前に書いた時と同じくTwitterで流れていて、かつ、割と早い時間で知ったからには。
一応、前回書いた、にゃんにゃんの日という話と繋がっていたりします。
祝日以外にも、語呂合わせで特別な日を演出する日がある。
例えば、とある動物の鳴き声と同じだからということで、その動物の日としたり。何の変哲もない数字の中に特別な意味を見つける、それは人の知性の表れのようで面白い。であるならば、それを楽しむというのが人としてあるべき姿だと思う。
ヴァリエール家のエレオノールと言えば堅物として知られているようだけれど、私だって羽目を外すことだってないではない。
だから私は、表だってではないけれど、それに乗っかってみたことがある。具体的には、猫耳をつけてみたり。あの時のことを思い出すと、実は意図していなかった人に見られていたということを思い出すと、──そう、思わずベッドの中でのたうつぐらいに「やってしまった」と思う。
少し外の空気を吸って頭を冷やそうとしていたら、マチルダさんに会った。そして、意地悪く笑って言われた。
「今日は、やらないんですか?」
思わず逃げ出した。
今度は、ルイズに会った。そして、本当に楽しそうに笑いながら手に持ったものを渡そうとする。ちょっとばかり変わった飾りのついたカチューシャを。
「これ、使ってください」
姉に敬意を持たない愚妹には、然るべき対処を。ええ、二度と馬鹿なことを考えないよう、然るべき対処を。
そして、後ろに人を連れたテファさんに会った。とても純粋で、悪意のない子だけれど、だからこそ怖い。続く言葉も予想できるだけに。
「一緒にやりませんか? お店で仮装、皆でやるんですよ。ウラルちゃんとファーティマさん。それに、イザベラさんからの紹介でビターシャルさんも」
……ん?
…………え?
ニコニコと笑っているけれど、この子、何を言っているの?
ビターシャルさん、目が虚ろだけれど。
日々生まれる、噂話。
とあるお店でやんちゃをした男が次の日には真人間に生まれ変わったという他愛もないものから、後ろ暗い孤児院の職員が次々に変死したという物騒な噂まで様々。
そんな中に新しく加わった二つの噂。
一つは、桃色の髪の少女が黒猫の耳をつけ、胸元と下腹部だけを隠す際どい格好で学院を走り回っていたという。泣きながらごめんなさい、もう許して下さいと繰り返しながら。見たという人間もそれ以上は決して語らないのだから、やはり噂でしかない。
もう一つは、日によっては美少女がいるということで有名なカフェ。そこでやけに美形な猫耳をつけた男がいたとか。それっきりだとかで嘘か誠かは分からないが、少なくとも、やけに鋭い目で何か探すような女性客が増えたという。