ぶえっくしょい。あ、ども。クーです。
園遊会の準備は着々と整ってます。
来賓用の休憩施設や宿泊施設も出来上がり、ガリアでもトップクラスの土のメイジたちによって造られる街並みは、即席のものとはとても思えない仕上がりになってます。
うーむ。杖の一振りで街道が出来上がり、もうひと振りで数年はメンテナンスの必要が無くなる固定化が掛けられる。
これはメイジが特権階級になるのも納得ですわな。
原作では『科学』を研究するコルベール先生が生徒たちから白い目で見られているなんて描写がありましたがね。あれ、納得ですわ。
杖を振れば事足りるんですから、魔法以外の技術なんて探しませんよ。
その上ハルケギニアの人間は生まれた時から魔法が身近にあるんですから。平民でさえ求めるとしたら、『魔法以外でなんとかする方法』ではなく『メイジにより安価で魔法行使を頼む方法』とか、そんなんでしょうね。
まぁほとんどの平民はそんな方法が手に入るのなら『メイジに殺されない方法』を求めるだろうけどね、と言えてしまう辺り、やっぱり魔法を好意的に見ることは出来ないけど。
「考えごとですか? 殿下」
考えごとじゃなく現実逃避って言うんだよ!
ちなみに現状を説明しよう。
俺 ボート乗る 湖出る 釣りする
別のボートやって来る 二人乗ってる 手を振られる
目を凝らす 見覚えある
カトレア モンモランシー 俺のボートへダイブ
うぼぁー ぶくぶく
以上アルヨ。理解したカ?
「まさか不覚をとるとは。最近は騎士団員相手でも後れを取ることなんて無かったんだけどな」
「すすすすいません、殿下! ホラ、カトレア様も謝って!」
「ごめんなさいね、クー殿下。少しはしゃぎ過ぎちゃったみたいで」
ちなみに今はカトレアさんたちの乗ってきたボートにお邪魔しています。転覆したマイボートは精霊サマにサルベージして貰ってる所です。
「まぁ別にいいが。それで? 何故貴方がたがここに? 何か用でも?」
「いえいえ。殿下がラグドリアン湖で釣りをするのを趣味にしていると聞きまして、来てしまいました。ラグドリアン湖はトリステイン領でもガリア領でもありませんし、誰にも咎められませんから」
ふむ。確かにラグドリアン湖は正式にどの国の領土だと明文化されていない。
トリステインにとっては盟約を結ぶ水の精霊の住まう場所であるのだから、他国のものだと認められるはずもない。が、ガリアに文句を言うにはトリステインは小国すぎる。
ガリアにとってはオルレアン地方の景勝地だけあって手放すには惜しい。というかトリステイン如きにくれてやるいわれは無い。が、戦争起こしてまで奪いたいほどでもない。
結果、暗黙の了解としてラグドリアン湖は中立地帯となっているのである。
資源でもあれば奪い合いになってたかもしれないけどねぇ。
「つまり、ただ遊びに来たと?」
「はい。殿下とおそろいですね」
「カ、カトレア様。それは無礼に当たるんじゃ」
「はぁ。いや、いいよ。モンモランシー。周囲に聞いている奴がいるわけでもないし、遊びに来たと言うだけならお互いプライベートだ。口調も楽にしてもらって結構だ」
「いえ、そんな畏れ多いです」
と、モンモンが首を振る。ま、本人がそう言うなら強制するつもりもないけどね。
下手に普段通りの口調に慣れてしまって他人のいる前でも俺にタメ口、なんてことになれば被害を受けるのはモンモンだし。年齢の事を考えるなら敬語のオンオフを切り替えることを望むよりも、常に敬語で話して貰った方がいいのかもしれない。
「それにしてもカトレアはモンモランシ領に滞在しているのか? ヴァリエール領とモンモランシ領はかなり離れていたと思うが」
「ええ。モンモランシ伯爵のお屋敷にお邪魔しています。ヴァリエール領にも一度帰りましたが、父に無理を言ってこちらに来ることを許して貰ったんです」
「へぇ。なんでまた?」
「そ、それは……」
おいィ! 何頬染めてるわけ!? ちょとsYレならんしょこれは……?
早急に話を変えるべき! そうすべき!
「ま、まぁなんにしても納得がいった。カトレアとモンモランシーが随分仲がよさそうに見えたが、伯爵家に滞在していたからか」
「え、ええ。モンモランシーにはとても良くして貰ってます。まるで妹が二人に増えたようでとても楽しいんですよ」
「あれ? カトレア様には妹さんがいらしたんですか?」
ナイスアシストモンモン。助かったぜ。
「ええ。ルイズといってね。モンモランシーと同い年よ。私と一緒にモンモランシ領に来たいって言ってたんだけどね、お母様がダメって」
「お身体が弱いんですか?」
「ううん。あの子は魔法が苦手でね。お母様に厳しくされているの。息抜きも必要だと思うのだけれど、お母様がルイズに期待しているのも分かるから」
カトレアさんの表情が少し曇る。
まぁルイズが唯一の味方だと認識していた人だし、溺愛しているのだろうけど。
そんなカトレアさんの様子を見て、今度はモンモンが慌てて話題を変えた。
が、
「そ、そういえば殿下はどんな魔法が使えるんですか? シャルル殿下は最年少スクウェアの天才だって聞いたことがありますけど」
そいつはバッドな質問だぜ嬢ちゃん。まぁ伯爵も俺が魔法を苦手としていることを話したりは出来なかったんだろうけど。
「あー、なんだ。俺は魔法は苦手なんだ。使えるのもライトとアンロックだけという有様でな」
「え、あ、あの、私」
「いや、いい。別に気にしていないしな。だからモンモランシーも気にすることは無い」
ホント、気にしてないんだけどな。
トリステインはハルケギニアでおそらく一番伝統だの格式だのを崇めてるからな。ヴァリエール公爵もそうだったが、魔法が使えないってだけで同情の視線を向けられてもねぇ。
俺の周りの騎士連中なんかは、魔法の使えないジョゼフ兄がリュティスの環境を一変させた所や、魔法ナシで俺がトライアングルメイジをボコボコにしてるとこなんかも見てるから、最近意識が変わってきてるっぽいけどね。
「あの、殿下?」
「ん? どうした、カトレア?」
先ほどまでのほんわかした表情はなりを潜め、カトレアさんは少し思い詰めたような雰囲気で、
「大変無礼な質問かとは思いますが、」
「構わないよ。無礼だなんだなんて考えは、ボートから落とされた時に飛んでいたからな」
「では、お言葉に甘えさせて頂きます。殿下は魔法が苦手でも気にしないと仰られましたが、それは何故でしょうか」
あー、なんかデジャブ。
ジョゼフ兄にもそんな話したなぁ。あの頃は若かった。
あの時はなんて言ったっけ。支配者には必要ない力だと説明したんだっけか。
でも今求められてる言葉は違うんだろうね。それはルイズが必要としてる言葉だろうから。
むーん。でもなぁ。ルイズの場合、俺の言葉は届かないんだよねぇ。
ルイズに必要なのは『魔法が使えなくても良い理由』じゃなく、『魔法が使えることによって貴族と認められること』だろうから。
だから、説得のための言葉は造れそうにないなぁ。
「ふむ。あえて説明しようとすると難しいが、そうだな、安心しているから、といったところか」
「安心ですか?」
「ああ。俺がいくら落ちこぼれだろうと、シャルル兄上がガリアを良くして行ってくれるという確信があるから、安心していられる。ジョゼフ兄上がシャルル兄上を支えてくれると信頼出来るから心に余裕を持っていられる。だから魔法が苦手なことくらい、気になんかしないんだよ」
それに、と続け
「人は魔法の才だけで測れるほど小さくは無いんだよ。魔法が使えないと言うなら他の能力を示せばいい。他の素晴らしい所を見せればいい。ガリアではジョゼフ兄上を馬鹿にする声は無いんだ。なぜなら魔法が使えなくてもジョゼフ兄上の政策はリュティスを豊かにしたという実績があるから。俺も確かに魔法が苦手だが、魔法の才の無さだけを気にしていても仕方がないと思っているのさ」
しばらく黙って考え込んでいたカトレアさんだが、うんうんと頷くと、再びふわっとした笑みを見せてくれた。
「とても考えさせられるお話でした。やっぱり殿下は素敵です」
……アレ? 何故俺は踏み込んだ? 距離を取ろうと決めていたはずでは?
「是非ルイズにも聞かせたい話でしたわ。今度、お母様に内緒で連れてこようかしら」
…………アレ? ボムが巨大化している気がするヨ?
やばくね? これやばくね?
ホント、勘弁してくだしあ
なんか変な感じに仕上がってる気がする
最後の辺りどうも上手くハマらず、書いては消しを繰り返しているうちに何書こうとしていたか分からなくなっていたような気が・・・
でも、眠いし。これ以上考えたくないし・・・
後で大幅に修正するかも