転生?チート?勘弁してくれ……   作:2Pカラー

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09.俺は友達が少ない

 

 よっす。クーです。六歳になりました。

 最近活動範囲が広がりました。

 というのも魔法の授業から逃げ出してはグラントロワ中を駆けまわってたせいなんだけどね。

 ホントは単独行動はなるべく避けたいんだけど(暗殺的な意味で)、さすがに飽きました。発動しないスペルを叫び続けるのもね。

 現在俺はめでたく(?)落ちこぼれの地位を獲得してます。

 なんたって一年かけてライトとアンロックしか覚えられてないんですから(ロックの方は出来ないんだよねぇ)。

 しかも魔法の教師の見立てでは、初歩の初歩であるコモンスペル・ライトを成功させるだけでも俺は精神力を全て使いきってしまっているらしい。

 メイジの格が上がれば増えるという話の精神力だけど、そもそもスタートラインであるドットにすら立てない俺をどう鍛えればいいのかと、家庭教師陣でも頭を抱えているらしい。

 え? そんなことより妖精さんの話をしろって?

 妖精なんて見えるわけないじゃないですか。HAHAHA!

 あれはきっと幻覚さ。もしくはサッパリ妖精とかギップル的な何かさ。

 断じてエルフ達の言う精霊なんかじゃないってば。

 だからうようよと視界に入ってくんじゃねぇよテメエら! 魚群か! 激熱リーチってか!

 見えへん! ウチはなんも見とらへんねや!

 

 うん。現実逃避は止めるよ。

 見えてるよ。精霊っぽいの。うじゃうじゃいるよ。

 しかもねぇ。コミュニケーション取れちゃうんだよねぇ、俺。間違いなく「コミュ力」のせいだろうね。精霊が見えるようになったの自体「コミュ力」のせいっぽいもんなぁ。

 結構ね、精霊たちは嬉しがってるみたいなんだよね。人間(オレ)に気付いてもらって。

 指をね。こう虚空に突きだすだけでもね。わらわら~と群がって来るからね。風の精霊ちゃん達。

 害があるわけでも無いし、精霊(先住)魔法さえ使わなければ精霊が見えてることなんて他人には分からないだろうからってことで、今じゃ結構受け入れられるようになって来たんですが。やっぱ出来ることなら精霊さんたちが見えるようになる前に戻りたいっす。

 たぶん、ってかかなり高い確率で、俺、精霊魔法使えるんだよね。

 エルフは、その土地に住む精霊と契約してからだが、精霊との契約を履行させることで精霊魔法を使ってたんだよね。多分。うろおぼえだけど。

 でも俺はさ、その場にいる精霊さんと「コミュニケーション」が取れるわけだ。

 契約で縛った後で命令するなんて方法じゃなく、ふよふよと漂ってる精霊さんたちに「お願い」をすれば、それで精霊魔法が発動する可能性は高いと思うんだ。

 ……ヤバいよね? コレ。

 …………なんで平穏を求めているだけなのに「チート」が増えるんだよ。

 嗚呼。勘弁してくれー

 

 

 さて、話を変えましょうか。別に現実逃避ってわけじゃないんだから! 勘違いしないでよね!

 あいさつの後に言った通り、最近活動範囲が広がってきてるんですよ。

 そもそも俺の行ける場所というのが極端に狭かったってこともあるんだけどな。なんたって自宅かグラントロワのイザベラ達の遊び部屋、食堂のような場所くらいしか行ける所無かったもの。

 最近じゃ妾腹の子という醜聞はあるものの、俺の存在が公に認められてきていることもあって王宮の騎士連中からまで隠れなきゃならんってことにはならないのも、俺が自由に動くことの後押しにもなってたしね。ま、ロマリア辺りの情報操作でもあったんじゃないかと不安でもあるんだけど。

 それからは魔法の授業から逃げるために走り回り、今まで碌に体を動かせなかった鬱憤を晴らすために駆け回り、いろんな場所に行ったよ。

 城といえばレヌール城だとかグランバニアとかをイメージしちゃう俺じゃ、実際の王城であるグラントロワでは迷いまくったけどね。

 でもいくつかお気に入りスポットが出来たんですわ。

 で、今いるのがそのお気に入りスポット。

 

 所謂、練兵場だね。

 

 ……絶対クー・セタンタの名前に影響されてたよね。

 最初にこうね、剣の訓練をしてる騎士団を見た瞬間にね、体がうずうずしだしたんですわ。

 理性では分かってたんだよ? 「魔法が使えない=無能」って図式を信頼しすぎるのも駄目だってことはね。魔法至上主義のハルケギニアとはいっても魔法以外の実力は全て見下されるわけじゃない。ゆえに戦闘訓練なんかには参加すらしないべきだ、ってのはね。

 でもねぇ、口ではなんと言っても体は正直なんですな。くやしい、でも、ビクンビクンって感じに体がうずいてたんですわ。

 気が付いたら訓練に参加してたからね。

 騎士団員らはかなり戸惑ってたけどね。なんせ俺はいろいろ抱えているとはいえ第三皇子だ。そして剣の訓練なんてものは本来平民の傭兵などがすること。

 一応ブレイドという魔法があることや、護衛任務には遠距離からの大規模魔法よりも近接での戦闘技術を求められるという理由で騎士団員は剣を学ぶらしいけど、それでも剣術なんてのは言ってみれば魔法の使えない平民が使う「下賤の技」。それを王族に学ばせるなどと、って感じで随分言われたもんだけど、精霊ちゃん達すら籠絡した俺の舌技「コミュチート」を甘く見てもらっては困るね。

 ズバーンと言ってやりましたとも。

 

「うるせぇ! やらせろ!」

 

 うん。別にエロい意味での発言じゃないから110をプッシュするのはやめようか?

 ま、そんなこんなでちょくちょく練兵場でストレス発散させてもらってるわけです。

 

 

 いやぁ、年甲斐もなくはしゃいじゃってますよ。つっても六歳児ですけど。

 なんか他の転生者がチート能力を貰いたがるって神さんの話に納得しました。

 だってメチャクチャ楽しいのよ。

 体を動かせば動かすほど強くなっていくのが実感できるってのが。

 リアルバガボンドな修行もしてみたしね。こっちに行きたい? こっちか? って感じの。騎士団員にサイレントを掛けて貰ってかなり熱中しました。

「前世」じゃ武道はおろか喧嘩すらまともにしたことがなかった俺には想像しか出来ない世界だったよ。

 目立つのがいやだからってのは変わって無いんで、ある程度強そうな騎士とは模擬戦すらしてないけどね(わざと負けようとするとクーの名前のせいか体が暴れそうになるんよ。沈まれ俺の右腕!がリアルで発生とか、もうね)。

 そんな理由もあるんで訓練に参加させてもらうときは見習いクラス(それでもラインの上位~トライアングルクラスのメイジばかりだけど)の若い連中と一緒に鍛えるんだけど、なかなか仲の良くなった奴もいるわけで。

 俺が王族ってことであくまで気を使われている感じは抜けてないんだけど、それでも年の近い(といっても倍以上離れてることになるんですが)同性との会話ってのも新鮮なもので、

 ……うん?

 …………年の近い相手との会話が新鮮?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 !! ああっっと !!

 気づいちまった。俺、今まで友達っていなかったんだ……orz

 

「ええいっ! ネガはやめろといってるサル!」

 

「殿下? どうされたんですか?」

 

「うっせぇ! 来い、バッソ! その心臓貰い受ける!」

 

「ちょっ、殿下! これ模擬戦ですから! 殿下の槍の突きは本当に危ないんですから!」

 




というわけでカステルモール君を出してみました
一応十二~三歳くらいをイメージしてます。原作ではシャルロット十五歳くらいの時点で彼が二十代前半らしいですから。現在シャルロット四歳なのでバッソも十歳くらい若返るということで
え? 魔法学校?
バッソは魔法学校中退してマギステル・マギを目指してるんです(ぉぃ


にしても会話が少ない。この作品のテーマは「コミュ力」チートのはずなのに。コミュイベント自体がなさすぎる
次は会話メインを目指してみますかね

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