ぐっもーにん。クーです。そして朝です。
え? 昨日の続きはって?
聞かんといてよ// 柄にもなくマジモード入っちゃって恥ずかしいんだから。黒歴史になりそうです。
まぁ前言撤回するつもりもないけどね。マチルダさんは俺の嫁(キリッ なんつってww キャー//
……はい。そろそろ自重します。
昨夜の事ですが、あの後すぐに邪魔が入りました。
やはり風の精霊ちゃんによる人払いモドキでは限界があったようで、姿の見当たらない主賓(オレ)を探しにホストである
そのまま口説き続けていたら「アイヤー、ガリアの公爵に見染められるなんて目出度いアルー」なんて感じにマチルダさんの意思を無視して縁談に、なんてことになりかねなかったので自重したんです。
手段をあえて選ばなきゃといけないケースってのもあると思うんすよ。
え? 護衛の騎士連中は何してたのかって?
アイツラならパーティーに招かれてた地元の貴族令嬢相手に鼻の下を伸ばしてましたよ。
そりゃ俺ならそこらのメイジが相手でも後れを取ったりしないけどさ、もう少し真面目にやれってんだ。
オルレアンに帰ったら一度
ま、そんなわけで一夜明けてちょっと冷静になってしまったわけですが。
はてさて、マチルダさんの方は俺の事をどう思ってるのかね。
今回ばかりは『コミュ力』チートに頼らないと決めたので、どう思われているのか分からなくて少し不安ですが。
朝食をサウスゴータ家のみなさんと頂いた時には、マチルダさんは特に気にした風でもなかったんで、悪印象を与えたわけではないと思うんですがね。
逆にいえば気にされてない、というのは悲しくもありますが、まぁネガティブ思考はやめましょ。
これから大事な『お仕事』ですし。
はい。現在ロンディニウムはハヴィランド宮殿にいます。
この『アルビオン旅行』はトリステインに大使として向かった時とは違い、あくまで『旅行』なので実はロンディニウムには来なくても良かったんですが。
まぁ、アルビオン王家の顔も立てておいた方がいいし……というだけの理由でもないんですけど。
ジョゼフ兄と仕組んだ予定としては、『表向き』として俺がラグドリアン湖で交流のあったアルビオン王家と顔を合わせるため。『表向きの裏事情』としてはアルビオン王家と接触した俺が大した交渉も無しにロンディニウムを離れることで、ガリアとアルビオンの間に密約などなされなかったと他国にアピールするため。『裏』として、俺に付いているかもしれない他国の密偵に『ガリアからの本当の使者』の存在をわざと気付かせることで、その後の俺を囮だと『気付かせる』ため。
ま、ちょっとばかし複雑な策謀からハヴィランド宮殿に来たわけですな。
で、ここハヴィランド宮殿にて、未だに『表向きの裏』に気付いていない密偵がいた場合そいつらを撒くというわけです。
保険のような策ですけどね。有能な上司が密偵にいた場合、既に俺以外のガリアからの使者を疑って動いていることでしょうし。
なのでジェームズ陛下に一応のお目通りをした後は、宮殿を後にしてロンディニウムを散策しつつ適度に目立つというお仕事をする予定であって、ここに長居するつもりは無かったんですが。
何故か現在、ウェールズ殿下とお茶してます。
……何故に?
「久しぶり、と言うべきかな? シャルル陛下の即位式典以来だからもう一年ほどになるか」
「……そうなりますね」
「あの園遊会は君が主導を取ったものだとか。私も楽しませてもらったよ」
そう言いつつウェールズはカップを傾ける。
チッ。絵になりやがる。イケメンめ。
「それと敬語はよしてくれ。君も始祖の血を引く人間なのだし、口調は楽にして貰った方が私としても気が楽だ」
「ふむ。ならお言葉に甘えるが」
とは言え普段の口調にはせず、あくまで対等な貴族を相手にする時の口調にする。
なんというか、気になるんだよね。ウェールズの目が。
俺を見定めるような目。俺という人間を見極めようとしているのかね。人の上に立つ素質は十分ってことか? それを俺に感じ取らせてしまっている時点で減点ではあるんだけどさ。
あれかね? ジェームズ陛下に何か言われでもしたのかね。継承式典の時のアレで小言でも言われたか?
……つか、何が狙いだ? 『コミュ力』で心情を読み取ろうとしているんだが、良く分からない。というか、ウェールズ自身の心情が揺れているというかなんというか。
何かを探ろうとしているのは分かるんだがね。探るべきか止めるべきかを迷っていることしか読み取れない。むーん。
「ふむ。紅茶は嫌いだったかな? なんならワインを用意させるが?」
「いや、気をまわして貰わなくても結構だ。なに、私の護衛として付いて来た者たちが粗相をしてないか気になっていただけでね。目の届く所に置いておきたいというかな」
言外に『さっさと本題を済ませて解放してくれ』と匂わせるが、
「そうかい? 良いワインがあるんだが」
とウェールズは気付いた様子もない。
いや、これは言葉の裏にまで気を向ける余裕がないってことか?
……おいおい、まさか。
既にアルビオン王家がエルフの情報を掴んでいるとかは止してくれよ?
今回の俺の『旅行』が継承式典で面識を持ったモード大公からの要請だとでも疑われたってのか?
確かにエルフ親子の情報をアルビオン王家側が掴んでいたとすれば、俺は確実に疑われるだろう。
なんたって俺の滞在先には、宮殿から適度に離れ、かつそれなりに注目を浴びなければという『表の理由』からモード大公家も選ばれているんだから。
俺は原作知識と照らし合わせ、モード大公がエルフを愛人にしているとジェームズ一世が知ったら、即動くだろうと考えていた。それだけに未だアルビオンに動きのない以上、エルフの情報は漏れていないと踏んでいたが。
その前提が崩れたとなると状況は大きく変わる。最早アルビオンの未来やティファニアよりもガリアを考えるべきだろう。俺を通してガリアにエルフ隠匿の罪がなすりつけられないよう、即逃げも考慮に入れなければ。
……マチルダさんは……攫っちまうか? 盗賊に身をやつすよりはましだろうし。何より俺が諦めきれん。
なんて、背筋に冷や汗を垂らしながら俺は考えていたわけだが、俺を混乱にたたき落としたウェールズはと言えば、そんな俺の様子に気づいた風でもなく、
「実は園遊会の折に知り合ったトリステインの方に頂いたワインが美味しくてね。君がワインの方がいいと言うならば、とも思ったんだが」
なんてワイン談義を続けている。
ぶっちゃけそんな話を聞いている場合じゃないっぽいんだが、聞き流すわけにもいかない。『コミュ力』を使って重要なフレーズが無いかチェックしておかなければ。
「確かタルブという村だったかな。そこで採れるブドウが良いものでね。今じゃ私もタルブのワインの虜だよ」
「タルブ、か。聞いた覚えがあるな。ふむ。ガリアに戻ったら私も商人にあたってみるとしようか」
と、その言葉でウェールズの雰囲気が変わった。
……変な事言ったっけ?
「そう言えば、君はトリステインと良好な関係を築いているとか」
……あるぇー?
え? そこ? そこなの? 俺、盛大に空回りしてた?
「単刀直入に聞こうか。オルレアン公、君はアンリエッタをどう思っている?」
どう思ってるも何も……
「会ったこともないが?」
あちゃー。完璧空回りだったね。ハズカシー!
つかウェールズよ。それでいいんか?
いや、まぁ年齢考えれば普通なの、か?
そもそも俺の中の王族ってジョゼフ兄とシャルル兄だからな。あの
「そ、そうなのかい? いや、彼女は私の従妹でね。少し気になったんだ。他意は無いのだが」
それじゃ他意があるって白状してる様なもんでしょうが。
嘘のつき方も勉強しとこうぜ、プリンス。
ま、適度に応援しておきますか。将来アンリエッタを引き取ってくれる第一候補だしね。
嗚呼、何が悲しゅーて野郎相手に恋バナなんぞせにゃならんのか。
ホント、勘弁してくれ。
クーとウェールズが友達になりました そんな37話 空回り気味
ところでウェールズの年齢データってありますかね?
一応クーとアンリエッタが同い年なんですが
ウェールズとマチルダさんも同い年くらいなんでしょうか?
だとすると現状ウェールズは十六~七?
園遊会時にもっと聡明さを出しておけばよかった orz
ウェールズは出来る子なんです。比較対象がガリア組でなければ
ジョゼフやクーのような陰謀タイプではなく、シャルルのようなカリスマタイプだということで