問題児たちが異世界から来るそうですよ?―振り回される問題児―   作:gjb

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第四十三話

ウィル・オ・ウィスプのゲームを終えて二日が経った

 

紫炎と十六夜が二人だけで昼食を食べている

 

「はあ」

 

「どうしたんだ、紫炎。溜息なんかついて?」

 

「心配の言葉、ありがとう。それでにやけてなかったら完璧だぞ」

 

紫炎のため息の理由にある程度、あたりをつけている十六夜がにやけている

 

そんな話をしていると飛鳥が食堂に入ってきた

 

「あら、十六夜君、紫炎君。今日の戦果はどう?」

 

「俺は全然だ」

 

「俺はさっき起きた」

 

紫炎の言葉に飛鳥が呆れる

 

「貴男は自分では起きようとは思わないの?」

 

「思ってるんだけどなあ~。はあ」

 

「?」

 

またもため息をつく紫炎を不思議そうに飛鳥が見る

 

すると食堂の扉が開く

 

「お腹へった」

 

「あら、春日部さん。おかえり」

 

「飛鳥、ただい・・・」

 

耀が飛鳥を見つけて挨拶を返そうとすると紫炎が視界に入った

 

紫炎がそれに気づき、声をかけようとした

 

「おかえり、よ・・・」

 

その瞬間、耀が食堂からもの凄い勢いで去って行った

 

「ドンマイ」

 

十六夜が半笑いで紫炎の肩に手を置く

 

「何したか知らないけど、ちゃんと春日部さんに謝っておきなさいよ」

 

「わかってるんだけどな」

 

この二日間、紫炎はまともに耀と会話をしていない

 

(原因は多分あれだろうな・・・。気持ちも確認せずに早まった結果だよな)

 

嫌われた、そう紫炎は思い込み、さらに深いため息をつく

 

「それじゃあ俺はゲームをしに行くか」

 

「じゃあ、俺も・・・」

 

明らかに覇気がなくなった紫炎も立ち上がり、街に行こうとする

 

「おいおい、お前は先に春日部との関係修正が先だ」

 

「そうね。見てるこっちは何が原因かわからないから腹立たしいわ」

 

「そう言うけど全然、喋る機会がないんだよ」

 

三人が言い合ってると黒ウサギが顔をのぞかせた

 

「あのー、さっき耀さんが部屋で食べるから持ってきて欲しいと言ってたんですけど・・・」

 

何かあったんですか?と聞いてくる黒ウサギ

 

それを聞き、十六夜が話しかけてくる

 

「おい、良かったじゃないか。喋る機会ができたぞ」

 

「そうね」

 

「簡単に言うなよ。部屋にすら入れてもらえないかもしれないんだぞ」

 

無責任に言葉をかける二人に少し怒り気味に言う紫炎

 

「そんなもん仲が悪くなった自分を恨め」

 

そう言って二人は食堂から出て行った

 

「えっと、よろしくお願いしますね」

 

黒ウサギも去って行った

 

「・・・確かに喋る機会ではあるんだが」

 

「どうしたんだ?紫炎」

 

「レティシアか。気配を絶って後ろから声をかけるな」

 

レティシアが紫炎にいきなり話しかけたが、そんなに驚かなかった

 

「ふふ。悪いな。癖になってしまっているからな」

 

「別にいいさ」

 

紫炎がそう返すとレティシアが少し真剣な眼差しを向ける

 

「ところで紫炎。耀と何かあったのか?」

 

「・・・ちょっとな」

 

「言いたくないなら無理強いをしないが、・・・耀にちゃんと思いを伝えてやることだ」

 

「ぶっ」

 

ニヤリと口角をあげて去っていくレティシア

 

それを聞いて少し顔を赤くして吹き出してしまった

 

「・・・ちゃんとか」

 

紫炎は誰にも聞こえないくらいに呟き、耀の料理を持っていくことにした

 

―――――――――――――

 

紫炎が耀の部屋の前まで来た

 

「よし」

 

覚悟を決めてノックをする

 

「耀。昼食を持ってきたぞ」

 

「・・・うん」

 

少し間が開いた返事がした後、耀が下を向いて出てきた

 

「・・・ごめん」

 

「えっ?」

 

いきなり耀に謝られ、混乱する紫炎

 

「この二日間、まともに喋れなかったから・・・」

 

「いや、俺こそごめん。いきなりあんなことを言ったから・・・」

 

紫炎も耀の言葉を聞き、頭を下げる

 

「ううん、違うの。・・・嬉しかったの」

 

頬を染めながら紫炎を見て耀が言う

 

「え・・・。それって」

 

「でも、紫炎を見てると顔が赤くなっちゃって恥ずかしかったから・・・」

 

頬をかき、照れくさそうに言う耀

 

それを見て紫炎が口を開く

 

「耀。二日前は途中だったが今回は・・・」

 

「待って」

 

が、耀に止められる

 

「もし、全部が終わって気持ちが変わらなかったらもう一度言ってほしい」

 

「でも、お前の気持ちが変わってるかもしれない」

 

「それはない」

 

紫炎が口を開くと、耀がすぐに言い返す

 

「私の気持ちはずっと変わらないから」

 

そう言って耀が紫炎に抱き着く

 

それを紫炎が抱きしめ返し、喋りだす

 

「ああ、俺の気持ちも・・・」

 

と、言ってる途中に、ぐぅ~、と大きな音が聞こえた

 

「・・・ごめん。結構限界だった」

 

「いや、俺も何で来たのか忘れてた」

 

その後、料理を耀に渡し、紫炎はゲームに参加しに行った


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