問題児たちが異世界から来るそうですよ?―振り回される問題児―   作:gjb

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第十二話

リリにつれてこられたのは

 

「風呂場?」

 

「はい。赤羽さんのギフトでお風呂を沸かしてほしいそうです。」

 

「しょうがない。」

 

そういうと紫炎は風呂場に入っている水に手を入れ数秒立つと

 

「ほい、終わり。」

 

「えっ!?もうですか?」

 

「ああ。けど一応冷めるかもしれないから薪くべるとことかある?」

 

「あっ、はい。こちらです。」

 

そうして薪をくべた後、火をつける

 

「これでしばらくは持つな。」

 

「ありがとうございます。赤羽さん。」

 

「素直に礼を言えるっていい子だな。よしよし。」

 

「あう~」

 

リリは恥ずかしそうに俯く

 

「さて、頼まれたことも終わったし、風呂までねるか。」

 

どうせ女性陣が先に入るし、外の客は十六夜に任せとけば大丈夫だからな

 

「それじゃあ私は館の方に戻りますね。」

 

「いや、その前にどこか寝転がれるとこに案内してもらえるか?」

 

「あ、はい。」

 

「その後、黒ウサギたちに上がったら起こすように言ってくれ。多分そこまでしてもらうと遅くなるからそのまま黒ウサギたちと風呂に入りな」

 

「えっ!?でも・・・」

 

黒ウサギが甘やかさないように育ててきたからプレイヤーと同じ環境で過ごすということが出来ないようだ

 

「。黒ウサギもそんな事では怒らないさ。もし怒っても俺が『子供を遅くに一人で帰すのが気が引けるから』っていえば大丈夫だ。」

 

「私なんかの事を考えていただきありがとうございます。」

 

「いいって。でももしそれでも言い返すようなら、『俺たちを騙してたんだからそれぐらいはしろ。もし、しなかったら本気で耳を燃やす』って言ったら大丈夫だ。」

 

「は、はい」

 

その後、リリに案内された場所で俺は眠りについた

 

――――――――――――――――

 

いくらか時が過ぎた

 

紫炎がまだ眠っているのを確認すると少女は本を紫炎の頭に落とした

 

「痛ってーーー。誰だ、て耀か。何しやがる。」

 

「お風呂あいたから起こしに来た。」

 

「そうだとしても本を落すとはどういう了見だ?」

 

「だって紫炎は声をかけても起き無さそうだし。」

 

「偏見だけでいきなり実力行使に移すな。」

 

まあ、確かに寝起きは基本的に悪いが・・・

 

「なんにせよ起こしてくれてありがとな」

 

そういって風呂場に向かおうとしたが耀に服を掴まれ阻まれる

 

「・・・どうした」

 

「約束」

 

「は?」

 

「だから約束」

 

何のことか思い出してみると

 

「まさか父親の事?」

 

俺がそういうと耀が頷く

 

「どうしても聞きたいのか?」

 

「うん」

 

耀がこちらを見据えて言い放つ

 

「じゃあ俺は風呂入るから」

 

「先に話して」

 

逃げようとするといきなり耀に押さえつけられた

 

「どうしても?」

 

「どうしても」

 

俺は諦めたように体の力を抜く

 

「話すから退いてくれ」

 

「本当に?」

 

「どうせ逃げても扉らへんに飛鳥と黒ウサギがいるだろうしな」

 

俺がそういうとあからさまに反応した

 

「それじゃあまず俺のギフトから説明するか」

 

「?それはもう聞いたけど?」

 

「その続きがあるんだ。」

 

俺がそういうと手に炎を灯す

 

「銀色の炎?」

 

「ああ。発火能力じゃないって言ったのはこういうことだ。ちなみに炎の操作でもない。炎を生み出すんだ。」

 

「その色は?」

 

「炎の色を変えてその色ごとの能力が使えるんだ。」

 

「「「えっ?」」」

 

俺が言葉を言った瞬間炎が俺と耀を包んだ

 

それに三人が驚きの声を上げる

 

「大丈夫だ、耀。銀色の炎は硬質化された炎で熱さは感じられないはずだ。」

 

「あっ、本当だ。でも、なんで?」

 

「この炎は吸音性なんだ。」

 

「そうなんだ。」

 

「だからここで話したことは他に言うなよ。」

 

「なんで?」

 

「思い出話は柄じゃないし、なにより他の奴らに聞かれるとどうなるか」

 

「あ~」

 

耀は多分十六夜の事を思ってるだろう

 

「話に戻るがまずこの炎を生み出す能力なんだがうちの家系の家長にだけ受け継がれるらしいだ。」

 

「へぇ~」

 

「それで子供のころからこの力を制御するため色々やらされてな。それで父親に散々しごかれてな。」

 

「それで父親が嫌いに」

 

「なったわけじゃないぞ。むしろそれは望んでた。普通の生活を送るためにな。」

 

自嘲気味に笑いながら話を続ける

 

「そっから小3くらいかな?それまで毎日修行だ。」

 

「毎日!?」

 

「ああ、おかげでみるみる制御できた。そのころには普通の炎は完全にコントロールできた。」

 

「そうなんだ」

 

「それからしばらくして事件が起こったんだ」

 

「事件?」

 

「父親が俺を殺そうとしてきたんだ。」

 

「!?」

 

「その時は母親が救ってくれて助かった。それから親父とは会ってない。」

 

「・・・・お母さんは?」

 

「その傷がもとで死んじまったんだ。おかげでそれから親戚をたらい回しで一昨年から一人で暮らしてたんだ。」

 

「・・・・・」

 

耀は黙ってしまった

 

「もう一度言うが誰にも言うなよ。そしてできればそんなしょげた顔はやめろみんなにばれちまうし、可愛い子には笑っててほしいんだ。」

 

俺はそういって耀の頬を引っ張って無理やり笑顔を作る

 

「痛い。」

 

そういって耀は俺の手を払う

 

「でも話してくれてありがとう。」

 

耀が微笑みながらいった

 

「俺こそ聞いてくれてありがとな。後、親父と俺のギフトが同じってことを話したってことにしといてくれ」

 

「うん。わかった。」

 

耀の言葉を聞き、俺は周りの炎を消す

 

「春日部さん、何の話をしてたの?」

 

「教えてください、耀さん。」

 

すると、飛鳥と黒ウサギが耀に詰め寄り聞いてくる

 

「紫炎のギフトについてちょっとね。」

 

約束通り黙ってくれているようだ

 

「そういうことだ。」

 

「本当にですか?」

 

疑り深く聞いてくる黒ウサギ

 

「お前がそれを言うか?」

 

「確かに」

 

「そうよね」

 

「まだ根に持ってるんですか」

 

黒ウサギが泣きながら聞いてくる

 

「別に根に持ってるわけじゃない。だが、これ以上聞いてくるなら本気でコミュニティを抜けるぞ。」

 

俺がそういうと飛鳥と黒ウサギは黙る

 

「それじゃあ俺は風呂入ってくるからお前らは先に寝とけ。」

 

俺は三人に一言告げて風呂に向かった


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