混沌の使い魔 小話   作:Freccia

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節分?

 

廊下でばったりと出会ったエレオノールとマチルダ

 

エレオノール

「ちょうど良かった。私、マチルダさんに話したいことがあったんですよ」

 

マチルダ

「……奇遇ですね。私もですよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルイズの呼び出しで集まったテファにウラル、ルクシャナ、そしてシルフィード。

 

ルイズ

「――明日は女の子の日なのよ。だから、あなた達にお姉様とミス・ロングビルのことで話しておくことがあるの」

 

テファ

「えっと、女の子の日ですよね? だったら、二人には関係ないんじゃ……」

 

ルイズ

「はい、アウト」

 

間髪入れず、テファの額に落ちるルイズのチョップ

 

テファ

「痛いです……。何で叩くんですか………」

 

ルイズ

「今日集まってもらったのはね、二人の前でそういうことを言わないように注意するためなの。分かった?」

 

テファ

「……えっと、ダメなんでしょうか?」

 

ルイズ

「いいかげん、おっぱいばかり大きくしないで、常識も勉強しましょうね?」

 

テファ

「ふぇぇぇ………」

 

ウラル

「うぅぅぅ………」

 

ルイズ

「ウラル、虐めないから。泣かなくていいから。ね? ――とにかく、歳のことは厳禁。分かった?」

 

シルフィード

「たかだが、数年ぐらいのことでごちゃごちゃと……。シルフィには理解できないのね」

 

ルイズ

「偉大な韻竜様には分からないでしょうねぇ………」

 

シルフィード

「んふ? ようやくシルフィの偉大さが分かったのね?」

 

ルイズ

「はいはい、すごいすごい」

 

シルフィード

「んー、何か馬鹿にされているような気がするのね」

 

ルイズ

「わ、本当にすごい。ちゃんと分かったのね。びっくりしたわ」

 

シルフィード

「ふっふっふ。そうなのね。シルフィはすごいのね。……ん? ……んー?」

 

テファ

「あの、シキさんには?」

 

ルイズ

「……いいのよ。既にもう、馬鹿なことを言って2人に説教されてたから。そもそも、それを見て思い出したのよ。正座して説教されているのを見て、本当に切なかったわ………。だから、次に地雷を踏みそうなあなた達に言わなきゃって思ったのよ」

 

一同

「うわぁ………」

 

 

 

 

 

 

 

そして、当日。子供たちへ、エレオノールとマチルダからささやかながらご馳走を。皆が素直に喜ぶ。ごく一部を除いて。

 

ルシード

「テファお姉ちゃん」

 

テファ

「……えっと、何?」

 

ルシード

「テファお姉ちゃん、何かあったの? ウラルちゃんもルクシャナさんもやたらとびくびくしているし………」

 

テファ

「……ルシードは気にしなくてもいいと思うよ?」

 

ルシードはただ、首をかしげる

 

そして、お菓子の取り合いになりそうな子供たちへ、マチルダとエレオノールがやんわりと注意する。

 

マチルダ

「ほら、今日は女の子の日なんだから、女の子が優先だよ?」

 

エレオノール

「ああ、私たちはもう卒業しているから、皆で食べちゃっていいから」

 

テファ

「あ、あれ? 年のことを言っちゃいけないんじゃなかったのかな?」

 

マチルダ

「テファ………。ちょっとおいで」

 

恐る恐るテファが近づくと、ぺしりとデコピン。ただ、しっかりと音が聞こえる、少しばかり力のこもったもの。

 

テファ

「ふぐっ………。い、痛いよ、姉さん……」

 

マチルダ

「別に年のことを言われたって気にしないけれど、テファはもー少し常識の勉強が必要かもね」

 

テファ

「うぅ、皆して………。だって、シキさんには………」

 

エレオノール

「やっぱり変に気を回したりしてたのね。ルイズかしらね? ………まあ、いいわ。テファさん。物事にはね、言っていい人と言っちゃいけない人がいるの。女心っていうのは複雑なのよ。テファさんにもそのうち分かるようになると思うわ」

 

 

 

 

 

 

 

テファ「――難しいよ」

 

シキ「――理不尽だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ワイシャツ(20130317)

 メイドが洗濯物を干している。大人数が暮らしているだけあって、シーツやシャツがずらりと風に棚引くその様子は、なかなかに爽快なものだ。

 

「――何を見ているの、シキ?」

 

 見ても分からなかったのか、ルイズが首を傾げる。

 

「大したものじゃない。ただ、ああやって並んでいると、あれはあれで絵になると思わないか?」

 

「そう? ごく普通の洗濯物じゃない。確かに真っ白で清潔感とかはあるかもしれないけれど………。もう少し色がないと華がないわ」

 

「それはそれで面白いかもしれないが、真っ白だからこそ自由に想像できると思わないか?」

 

 例えば、シンプルなワイシャツ。

 

 何の変哲のないそれも、体のラインがはっきりと見えるものであれば、それぞれの個性を引き出す、魅力的な衣装になる。

 

 スタイルの良いマチルダが見にまとえば、豊かな胸元とくびれが強調される。そしてきっと、恥ずかしげに言うだろう。

 

「あんまりじっと見られると、さすがに恥ずかしいじゃないですか」

 

 普段の淑女然とした様子も良いが、はにかむその様子もまた良い。

 

 

 

 

 全てがスレンダーなエレオノールが見にまとえば、切ない胸元とくびれ……、全くないでもないそれがより強調される。そしてきっと、恥ずかしがりながら言うだろう。

 

「無いものは無いんです。仕方ないじゃないですか!」

 

 こちらもまた、普段の淑女然とした様子も良いが、一気に捲し立てるその様子も良い。

 

 

 規格外なスタイルのテファが身にまとえば、更にその規格外な胸元が強調される。そしてきっと、よく分からずにこう言うだろう。

 

「えっと、触ってみます?」

 

 普段通りかもしれないが、もう少し恥じらいを持った方が良い。

 

 いや、悪くはないが。

 

 

 

 

 

 

「……ふうん、シキも結構ロマンチックなことを言うのね。てっきりエロいことでも考えているのかと思ったわ」

 

 ――なんだ、よく分かっているじゃないか。

 

 

 

 

 

 

 

日常の風景(20130317)

 

 ふと友人を見かけて声をかけようとしたら、じっと何かを見ていた。

 

 視線を追うと、ウラルという女の子。まだどこか幼さがうかがえるその子と、そして、彼女に踏まれているマリコルヌ。そのシチュエーションがまず分からないけれど、何より、マリコルヌが嬉しそうというのが分からない。

 

 ああ、蹴られた。

 

 まあ、いいか。マリコルヌだし。それに、最近はよく見る光景だ。

 

 そのウラルという子は、マリコルヌをもう一度だけ踏むと、子供たちの所へ。子供たちも懐いているみたいで、抱きついていく。そして、一緒にボール遊びを始める。子供は無邪気なものだ。

 

 ただお互いに蹴り合うだけだが、随分と楽しそうだ。

 

 いや、自分もそうだったか。まともに魔法が使えるようになる前は、似たようなことをやっていたような気がする。何が楽しかったんだかな。楽しかったことは覚えているんだが。

 

 ふと、何かが足に当たって跳ね返る。ああ、子供らが遊んでいたボールか。コロコロと転がっている。蹴ったんだろう男の子がどうしようかと迷っているようだ。

 

 そうしていると、ウラルという子がこちらに歩いてくる。ああ、ボールを取りにきたのか。拾って返すと、器用に受け取る。ボールを抱え込むようにして、やはり小柄なんだなと改めて思う。そして、深く頭を下げて、子供たちの所に戻って行った。

 

「良い子だな」

 

 すっかり存在を忘れていた友人が言った。

 

「ああ、可愛いしな」

 

 12、3才ぐらいと女としてはこれからかもしれないが、きっと美人になると思う。他と違って、比較的危険が少ないのも良い。

 

 

 

 

「――ふふ、君たちもウラルちゃんの魅力が分かったかい? 加えて良いおっぱいだよ」

 

 いつの間にがそばにやってきていたマリコルヌが自慢気に胸を張る。

 

 なぜお前が偉そうに言う。というか、はっきり言ってうっとうしい。蹴りたくなる気持ちも分かる。

 

「……ところで」

 

 友人がマリコルヌへ問いかける。

 

「何だい? 今日の僕は機嫌がいいから何だって答えちゃうよ」

 

 ああ、踏まれて嬉しそうだったものな。

 

「いや、色々と言いたいことはあるけれど、お前、何でさっき踏まれてたんだよ? そんなに怒りっぽい子には見えなかったぞ。というかお前、そのうち消されないか?」

 

 確かに、比較的安全そうなだけで、実際はどうなのか分からない。

 

「ああ……。いや、まあ、何ていうか、いつもいつもテファちゃん達をエロい目で見るなって怒られちゃった」

 

 てへっとウインクする様が、男の俺から見てもキモイ。その命知らずさには驚嘆しなくもないが、とりあえず言いたい。

 

「お前、一回死んだ方が良いんじゃないか? とばっちりとかはご免だから、一人で死ねよ」

 

「ウラルちゃんに殺られるなら本望だよ。じゃなきゃこんなことできないね」

 

 何で良い笑顔でそんなことが言えるかね。何気にメイジとしてのランクが上がっているのがムカつくし……

 

 

 

 

 

 

This is MALICORNE(20130317)

 

 今日はちょっと奮発してケーキを買ってきた。子供たちが嬉しそうに食べているのはやっぱり良い。こんな僕でもそう思うさ。

 

 ――ああ、いけないな。頬にクリームなんかつけて……。何かに目覚めそうだよ。

 

 そして、ルクシャナちゃん。細い体でよく食べるというのは、それはそれで良いと思うよ。スレンダーなままというのも、それはそれでエロス。むしろ、テファちゃんと並ぶと、その対称性が正に芸術的。

 

 加えて、ウラルちゃん。

 

 ――ふふ。無関心を装っても、チラチラと見ているのは分かっているよ。食べたいなら食べたいと言ってくれれば、いくら払ってでもマルトーさんにお願いするというのに。僕に弱みを見せたくないんだろうけれど、僕にはその頑張りがご褒美さ。

 

 おや? 眉尻を下げて切なげに………。

 

 ああ、もうなくなっちゃったんだ。うん、まあ、あの勢いで食べてちゃね。特にルクシャナちゃん、それで太らないなんて普通にすごいよ。

 

 と、ケーキを食べていた女の子が一人、とてとてと歩いてくる。僕のそばにまで来て、可愛らしく首を傾げる。

 

 ふふ、おかわりが欲しいのかな?

 

 いいよ、いいとも、あと5年後にでも返してくれれば。さすがに今請求するなんていう鬼畜なことはしないさ。

 

「――ねえ、ブタさん。もうないの? 」

 

 ……ウラルちゃんの影響かなぁ。

 

 

 

 

 

 

黒い子(20130317)

 

 

 良くある光景、マチルダとエレオノールがシキを追いかけている――

 

ルイズ「また節操もない……。色ボケはツエルプストー家の専売特許だっていうのに」

 

キュルケ「止めてよ。流石にあれはないわ。というか、あんたのお姉さん良い歳なんだから、言ってあげなさいよ」

 

ルイズ「いやよ。言ったって意味がなかったもの」

 

テファ「じゃあ、私が言ってこようか?」

 

ルイズ「えー……」

 

キュルケ「うーん……」

 

テファ「な、なに?」

 

ルイズ「テファが言うと多分、ストレート過ぎるというか。ねえ?」

 

キュルケ「まあ、ね。ちなみに何て言うつもりだったの?」

 

テファ「何って、年を考えた方が良いって――」

 

ルイズ・キュルケ「……わぁ」

 

テファ「――ルイズとキュルケが言ってたよって」

 

ルイズ「道づれ!?」

 

キュルケ「何気に自分には害がないようにしているって、この子、黒い!? 可愛らしく首を傾げて見せたけれど、黒いわ!?」

 

テファ「そ、そうなのかな……。ご、ごめんなさい」


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