問題児たちが異世界から来るそうですよ?―振り回される問題児―   作:gjb

102 / 114
第九十三話

次の日、ノーネームの主力の殆どが食堂に集まっていた

 

「皆さん。名残惜しいですが本拠に帰る日になりました。しかし、新しい同志も増えて万々歳の結果になりました」

 

黒ウサギがいつも通り天真爛漫な笑顔を浮かべて言うと、碓氷は少し照れる

 

しかし、黒ウサギの表情はすぐに怒った表情になる

 

「なのに・・・なのに何で赤羽さんと耀さんはここにいないんですか!」

 

「私たちに言われても分からないわよ」

 

黒ウサギの言葉に飛鳥が呆れたように言う

 

「俺は聞いてる。紫炎の奴が二日酔いだから春日部がついてるらしい」

 

十六夜が何でもないように言うと、黒ウサギは肩を落とす

 

「まあ、そっちの方は大丈夫だ。とりあえず年少組たちを迎えに行くぞ」

 

「はいなので・・・って耳を掴まないでください」

 

十六夜はそういって黒ウサギを引きずりながら出て行った

 

「それじゃあ私たちはそのまま集合場所に行けばいいのかしら?」

 

前日に帰る時は一番最初にグリーに運んでもらった場所に集合すると決めていた

 

「いえ、年長組の・・・ムグッ」

 

「ああ。先に行っていてくれ」

 

ジンが喋ろうとするのをペストが抑え、レティシアが口を開いてその場から去っていった

 

それを見て二人は顔を見合わせて笑う

 

「レティシアさん達にはばれてるみたいだね」

 

「そうみたいね。それより言葉に甘えて行きましょう」

 

飛鳥の言葉を聞いて、碓氷は飛鳥が手を出すより先に飛鳥の手を握る

 

そして、そのまま集合場所に向かった

 

――――――――――――――――――

 

飛鳥と碓氷が集合場所に着くと、すでに見知った顔がいた

 

「あ、二人とも。おはよう」

 

「春日部さん。それと、確かグリーさん、でしたっけ?」

 

「そうだ」

 

飛鳥が確認するようにそう言うと、グリーが答える

 

すると、いきなりしゃべったグリーに飛鳥と碓氷が驚く

 

「ん?ああ。白夜叉様からもらったコレで人間の言葉が喋れるようになったのだ」

 

「へ、へえー」

 

グリーの言葉に碓氷が驚いたまま答える

 

「それより春日部さん。紫炎君は一緒じゃないのね」

 

飛鳥がそう言うと、耀は無言でグリーの方を指さす

 

すると、グリーの背中の毛から手が出た

 

「頭いてぇ」

 

紫炎が呑気に起き上がると、グリーが体を思いっきり動かして紫炎を振り落した

 

「紫炎、いい加減降りろ。戦いで傷ついたのならまだしも、酒を飲み過ぎて頭を痛めてるだけなのは自業自得だ」

 

「うっ」

 

図星をつかれ、紫炎は頭を抑えながら項垂れる

 

「しょうがない。紫炎、黒ウサギたちが来るまでならいいよ」

 

耀はそう言うと、正座して自分の膝に手を置く

 

「悪い。甘えさせてもらうわ」

 

紫炎はそう言うと、何の恥ずかしげもなく耀に膝枕をしてもらって、そのまま寝た

 

「春日部さん。あのね・・・」

 

「碓氷も飛鳥にしてもらったら?」

 

飛鳥が耀に注意をしようとすると、耀がとんでもないことを言う

 

「な、な、な」

 

「お、落ち着いて」

 

飛鳥が恥ずかしさでショートしているのを碓氷が落ち着かせようと肩に手を置く

 

耀はそんな二人をよそに寝ている紫炎を撫でる

 

そんな光景をグリーはため息をついて呆れながら見ていた

 

―――――――――――――――――――――

 

数十分後、黒ウサギがやってきて紫炎は思いっきりハリセンで殴られた

 

耀は軽く説教をされただけだった

 

「大丈夫?」

 

「頭痛ぇ」

 

二日酔いの上にハリセンで叩かれたので頭痛が最高潮に達している

 

ちなみに、ノーネームは一番前に黒ウサギとジンと十六夜が、真ん中に碓氷と飛鳥、最後尾に耀と紫炎がいる

 

メイドたちはそれぞれバラバラに子供の面倒を見ていた

 

「黒ウサギの奴、加減ってもんを知らんのか?」

 

「そんなに痛かったの?」

 

耀はそう言うと、背伸びして紫炎によしよしと頭を撫でる

 

「うーん。二日酔いが一番の原因だな」

 

紫炎はそう言うと、耀を抱き寄せ、空いた手で耀の頭を撫でる

 

「こうしてるのが一番落ち着く」

 

「じゃあ、もうちょっとこうしとこうか」

 

耀がそう言うと、紫炎の腰に手をまわしてさらにくっ付く

 

「二人とも、いい加減にしろ」

 

すると、大人バージョンのレティシアが二人にチョップをくわえる

 

紫炎は二日酔いとの痛みも相まって頭を抱えてうずくまる

 

「痛い」

 

「い、痛ぇ」

 

「痛くしたから当たり前だ。二人とも、子供たちの前では控えろ」

 

レティシアが呆れ声でそう言うと、紫炎が頭をさすりながら立つ

 

「確かにやり過ぎた。しょうがないからこれくらいに抑える」

 

紫炎がそう言って手を出すと、耀が腕を組む

 

そしてレティシアはもう一度二人の頭にチョップをくわえる

 

「せめて手を繋ぐぐらいにしろ」

 

二人はその言葉に不服そうにしながらも、もうチョップを食らいたくないので黙って従う

 

「さて、みんなに置いてかれないように・・・」

 

レティシアがそう言いながら前を向くと誰もいなかった

 

そして遠くの方を見ると境界門が起動してるのが見えた

 

すでに子供たちや十六夜達は境界門をくぐってるようだった

 

「い、急ぐぞ」

 

あまりの出来事に紫炎は二日酔いの頭痛も忘れ、耀とレティシアの手を握って引っ張っりながら境界門に急いで向かった


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。