問題児たちが異世界から来るそうですよ?―振り回される問題児―   作:gjb

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第百四話

ゲームが終わった後、紫炎、碓氷、クリスは着替えて控室にいた

 

決勝のゲームは一言で言えば三人の圧勝だった

 

三組とも動くことなく紫炎とクリスは炎で、碓氷は氷で全組フィールドから落としたのだ

 

「碓氷。お前異様に正装が似合うな」

 

「ああ。気持ち悪いぐらい似合ってる」

 

紫炎とクリスは碓氷に向かって失礼極まりない言い方で褒める

 

「クリス。お前は馬子にも衣装って言葉が似合ってるよ」

 

「何だと、こら」

 

碓氷もクリスに言い返す

 

今三人は女性陣がウェディングドレスに着替えるまでの暇つぶしをしている

 

「しかし、ウェディング体験って言いながら写真撮影で終わりか」

 

紫炎がそう言うと、ため息をつく

 

その様子を見る限り余程楽しみにしていたのだろう

 

「俺的にはさっさと終わるからいいけどな」

 

クリスは嬉しそうにそう言う

 

元々アーシャに半分騙されてきたようなものなので、早く終わることは嬉しいようだ

 

「皆さん、こちらの準備が整いました。彼女さんの控室に行ってください」

 

すると、スタッフらしき人たちが呼びに来た

 

「それじゃあ俺はこっちみたいだから」

 

「俺も」

 

そう言って三人は自分のパートナーの待つ部屋へと向かった

 

―――――――――――――――――――――

 

紫炎が二人と別れて耀の控室の前に着く

 

「ふぅ」

 

少し息を吐いて紫炎はノックをする

 

「耀、はいっていいか?」

 

「あ、うん」

 

耀が許可をすると、紫炎はドアを開ける

 

「お邪魔し・・・」

 

紫炎が一言声をかけながら部屋に入ると、言葉が途中で失う

 

「ど、どうかな」

 

途中で言葉を失った紫炎を不審に思いながらも、耀が勇気を出して聞いてみる

 

「悪い。見惚れてた」

 

紫炎が耀の言葉に気づいて正直な感想を言う

 

「ありがとう」

 

紫炎の感想に耀は微笑みながら返す

 

(やべ。直視できないぐらい可愛い)

 

紫炎は目を逸らしてそんなことを思う

 

すると、耀が紫炎の顔を無理やり自分の方に向かせてキスをする

 

「ちゃんと見てほしい。次いつ着るか分からないから」

 

耀は顔を赤くしながらそう言ってくる

 

「・・ああ。けど、着る予定はちゃんとあるからな」

 

「うん。紫炎との本当の結婚式の時にね」

 

二人は目を見つめあってそう言いあうと、もう一度キスをする

 

「すいません。もう準備できましたか?」

 

すると、カメラマンがノックをする

 

二人は驚いて離れ、招き入れた

 

――――――――――――――――

 

碓氷も飛鳥の部屋の前に着き、ノックする

 

「飛鳥。入っていいか?」

 

「う、碓氷君!?ちょ、ちょっと待って」

 

飛鳥は碓氷の声を聞いて慌てた声で返す

 

(着慣れてないウェディングドレスで手間取ってるのかな?)

 

碓氷は飛鳥が入室を拒んだのをまだ着替え終わってないからと勘違いする

 

(こ、心の準備が・・・)

 

飛鳥は二、三度深呼吸をする

 

「は、入っていいわよ」

 

飛鳥の言葉が聞こえたので碓氷は部屋に入る

 

「!綺麗だ・・・」

 

あまりの後継に碓氷は思った言葉がポロッと出てしまう

 

その言葉を聞いて飛鳥はゆでだこのように顔を真っ赤にする

 

「あ、ありがと・・・」

 

飛鳥はそういって碓氷の手を握る

 

碓氷もその手を握り返す

 

「・・・もし、結婚式挙げるなら洋風が良いな」

 

「え!?」

 

碓氷が何の気なしにそうつぶやくと、飛鳥は顔を赤くする

 

「あ・・・。そ、その口に出てたか?」

 

碓氷がそういうと、飛鳥はコクリと頷く

 

碓氷も飛鳥と同様顔を赤くする

 

「・・・さっきの言葉、嘘じゃないからな」

 

碓氷はそういうと、飛鳥を抱き寄せる

 

「うん」

 

飛鳥もそのまま体を預ける

 

二人はカメラマンが着くまでそうやっていた

 

―――――――――――――――――――

 

クリスもアーシャの待つ部屋の前に着く

 

「入るぞ~」

 

「あ、ちょ、まっ・・・」

 

クリスはアーシャの言葉を待たずに部屋に入る

 

「おおー。似合ってじゃん」

 

「そ、そうかな」

 

クリスのことばにアーシャは照れる

 

「それじゃあ撮ろうぜ」

 

「え!?もうちょっとこのままでもいいじゃないか」

 

さっさと終わらせようとするクリスにアーシャが止める

 

「何だよ。さっさと終わらせれば写真の事を気にせずにその格好でいられるだろ?」

 

クリスがそう言って頬を染めると、アーシャは少し固まる

 

「え、ええっと。そ、それじゃあ撮ろうか」

 

アーシャがそう言うと、カメラマンは撮りはじめる

 

(ったく、何か俺らしくない。いつもと違う格好のアーシャを見て、こんな気持ちになるなんて・・・)

 

クリスは写真を撮ってる間、そんな考えを巡らせていた


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