ボンジョルノ。クーです。
ラ・ロシェールでフネに乗り、やってきましたアルビオン。
いやぁ、すごかったです。
ラグドリアン湖を初めて見た時も思わずため息ついたもんだけど、アルビオン浮遊大陸もすごかった。
雄大な大地が浮かぶという威容。
大陸の下半分が纏う雲形はむしろ白い海。
実際見るまではラピュタをイメージしてたんだけど、むしろアッパーヤードに近いのかも。
海を引き連れ空を飛ぶってのは、なんというか、うん、なんと言えばいいか分からなくなるほどの、あー、上手く言えねぇや。
とにかくものすごかった。
俺は『前世』では海外どころか本州から外に出たこともないようなジャポネーゼだったけど、もっと色々な風景を見ておきたかったなぁと思いましたよ。
んで、港町ロサイスに到着してから、王都ロンディニウムまで馬車でトロトロ移動することになりまして。
で、到着しました。サウスゴータ。
本日はここ、太守さんのお家にお泊まりだそうです。
ええ。マチルダさんとフラグを建てろってことですね。分かります。
え? 恋愛フラグじゃないよ?
ここで重要になって来るのは頼れる相手フラグです。
今回の『旅行』でアルビオンの内乱の火種、すなわちモード大公のスキャンダルがジェームズ一世に伝わらないよう、色々と釘を刺すつもりではあるが、俺の力が及ばなかったって場合もある。
そうなったとき、マチルダさんが俺を頼りにしようと思ってくれれば、ティファニアに干渉しやすい。
エルフとは言え彼女も虚無。目の届かない所に行かれでもしたら、気が気じゃないしね。
第一の目的はあくまでアルビオンの内戦を抑えること。アルビオンの内戦によってガリアがダメージを受けないようにすること。
そこは俺も間違えたりはしない。……けれど、やっぱり、ね。
救える相手は保険をかけてでも救いたいと思ってしまうんだよね。
とまぁ頭ではそんなことをつらつらと考えているんですが、実は現在サウスゴータ家でささやかなパーティー中だったりします。
『コミュ力』とは便利なもので、勝手に口が動いてくれます。
ここいらの有力貴族らしい方々の話を聞き流しつつも、それを感じさせずにこやかに応対してます。オートで。最近『コミュ力』で出来ることが増えてる気がするんだけど、大丈夫だろうかね。
「――つまりサウスゴータは由緒正しい土地というわけです。始祖ブリミルが最初に降り立った地でもあり、我がアルビオンが誇る――」
はぁ。飽きてきたなぁ。
なんと言うか、貴族ってワンパターンで。
やれ俺のココがスゴイだの、やれ我が家のコレがスゴイだの、やれ我が国のアレがスゴイだの。
自慢以外の事が出来んのだろうかね。
……そりゃ聞き流しているわけだから何を話されていようがどうでもいいんだけど。
ええ、耳では聞き流しつつ、視線は周囲を探ってます。
とはいえ眼をキョロキョロ動かすなんてヘマはしませんがね。
……っと、やっと見つけた。
ちょっと失礼と一言残し、ロープレのキャラの如く同じセリフを繰り返すオッサンどもから離れる。
行き先はモチロン、
「ごきげんよう、ミス・マチルダ」
「え? あっ! オルレアン公」
「ははっ。あまり畏まらないでくれないか。未だ公爵と呼ばれることにも慣れていない若輩者だ。なんならクーと呼んで貰っても構わないが?」
「いえ、そんな畏れ多い」
「そうかい? ミス・マチルダのような女性に名前で呼んで貰えるなんて私にしてみれば栄誉に感じることなんだが」
と、掴みはこの程度でオッケーかな?
それはそれとして、なんだか俺の言動がギーシュっぽくなってる気がするのは気のせいだよね? あそこまで進行してないよね?
「? なんのご用でしょうか、オルレアン公?」
「あ、ああ。少し酔ってしまったようでね。夜風に当たりたいと思ったんだが」
ちなみにワインを頂いてます。ハルケギニアに未成年の飲酒はどうこう言う法はないしね。というか真水をそのまま飲む方が危ない世界なんでね。
「そうでしたか。では、テラスの方へ案内いたします」
「ああ。ありがとう」
他のメイドなんかに案内させない辺りは、ホスト側として当然のことではあるものの、安心したね。
もし俺だけテラスに~なんてことになっていたら、マチルダさんと話す機会が欲しかった俺としては、何かしら言葉が必要になっていただろうし、二人っきりで、なんて言わなきゃならなかったかもしれないんだから。
「ところで、オルレアン公」
「ん? 何かな、ミス・マチルダ」
「オルレアン公は何故アルビオンに?」
ふむ。しっかりしてるねぇ。見た目年下の俺に思われても嬉しくないだろうけど。
かなり意外だったりしたんだよ。これまで接してきたお嬢様がたを基準に考えていたからかもしれないけどね。モンモンならばガチガチになってそんなこと聞けないだろうし、カトレアさんなら疑問にも思わないだろう。
しかし、さて、どうしたものかな。
彼女にはいざという時に頼る相手と認識して貰うつもりだったんだが。
ここで彼女に只の嫁探しだと言うのはマズイ。俺が『国家の密命』を与えられる人間、位の認識でないと、いざという時頼ろうと思えないだろうしね。
だからと言ってガリアがアルビオンと秘密裏に交渉を行う際、両国から視線を外させるための囮だという『対外的に作った裏』をバラすわけにもいかない。やすやすと機密を話すような相手にエルフを託せるなんて思わないだろう。
参ったな。どの手を選んだとしても悪手になる気がする、が。
しかしここで止まるわけにもいかないんだよね。
もうだめだー
ネタは思い付かないし日刊ペースにも戻せる気配がしないし
こんなダメダメなボクのところにはしまっちゃうおじさんが来ちゃうんだー
そしてボクを衣食住完備でネット環境も整っている洞窟の中に閉じ込めるんだー
あー、しまわれたいなぁチクショウ