大戦において、我らは敗北こそしなかったが勝利もしなかった。挙句我らの至らなさ故にたった一人の魔術師に全ての業を背負わせることになってしまったのだ。この十数年、我らの中にあったのはひたすらの後悔のみ」

「戦場で死ぬべきわしらが生き残り、わしらが守るべき者たちが犠牲になる。それをお館様もわしらも受け入れることはできぬのじゃ。それも、剣を交えぬ内に降伏するなどありえぬよ」

「――馬鹿な! またあれだけの犠牲を出すつもりか!?」

「それが武人の務めだ。そもそもかつての大戦、我ら連合軍が全滅することになろうとも、相討ちとなろうとも〝悲劇〟を討つべきであった。それができなかったが故に、我らは犠牲となることを一人の女に押し付けたのだ」

「再び戦い、勝てる保証はないぞ!」

「勝つとも。そのために、牙を研いできた」

 

 エニシの言葉に三人の武人が頷く。話にならん、とエンディミオンは首を振った。

 

「戦となれば死ぬのは武人だけではない。それをわかっているのか?」

「わかっておるとも。だがそれでも、じゃ。ここで戦わず封印してしまい、犠牲を認めてしまうと……もう、わしらは武人ではなくなるでのう」

「くっ……」

「これは武人の誇りの問題だ。最善ではないとはわかっている。だが、あの時どうして我らは生き永らえたのだと、一人を犠牲にして――その者は我らと共に戦っていた戦友であったというのに、その犠牲をどうして受け入れたのだと、我らは未だ己が許せんのだ」

「理解して欲しいなどとは申さぬよ。しかし、これが我らの生き様よ」

 

 答えは出した、とでも言うかのように口を噤む二人。それに追従するように、墓守の大神官が言葉を紡いだ。

 

「我々の答えも反対です」

「何!? 何故だ!?」

「理論上は完全な封印です。しかし、それはかつての戦いでもそうでした。完全であり完璧。穴のない方法だと誰もが思い、しかし、失敗したのです。別の方法を探るべきだ、というのが墓守の総意です」

「くっ……」

 

 エンディミオンが呻く。そういうことならば、と声を上げたのはカオス・ソーサラーだ。

 

「私も反対ということにしておきましょうかねぇ」

「貴様……!」

「おお、怖い。ですが、一応理由はあるのですよ? 我らは混沌、秩序を否定するモノ。カオス・ソルジャー殿もカオス・エンペラー殿もどこにいるのか不在ですが、この選択を否定はしないでしょう。何よりこの選択は、我らが女神の選択です」

「カオス・ゴッデスの?」

 

 驚いた声を上げたのはカオス・ソーサラーの隣に座る冥府の使者ゴーズだ。カオス・ゴッデスがエンディミオンを気に入っているのは有名だ。そんな彼女がまさか反対に回るとは。

ゴーズの疑問に対し、ええ、とカオス・ソーサラーは頷く。

 

「疑うのであれば、女神のお言葉をお聞きください」

「女神だと?」

 

 全員が眉を顰める。声が降り注いだのはその瞬間だった。

 

 

〝久しいな、円卓の者たちよ〟

 

 

 重く、それでいて威厳のある美しい声。一度聴いたら忘れないこの声に、エニシを始め数名が苦笑を漏らす。

 

「流石に女神。お見通しであったか」

〝くくっ、久しいな侍よ。だが語らいは後だ。エンディミオンの坊やはわらわに聞きたいことがあるのだろう?〟

「質問内容がわかっているくせにわざわざ問いかけてくるのか?」

 

 苛立たし気にエンディミオンが吐き捨てる。鈴を転がしたような笑い声が響いた。

 

〝そう怒るな。我はカオス・ゴッデス。光もて闇支える混沌の化身。光と闇が交わるその地平にこそ、我が望みはある〟

「……成程、存在自体が混沌である以上戦は起こる方がいいわけか」

 

 納得したように呟くゴーズ。再び笑い声が響いた。

 

〝よくわかっておるではないか、冥府の坊や。どうじゃ? お主も後ろの娘と共にこちらへ来ぬか?〟

「ありがてぇ申し出だが、俺は割と冥王竜のオッサンの下が気に入ってんだよ」

「ありがたいお言葉ですが……」

 

 ゴーズとその後ろに護衛としてついていたカイエンがそれぞれの言葉で断りを入れる。むう、と妙に可愛らしい声が響いた。

 

〝なんじゃ、つまらぬのぅ。まあよい。気が向けばいつでも言うがよいぞ?

 ……さて、エンディミオンの坊や。顔色が悪いようじゃが〟

「心配は無用」

 

 ばっさりと切り捨てるエンディミオン。再び鈴を転がしたような笑い声。

 

〝男はそうでなくてはのぅ。それでは、さらばじゃ。また会おうぞ。光と闇が交わりし、混沌の領域で〟

 

 そして気配が消える。くくっ、と笑い声を漏らしたのはゴーズだ。

 

「相変わらずだなあの婆さんは」

「失礼じゃぞ、小僧」

 

 窘めるのはエニシだ。それに手を軽く振ってゴーズが応じるが、その彼に向かってエンディミオンが問いかけた。

 

「残るは貴様だけだ。冥界の答えを聞こう」

 

 苛立ちを隠しもせずに言うエンディミオン。全員の注目がゴーズへと集まる中、笑みを浮かべて彼は言う。

 

「今回の件についての冥界の答えだが。――棄権、だ」

 

 再び円卓がざわめいた。ほう、と楽しそうに笑うのはカオス・ソーサラーだ。

 

「中々に面白い回答ですねぇ」

「面白ぇも何も、これが冥王竜のオッサンの答えだからな」

 

 肩を竦めるゴーズ。そんな彼に代わって言葉を紡いだのは傍に控えていたカイエンだった。

 

「我々冥界は基本的に現世の事象について干渉しません。今回についても〝悲劇〟は死者ですが冥界から逃げ出したわけではなく、現世で彷徨うだけの亡霊。ならば我々の管轄外です」

「亡霊はそちらの管轄ではないのか?」

 

 声を上げたのはエンディミオンだ。カイエンははい、と頷く。

 

「本来ならばそうですが、〝悲劇〟の場合はその存在が精霊へと昇華されつつあります。故に前回と同じように、我々が動くのは冥界へも攻撃の意志があると判明してからとなります」

「前回と同じ、というのであればいずれ冥界にも牙を剥くのではないかの?」

「しかし現状ではそうなっておりません」

 

 エニシの言葉に一礼して応じるカイエン。ふむ、と彼が頷くと共にならば、とエンディミオンが立ち上がった。

 

「賛成が6、反対が5、棄権が1。答えは出た。異空間をこの世界から切り離し、心臓を封印する」

 

 その宣言に、ジュノンが悔しそうに唇を噛んだ。ブラック・マジシャンやサイレント・マジシャン、ドリアードが息を吐き、エニシやギルフォードは腕を組んで黙り込んでいる。

 墓守の神官は沈黙を貫き、カオス・ソーサラーは肩を竦めた。アーカナイト・マジシャンは背もたれに身を預け、ロード・オブ・ドラゴンはただ無言。

 円卓会議は終了――そんな空気が流れる中、ゴーズが思い出したように言葉を紡ぐ。

 

「ああ、そうだ。冥界についてだが、今のは冥王竜のオッサンを中心とした精霊の意見だ」

「何……?」

 

 エンディミオンが怪訝な声を上げる。ゴーズはつまり、と彼に向って言葉を続ける。

 

「前回は人間の――〝防人〟たちの協力があったとはいえ、あくまで主戦場はこっちだった。だが、今回は違う。〝眠り病〟なんて妙な名前を付けられてるみてぇだが、魂を囚われてんのは基本的に人間だ」

「何が言いたい?」

「単純さ。――人間の意見、ってのを聞くのも悪くねぇんじゃねぇか?」

 

 ゴーズの言葉を受け、カイエンが背後の扉に手をかけた。その扉がゆっくりと開き、複数の人影が入ってくる。

 

「何のつもりだ、ゴーズ!」

「冥界は人と精霊が暮らす領域。そこで冥王竜のオッサンに食らいついた野郎がいてな」

 

 新たに現れた人影の足が止まる。お前は、と声を上げたのはロード・オブ・ドラゴンだ。

 

「ファラオ、か? 人間の……」

「お初にお目にかかる、円卓の精霊たちよ。我が名はアドビス三世。我が友のためにここへ来た」

 

 数人の従者を引き連れ、古代エジプトの王はそう告げた。その名を聞き、ほう、とギルフォードが感嘆の声を上げる。

 

「〝決闘の神〟か。噂は聞いている」

「余には過ぎたる名だがな」

 

 苦笑を返すアドビス三世。彼はエンディミオンは睨み据えるようにして見つめると、王者の威厳を纏った言葉を紡ぐ。

 

「余は人の代表としてこの場に参上した。その上で宣言する。――夢神祇園、及びドラゴン・ウイッチ。この両名の封印に我らは反対すると」

 

 円卓の空気が凍り付いた。エンディミオンは自身の杖を出現させると、それをアドビス三世に向ける。

 

「何の理由があってこの円卓へ上がる、人間」

 

 思わず身を竦ませてしまうような声だった。現に従者たちは僅かな悲鳴を上げ、各々の武器を強く握る。だが、震えているのが遠目に見てもわかるぐらいだった。

 

「知れたこと」

 

 だが、王は一切の怯えも見せず、従者たちを庇うように前に出る。

 

「余がここに来たのは友がため、そして人のためだ。まさかとは思うが、貴様ら。人の意志を無視して結論を下すつもりだったとは言わぬだろうな?」

 

 精霊の力とは、信仰の力だ。アドビス三世は〝決闘の神〟とまで信仰される人物である。その力と意志は、核たる想いがあれば精霊たちとも向かい合える。

 不穏な空気が室内に漂い始める。中心の二人以外は下手に動くことができず、緊張が高まっていく。

 

 ――それを打ち破ったのは、室内に響く甲高い音だった。

 

 円卓の中心、鎖で力を抑えられた魔導書の神判。その目の前にある空間が、罅割れている。

 

「これは――」

「異空間から出てきたのか!?」

 

 サイレント・マジシャンとブラック・マジシャンが驚愕と共に立ち上がる。最上位の精霊でもなければ異空間から自力で出てくるなど不可能なはず。

 だが、驚愕に包まれる円卓の中心に、彼は現れる。

 ゆっくりと、踏み締めるように、確かめるようにして。

 

 その右目は、空のように蒼く。

 しかし、一筋の涙が伝っていた。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 目の前の光景に、ただ驚愕した。

 異空間から出てきたことについてではない。それも驚愕すべきことだが、彼は――ロード・オブ・ドラゴンはその姿に驚愕した。

 

(……そうか、我が友よ……)

 

 空色の右目と、黄昏の左目。その右目の色には覚えがある。

 彼女は選んだのだ。そうなることを。

 己の魂、存在の全てをたった一人の少年に――己の主に懸けることを。

 

(それは、救いとなったのか?)

 

 あの日、消えることを選んだ彼女は。

 彼と出会い、救われたのだろうか。

 

 彼の頬を伝う、一つの滴。

 あの涙は、きっと、彼女に向けたもので。

 

(見せてくれ、友よ)

 

 お前が信じ、愛した人の力を。

 















まさかまさかの100話越えに感想見るまで気づかないという事実。
というわけで、相変わらず歪みつつもまあ、その方向性が見えてきた祇園くん。それしかなくて、それだけを想い続けてきたからこそ、そこに到達しなければ前に進めないのです。

というわけで次回、遂に主人公復活か!?




……六武衆と忍者の関係って不思議。忍者が暗殺する気満々で笑います。
エンディミオンさんとか主人公の精霊ポジで小説書けるくらいに苦労人してますね今回。

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