問題児たちが異世界から来るそうですよ?―振り回される問題児―   作:gjb

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第四十四話

アンダーウッドの収穫祭の前夜祭の前日、全ての日数を出れる二人が決まった

 

一人目は十六夜、成果は“地域支配者”の証、外門の利権書

 

二人目は紫炎、大きな成果は肉牛と乳牛を七頭ずつと鶏三十羽と鳥小屋、さらに野菜の種を数十種類

 

 

その日の夕食は紫炎、黒ウサギ、リリが腕によりをかけて振る舞った

 

特に黒ウサギは魚をあげたものにとろみのある餡をかけたものが一番の力作のようだ

 

「やっぱり紫炎の料理は美味しいね」

 

「流石、サラマンドラ主催の料理大会で優勝するだけの実力はあるわね」

 

「まあ、そのおかげで今回のゲームに勝てたんだからな」

 

二日前にサラマンドラから料理大会の招待状が届き、そこで優勝し、成果のほとんどがそれの賞品だったのである

 

ペストとの戦いの休戦期間中に振る舞った料理が大好評だった為、呼ばれたらしい

 

「私は前夜祭が終わってからか・・・」

 

そう呟いた耀の表情が暗くなったのに気付いた紫炎

 

「耀。どうし・・・」

 

「黒ウサギ。これは酢漬けの方が美味い」

 

この十六夜の一言で食堂全部の空気が気まずくなった

 

―――――――――――――――――

 

十六夜がレティシアと入ると言い出したので今は一人で入っている紫炎

 

「はあー。一人で入るってやっぱいいわ」

 

広い浴場に一人でのびのびと入る紫炎

 

「そういえば一人で入るのってこっち来てから初めてだな」

 

少し感傷に浸ってると風呂場の扉が開いた

 

「お、十六夜か。やっぱ今、入るのか?」

 

「違う。私・・・」

 

「えっ!耀!?」

 

耀がタオルを巻いて入ってきた

 

それを見て紫炎はタオルを腰に巻く

 

「入るね」

 

「ちょ、ちょっと待て。なんで?」

 

「先に行っちゃうでしょ。少しでも長く一緒に居たくて・・・」

 

耀がそう言いながら近づいてくる

 

「迷惑だった?」

 

「そうじゃないが・・・。少し気恥ずかしい」

 

紫炎が顔を赤くしながら言った

 

耀も顔を赤くしながら言う

 

「私だって恥ずかしい」

 

そう言って二人は背中合わせになる

 

「悪いな」

 

「何が?」

 

「さっき飛鳥から聞いた。そんなに悩んでたんだな」

 

紫炎がそういうと耀の肩がビクッと震える

 

「俺にも言ってくれれば・・・」

 

「そんなことされても嬉しくない」

 

少し怒った声で紫炎の言葉に反応する耀

 

「飛鳥は確かにジャックたちの時は譲ってくれたけど、その後はちゃんと勝負として本気で取り組んでくれた」

 

「・・・そうだな。悪かった、そんなことして行けても嬉しくないよな」

 

「わかってくれたならいい」

 

そして耀が紫炎に寄りかかる

 

「ガンバって来てね」

 

「ああ」

 

耀の言葉を返した瞬間、風呂場の扉が開いた

 

「耀さん。気持ちいいですか?」

 

「今日は早いのね、春日部さん」

 

黒ウサギと飛鳥が入って来た

 

「「え!?」」

 

「「あ・・・」」

 

耀が紫炎から離れていく

 

「「きゃああああ」」

 

「ぐはっ」

 

二人が叫んだ瞬間、黒ウサギがヴァジュラ・レプリカで紫炎に攻撃した

 

モロに食らった紫炎が目覚めたのは日が昇る少し前だった

 

―――――――――――――――

 

翌朝、アンダーウッドに行く為に集まってるのだが十六夜がまだ来ていない

 

「まだヘッドホン見つからないのか」

 

あくびをしながら紫炎が言う

 

十六夜が風呂から上がるといつもつけていたヘッドホンがなくなっていたらしい

 

夜通し探していたらしく紫炎が起きた時にも探していたらしい

 

その時、十六夜は紫炎にも頼んで探していた

 

一時間ほど探すのを手伝った後、眠いからという理由で紫炎は手伝うのを止めた

 

「あっ、言ってたら来たみたいよ」

 

飛鳥が指さした方向を見ると十六夜がいたのだが・・・

 

「なんだそれは」

 

ヘッドホンの代わりにヘアバンドをしている

 

「頭の上に何かないと髪が落ち着かなくてな。それよりも話がある」

 

十六夜がそう言うと後ろから耀が出てきた

 

それを見て紫炎が十六夜に問いかける

 

「お前はそれでいいのか?」

 

「まあな。壊れたスクラップだが、あれが無いと困るんだよ」

 

十六夜が笑いながら言ってくる

 

「ありがとう、十六夜。頑張ってくるよ」

 

「おう。南側には幻獣がたくさんいるらしいから友達を百人くらい作ってこいよ」

 

「ふふ、わかった」

 

耀の言葉を茶化して返す十六夜

 

「それじゃあ私たちは行ってきますね」

 

黒ウサギを先頭に、ジン、飛鳥、耀、紫炎、三毛猫の五人と一匹が本拠を後にした


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