チートと転生、あとガンダム   作:ロイ

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オーブから旧オーブへ

ウナトの突然の宣言に全世界が混乱した。ネオ・オーブ政府はいち早く了承を決議、宣言の6時間後にこの決議を宣言した。元々一つの国だったし、苦しんでいる同胞を助ける為に犠牲になったウナト宰相にも感動させられた。それに地球に国土を持つ事は経済的に利益がある、防衛任務も重くなるがネオ・オーブの実力なら問題ない。オーブが経済崩壊の崖っぷち状態のため素早く処理しなければならない、よってロイ・サハクの派遣を決定する。

 

ロイは準備を完了した船の上で命令を受け、即座に出発する、充分な戦力と共に。同行者は護衛のステラ・R・サハクとロンド・ギナ・サハク准将である。

 

 

ロイ達はオーブに着いた時、迎えに出たのはユウナだった。ウナトが反対する人間を排除したので受け入れは順調だった、しかしウナトは狂ったと見られて幽閉されている。残った政治家達は分かっている、オーブ国民を救う方法はこれしか無いと、ウナトを軟禁したのは排除された者達の復讐から逃れるためだと。

 

 

ロイは到着すると直ぐに緊急会議を開いた、今は無駄に出来る時間はない。

 

「まず、賢明な判断を下した皆さんに感謝する。ネオ・オーブ政府から旧オーブ市の臨時市長に任命されたロイ・サハクだ、何か異議は?」

全員異議など無い、今は一刻も早く動かなければならない。彼らはこの神童に期待する。

「では、ネオ・オーブ政府の決議を宣言する。オーブは国家主権を没収、旧オーブ市とする。憲法に従い氏族特権を剥奪するが、政治体制の改変は後回しだ。旧オーブ市の状況を簡単に説明してくれ。」

宰相代行のユウナが立ち上がる。

「経済崩壊が始まり、株価が暴落しています。災害と相まって状況は最悪です。それと連合軍総司令部から出撃要請が来ました。今最も解決せねばならないのはこの二つです。」

条約はまだ破棄していない、今直ぐ連合との関係を悪化させれば経済回復は更に難しくなる。ロイは即座に決断する。

「経済問題で出撃は不可能と返答しろ、その代わり空母タケミカズチの売却をする」

「「「!!!」」」

会議室に衝撃が走った、オーブ最大の船、唯一の空母を売却すると言うのだ。だが確かに問題はない。これからはサハクの強力な兵器を使うことになるし、誠意も充分見せられる。

「経済についてだが、まずモルゲンレーテの国営を終了する。」

モルゲンレーテはオーブ国営であり、オーブの国防産業を独占してきた。技術力は高いが管理問題が大きい。国家予算の無駄使い、横領が多発している。それの極みがアカツキだ、アストレイ数十機分の予算をアスハが私用し会計を誤魔化した。ヤタノカガミは素晴らしいが、アカツキの性能では高すぎる買い物だった。これで予算の無駄使いはかなり減ったが経済回復には至らない。

「そして国家プロジェクトとしてカグヤのマスドライバーを再建する」

「「「おおっ!」」」

マスドライバーは高い、それはもうコロニーなんかよりも。嘗て地上に大規模なマスドライバーはカオシュン、ビクトリア、パナマ、そしてカグヤにしかなかった。前大戦で二つが破壊され再建はされていない。それは余りにも高かったからだ。嘗てのパナマのマスドライバーは大西洋連邦と南アメリカ共和国が共同で建設し、ビクトリアのマスドライバーはユーラシア連邦と南アフリカ統一機構が合同で建設した。オーブのマスドライバーは単独で建設したが、総力を上げても20年以上かかった。この巨大プロジェクトは旧オーブ市の混乱を吹き飛ばす程のインパクトがある。そしてPUにも独自のマスドライバーが必要だ、経済のための無駄な出費でもない。

「真ですか!?」

ネオ・オーブが協力するだけでこうも違うのだ。このマスドライバーは将来旧オーブ市に莫大な利益を出すだろう、そしてこれで投資も増える。

「ああ、大統領、議会も承認した。関連資料は直ぐに渡す、早速動いてくれ。だが軍事関係者は残ってくれ」

この言葉を聞いて経済関係者が動き出した、絶望的な表情は希望溢れた表情に変わっている。

「ロンド・ギナ・サハクを旧オーブ市軍隊の臨時副司令とする、派遣軍を組み入れた防衛体制を確立してくれ、総司令は私だ」

この言葉に懐疑的な視線を向ける者が多い。目の前の子供に軍事指揮ができると思えないからだ、オーブ防衛戦の二の舞は勘弁したい。此処でギナが助け舟をだす。

「賛成だ、市長の指揮能力は我よりも高い。我ら姉弟の指揮は市長から学んだものだ」

ロンド姉弟の指揮能力の高さは有名だ。特にオーブ防衛戦時のミナは北部を完璧に守りきった。彼らを教えた者なら異議などあるはずがない。

「「「了解!」」」

全員がロイに敬礼する。

 

ロイ・サハクの迅速かつ適切な指揮で経済は回復を通り越し好景気になる。その後、旧オーブ市は「世界安全保障条約」を破棄、完全にネオ・オーブに組み込まれる。当初は不満な市民も居たが、経済を迅速に回復させたロイ・サハクの手腕は奇跡的で、前よりいい生活を暮らせるとなると不満など有るはずもない。なお、旧オーブ市でのロイの政治行動は後に大学の教書に組み込まれた。

 

ユウナ・ロマ・セイランはロイの補佐としてネオ・オーブの政治を学んでいる。ロイは何時までもここに居る訳にはいかない、引継ぎとしてユウナが初代旧オーブ市市長に任命される。事態が完全に回復してから改めて選挙をすることになっている。

 

ウナト・エマ・セイランは旧オーブ市に居ては危険だと考え、コロニーへ移住する事になる。そして政治の表舞台から姿を消した。

 


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