ちゅーっす。クーっす。現在九歳です。あと一年で二ケタになりますね。
最近どんどんクー・フーリンに似てきちゃってるのが悩みですかね。この前バッソカップルのイチャコラ見せられて、俺もフラグ建てねばと一念発起、久しぶりにイザベラ&シャルロットに会いに行ったらね、うん、泣かれました。目つきが人殺しの眼だってイザベラには怒られ、シャルロットはマジ泣き。そら怖いよなぁ。『猛犬』だもんなぁ。
あー、ネガるのは止めよう。今日は大事な話があるとかで父上に呼ばれていたんだった。
と言うことでやってきました国王陛下の執務室。
最近有能っぷりが知られてきているジョゼフ兄と、なにやら貫禄のようなものが出始めているシャルル兄も一緒です。
はてさて一体何用でしょうかね。最近はジョゼフ派とのOHANASHIには駆り出されなくなってたんだけど。
そんなことを取り留めもなく考えていると、父上から話し始めた。
「よく来たな、セタンタ。健勝なようで何よりだ」
「いえ、一昨日会ったばかりなんですが」
ボケたか? その一言はなんとか呑み込んだ。洒落にならんし。
「ぐぬっ。まぁなんだ。父親というのはいつも子の事が心配なのだよ」
「今日呼ばれたのは親子としての話をするためでしょうか?」
それならば楽にさせて貰いますが。そんな言葉を言外ににおわせる。
……いや、これでも畏まってるんヨ? 背筋もピンと伸ばしてるし。
しかし父上は、ジョゼフ兄との血の繋がりを強く感じさせる笑みを作って、
「いや、今からするのは『公』の話だ。三人とも、そこに並びなさい」
「「「はっ」」」
シャルル兄を父上の正面に、俺とジョゼフ兄がシャルル兄に付き従うように一歩下がって脇を固める。これからの『ガリア王家』の形ってところだ。
「まず、これから話すのは内密の話だ。しかし同時に公になる話でもある」
ふむ。つまりは公然の秘密という奴だな。ならば話の主題も予想が付く。
シャルル兄もジョゼフ兄も俺と同様気付いたはずだ。特にシャルル兄なんか肩が震えているし。
「ふむ。何が言いたいのかは分かっているようだな。ならば単刀直入に伝えてしまおう。
シャルルよ。余は次王にそなたを指名する。
これより十ヶ月後。フェオの月に正式に王位を移譲する故、心定めて待つように」
「謹んで、お受けいたします」
シャルル兄が膝をつき臣下の礼をとる。
王となればすることは無くなるだろう臣下の礼をとるシャルル兄の背中は、歓喜に震えているようだった。
「同時にジョゼフ、クー・セタンタ両名には公爵位を与える。末永く次王シャルルを支えるように」
「「謹んでお受けいたします」」
この時を持って、ガリアの運命は確定した。
もはやこの国から『内乱の正史』の可能性は完全に失われ、戦乱に苦しむことも無くなるだろう。
歴史が変わったことを事実として確認できるようになって、俺はハッピーエンドにたどり着けたことを実感していた。
にしても公爵かぁ。やっぱ領地経営しなきゃならんよなぁ。ま、税率下げて犯罪取り締まるだけでも平民の支持は取れるだろうし、あまり気負わずのんびりやるか。
そんなことを考えていたんだ。この世界が俺にはハードモードであることも忘れてな。
現実に引き戻されるには親父殿の一言で十分だったよ。
「あ、セタンタは今からトリステイン行ってこい」
「…………は?」
「王位継承式典の準備のようなものだ。ガリアの王位継承式典ともなれば、他国の王族や有力貴族も参加する」
「トリステイン王家に招待状を渡して来いってことですか?」
「うむ」
「トリステインだけでよろしいので?」
「まぁな。アルビオンは交通の不便さもあることから代理の使者を送ったとしても許容される。ロマリアにはガリアで活動する司教を通さねば逆に問題が生まれる。ゲルマニアは始祖の血を引いていないからな、我々には強く出れん。結果、礼を尽くす相手はトリステインのみでいいというわけだ」
それはトリステインだけは王族を使者にしないと文句言ってくるってことなんじゃ?
あーやだやだ。プライドでぶくぶく太った弱小国のご機嫌伺いに行かなきゃならんなんて。
「それとな、その足でオルレアンに行くように」
「オルレアン」
確か原作タバサの実家があったとこだよな。
「王家直轄領でな。ラグドリアン湖もそこにある」
「それで? ラグドリアン湖で何をすれば?」
「王位継承式典とはいえ、全ての他国の貴族も招待してしまえばリュティスが溢れかえってしまうだろう。だからと言って我々の側から他国の貴族を格の差などで差別してしまえば後の外交に支障をきたす。それゆえのラグドリアン湖だ」
「つまりはだな、セタンタ。リュティスでの王位継承式典は王家や教皇などの一握りの有力者のみの出席とし、大多数の貴族には式典後、景勝地として名高いラグドリアン湖での園遊会への出席を求めるのだ」
なるほど。つまりは結婚式後の披露宴みたいなものか? 確かに他国の貴族が大量に王都に押し寄せてくれば、色々と問題もあるだろう。警備上の観点とか。
「要するにトリステインへ挨拶に行ったあとはオルレアンで園遊会の準備をして来いってことですか」
「うむ。主導はセタンタが取るとはいえ、専門の者を付けるから安心するといい。まぁなんだ。このところ国内のゴタゴタを片付けるためにセタンタにも苦労をかけたからな、ハルケギニア一の景勝地で羽を伸ばして来い、ということだ」
羽を伸ばすなら他国になんか行きたくないんだけどなぁ。
しかもトリステイン。厄介事の匂いがぷんぷんするぜ。
「なんなら嫁でも探して来い。トリステインのアンリエッタ姫もお前と同い年くらいだったしな。はっはっは」
はっはっは。テラワロス
それだけは回避してやるともさ
いや、ホント
予想外のフラグ建設とかは、勘弁してくれよ?
マジで。運命操ったりすんなよな
頼むぜ、神さん
押すなよ? 絶対押すなよ? というわけですね。わかります
次回からはトリステイン編です(たぶん)
誰とフラグが立つんでしょうかね?
①こっそり付いてきちゃったイザベラちゃん
②恋に恋するアンリエッタちゃん
③ラグドリアン湖といえばモンモンちゃん
折角だから俺は④の未亡人マリアンヌちゃんに賭けるぜ(ぉぃ
あいかわらずの見切り発車ですが今後ともよろしく