問題児たちが異世界から来るそうですよ?―振り回される問題児―   作:gjb

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第十四話

門の開閉がゲームの合図なのか、生い茂る森が門を絡めるように退路を断つ。

 

光を遮る程の密度で立ち並ぶ木々、その木々の下から迫り上がる巨大な根によって街路と思われる道は人が通れるような道ではなくなってると人が住んでいた場所とは思えない程であった。

 

ジンと飛鳥はいつ奇襲されるかと緊張した面持ちで周囲を警戒していたので心配させないように声を掛け、落ち着かせることにした。

 

「周りには誰もいないから安心しろ」

 

「そうだよ。もし隠れていたら匂いで分かる」

 

「………そう?春日部さんは犬にもお友達が?」

 

「うん。二十匹ぐらい」

 

「そう。なら紫炎君はなんで周りに誰もいないことが分かったの?」

 

飛鳥は耀の五感が優れているのですぐに信頼するが、紫炎はギフトも使わずになぜわかったか気になるようだ

 

「そんなの決まってんだろ。ただの勘だ」

 

紫炎がそういうと飛鳥は近くの石を投げ、耀はグリフォンのギフトで攻撃してきた

 

「危ないだろうが!」

 

ぎりぎりで炎で防げた

 

「自業自得」

 

「お、落ち着いてください。耀さん、ガルドの正確な位置はわかりますか?」

 

「分からないけど、風下にいるのに匂いがないから何処かの建物にいると思う」

 

「では外から探しましょう」

 

「それなら二手に分かれるぞ」

 

「それもそうね」

 

「どう別れるの?」

 

耀が聞いてくる

 

「戦力的に俺と耀は分かれた方がいいから」

 

それを聞いて飛鳥が少し不機嫌になるが真実なのでしょうがない

 

「こうが一番いいかな?」

 

それは紫炎が一人で他三人が一緒というらしい

 

「どこかに尖ったものはないかしら?」

 

「単独行動はだめ。」

 

飛鳥が武器を探してるのに対し、耀は象の重さを使って乗っかってる

 

「やめろ。潰れるから退いてくれ。」

 

「春日部さん。ちゃんと生かしておいてね。」

 

飛鳥が声をかける

 

「飛鳥。お前優し」

 

「とどめは私がさすんだから」

 

「ちくしょう。そんなことだと思ったよ。」

 

そんなことをしてるとジンが

 

「皆さん、真面目にしましょう。」

 

「そうね」

 

「ふざけすぎた」

 

「俺はいつでも大真面目だぞ」

 

紫炎がそういうとジンが石を投げる

 

不意打ちだったため、モロに食らった

 

「痛った~。何すんだよ、ジン。」

 

「いい加減にしてください。皆で力を合わせなければ勝てるものも勝てませんよ。」

 

ジンが怒りを露わにする

 

「そんなことは百も承知だ」

 

「それなら」

 

「けど、俺の戦闘力はお前ら三人合しても上だからだ」

 

「あら、それは聞き捨てならないわね」

 

「私も」

 

自分たちの力を過小評価する紫炎に二人は怒り心頭のようだ

 

「確かに飛鳥のギフトは強力だが、今回はガルド自身にはそのギフトを使えないようになってる。そうなると身体能力で優劣をつけることになる。」

 

紫炎がそこまでいうと飛鳥は歯を食いしばりながらも下がった

 

「それなら」

 

「耀の身体能力は確かにすごい。だからこそ二人を守ってほしい。」

 

「それなら二人づつで紫炎も一人連れてけばいい。」

 

耀も食い下がらず、意見をいう

 

「俺のギフトは炎のギフトだ。万が一にでも巻き込んだらシャレにならんからな」

 

「確かにそうだけど…」

 

「それじゃあ決まりだな。」

 

紫炎が移動しようとするとジンが声をかける

 

「それなら別にこの分け方でも良いですけど、まだ指定武具のヒント探しなのでガルドのところまでいかないでくださいね」

 

「そんなことは分かってるでしょ。ねぇ、紫炎君。」

 

「・・・・・」

 

ジンの言葉に紫炎は答えない

 

「ねぇ、紫炎君。なんで答えないのかしら?」

 

飛鳥が殺気を込めて聞くと

 

「さらばだ」

 

「駄目」

 

紫炎が逃げようとしたが、動き出しの瞬間に耀に掴まれる

 

「さて、覚悟はいいかしら?」

 

「良くない。良くないから放してくれ。」

 

「大丈夫。痛くなくなるから。」

 

「ちょっと待て。痛くないじゃなくて痛くなくなる?どういう意味だ!?」

 

「とりあえず腕の関節からかしら?」

 

「やめてくれ。悪かった。俺が悪かったから」

 

「もう遅い。」

 

そのあと数分紫炎の絶叫が聞こえたがその後は静かになった


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