問題児たちが異世界から来るそうですよ?―振り回される問題児―   作:gjb

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第四十二話

ゲームの始まる時間になり、耀と別れてウィル・オ・ウィスプの本拠についた紫炎

 

「さて、ウィル・オ・ウィスプのトップとの会話か。・・・緊張する」

 

始めての一人での交渉に臨むため、大分緊張している

 

「・・・どうしたの?」

 

「!!ウィラか。・・・いや、ちょっとな」

 

いきなりウィラがいたことに多少なりとも驚いた紫炎だったが、二回目だったのでそこまで表情には出さなかった

 

「・・・ふーん」

 

そのままウィラが紫炎の前に座った

 

「すまんがこれからウィル・オ・ウィスプのリーダーと話をするんで席を外してもらえるか?」

 

「?」

 

「いや、ウィル・オ・ウィスプのリーダーと話すから・・・」

 

「・・・だからいる」

 

「は?」

 

ウィラの言葉に間の抜けた声を出す紫炎

 

「・・・それじゃあ質問」

 

そんなのを気にもせず紙を持って続けようとするのを紫炎が止める

 

「ちょっと待て。・・・ウィラがウィル・オ・ウィスプのリーダーなのか?」

 

紫炎の言葉にウィラがコクンと首を振る

 

「その質問は重要なことか?」

 

その言葉にも首を縦に振る

 

それを見て少しシリアスになる紫炎

 

「・・・止めて悪かった。続けてくれ」

 

「・・・それじゃあ質問、耀ちゃんのどこが好きか?」

 

「なんだその質問は!?どこが重要なことだ!!」

 

紫炎は怒りと恥ずかしさで顔が真っ赤になりながらウィラに問い詰める

 

「・・・あなたの父親から渡された紙に書かれてるのをそのまま言った」

 

それを聞き、紫炎が紙をひったくり、内容を確認してから焼き捨てた

 

「話がこれだけなら今からでも俺はゲームに参加しに行くぞ」

 

紫炎が少し怒りながら言うと、ウィラは首を横に振った

 

「・・・まだある。こっちに来て」

 

そう言われて紫炎が後を付いていくと闘技場についた

 

「・・・紫龍からあなたと戦って試すように頼まれた」

 

その言葉を聞き、少し殺気が漏れる紫炎

 

「あんな奴の頼みなんて聞く気がない」

 

そのまま帰ろうとした時、ウィラが口を開く

 

「・・・怖いんだ。なら帰ってもいい」

 

その言葉を聞き、紫炎の動きが止まる

 

「誰が怖がってるだって・・・。いいぜ、その挑発のった!!」

 

簡単な挑発に乗る紫炎

 

(・・・紫龍の言われたとおりに言ったら、本当に受けた。単純)

 

頼みごとを断られることを前提に、さっきの挑発もウィラに吹き込んでいた紫龍

 

「それでどうやって俺を試すんだ?」

 

「・・・私が一撃を放つからあなたがそれを止めたらいい」

 

「上等!!」

 

紫炎がそういうとウィラの雰囲気が少し変わる

 

「召喚“愚者の劫火”」

 

ウィラがそう言うと蒼い炎が風のように紫炎を襲う

 

「なめんじゃねー」

 

紫炎がウィラの炎を上回る炎で燃やし尽くした

 

「おおー」

 

ウィラがそれを見て感心したように手を叩いている

 

「これくらい出来て当然だ。まあ、お前が本気を出したらどうなってたかわからんがな」

 

少し殺気を込めてウィラを睨む紫炎

 

「おいおい、そんな怖い顔で睨んでやるなよ」

 

「うるさい」

 

・・・・・・・・・・

 

「って、紫龍!?」

 

「・・・紫龍どうしているの?」

 

「いやなに、ウィラちゃんに会いに来ただけだよ」

 

いつもと同じような感じで言う紫龍

 

「黙れ、帰れ、失せろ」

 

紫龍を蹴りながら言い放つ紫炎

 

「紫炎・・・。会う毎に俺の扱いひどくなってないか?」

 

「・・・ナイス、紫炎」

 

「ウィラちゃん、酷くないか!?」

 

少し涙目になってきた紫龍

 

「用が無いなら帰れ」

 

「かえれー」

 

紫炎の言葉に同調してウィラも声を上げる

 

「用ならあるさ。ほい」

 

そう言って紫龍がギフトカードからネックレスを取り出し、紫炎に渡した

 

「それを渡しに来たんだよ」

 

「なんだ、これ?」

 

「ウィル・オ・ウィスプで作られた結晶が付いた特別なネックレスだ」

 

それを聞き、紫炎がウィラを見る

 

「・・・大丈夫。それは前に紫龍にあげたものだから私には関係ない」

 

「それならいいが、この結晶はどんなものなんだ?」

 

ウィラの言葉を聞き、紫龍に向き直る紫炎

 

「炎を蓄積できる結晶だ」

 

「俺にはまったく意味がないな」

 

紫炎のギフトは媒体が無くても炎を生み出せれるギフト

 

炎を蓄積できようが必要な時に自分のギフトで炎を生み出せれるのでまったく意味がない

 

そんな考えを見透かしてるかのように紫龍が発言する

 

「確かに俺達には意味はないが、他の奴らには暗いところとかで使えるからな」

 

「そうか。俺が蓄積させたものを渡せばいいからな」

 

納得したような紫炎を見て紫龍が悪い笑みを浮かべて続ける

 

「しかもネックレスだから“気になる女の子”にも渡せるな」

 

「なっ・・・」

 

紫龍の言葉を聞き、紫炎の顔が真っ赤になる

 

それを見て紫龍が大爆笑する

 

「・・・もうゲームが終わってる頃だから」

 

突然口を開いたウィラだったが、喋り終わると目の前から消えた

 

「それじゃあ俺も帰るか。耀ちゃんとうまくやれよ」

 

最後の最後まで紫炎をおちょくり、突然消えた紫龍

 

一人残された紫炎はネックレスに目を向けていたが、二人と合流するため、歩き出した

 

―――――――――――

 

ゲームが行われていた区画では今は食事会が始まっていた

 

「あ、紫炎だ」

 

「あら、遅かったわね」

 

紫炎を見つけた二人が寄ってきた

 

「おう。その様子を見るといい結果だったみたいだな」

 

「ええ、春日部さんがジャックから景品を奪ったのよ。ねっ」

 

「う、うん」

 

飛鳥の言葉に耀が少し歯切れが悪く答える

 

不思議に感じた紫炎だったが、何にも言わなかったので追及しないようにした

 

「それじゃあ紫炎君。どんな話し合いをしたの?」

 

「紫龍の知り合いらしくてそのことでちょっとな」

 

紫炎の言葉を聞き、二人が少し疑惑の目を向けるがすぐに解く

 

「まあそういうことにしときましょう」

 

「うん、そうだね」

 

そう言って二人が別々に移動しようとした時、紫炎が耀の手を掴む

 

「ちょっといいか」

 

「う、うん」

 

二人は飛鳥に気づかれないように人気のない場所に移動した

 

「悪いな、耀」

 

「別にいいけど、どうしたの?」

 

「ああ、これプレゼント」

 

そういって紫炎がペンダント耀の首にかける

 

「これは?」

 

「ウィル・オ・ウィスプ特製の炎を蓄積できるペンダントだ」

 

「本当に貰ってもいいの?」

 

ペンダントを握って上目づかいで聞いてくる耀

 

「もちろん。・・・それと蓄積された炎は所有者が危険にさらされた時、自動で守るようになってる」

 

そういいながら紫炎は結晶に触れながら炎を蓄積していく

 

「ありがとう」

 

「ああ、これからはずっとお前を守ってやれる」

 

「え・・・」

 

紫炎が言葉を発した瞬間、耀の顔が真っ赤になる

 

「どうした?大丈夫か?」

 

「う、うん。大丈夫」

 

「それならいいが、・・・無理はすんなよ」

 

紫炎が真面目な顔で耀に言う

 

「大丈夫だよ。でもなんでそんなに心配してくれるの?」

 

「えっ・・・。そ、それは・・・。その・・・」

 

「?」

 

紫炎がここまで歯切れが悪いのが珍しい耀

 

すると紫炎が何か覚悟を決めたように耀と向き合う

 

「耀、これは冗談じゃなく俺の本心だ」

 

「うん・・・」

 

耀が紫炎の言葉を待つ

 

「俺はお前の事が・・・」

 

「あら、春日部さんに紫炎君。こんなところで何してるの?」

 

飛鳥が声をかけた瞬間、紫炎と耀が過剰に反応し、飛鳥が驚く

 

「びっくりするじゃない。貴方達何してたの?」

 

「い、いや別に・・・。なっ」

 

「う、うん」

 

いきなりの事に大分挙動不審になってる二人

 

「?良く分からないけど、もう帰るわよ」

 

「ああ、分かった」

 

「そうだね。帰ろうか」

 

そうして三人はノーネームに帰って行った


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