問題児たちが異世界から来るそうですよ?―振り回される問題児―   作:gjb

34 / 114
第二十五話

外に飛び出すと熱風が頬を撫ぜる。

 

まず目に飛び込んできたのは北と東を区切る赤壁。

 

数多の巨大なランプが炎を灯し、挙句キャンドルが二足歩行で街を闊歩しているのが見える。

 

炎とガラス。常に黄昏色に染まる街。

 

東とはまるで違う文化様式に、紫炎達は大いに心躍らせた。

 

中でも特に瞳を輝かせた飛鳥が子供のように声を弾ませた。

 

「今すぐ降りましょう! あの歩廊に行ってみたいわ」

 

飛鳥が今までに見せたことのないような表情でいた

 

その時、何かが落ちてきた

 

「ふ、ふふ、フフフフ……!ようぉぉぉぉやく見つけたのですよ、問題児様方!」

 

「逃げるぞ」

 

「逃がすか!」

 

予想よりずっと早く追いついてきた黒ウサギの登場に即座に飛鳥を抱えて跳ぶ十六夜。

 

遅れて耀が跳び、追って黒ウサギも跳んだ。

 

紫炎はそのまま突っ立ていた

 

「おんしは逃げんのか?」

 

「逃げてもすぐに追いつかれるからな。またここに戻ってくるのが面倒臭い」

 

「耀さん捕まえたのです! もう逃がしませんよ!!」

 

一瞬跳ぶのが遅かった耀が黒ウサギに捕まった。

 

余裕がなくなり過ぎて少々壊れ気味の黒ウサギは着地と同時に紫炎と白夜叉の方を見た。

 

そして耀をブン投げた。

 

「きゃ!」

 

「おっと」

 

反射的に耀を抱きかかえた紫炎

 

「白夜叉様、耀さんと赤羽さんの事をお願いします!黒ウサギは他の問題児様をとらえて参ります」

 

「ぬっ・・・・・そ、そうか。良く分からんが頑張れ、黒ウサギ。」

 

黒ウサギの勢いに負けて頷く白夜叉。

 

それを聞き、黒ウサギは十六夜達を追って行った

 

「すごい迫力だったな。」

 

紫炎が素直に感心してると

 

「ところでおんしらいつまでそうしておるつもりだ?」

 

白夜叉に言われて今の状況に気づき、二人は顔を赤く染める

 

「わ、悪い」

 

「私もごめん」

 

紫炎がゆっくり耀をおろす

 

「そういえばおんしらだったか。禁断の果実の優勝者は」

 

それを聞き、思い出したかのようにさらに顔が赤くなる

 

「ほ~う、なるほどな」

 

その様子をにやにやしながら見る白夜叉

 

「二人っきりにしてやりたいが黒ウサギにも頼まれておるし、少し話したいこともある。とりあえず中に入れ。」

 

白夜叉に促されて二人はそれについていった

 

「しておんしら何をしてあそこまで黒ウサギをおこらせたんだ?」

 

白夜叉に言われ耀が事の経緯を話始めた

 

「ふむ、なるほど。しかし脱退とは穏やかではない。ちょいと悪質ではないか?」

 

「それは・・・。で、でも黒ウサギも悪い。お金が足りないことを言ってくれれば私たちだってこんな強硬手段はしない」

 

「普段の行いが裏目に出た、とは考えられんのか?」

 

「だ、だけどそれも含めて信頼のない証拠。少し焦ればいい。」

 

「そっちの赤い髪の小僧はどう思う?」

 

・・・・・

 

「おい、小僧。」

 

「寝てるみたい」

 

「いつから寝ておったのかわかるか?」

 

「まだ、寝てないぞ」

 

大分眠そうに答える紫炎

 

「悪いな、少し意識が飛んでた」

 

「少し寝たら?」

 

「お言葉に甘えようかな。白夜叉、どこか寝れる場所はあるか?」

 

「ここで寝たらよかろう」

 

白夜叉がさも当たり前にいう

 

「邪魔にならないか?」

 

「別にかまわん。おんしらがわしが邪魔だというなら出てくが」

 

「寝ずに話聞くから続けてくれ」

 

白夜叉が高らかに笑う

 

「そういえば大きなゲームがあるって言ってたけど本当?」

 

耀が思い出したかのように話を逸らす

 

「本当だとも。特におんしたちには出場してほしいゲームがある」

 

「「二人に?」」

 

果実の件が脳裏に浮かぶ

 

「大丈夫だ。おんしたちに出てほしいのは別々のゲームだ」

 

そういってチラシを渡してきた

 

『ギフトゲーム名“生誕の篝火”

 

 ・参加資格及び概要

    ・炎に関係するギフトを所持

    ・決闘内容は当日発表

    ・ギフト保持者は殺さない限り、どのギフトも使用可能

 

 ・授与される恩恵に関して

    ・階層支配者の火龍にプレイヤーが希望する恩恵を進言できる

 

 宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。

                              “サウザンドアイズ

                              “サラマンドラ”  印』

 

チラシを見ていると耀が白夜叉に質問する

 

「ね、白夜叉。この恩恵で・・・黒ウサギと仲直りできる?」

 

それを聞き、少し驚く紫炎と白夜叉

 

しかし、次の瞬間白夜叉は優しい笑みで頷いた

 

「出来るとも。おんしにその気があるのならな」

 

「それじゃあ出場する」

 

「それならおんしは・・・」

 

白夜叉が言葉を失う

 

なぜなら紫炎は答える前にすでに寝ていたのだから

 

「寝るの早い」

 

「その前にゲームの出場を聞きたかったのだが・・・ん?」

 

白夜叉がチラシを見ると焦げ跡で字が書かれていた

 

『昼になったら起きる。ゲームをちゃんと盛り上げてやる』

 

「ククク、面白い小僧だ」

 

「ところでいつが試合なの?」

 

「夕方くらいになるからおんしも寝ておけ。」

 

今の時刻は大体十一時前後になるので五時間近く時間がある

 

「それじゃあ、私もお昼くらいまで寝ておく」

 

「そうか、それならお休みだ」

 

「お休み」

 

そして耀も部屋で眠りについた


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。